河内保二主宰の経済工学リサーチの発信情報

[四季感慨] カテゴリの記事

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• 28日の日記

  卒寿閑想 筆者は卆寿と6ヶ月を生き延びさせて頂いております。筆者の住んでいる区の調査によると、29年、町丁内で、90才の男性は2名（この中のひとりが筆者となるわけ）で、この上では、91才に3名、92才に2名、93才に3名、94才は0で、95才1名、96才2名であり、90才以上の男性は13名となる。これ以上の存命者はいない。 筆者もこのような調査結果を考えながら、これからも生きて行こうとつれづれに思う次第である。

  2017年07月28日

• 18日の日記

  ４次産業革命が暮らしに身近に起きる時代に 　経済産業省は5月２９日、産業構造審議会（経産相の諮問機関）の会合を開き、人工知能（ＡＩ）など先端技術の導入が進む２０３０年代の日本経済の将来像を示す「新産業構造ビジョン」を提示した。無人の自動運転走行車を活用したサービスの実現を目指す「移動」や、高齢化社会に対応した「健康」など四つの戦略分野を指定。優先的に規制改革などを進めるよう提言した。 これに先立ち、政府の成長戦略「日本再興戦略２０１７」案が立案され、読売新聞によれば、ロボット技術や人工知能などを使って産業の高度化を図る「第４次産業革命」の推進に向け、「移動革命の実現」など戦略５分野に政策や投資を集中させる方針を明記し、小型無人機「ドローン」を活用した荷物配送の実現など、具体的な目標を列挙した 。5月30日に開く未来投資会議（議長・安倍首相）で示し、６月中にも閣議決定する予定だという。第４次産業革命の技術革新をあらゆる産業や社会生活に取り入れることを目指している。 　そのうえで．.健康寿命の延伸移動革命の実現サフライチェーシ（供給網）の次世代化快適なインフラ・街づくり金融と情報技術（ＩＴ）を融合した金融サービス「フィンテック」－の５分野に「我が国の政策資源を集中的に投入し、未来投資を促進するとした。 　こうした政府の成長戦略で、社会は各分野でここ数年で変化が現実的になることだろう。 　先ず、「移動革命の実現」では、ドローンによる荷物配送を来年から山間鄙などで実施し、「2020年代には人口密度の高い都市でも安全な荷物配送を本格化させる」と明記。―人の運転手が運転するトラックを無人車両が追いかける高速道路での隊列走行についても、「早ければ22年に商業化することを目指す」と目標を明確にしている。 　ドローンや自動走行を組み合わせれば、東西に距離があり、膿島も多い日本国内でも迅速な荷物の配送・受け取りが可能となり、物流コストの大幅減も期待される。深刻化する物流業界での人手不足に対応する狙いもあるとされる。 　このほか、遠隔診療の推進による健康寿命の延伸や、実証実験を行うため期間を限定した上で規制を緩和する新制度の創設、社長などが退任後に相談役や顧闇として社に残る場合に氏名などを開示する制度の創説なども盛り込んでいる。 「日本再興戦略2017」案は、首相の経済政策「アベノミクス」により、企業の利益が史上最高水準を達成するなど成果が出ているものの、長期にわたる生産性の伸び悩みと新たな需要創出の欠如で、日本は「長期停滞」に陥っていると指摘しており、中長期的な成長を実現していくカギとして、「第４次産業革命の技術革新をあらゆる産業や社会生活に取り入れること」を挙げている。その影響がここ数年で特に移動革命の形で、実社会に及ぶに至った。第４次産業革命が暮らしに身近に起きる時代を迎えている。

  2017年07月18日

• 21日の日記

  ４次産業革命が暮らしに身近に起きる時代に　経済産業省は5月２９日、産業構造審議会（経産相の諮問機関）の会合を開き、人工知能（ＡＩ）など先端技術の導入が進む２０３０年代の日本経済の将来像を示す「新産業構造ビジョン」を提示した。無人の自動運転走行車を活用したサービスの実現を目指す「移動」や、高齢化社会に対応した「健康」など四つの戦略分野を指定。優先的に規制改革などを進めるよう提言した。 これに先立ち、政府の成長戦略「日本再興戦略２０１７」案が立案され、読売新聞によれば、ロボット技術や人工知能などを使って産業の高度化を図る「第４次産業革命」の推進に向け、「移動革命の実現」など戦略５分野に政策や投資を集中させる方針を明記し、小型無人機「ドローン」を活用した荷物配送の実現など、具体的な目標を列挙した。5月30日に開く未来投資会議（議長・安倍首相）で示し、６月中にも閣議決定する予定だという。第４次産業革命の技術革新をあらゆる産業や社会生活に取り入れることを目指している。　そのうえで．.健康寿命の延伸移動革命の実現サフライチェーシ（供給網）の次世代化快適なインフラ・街づくり金融と情報技術（ＩＴ）を融合した金融サービス「フィンテック」－の５分野に「我が国の政策資源を集中的に投入し、未来投資を促進するとした。　こうした政府の成長戦略で、社会は各分野でここ数年で変化が現実的になることだろう。　先ず、「移動革命の実現」では、ドローンによる荷物配送を来年から山間鄙などで実施し、「2020年代には人口密度の高い都市でも安全な荷物配送を本格化させる」と明記。―人の運転手が運転するトラックを無人車両が追いかける高速道路での隊列走行についても、「早ければ22年に商業化することを目指す」と目標を明確にしている。　ドローンや自動走行を組み合わせれば、東西に距離があり、膿島も多い日本国内でも迅速な荷物の配送・受け取りが可能となり、物流コストの大幅減も期待される。深刻化する物流業界での人手不足に対応する狙いもあるとされる。　このほか、遠隔診療の推進による健康寿命の延伸や、実証実験を行うため期間を限定した上で規制を緩和する新制度の創設、社長などが退任後に相談役や顧闇として社に残る場合に氏名などを開示する制度の創説なども盛り込んでいる。 「日本再興戦略2017」案は、首相の経済政策「アベノミクス」により、企業の利益が史上最高水準を達成するなど成果が出ているものの、長期にわたる生産性の伸び悩みと新たな需要創出の欠如で、日本は「長期停滞」に陥っていると指摘しており、中長期的な成長を実現していくカギとして、「第４次産業革命の技術革新をあらゆる産業や社会生活に取り入れること」を挙げている。その影響がここ数年で特に移動革命の形で、実社会に及ぶに至った。第４次産業革命が暮らしに身近に起きる時代を迎えている。*********************************************************************河内　保二経済工学リサーチ　主宰ホームページhttp://kawauchi.la.coocan..jp/index.htm著書は次の通り（何れも繊維流通研究会刊）▽ドイツ国家プロジェクト「インダストリー4.0」の理論的源流である著書:「チェックリストによる　少量・短納期生産　モデル縫製工場　実践ガイド」 （日中語併記）▽「儲かる縫製工場ガイド」（日中語併記）▽「これで納得　縫製工場ムダ取りガイド」（日中語併記）▽「日中服装技術辞典」取り扱い書店（東京＝丸善：丸の内本店、カルチャートキワ）*********************************************************************

  2017年06月21日

• 9日の日記

  変わる産業と変わる社会の姿 　経済産業省は去る3月20日、日本の産業が目指す姿を示すコンセプトとして「Connected  Industries（つながる産業）」を発表した。ドイツの「Industrie 4.0（インダストリー4.0）」、フランスでの「Industrie du Futur（産業の未来）」などのプロジェクトに当たるもので、今後日本も「Connected Industries」を軸として施策を展開していくということである。 　ドイツやフランスの先行する取り組みとして、IoT（モノのインターネット）とデータの分析および活用技術の進展により、産業の在り方が大きく変化する「第4次産業革命」に世界中から大きな関心が集まっている。第4次産業革命は、第1次の蒸気機関、第2次の電気、第3次のコンピュータの次として、IoTなどを駆使した産業の変化を示すもの。第4次産業革命による変化は技術だけでなく、社会制度や規制、教育などさまざまな領域に及ぶ。そのため、政府が主導し産官学の連携で推進するケースも多い。日本政府は、政府主導の将来の産業コンセプトとして「Connected Industries（つながる産業）」を発表したもので、今後、同コンセプトを軸に各種施策を進めていく。　こうした産業の変革の一方で、日本では「科学技術基本計画」の中で、社会そのものが新しい技術によって変革する「Society 5.0」を訴えてきた。「Soceity 5.0」とは、狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続く、新たな社会の実現に向けた取り組みだとし、目指す姿は、サイバー空間（仮想空間）とフィジカル空間（現実社会）が高度に融合した「超スマート社会」とし、この実現に向けた取り組みを進める方針を示した。 　超スマート社会とは「必要なもの・サービスを、必要な人に、必要な時に、必要なだけ提供し、社会のさまざまなニーズにきめこまやかに対応でき、あらゆる人が質の高いサービスを受けられ、年齢、性別、地域、言語といったさまざまな違いを乗り越え、生き生きと快適に暮らすことのできる社会」だとしている。 　今回新たにコンセプトとして打ち出された「Connected Industries」は、「Society  5.0」を背景に、あらためて産業領域での日本の強みと、それを織り込んだ新たな産業の未来像を訴えるものであるという。 　このような将来展望は先見の明とみることもできよう。日本は「先見の明」で世界一位であったと、毎年恒例となった、「世界一の国」ランキングで、発表されている。米誌USニューズ&ワールド・レポートが毎年発表しているランキングで、日本は、総合ランキングで昨年から2つアップして5位となった。なかでも、「先見の明のある国ランキング」では1位となったという。 　筆者の提唱してきた［客業生産］の理念が、将来、生産に留まらず、社会のあり方にも拡大浸透して行くことに強い関心を向けている。

  2017年06月09日

• 9日の日記

  今日は3句を詠んだ。 　空豆や　陽光詰めし　実りかな 　　　　　　　　土筆　　リハビリに　脚上げている　卒寿梅雨 　　　　　土筆　窓日差し　梅雨の晴れ間や　猫眠る　　　　　　 土筆

  2017年06月09日

• 27日の日記

  この度、第21回毎日俳句大賞に応募しました。一般の部1句と水の俳句1句です。半月前からいろいろと作句してみました。次に記したのは、応募しなかった俳句です。◆一般の句　生き延びる　透析受ける　卆寿梅雨　　　　　土筆　透析を　終えて見入るや　夕牡丹                 土筆　   透析に　命延ばして　卒寿初夏　　　　　　　土筆◆水の句　風薫る　忍野に湧くや　富士の水　　　　　　土筆   梅雨の来て　ダムに貯まりし　水青く           土筆　白波を　立てて水切り　艇の夏　　　　　　　土筆

  2017年05月27日

• 14日の日記

  工場で人工知能活躍の幕開け　人工知能の進化が著しい。身近なニュースでは、人工知能将棋ソフトがプロ棋士に勝ち、囲碁ソフトでは井山囲碁七冠に勝ちを収めたという。人工知能ソフトは、ゲームの世界だけでなく、社会に広く活用され始めている。技術での活用の現状について、IBM社の事例を挙げると、今は100社くらいの企業に同社の人工知能ソフト「ワトソン」が次のように活用されていると同社のホームページで知らされる。●東京海上日動火災保険は、「顧客対応」が変わるとして、「ワトソン」を活用した照会応答システムで、対応時間を大幅に削減。●イオンリテール株式会社は、「店舗業務」が変わるとして生産性向上を目指し、「ワトソン」が基盤の問い合わせ支援システムを開発。●三菱商事株式会社は、「ヘルプデスク」が変わるとして「ワトソン」が基盤のFAQシステムを開発。社内のITヘルプデスク業務の効率化を実現。●清水建設株式会社とIBMは共同で、「街づくり」が変わるとして「ワトソン」を活用した音声ナビゲーション・システムの実証実験を実施。●パナソニック株式会社は「おもてなし」が変わるとして「ワトソン」とデジタル機能を備えた鏡を活用し、お客様の快適な滞在をサポート。●ソフトバンク株式会社は、「働き方」が変わるとして「ワトソン」を活用し、社員の素早い提案活動や顧客対応をサポートしている。●東京大学医科学研究所は、「がん研究」が変わるとしてがん治療研究に「ワトソン」を活用。患者さんごとに的確な治療を提供。●金沢工業大学は、「教育」が変わるとして「ワトソン」を活用した自己成長支援システムで学生のさらなる成長をサポート。●The Weather Companyは、「気象データ活用」が変わるとして「ワトソン」を活用した高精度な気象分析で、より優れたビジネス意思決定を支援する。●高度化するサイバー・セキュリティー対策の強化に、「ワトソン」が活用されている。 　 日本IBM 与那嶺社長は次のように語っている。－2017年はAI（人工知能）をはじめとする、ITに対する期待が実行へと本格的に移ると思っています。日本企業の労働倫理や社会貢献に対する態度は世界でも随一です。トップも現場も一体になって、新しい取り組みを進めれば、間違いなくグローバルで活躍するでしょうし、日本の見通しは明るいと思っていますと－。　アパレル業界でも、3月18日、ユニクロ柳井社長は、商品作りにAIを活用して、抜本改革することを明らかにしたと、報じられた。企画から販売までにかかる時間を10日間に縮め、顧客ニーズを素早く商品に反映する仕組みを導入すると言うことである。柳井社長は「作って服を売る商売から、客が求める服だけを作るビジネスに変える」と強調し、「1週間で作って3日で配送をやる。1～2年内に実現させる」と述べたたという。　工場で人工知能が活躍する時代が始まっている。

  2017年05月14日

• 28日の日記

  身近になった人工知能 最近のニュースを賑わしている話題に「人工知能（AI）」がある。特に自動車の自動運転技術における「人工知能」の活用が注目される。この自動運転では、アメリカのグーグルの自動 運転について、NHKニュースウェブは、去年１２月、グーグルなど世界のＩＴ企業が集まるアメリカ・シリコンバレーで、日産自動車の自動運転車の開発現場を取材した。開発チームは、高速道路と一般道路を合わせたおよそ２０キロのコースを設定し、何度も試験走行を繰り返していた。そして、そこで見たのは自動運転車の性能の高さだという。日産の自動運転は3月初旬にロンドンの公道で実施され、その性能の高さを示し、実用化まであと一息の水準まで来てると報じられ、いよいよ身近に感じられるようになっている。そして日本では軽自動車に自動ブレーキ機能が搭載されるようになってきており、一層身近に感じられる。 こうした自動運転を可能にするのがいわば「人間の目」の役割を果たすカメラやレーダー、赤外線レーザーといった数多くの車載センサーであり、車全体をくまなくカバーするよう１２か所に配置されたカメラは周囲に何があるかを認識。レーダーは前方を走る車など比較的遠くを移動する物体を、赤外線のセンサーは至近距離の人や障害物を正確に検知する。これらのセンサーこそが自動運転を可能にしている。このような制御で重要なのは、数多くのセンサーで捉えた画像などの情報を瞬時に解析し、車の動きを制御するソフトウエアの性能である。こうしたソフトウエア開発はもともと、グーグルなどのＩＴ企業が得意とする分野で、自動運転の高度化に不可欠とされる「人工知能」についても、グーグルは2016年3月にその子会社DeepMindが作成した囲碁対戦用AI「アルファ碁」が人間のプロ囲碁棋士に勝利して以降はディープラーニングと呼ばれる手法が注目され、人工知能自体の研究の進展が強く印象づけられた。自動運転技術の開発・普及に向けた政府や企業の知能は加速してきており、無人自動運による移動サービスを2020年に実現するための法整備や実証実験が17年度から本格化すると報じられている。アパレル生産や縫製工場に「人工知能」が活用される日も遠くではない。 この面では、コンピュータソフトで工場管理の「エキスパートシステム」がある。このエキスパートシステムは人工知能研究から生まれたコンピュータシステムで、人間の専門家（エキス パート）の意思決定能力をエミュレートするものであり、専門家のように知識についての推論によって複雑な問題を解くよう設計されており、通常のプログラミングのようにソフトウェア開発者が設定した手続きに従うわけではない。1970年代に人工知能の研究者によって開発され、1980年代にわたって商業的に適用され、AIソフトウェアとして最初に成功を収めた形態であると、ウィキペディアは述べている。 筆者は1990年代に縫製エキスパートシステムについてプロジェクトの中に加えて研究を進めたが、今日の「人工知能」技術の高度化により縫製工場での活用も現実的テーマとなってきており、当時を振り返って感慨深いものがある。縫製工場での工場内外での自動運転、工場管理面での縫製工場「人工知能」技術が実用化されて、縫製工場の一段の高度化が達成されることを切望している。

  2017年04月28日

• 2日の日記

  アディダス社が示す第四次産業革命工場とは 　筆者のプログの一つに、「こころぐ」に置いた「経済工学リサーチのウェブログ」があるが、「我が国ものづくりの様変わり…客業生産に向かうか？」と題するプログ（June 07, 2012 in 客業生産論）に対して、 何と海外二十四ケ国から一千百通を越すコメントが寄せられ、このブログが大変好意的に受け容れられ、ブログに対する感謝と賞賛を頂いて、身に余る光栄に感じた次第である。そのコメントの中にドイツのアディダス社からのものが次のように複数寄せられて、大変身近に感じられた。 Terrific posts, Regards.（素晴らしい発表、よろしく）Posted by: アディダス ジャージ | May 09, 2014 at 07:35 AM Lovely material, Thanks.（素敵な素材、ありがとう）Posted by: adidas スニーカー スーパースター | June 26, 2014 at 03:27 AM Good posts, Appreciate it!（良い投稿、感謝します！）Posted by: adidas パーカー メンズ | July 03, 2014 at 03:27 PM Wow plenty of great information（うわー、すばらしい情報）Posted by: アディダス シューズ | July 04, 2014 at 01:31 PM そのアディダス社がインダストリー4.0を目指して、「スピードファクトリー」の稼働を開始した。ドイツの国家プロジェクト「インダストリー4.0」がきっかけとなり関心が高まった、IoTを活用したスマートファクトリー化への動きだが、2017年は現実的成果が期待される1年となりそうだという。既に多くの実証成果が発表されているが、2017年は、実導入ベースでの成功事例が生まれることが期待されるということである。この「スピードファクトリー」とはどんなものか。「インダストリー4.0」を理解する上でも役立つことである。アディダス社の発表した内容を見てみると、同社は、 2017 年からロボット技術を採用した最新工場、スピードファクトリーの本格運用を始めるということであり、スピードファクトリーとはロボットや最新技術を導入した全自動運転工場のことで、今回ドイツ・ヘルツォーゲンアウラハの本社から約50キロ離れたアンスバッハに、面積4600平方メートルを超える工場を建設した。運営は戦略パートナーであるエクスラー モーション GMBHが担う。その稼 働により、生産スピードを速める他、配送にかかるエネルギーや接着剤の量を減らし、環境への負担を軽減。最高のパフォーマンスとユニークなデザインを併せ持つスポーツグッズを製造するというものである。ロボットの導入によって人件費が高いドイツでも製造が可能になり、アジア地域で製造した商品を船便で輸送する必要がなくなった。そのため、1年半かかっていた製造プロセスが数週間にまで短縮され、低コストな大量生産の仕組みを維持しながら、ユーザーの要望に応じた個別生産を組み合わせる生産方式は、デジタル情報をやり取りして製造プロセスを高度化する「インダストリー4.0」の事例として注目を集めている。 わが国産業界でも、「インダストリー4.0」の開発には、ドイツと連携して進めているが、中小工場ではなかなか身近には感じられない傾向がある。しかし、アディダス社の事例は、身近な業種の事例として、今後関心を寄せなければならない。

  2017年03月02日

• 15日の日記

  中国版インダストリー4.0の製造改革の進展 わが国もドイツの国家プロジェクト「インダストリー4.0」と連携して、ものづくりの改革に取り組み始めているが、隣国の中国の製造改革の取り組みが注目を浴びている。それは、中国政府（国務院）が主導する「中国製造2025（メイド・イン・チャイナ2025）」である。2049年の中華人民共和国建国100周年までに「世界の製造大国」としての地位を築くことを目標に掲げたこの取り組みは、「5つの基本方針」と「4つの基本原則」に則って、2049年までにやるべきことを3段階で明記しており、第1段階としては、2025年までに「世界の製造強国入り」を果たす。これが「中国製造2025」に相当する。次に、第2段階として2035年までに中国の製造業レベルを、世界の製造強国陣営の中位に位置させる。そして第3段階として、2045年には「製造強国のトップ」になるというものだと報じられている。そして、5つの基本方針には、イノベーション駆動／構造の最適化／品質優先／環境保全型発展／人材本位が掲げられている。これまで、中国は潤沢な労働力と低い賃金による「労働力労働集約型」の製造体制で、衣料品などの大量生産品の供給を支えてきた。しかし、これまで主力だった衣料品や電気機械などが減少しており、人件費の上昇などで、中国の輸出競争力が低下していることが浮き彫りになった。その結果、中国の輸出額は前年比７・７％減の２兆９７４億ドル（約２３９兆円）、輸入額は５・５％減の１兆５８７４億ドル（約１８０兆円）と、いずれも大幅に減り、２年連続で前年割れした。中国経済の減速が一段と鮮明になり、世界経済にも大きな影響を与えそうだといわれている。また、中国が外貨準備で保有する米国債などドル建ての債券の価値も、大幅に目減りしており、元安でも輸出は増えておらず、中国にとってはダブルパンチとなっているという。 今後は労働構造の転換を図り、ITやロボット、AI（人工知能）を活用した「技術集約型／知能集約型」の産業にシフトする必要があり、その背景には、経済発展に伴う中国内の人件費の高騰や、「一人っ子政策」による労働人口の減少があるといわれている。中国の現在のレベルは『インダストリー2.0』のレベルであり、労働集約型の大量生産の製造スタイルから脱却できていない。中国政府は、中国製造2025の中で「製造業のイノベーション能力の向上」を戦略任務の1つとして掲げている。具体的には、企業を主体とし、官民学が一体となって「製造業イノベーション体制」の構築を推進したり、産業ごとにイノベーションチェーンを整備し、（財政・金融・人材などの）資源を適材適所に配置したりする。また、イノベーションのコアとなる技術研究を強化し、研究成果の産業化を促進することも戦略に掲げている。実際、2025年までに40カ所の「製造業イノベーションセンター」を設立し、3Dプリンティングやバイオ医薬などの分野の基盤となる技術開発／人材育成に注力するという。これに応じて、ドイツのシーメンスや日本の富士通や日立製作所といった企業も、中国製造2025の支援に乗り出している。 このようにビジネス＋IT 誌（昨年11月22日付け電子版）は伝えている。そして、「中国製造2025」では、5つの基本方針の中には品質優先／環境保全型発展／人材本位が挙げられている。筆者が提唱する「客業生産」論では、その生産の経営理念に「CEE-S」として「C-S=顧客満足度向上」「E-S=地球環境満足度向上」「E-S=従業員満足度向上」を挙げている。この理念が中国の製造改革の中に組み込まれていると感じた。品質優先により顧客満足度向上を目指し、環境保全型発展により地球環境満足度向上を実現し、人材本位により従業員満足度向上を達成するように、「客業生産」理念が取り入れられている。筆者の提唱した「客業生産」論は、このようにドイツをはじめ、中国の製造改革にも取り入れられていると考えられ、益々その進展に関心を深めている。

  2017年02月15日

• 13日の日記

  縫製の革新について考える 　20世紀の右肩上がり経済により押し上げられたアパレル産業は、平成3年(1991年)、バブル景気の中で、アパレル小売り年間20兆円、縫製工場出荷額5兆円、縫製事業所数全国に5万1千弱、縫製従業員数62万6千人弱という規模を達成した。しかし、それが頂点であった。1991年を境として、バブル崩壊の不況が直撃して、その規模は長期低落の中で大幅に縮小させられてしまった。平成10年の工業統計では、縫製工場出荷額4兆1千億円、縫製事業所数2万7千弱、縫製従業員数49万1千人という減少となり、さらに今日まで減少は続いている。 　このような現状において、縫製の仕事をこのまま続けられるだろうか。このままで生き残れる率は極めて僅かであり、前途には老衰死か、衰弱死が待ち受けていると見なければならない。ここでアパレル生産を考えるのに、これまでのアパレル生産によってでは前途に展望は期待できない。アパレル生産の行き詰まりを打開するには現在のアパレル生産に絡めとられるのではなく、現在の生産を超える革新や挑戦が強く求められる。筆者は2000年に開催された東京都ミシン商工業協同組合のアパレルテクニカルセミナーのコーディネーターとして司会し、テキストの監修を行ったが、そこで次のように縫製の革新について述べた。―このようなアパレル生産の新局面に達するには、これまでのアパレル生産をベースとしてこれを乗り越えるわけで、従来のアパレル生産についての知識は乗り越えるべき出発点となる。アパレル業界の苦境を脱して、明るい21世紀を過ごすために、ここに述べたこれまで行われてきた縫製の仕事を乗り越えなければならないのである。それが縫製のイノベーションであり、革新である。ともすれば、古い因習の残滓のような考え方に縛られて、革新を行えなければ、消えてゆくしかない。日本の先端のデザイナーたちは、これまでの衣服の伝統やデザインの考え方を否定し、反抗して、世界をリードする世界を切り開いている。縫製だけがこれまでの縫製を金科玉条とするいわれはない。―と。 そして。2002年には、今後の進路…私見29項を挙げて、その中の第20項に「縫製業界点検…方法（ニットでは無縫製化、織物では接着化など―これまでの縫製法の破壊と創造）」と記した。こうした方向で、昨年10月になって、ユニクロは島精機と合弁会社の設立を発表した。ファーストリテイリングが10月27日、島精機製作所との合弁会社「イノベーションファクトリー」を発足したことを発表した。総出資金額は4億円で、比率は島精機製作所が51％、ファーストリテイリングが49％。ニット生産技術を活用した新しい生産システムの確立と、ニット商品の共同開発および製造を目的としている。 　「イノベーションファクトリー」は、島精機製作所が開発した無縫製ニット製品「ホールガーメント」を生産する島精機製作所の100%子会社として昨年12月に設立。今回、ユニクロを中心としたファーストリテイリンググループの「ホールガーメント」製品を生産する会社として合弁化された。将来的には画期的なニット商品の生産を実現化するマザー工場の役割も担っていくことを目指すという。更に、ユニクロでは、12月2日、シームレスのダウンの発売を発表した。ダウンから縫い目をなくすという革新を謳っている。 まさに無縫製化と接着化という縫製の革新であり、第4次産業革命の方向でもあり、酉年の新年に大きく飛翔することになると思っている。

  2017年01月13日

• 6日の日記

  ドイツのスポーツ用品の有名ブランドアディダスがインダストリー4.0に沿ったロボットがシューズを製造する新工場をスタートさせたと、各メディアが次のように報じた。 アディダスがロボット主導の工場の運用を開始 　アディダス（ADIDAS）は、 2017年からロボット技術を採用した最新工場、スピードファクトリーの本格運用を始める。スピードファクトリーとはロボットや最新技術を導入した全自動運転工場のことで、今回ドイツ・ヘルツォーゲンアウラハの本社から約50キロ離れたアンスバッハに、面積4600平方メートルを超える工場を建設。運営は戦略パートナーであるエクスラー モーション GMBHが担う。 その稼働により、生産スピードを速める他、配送にかかるエネルギーや接着剤の量を減らし、環境への負担を軽減。最高のパフォーマンスとユニークなデザインを併せ持つスポーツグッズを製造する。 　同社は昨年、5年間のビジネス戦略を発表し、その中で"スピード"はキーワードの一つだった。ハーバート・ハイナー（Herbert Hainer）＝アディダス最高経営責任者は「変わり続ける現代にお いて、消費者は常に最新の商品を求めている。ここドイツからスタートするスピードファクトリーは、われわれが誇るドイツの最高レベルの技術を活かしたアイテムを提供する」とコメント。 インダストリー4.0 アディダスの全自動工場「スピードファクトリー」は何がスゴいのか スポーツ用品メーカーのグローバル企業であるアディダスがドイツ本社近くに建設した「スピードファクトリー」では、全ての製造工程をロボットが担当しています。ロボットの導入によって人件費が高いドイツでも製造が可能になり、アジア地域で製造した商品を船便で輸送する必要がなくなりました。そのため、1年半かかっていた製造プロセスが数週間にまで短縮されています。低コストな大量生産の仕組みを維持しながら、ユーザーの要望に応じた個別生産を組み合わせる生産方式は、デジタル情報をやり取りして製造プロセスを高度化する「インダストリー4.0」の事例として注目が集まっています。 執筆：佐藤 隆之 アディダスはなぜ20年ぶりにドイツ国内で製造を再開したのか 　スポーツやファッション業界においてスピードは競争力の源泉です。流行の伝播がソーシャルメディアの登場によって加速された一方で、一度流行った商品がすぐに廃れてしまう現象も発生しています。 　現在の企業は、流行を追いかけたり、自らで流行を作り出すために商品開発からリリースまでのリードタイムを短縮させる必要に迫られています。流行が終わっても売れ残ってしまった商品は無駄になり、利益を押し下げ、経営を圧迫させるからです。 　ドイツに本社を置くスポーツブランドであるアディダスは、靴の製造からリリースまでに約18か月もの期間がかかっていました。製造のほとんどを中国やバングラデシュといった人件費の低いアジア各国で行っていたため、設計情報の共有から手作業による製造、そして、アジアからヨーロッパまで船便を使った完成品の運搬まで行うのに時間を要したのです。流行の変化が激しい現代では、18か月後のトレンドを捉えるのは不可能であり、製造工程の改革が必要となっていました。 　アディダスの解決策は、20年振りにドイツ国内での製造を再開したことでした。その製造拠点となる工場の名は「スピードファクトリー」です。ドイツ南部の都市アンスバッハに立てられた4600平方メートルの工場で、その名前が示す通り、製品をデザインしてから店舗に並べられるまでのリードタイムが圧倒的に短くなるのが特徴です。驚くべきことに、スピードファクトリーでは18か月のリードタイムを数週間にまで短縮し、さらに将来的には数日・数時間での製造を目指しています。 アディダスの「スピードファクトリー」がスゴい理由 　では、スピードファクトリーはどのようにしてリードタイムを短縮しているのでしょうか。同工場は全自動であり、入力したデータをもとに、ロボットが製造を行う仕組みになっています。人間の関与は、デジタルデータの投入やロボットの管理に限られるため、技術力が高く人件費の高いドイツでの製造が可能になりました。製造拠点が消費地に近いため、運搬にかかるコストと時間が圧倒的に削減できます。 　スピードファクトリーを実現するコアの技術は、「ARAMIS（アラミス）」と呼ばれる3次元モデル技術です。靴の素材や足の形に関する極めて詳細な情報をもとにして、靴にかかる圧力や変形の度合いなどを計算し、適切な靴のデザインを決定します。この3次元モデルをもとに、スピードファクトリーのロボットが製造を担当します。極めて細かい単位での設計が可能なので、同じモデルの大量生産にとどまらず、ユーザーごとのカスタマイズが容易になるのがメリットです。 スピードファクトリーが実現した「マスカスタマイゼーション」 　2016年9月にはスピードファクトリーで製造された初の製品「Futurecraft（フューチャークラフト）」が発表されました。2016年第4四半期では500足の製造に留まりますが、2017年からはより本格的な製造が計画されています。 　アディダスは2015年に3億足の靴を製造しており、2020年までに毎年3000万足の成長を目標としています。この成長を実現するためには、コストとリードタイムを同時に削減するスピードファクトリーの成功は欠かせません。靴だけではなく、レプリカ・ユニフォームなど他商品への横展開も期待されています。 　スピードファクトリーの成功は「マスカスタマイゼーション（個別大量生産）」の実現を意味します。マスカスタマイゼーションとは、低コストの大量生産を行いながらも、個々の消費者に合わせて柔軟な「オーダーメイド」商品を製造する手法です。ロボットを使った標準化でコストを抑えながら、設計情報のデジタル化によって特注品の製造を行います。 　マスカスタマイゼーションが実現する未来のシナリオとして、以下のような流れが考えられます。 　まず、スポーツ用品店に訪れた消費者が足の形を計測し、そこで作成されたデジタル設計情報がスピードファクトリーに送信されます。国内にあるスピードファクトリーでは、受信したデータに基づいてロボットが製造を行い、製造された商品はすぐに注文者へ配達されます。全自動で行われ、また、生産拠点と消費者が近くにあるため、このリードタイムは数時間から数日で済んでしまいます。 アディダスはなぜ20年ぶりにドイツ国内で製造を再開したのか 　スポーツやファッション業界においてスピードは競争力の源泉です。流行の伝播がソーシャルメディアの登場によって加速された一方で、一度流行った商品がすぐに廃れてしまう現象も発生しています。 　現在の企業は、流行を追いかけたり、自らで流行を作り出すために商品開発からリリースまでのリードタイムを短縮させる必要に迫られています。流行が終わっても売れ残ってしまった商品は無駄になり、利益を押し下げ、経営を圧迫させるからです。 　ドイツに本社を置くスポーツブランドであるアディダスは、靴の製造からリリースまでに約18か月もの期間がかかっていました。製造のほとんどを中国やバングラデシュといった人件費の低いアジア各国で行っていたため、設計情報の共有から手作業による製造、そして、アジアからヨーロッパまで船便を使った完成品の運搬まで行うのに時間を要したのです。流行の変化が激しい現代では、18か月後のトレンドを捉えるのは不可能であり、製造工程の改革が必要となっていました。 　アディダスの解決策は、20年振りにドイツ国内での製造を再開したことでした。その製造拠点となる工場の名は「スピードファクトリー」です。ドイツ南部の都市アンスバッハに立てられた4600平方メートルの工場で、その名前が示す通り、製品をデザインしてから店舗に並べられるまでのリードタイムが圧倒的に短くなるのが特徴です。驚くべきことに、スピードファクトリーでは18か月のリードタイムを数週間にまで短縮し、さらに将来的には数日・数時間での製造を目指しています。 アディダスの「スピードファクトリー」がスゴい理由 　では、スピードファクトリーはどのようにしてリードタイムを短縮しているのでしょうか。同工場は全自動であり、入力したデータをもとに、ロボットが製造を行う仕組みになっています。人間の関与は、デジタルデータの投入やロボットの管理に限られるため、技術力が高く人件費の高いドイツでの製造が可能になりました。製造拠点が消費地に近いため、運搬にかかるコストと時間が圧倒的に削減できます。 　スピードファクトリーを実現するコアの技術は、「ARAMIS（アラミス）」と呼ばれる3次元モデル技術です。靴の素材や足の形に関する極めて詳細な情報をもとにして、靴にかかる圧力や変形の度合いなどを計算し、適切な靴のデザインを決定します。この3次元モデルをもとに、スピードファクトリーのロボットが製造を担当します。極めて細かい単位での設計が可能なので、同じモデルの大量生産にとどまらず、ユーザーごとのカスタマイズが容易になるのがメリットです。 スピードファクトリーが実現した「マスカスタマイゼーション」 　2016年9月にはスピードファクトリーで製造された初の製品「Futurecraft（フューチャークラフト）」が発表されました。2016年第4四半期では500足の製造に留まりますが、2017年からはより本格的な製造が計画されています。 　アディダスは2015年に3億足の靴を製造しており、2020年までに毎年3000万足の成長を目標としています。この成長を実現するためには、コストとリードタイムを同時に削減するスピードファクトリーの成功は欠かせません。靴だけではなく、レプリカ・ユニフォームなど他商品への横展開も期待されています。 　スピードファクトリーの成功は「マスカスタマイゼーション（個別大量生産）」の実現を意味します。マスカスタマイゼーションとは、低コストの大量生産を行いながらも、個々の消費者に合わせて柔軟な「オーダーメイド」商品を製造する手法です。ロボットを使った標準化でコストを抑えながら、設計情報のデジタル化によって特注品の製造を行います。 　マスカスタマイゼーションが実現する未来のシナリオとして、以下のような流れが考えられます。 　まず、スポーツ用品店に訪れた消費者が足の形を計測し、そこで作成されたデジタル設計情報がスピードファクトリーに送信されます。国内にあるスピードファクトリーでは、受信したデータに基づいてロボットが製造を行い、製造された商品はすぐに注文者へ配達されます。全自動で行われ、また、生産拠点と消費者が近くにあるため、このリードタイムは数時間から数日で済んでしまいます。 インダストリー4.0にはなぜ「スマートな品質検査」... MONOist >2016年11月28日 10時00分 更新 インダストリー4.0にはなぜ「スマートな品質検査」が必要なのか インダストリー4.0などICTを活用した自律工場の実現に大きな注目が集まっているが、実現に向けた盲点として取り残されそうになっているのが「検査の自動化」である。なぜスマートファクトリー実現のためには検査自動化が重要になるのか。全数検査を実現可能な3次元測定技術の価値を紹介する。 スマート工場実現のカギは“品質検査”にアリ 　ドイツのインダストリー4.0をはじめとし、世界中の製造業の中で、IoT（Internet of Things、モノのインターネット）を活用した製造革新への取り組みが活発化している。最も関心が高まっているのが、「マスカスタマイゼーション」の実現である。マスカスタマイゼーションとは、カスタム製品をマスプロダクション（大量生産）の効率で実現することだ。そのためには受発注などの情報や材料調達などの情報をもとに、製造現場の設備機械やロボットが自律的な判断をして、生産量の増減や生産ラインの組み換えなどを行える「自律的な工場」が必要となる。 　ただ、自律的な工場を実現するためには「作ったものが本当に設計通りのものであるのか」や「品質基準を満たしているのか」など、製造現場で巻き起こるさまざまな現象やその結果をデータとして取得し、それを逐次判断していく必要がある。データを取得するにはセンサーを付けるということもあるが、全ての設備のあらゆるものにセンサーを取り付けたり、小さな部品1つ1つにセンサーを取り付けたりするようなことは不可能である。そこで活躍が期待されているのが画像検査の存在だ。 　画像として、検査したい対象物や領域の情報を一括で取得することで、センサーを1つ1つ取り付けなくても、さまざまな情報をまとめて取得することが可能となる。自律化したスマートファクトリーの実現には、こうした画像から読み出したデータで、逐次検査を行うことで、機械の作業や動作、判断が正しいかを相互検証するような仕組みが必要になってくる。 　こうした中で工場での形状品質検査において、現在普及が広がり始めているのが、3次元測定機（3Dスキャナー）である。従来は2次元測定機がほとんどだったが機器が大掛かりになる他、検査対象物の配置や向きなどの問題で条件が限定されるため、利用が難しい場合も多かった。そのため、検査工程そのものを人手で行っている場合が多く、検査のオートメーション化は製造業の工程そのもののボトルネックになっていた。さらに、検査に時間がかかるために、詳細検査については「抜き取り」で行っている場合がほとんどで、トレーサビリティ（追跡可能性）の面からも課題を抱えていたといえる。 3次元測定技術が生産工程にもたらす価値 　こうした課題を解決するために真価を発揮しているのが3Dスキャナーである。2次元スキャナーは点の位置を2次元測定するもので、測定物に対し「点」の把握しかできなかった。一方で3次元スキャナーは同じように位置情報を持った点群の測定を行うものの、3次元で情報を把握できるため「面」の把握ができるようになる。そのため複雑な形状であったり、面としての品質感や素材感の評価などを行えるようになる。 アメテック クレアフォーム事業部長の織田源太氏 　「Creaform」ブランドで携帯型3次元スキャナー市場をリードする、アメテック クレアフォーム事業部長の織田源太氏は「面での比較ができるため、視認しても直観的に理解できる他、設計で利用している3次元CADデータと自動的に比較して閾値を超えていればアラートを出すような使い方も可能だ」と述べている。 　ロボットアームに3次元スキャナーを持たせることで製品ラインに外観検査を組み込むことも可能である。これにより従来は人手で行っていた外観品質の検査がオートメーションで行え、作業効率を大幅に高められるため、全数検査が可能となる。織田氏は「製品が複雑化し1つ1つの製品に対する期待感なども高まる中、製品全数を工程内で検査したいというニーズは非常に強いものとなっている。こうしたニーズにも3次元スキャナーを活用することで応えていくことが可能だ」と語る。 生産ラインで形状品質検査を行うイメージ。ロボットアームに3次元スキャナーを持たせ生産ラインに組み込む（クリックで拡大）出典：Creaform 振動環境などでも力を発揮するクレアフォームの3Dスキャナー 　さらに「クレアフォームの3Dスキャナーを活用すればより厳しい環境でも間違いない測定が可能となる」と織田氏は強調する。 　Creaformは2002年にカナダのケベック州で創業した3次元測定関連の企業で、2005年に初めて携帯型3Dスキャナーの販売を開始。その後、2013年に米国AMETEKに買収されその1部門となったが、携帯型3Dスキャナーでは世界をリードする存在である。織田氏は「製造工程内でも3Dスキャナーを使用するケースもあったが、従来よく使われていたラインスキャナーでは、ロボットアームとの腕の長さと対象物との関係によって正しくデータ取得できる対象物の条件が絞られているという状況だった。さらに振動などの影響も受ける。クレアフォームの3Dスキャナーは、こうした環境でも問題なく、メトトロジー・グレード（寸法検査レベル）の精度で3次元測定を行うことが可能だ」と述べる。 　同社の3Dスキャンはデュアルカメラセンサー「C-Track」という2つのカメラと照明を備えた機器で、測定エリアを規定。C-Trackの撮影エリアで、座標測定マシン「HandyPROBE」や3次元レーザースキャナー「MetraSCAN 3D」などの位置や向きなど の情報を認識させる。そして、C-Trackの測定エリア内で、HandyPROBEで取った座標位置やMetraSCAN 3Dで取った形状データなど取得することで、配置を正しく認識してデータ 化するという仕組みになっている。そのため、周辺環境や設置しているロボットアームの状態などの影響を受けにくく「自動化環境」下でも、正しい測定が可能であるといえる。 　織田氏は「クレアフォームはもともと3次元測定サービスを行っており、誰でも簡単に使える3Dスキャナーへの要求があったことから自社で製品開発を行ったという経緯がある。そのため、製造現場に設置しても誰でも簡単に利用できるという強みもある」とさらに強みを述べる。 「HandySCAN 3D」（左）、「HandyPROBE Next」（中央）、「MetraSCAN 3D」（右）（クリックで拡大）出典：Creaform 　全数検査による完全なトレーサビリティを実現するニーズはもちろんだが、スマートファクトリー化やIoTによる「つながる工場」化が進む中で、最終製品メーカーが、サプライヤー企業の工場に向け、ツールだけでなく、生産プロセス全体を評価するような動きも出てきつつある。新たなモノづくりの世界が開けていく中、3次元スキャナーによる検査が、必須ツールとなるのは間違いない。

  2017年01月06日

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  2日の日記

  本年も経済工学リサーチ発信の河内保二論説を続けて参ります。お時間がありましたら、お立ち寄り下さいますように。

  2017年01月02日

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  1日の日記

  明けましてお目出とうございます。本年も閲覧下さいますよう、お願い申し上げます。

  2017年01月01日

• 31日の日記

  2016年が本日で終了となる。この一年、このプログに立ち寄って頂き、閲覧賜り、厚く御礼申し上げます。 　皆様には、よい新年をお迎えになられますように。 ２０１７年もよろしくお願い申し上げます。

  2016年12月31日

• 22日の日記

  第４次産業革命―IoTによる暮らしのスマート化始まる 　本年はわが国も第４次産業革命と位置づけるドイツの国家プロジェクト「インダストリー4.0」の開発に連携して行くことになって、ものづくりの改革がスタートした。そこで活用される技術は、IoT（モノのインターネット）とCPS（サイバー・フィジカル・システム)が中核となり、ビッグデータと人工知能（AI）の進展を取り入れて推進される。IoTは、工場の機械、自動車、家電、センサーなど、あらゆるモノをインターネットにつなぎ、遠隔操作や情報収集ができるようにする仕組みで、世界のIoT市場は2015年の約70兆円から19年には約130兆円に拡大するという予測もあると説明されている。CPSはロボットなどを用いた自動システムのことである。政府はこの第4次産業革命を次の戦略4分野を対象に進めるとし、「健康」「移動」「ものづくり」「暮らし」を上げている。そして2030年の将来像として、「健康」ではAI活用でオーダーメイド医薬品などが浸透し、生涯健康の前進を図る。「移動」では、自動走行車やドローンの活用で買い物弱者ゼロを図る。「ものづくり」では、IoTで供給網が効率化し、サービスと融合した新企業の誕生を図り、スマート工場に変える。「暮らし」では、「一家に1台」ロボットが普及し、家事負担の軽減を図り、スマートホームとするということである。 安倍首相は11月15日の閣議で、大阪府が誘致を目指す2025年の国際博覧会（万博）に関して関係閣僚に協力するよう指示し、「国内誘致は日本の魅力を世界に発信する絶好の機会だ」と指摘したという。堺屋太一氏は2025年大阪万博開催を目指す意義として、そのコンセプトは 第４次産業革命を成し遂げた日本だろうと述べ、それはロボットと人 工知能の発達だけではなく、それによって人類の思考が深まり、楽しみが拡がることだとし、健康寿命の延長に重なり、社会の格差は智恵と意欲の差となるだろうと書いている。25年には団塊の世代すべてが75歳以上になるため、安倍首相は「健康寿命を延ばすことが喫緊の課題だ」と強調。新たな仕組みを導入することで病気や介護が必要な人を減らす考えだ。 　「移動」で注目されるのは、自動運転であるが、自動走行するバスを公道で走らせる全国初の実証実験が11月13日、秋田県仙北市であった。国の地方創生特区に指定されている同市と内閣府が主催し、バスは山本幸三・地方創生大臣や公募の市民ら約６０人を乗せて、観光名所・田沢湖畔の県道を往復したと報じられた。また、石川県輪島市では、ゴルフ場にある電動カートを公道を走れるように改造し、市街地を一部、自動運転で回る国内初のサービスを11月15日、始めたという。自動運転は、高齢化の進展で買い物弱者対策と共に、高齢者による交通事故が相次いでいるなかで、事故防止となると期待される。 　筆者は、「暮らし」の3要素である衣食住の「衣」について、第４次産業革命がもたらす変化とは、どんなものかを考えてみた。衣服にもIoTの活用が行われるだろう。それには、衣服用電源とセンサーが開発されなければならない。最近、バージニア工科大の研究チームが11年間に亘って開発を進めてきた「自己発電生地」の研究がこの問題の解決の道を開くと期待される。その現物は、まだ225㎠のものしかなく、綿生地のような柔軟性にも欠けているとのこと。しかし、これを進化させ、織り込んで生地にできれば、バッテリーを持ち歩かなくても、スマホなどの携帯端末の充電が常に可能になるだけではなく、さらに暖かなガウンや防寒具などにもなると言うことである。筆者は、この電源で衣服側のIoTを動かせられるようになることを期待している。衣服用のセンサーとしては、健康管理の上で、体温センサー、血圧・脈拍センサー、万歩センサー、汗の成分センサーや匂いセンサーなどが開発されて衣服に装着され、インターネットにつなげられ、その結果が異常な時は警報で知らせる。 　家庭だけでなく、介護にも必要である。政府は、介護について、各事業所が提供するケア内容をデータベース化し、どんなケアが要介護状態の改善に結びつくかを分析する。より適切なケアをした事業所に対する報酬を手厚くする。ビッグデータやＡＩを活用することで新しい投資を呼び込み、成長戦略の一つにすることも狙う。来夏までに具体的な計画をまとめる方針だという。介護ロボットの活躍の一方、この介護衣にもIoTの活用が行われることになるだろうと考えている。

  2016年12月22日

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  20016年11月30日の日記

  客業生産に至る生産の4時台区分   筆者の「客業生産」論で示した生産の特徴の表は、職人製作時代、工業生産時代、脱工業生産時代、そして客業生産時代と4時代区分で説明した。これを嗣いで、EURATEXの生産の進化の表は生産を似たような、職人とカスタム時代、大量生産時代、自動化生産時代、カスタマイズ製造時代の4時代区分で説明して4時代区分を採用している。この生産の進化の表は、2005年7月発表 D1.3　テクニカル・エディション　figure 4　製造システムの進化の表として発表されてものである。筆者の表と比べて欲しいと思う。EUのテクニカル・エディションより1年以上も前に小生の表を著書に発表したことになり、表の内容もＥＵの表より充実していると思っている。しかし、こうした思考の方向で、殆ど一致した内容のパートナーがEUの開発エンジニアーにいることを心強く思った次第である。そして、2010年にドイツで第四次産業革命と位置づける「インダストリー4.0」プロジェクトでは、産業革命を4時代区分で説明している。合わせて、見比べて欲しい。                                               （続く）

  2016年11月30日

• 27日の日記

  引き続いて　EURATEX の2020年ビジョンの内容について引用し、翻訳して示そう。技術プラットフォームの構築に関して述べている。この中で、大量生産を止めて、カスタマイゼーションに移行することを示している。客業生産理論と同じコンセプトである。 Objectives and Deliverables of the Technology Platform 技術プラットフォームの目的と成果 Focus on Three Main Areas 3つの主要分野に焦点を当てる In order to reflect industrial reality, to accommodate significant differences in industrial innovation processes and to allow industrial partners to identify themselves more easily with its activities, the Technology Platform will be structured in 3 main focus areas; (1) Move from commodity fibres, filaments & fabrics, towards specialty products from flexible high-tech processes, (2) Establishment and expansion of textiles as the raw material of choice in many industrial sectors and new application fields and (3) End the era of mass manufacture of textile products, and move towards new era of customisation, personalisation, intelligent production, logistics and distribution >From Commodities to Specialty Products　（コモディティからプライムへ） The manufacturing of fibres and textiles traditionally encompasses a number of major processing steps which include the production of man-made fibres or the preparation of natural fibres, spinning, weaving, knitting, dyeing and finishing or the production of non-wovens. It further involves, depending on the fibre or the intended end use, a number of intermediary processing operations including scouring, bleaching, sizing, desizing, washing, drying etc. All these processes have been known and industrially used for decades or even centuries and have over these periods experienced massive advances in terms of productivity, product quality or resource efficiency. More recently a whole range of highly effective or promising technologies for functionalisation of fibre and textile surfaces have been developed which include but are not limited to coatings, micro-encapsulations, enzyme, plasma, laser, ultrasound, ultraviolet treatments, spraying and ink jet techniques and including processes on the nanometre scale (nanotechnologies). While more traditional processes need to continue to gain in speed, flexibility, resource efficiency, reliability or quality control, many of the newer processing technologies still need to make the step from lab or pilot level to full industrial scale or achieve levels of cost, speed and reliability that make their industrial application economically viable. Further fields of progress across all processing technologies include digitalisation and continuous process and quality control as well as low or remote maintenance. All these advances in processes and related technology must move primarily into the direction of enabling European textile and clothing companies and their customers to produce and use highly specialised (multi-)functional fibre and textile-based materials and products. Such products will be knowledge-based, well-targeted to their exact onward processing and final use often oriented to attractive niches and market segments and will thereby escape fierce commodity price competition. They will help Europe’s producers with their established reputation for processing know-how, product innovation and quality to regain ground in markets which are the playground today of non-European commodity producers. The main innovation partners that help industry to move successfully in specialty processes and products must be primarily the machine and machine tool manufacturers as well as the chemical industry. Their role will be vital and their involvement in the appropriate expert working groups needs to be ensured. 3つの主要分野に焦点を当てる 産業界の現実を反映し、産業革新プロセスの大きな相違に対応し、産業パートナーが自らを活動でより容易に特定できるようにするため、テクノロジープラットフォームは3つの主要な分野で構成されます。 （1）コモディティ・ファイバー、フィラメント＆ファブリックから、フレキシブルなハイテク・プロセスの特製製品への移行、 （2）多くの産業分野や新しい応用分野において、選択の原材料としての繊維の確立と拡大、 （3）繊維製品の大量生産の時代を終え、カスタマイズ、パーソナライゼーション、知的生産、物流、流通の新しい時代に向かう >コモディティから特産品まで（コモディティからプライムへ） 繊維および織物の製造は、伝統的に、人造繊維の製造または天然繊維の製造、紡績、織り、編み、染色および仕上げまたは不織布の製造を含む多くの主要な加工工程を包含する。さらに、繊維または意図された最終用途に応じて、精練、漂白、サイジング、デサイジング、洗浄、乾燥などの多数の中間処理操作が含まれる。 これらのプロセスはすべて、数十年または数世紀にわたって知られており、工業的に使用されており、これらの期間にわたって生産性、製品品質または資源効率の面で大きな進歩を遂げてきました。より最近では、コーティング、マイクロカプセル化、酵素、プラズマ、レーザー、超音波、紫外線処理、噴霧およびインクジェット技術を含むがそれらに限定されない、繊維表面および繊維表面の機能化のための非常に有効または有望な技術の全範囲が開発されているナノメートル規模のプロセス（ナノテクノロジー）を含む。 より伝統的なプロセスは、スピード、柔軟性、リソース効率、信頼性、または品質管理を引き続き必要としますが、新しい処理技術の多くは、ラボやパイロットレベルから完全な工業規模にステップを進めるか、産業アプリケーションを経済的に実行可能にする信頼性を提供します。すべての処理技術における進歩のさらなる分野には、デジタル化、連続プロセスおよび品質管理、不十分なまたは遠隔の保守が含まれます。 これらのプロセスと関連技術の進歩は、すべて、欧州の繊維衣料会社とその顧客が、高度に特殊化された（複数の）機能性繊維および繊維ベースの材料および製品を生産し、使用することを可能にする方向に主に移動しなければならない。そのような製品は、知識ベースであり、正確な後続処理と最終用途で、しばしば魅力的なニッチおよび市場セグメントに向けられ、それによって激しい商品価格競争から脱することになる。彼らは、ヨーロッパ以外のコモディティ生産者の今日の遊び場である市場で、ノウハウ、製品革新、品質を確立するための確立された評判を持つヨーロッパのプロデューサーを支援します。業界が特殊プロセスおよび製品で成功裡に動くことを支援する主な革新パートナーは、主に機械および工作機械製造業者ならびに化学工業でなければなりません。彼らの役割は不可欠であり、適切な専門家作業部会への関与を確実にする必要がある。 >New Textile Applications Clothing and interior textiles have in the past made up the dominant part of textile-based products in the market with a few further textile applications constituting small niches. >新テキスタイルアプリケーション 衣料品および内装用織物は、過去には、市場における繊維ベースの製品の支配的な部分を構成しており、いくつかのさらなる繊維用途は小さなニッチを構成している。 With important advances in textile materials research, processing technologies and changing functional requirements of products in other industries over the last two decades, textiles have found an ever broader range of application in sectors as diverse as road, rail, marine or aerospace vehicles, engineering, construction, agriculture, power and environmental technologies, health care, defence and security etc. 過去20年にわたり、繊維材料の研究、加工技術および他の産業における製品の機能要件の重要な進歩により、テキスタイルは、道路、鉄道、海洋または航空宇宙、工学、 建設、農業、電力および環境技術、 医療、防衛およびセキュリティなど今までより幅広い用途を見出しています （続く）

  2016年11月27日

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  26日の日記

  ＥＵ繊維産業が「客業生産」に向かう――EU繊維・衣服産業と同行二人で客業生産の道を吾は行く 拙著「チェックリストによる　少量・短納期生産　モデル縫製工場　実践ガイド」は２００４年５月に発行したが、何と同年１２月にＥＵの繊維・アパレルビジョンとも言うべ”European Technology Platform for Textiles and Clothing―2020 Vision”がEURATEXより発行された。   ＥＵのビジョンは、工業の大量生産は終焉し、生産がカスタマイゼーションの時代となるとしている。EURATEXの論旨はまさしく「客業生産」の論旨と一致している。これは本書で「客業生産　ＯＲＤＵＳＴＲＹ」と造語した生産のパラダイムと合致するものである。 なお、「客業生産」はアパレルビジネスマガジン（繊維流通研究会刊）の2002年5月発行の誌上で筆者が始めて造語して論じた。  当時、EURATEXのこのビジョンを読んで、「客業生産」提唱者として心強く思うと共に、欣快の至りと感じている。「客業生産」コンセプトがヨーロッパからグローバルに広がることを夢見ていると書いたのであるが、その夢がドイツの国家プロジェクト「インダストリー4.0」となって具現化していることに満足これに過ぎるものはないと感じている。 EURATEXの2020年ビジョンの該当部分を次に引用し、その翻訳文を添えてご覧に入れよう。European Technology Platform for Textiles and Clothing――2020 Vision　EURATEX 　December 2004　　A Vision for the Future Fibre and textile-based materials and products have always played a vital role in human life and there is no reason to believe that their importance will shrink in the 21st century. On the contrary, while there are no serious substitutes for textiles in sight in the conventional application fields of clothing and interior decoration, textiles or textile-based composites are predicted to replace many of today’s metal and plastic materials used in the automotive industry, ship building or aeronautics, in the machinery and machine tools industry, in the electronics, electrotechnical and medical devices sector, in construction or agriculture and to a lesser extent wooden or leather materials in furniture, sports goods and other smaller application areas.   繊維や織物をベースとした素材や製品は、人類の生活において常に重要な役割を果たしており、21世紀にその重要性が低下するとは考えられません。 これとは対照的に、衣料品や内装の従来の応用分 野では、目に見える織物の重大な代替品は存在しないものの、繊維や織物をベースとした複合材は、自動車産業で使用される今日の多くの金属およびプラスチック材料、船舶建造物 エレクトロニクス、電気工学および医療機器分野、建築または農業分野では置き換わりが予測されており、家具、スポーツ用品およびその他の小規模な用途分野では木材または皮革材料はより少なく使用されるようになっています。With a growing world population, and rapid growth in textile consumption in developing countries, a whole range of new application areas for textiles and constantly rising user requirements in terms of functionality, variety, precision, performance, reliability, user and environmental friendliness of textile products, textile production in both volume and value isset to rise. This will mean, on a global scale, that the industry that produces fibres, textiles and textilebased products will evolve and grow. While a significant part of this growth will take place in those regions of the world that experience the fastest growth rate in conventional textile consumption i.e. Southern and Eastern Asia and Latin America, considerable growth opportunities especially in the highest quality and most innovative product categories exist too for the European textile and clothing industry both on its home market as wellas on many export markets. These opportunities can only be harnessed by building on Europe’s existing strengths which are innovation and quality leadership, creativity and scientific excellence, diversified industrial capacities and corresponding skills, partnerships with leading supplier and customer sectors, a large and sophisticated home market and the global reach and recognition of European brands.   世界人口の増加と開発途上国の繊維消費の急速な増加に伴い、繊維製品の機能、多様性、精度、性能、信頼性、使用者および環境に優しい点で、 、量と価値の両方での繊維生産量が増加する。これ は、繊維、織物、繊維製品を生産する業界が進化し、成長することを世界規模で意味します。この成長の重要な部分は、従来の繊維消費（東南アジアと中南米）で最も速い成長率を誇る世界の地域で行われますが、特に最高品質で最も革新的な製品カテゴリーではかなりの成長機会が存在しますヨーロッパの繊維衣料産業では、国内市場でも多くの輸出市場のように。　これらの機会は、イノベーションと品質のリーダーシップ、創造性と科学的卓越性、多様な産業能力と対応スキル、主要なサプライヤーと顧客セクターとのパートナーシップ、大規模で洗練された国内市場、グローバルリーチとヨーロッパのブランドの認知のあるヨーロッパの毀損の強みの構築によってのみ活用され得るものである。 While this set of strengths constitutes a sound foundation from which to pursue industrial activity in the future, they will need to be accompanied by a faster and more effective translation of scientific results into innovative commercial products, more flexible, small batch oriented, resource efficient manufacturing processes, more customer orientation and value chain cooperation in product development, better development and exploitation of multidisciplinary knowledge and skills especially in the new application fields of textiles, a more strategic development of private and public research and higher education capacities, more customer value creation through individualised product-service offerings and a better protection of intellectual property - all areas in which European industry still has a long way to go.   この一連の強みは、今後の産業活動を推進するための健全な基盤を構成するものですが、科学的成果を革新的な商業製品、より柔軟で小規模なバッチ指向の、資源効率のよい製造に迅速かつ効果的に変換する必要があります プロセスの開発、製品開発におけるより多くの顧客オリエンテーションとバリューチェーンの協力、テキスタイルの新しいアプリケーション分野における多分野の知識とスキルのより良い開発と活用、民間や公的研究のより戦略的な開発、高等教育の能力、 個 別化された製品サービスと知的財産の保護を強化しています。これは、欧州の業界にはまだまだ進んでいます。 The vision of the future of the European textile and clothing industry can therefore only be built around the concept of dynamic, innovative, multidisciplinary knowledge-based, flexibly integrated and customer oriented networks of businesses. This conceptual skeleton will need to be filled through the work of the European Technology Platform for the Future of Textiles and Clothing with concrete recommendations, initiatives, time tables and resource provisions in order to move from today’s situation towards this long term vision in a strategically coordinated way.   したがって、欧州の繊維・衣類産業の未来のビジョンは、ダイナミックで革新的な、多分野にわたる知識ベースの、フレキシブルに統合された、顧客指向のビジネスネットワークというコンセプトを基に構築することができます。 この概念的なスケルトンは、今日の状況から戦略的に調整されたこの長期的なビジョンに移行するための具体的な勧告、イニシアチブ、タイムテーブル、およびリソース規定を備えたテキスタイルと洋服の未来のための欧州技術プラットフォームの方法を通じて満たされる必要があります。                                                                   （続く）

  2016年11月26日

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  20016年11月25日の日記 客業生産論の最終回

             客業生産論の最終回   拙著「チェックリストによる少量・短納期生産モデル縫製工場ガイド」（繊維流通研究会刊、2004年5月１0日発行）に記述した「客業生産」論の本文は、今回で終了となる。今、読み返してみて、ドイツで進めている国家プロジェクト「インダストリー4.0」と基本コンセプトにおいて同じであることに感慨を禁じ得ない。このことは、文中に掲載されている生産の推移の表によって一層明らかとなっている。この表は、「筆者による客業生産の特徴」と対する表であるが、EUの繊維・アパレル産業協会（EURATEX）の2020年ビジョンに示された「生産の進化」の表は、４つの時代区分も表の構成の様式も筆者の表と非常に類似している。そして、この表の様式を嗣いで、ドイツの「インダストリー4.0」で示されている第4次産業革命の説明図も、４時代区分の点で「生産の進化」の表と同じとなっている。このことについては、次回に取り上げることにしている。 　（４）｜丁の活用　縫製業界ではコンピュータシステムとしてＣＡＤ（コンピュータ支援デザイン）ＣＡＭ（コンピュータ支援製造）が導入されており、またＣＡＥ（コンピュータ支援エンンニアリング）やＣΛＤ／ＣＡＭ（ＣＡＤとＣＡＭの連携）などの用語も使われるようになっている。さらにIT（情報通信技術）の進歩は、情報処理・通信コストの著しい低下をもたらし、ネットワークが社内から業界内へ、また産業内へと広がって行き、ＬＡＮ（自社構内ネットワーク）からＷＡＮ（自社外広城ネットワーク）へ進み、そして国境を越えてインターネットの発展にまで及ぶことになった。「インターネット元年」と呼ばれるのは1995年であり、さらに同年11月発売のウィンドウズ95によりパソコンが一気に使い易くなり、インターネットの普及につながった。このインターネットの普及は電子商取引を発展させ、さらに生産の供給連鎖マネージメント（ＳＣＭと称される）の導入を促進させた。このＳＣＭとは何か。それはサプライ・チェーン・マネジメントのことである。製品の多くは、消費者→小売店→卸売業→工場→原資材供給メーカーといった一連の取引において、それぞれの段階で、企業が自己の顧客となる企業（小売店にとっては消費者）の需要を満たすよう製品を供給しているのであるが、この一連の流れである供給連鎖のことをサプライ・チェーンと呼び、サプライ・チェーン全体が最適となるように機動的に調整し、効率的に運営がはがられるようにすることをＳＣＭと呼んでいるのである。ＳＣＭは、アパレルメーカーのワールドやユニクロなどのＳＰＡ（アパレル専門製造小売業）で活躍しているシステムである。なお、このＳＣＭに生産管理システムとして知られているＴＰｉＣＳというシステムを繋げられるようになり、生産計画手配をf-ＭＲＰ（フレキシブル所要量計算）により柔軟迅速に行うことができるようになってきている。また委託加工形態の縫製工場向けとしては、インターネットによるIT活用が行われ、提携企業間や本社と分工場間のデータのやりとりはインターネットメールにエクセルなどのデータを添付するだけで簡単に行えるようになっている。そして縫製工場向けに特化した生産管理システムが採用されている。　これまで述べてきたことをまとめると、日本において縫製業の生き残り策として説かれているのは、独自技術を発揮すること、作り過ぎをなくすこと、脱下請けし、ITを活用し、カスタマイゼーションによる感動価値を持つデザインにより受注確保を図り、多品種少量生産をセル生産方式で縫製し、短納期で顧客に納品するーということである。　（５）客業生産に必要なテクノロジー　このように、生産は受注生産とし、作り過ぎ、売れ残りがなく、工場内に仕掛品や部品・製品在庫を持たないもの作りとなる。一方、多品種・極少量・短納期生産となり、コスト高の恐れが生じる。この問題を解決しなくては、客業生産は成立しないことになるわけである。これを成立させる技術はコンピュータシステムの発達とＩＴの進展、そしてマルチ・レスポンスとセル生産方式である。工業生産では不可能である。それは、工業生産は大量生産方式を採用しており、個々の製品について顧客の要望を聞いて製品を作り合わせていく体制がとれないためである。仮に営業で顧客の要望を受は入れても、工場ラインまで変更することは、殆どできない。ムリして、個別に生産しても、コストの点で大きな赤字を生むだけである。従って、マス・カスタマイゼーンヨンでは、顧客の要望を予測調査して推論でバリエーションを準備し、顧客の好みに合わせるように見込みで生産した製品を顧客にチョイスしてもらうカスタマイゼーションなのであるが、その多様性は予め準備した範囲に限定されている。しかし、顧客も他に手段がなければ、営業の説明にマス・カスタマイゼーションをカスタマイゼーションとして理解して、納得させられることになる。知価社会でのマーケティングは、ワン・トウ・ワン・マーケティングとなって行くとされるが、多くの場合、顧客の要望を取り入れて製品を作るための相応の生産システムを持たないために、本格的ワン・トウ・ワン・マーケティングの導入に踏み切れていない。この意味でマス・カスタマイゼーションに止まっているのである。これはカスタマイゼーションが今後実現することを否定するものではないと説かれているが、マス・カスタマイゼーションの現状は、これからの競争の余地を残している。一層の多様性に応じられるカスタマイゼーションが出現することで、限定的マス・カスタマイゼーションは顧客への納得性を減少させられるだろう。ここに競争力に占めるマルチ・レスポンスの比重の高まりがある。このように客業生産として顧客の欲求にジャストフィットして生産するためには、マルチ・レスポンスの体制構築が必要となる。すでに顧客に対してジャスト・イン・タイムに生産する意図を持ってクィック・レスポンスが提唱され、生産のクィック・レスポンス化か進められてきており、その線上にＳＣＭが出現したのである。それでは、生産のマルチ・レスポンスはどのように行われるのだろうか。そこにはマルチ・レスポンス生産実現の理論がある。これは本書に参考文献として収録してあるので、参照願いたい。マルチ・レスポンス対応の客業生産では、顧客の欲求に対応するのに、一人ひとり異なる多様度の高い仕様に対して、１アイテム１人担当体制で多様度制御することとなり、生産も１品１人丸持ちセル生産により混乱なく多様度対応の生産体制を築くこ とになる。そして人間の能力は１品１人丸持ち生産においてさらにレベルアップして、多能工化を高め、単種１品担当から多品種１品担当へ高度化してゆき、担当の作業者は社内で人財として高く処遇されるようになる。このためには、技能上達とともに、生産情報についてＩＴを活用し、コンピュータ生産管理システムを使いこなすことが必要になると見られる。会社も従業員満足度を高めるように配慮して、人財の活躍をバックアップし、「企業は人なり」の実を上げるようにしなければならないわけである。                                                      表作成　2004年1月                                                     上表における用語解説客業生産：顧客のための生産のことで、顧客にとっての適種、適質、適価、適量、適期の生産のこと。客業生産をORDUSTRYと造語した。●仕上げ：もの作りの始めから終わりまでのすべての作業を行うこと。プッシュ：作り手の独善でもの作りして製品を市場に押し出すこと。アーチザン・イン：職人主導のもの作りのこと。テ－ラー：紳士服仕立て職人（婦人服仕立て職人はドレスメーカー）ＱＣＤ：Ｑは品質、Ｃはコスト、Ｄは納期のこと。必要品質はこれに安全が入る｡コスト・プラス：コストに利益をブラスしてプライスを決めること。プライス・マイナス：決められた市場価格から利益をマイナスしてコストを決めること。プロダクト・アウト：生産した製品を市場に押し出すこと。マ－ケット・イン：市場の立場で生産すること。プロシューマー：生産者が消費者の立場で生産を行うときの当事者のこと。カスタマー・イン：顧客の気持ちになって生産すること。プル：プルとは生産を顧客の要求に引っ張られて行うこと。充足品質：顧客の心を満たし､充足する品質のこと。共感させ､感動させる品質｡マルチ・レスポンス：顧客の多様化、個性化の欲求に対応する客業生産のこと｡　もの作りの専業形態での発展経過を見ると、職人による職人業（これを職業とする）生産から工業生産へと革命し、脱工業生産へと進み、そして客業生産を迎えていると解釈している。客業生産は顧客起点の生産であり、そのマーケティングはマス・マーケティングから顧客一人ひとりに対するワン・トウ・ワン・マーケティング（Ｏｎｅ tｏ Ｏｎｅ Ｍａrketｉｎｇ）となり、営業組織は商品の１アイテム１人担当により構成し、生産は受注生産となり、１品１人丸持ちセル生産により行われることになると考えられるのである。                            （本論終わり・引き続きEUへの影響、客業生産論の各論をご覧下さい） 

  2016年11月25日

• 24日の日記

  カスタマイゼーションと従来のオーターメードとの違い　　イギリスの産業革命以前の職人によるオーダーメードが行われてきており、現在でも存続しているが、カスタマイゼーションはこれとは違うものである。その違いを次のように解説した。職人丸仕上げ式とセル生産丸持ち式とは、同じようで同じでない…   職人仕事は専ら１人の職人が丸仕上げするが、仕事の手順や内容は職人各個にまかされたもの作りであり、生産管理での工程分析や時間設定などには無縁で、職人各個はそれぞれ自分のもの作りの経験と勘によって判断して進める。そこに伝統にこだわり、自分流の作り方にこるという性向も根付くのであろうが、生産効率の点で工業生産には歯が立たず、さらに、どうにも人によって作り方にバラツキが出て、製品に当たり外れが起こる原因となる欠点が付きまとう。日本の「ものつくり大学」では、このような伝統的作り方に対して大学として学問的に取り扱うことになると期待されるが、これまでは技能の伝承は職人の親方の下で徒弟として見習う式の習得であった。 これに対して、工業生産の教育の方は大学の工学部や工業人学などで行われている。最近では、製造会社内で技能上達教育訓練も行われるようになっている。セル生産の丸持ち式というのは、１人で全工程の丸持ちであり、生産の手順や構成工程を明確とした上でのもの作りであり、各セル生産単位で品質保証されたもの作りができる。カスタマイゼーションのオーダーメード（注文服）やビスポーク（誂え服）では広くセル生産方式が適しているということができる。セル生産の丸持ちの生産効率はコンベアシステムの効率に引けをとらない。見かけだけでは分からない違いがあるのだ。  株式会社本田技術研究所 四輪R&Dセンター・デジタル開発推進室 内田孝尚氏は、「製造業のグローバルスタンダードのキーワードは標準化」と題する談で、次のように職人仕事について語っている。■発想の転換が求められるモノづくりの現場　日本の製造業では長年、“モノづくりの原点は職人による手作業”という考え方が根付いてきました。例えば、精度の悪い旋盤機械があったとしても、熟練工がこの旋盤で材料を削ると素晴らしい仕上げになる。何故なのでしょうか？それは、熟練工がその機械の特性を知っているからです。これまで製造業の現場で言われてきた“モノづくりのノウハウ”とは、特定個人に属する“ユニーク（固有）な情報”にしか過ぎませんでした。日本の製造業が強かったのは、こうした現場のすり合わせ技術に優れているからで、現場に頼り過ぎていたと言っていいでしょう。  しかし、モノづくりがIT技術を多用してデジタル化する中、そうした考え方は変えていく必要があります。現在は、設計の段階で造り特性も考慮し、仕様のほとんどを決定出来ると言っても過言ではありません。市場予測や企画・ブランドの立案など早期の段階で、各分野のエキスパートが集まりすり合わせをすることが可能となりました。ビジネス展開をよりレベルアップするにはそれが肝要と思われます。　ドイツの進めている第4次産業革命「インダストリー4.0」プロジェクトでは、マスカスタマイゼーションに変革するために、先端的ハイテクとして、IoT（モノのインターネット）やCPS（サイバー・フィジカル・システム）を取り入れ、これにビッグデータや人工知能を活用するスマート工場の実現を期するものであり、イギリスの第一次産業革命以前の、そして現在も存続している伝統的オーダーメードとは異なるものとなっている。 （続く）

  2016年11月24日

• 23日の日記

  客業生産理論の本文　拙著「チェックリストによる少量・短納期生産モデル縫製工場ガイド」（繊維流通研究会刊、2004年5月10日発行）において、第13章に「客業個産の挑戦ガイド」と題して、客業生産の考え方や技術器、システムに関して、次のように解説を行っている。第13章 客業個産の挑戦ガイド１）客業生産のモデル構築の条件　20世紀に出現したｺﾐ業社会は、大量生産、大量販売、大量消費の世の中をもﾉこらした。安いものを大量に造って売って、さらに売るために早く捨てさせようと、ユーザーにささやく製品が新製品の名の下に次々と発売され、昨日最新であったものが、今日には旧式だとして市場から消されてゆくというような、製造業があたかも“ゴミをつくる”ために存在するようになってしまい、製造業がダメになってしまったのであると説かれている。大量に造ったものがそれなりに売れているうちはまだ問題はなかったが、売れなくなって、大量の売れ残りを生じるようになった。工業生産は生産過剰を招来しやすい。生産過剰はどの工業生産国にも例外なく該当する。そして、生産過剰製品の売れ残り品が捨て値で売られて、底なしの値崩れを起こしてしまった。また、売れ残り品が廃棄されると、量廃となって、環境問題を引き起こすことになる。このために製造業自体が生き残れなくなったのである。20世紀型の大量生産方式は行き詰まっている。このような状態からいうと、21世紀にはこんな製造業がそのまま存続できるはずがないと論じられているのである。　（１）どうする一製造業の建て直し　製造業の盛りは過ぎた。モノの時代は去った。心の価値の時代になった。モノの価値の時代から心の価値の時代へ変わったということはどういうことか。モノの価値は機能や量が支配する。機能は品質価値を支配し、量は希少価値を支配する。このモノを生産するのが工業であり、モノに価値があると考えられた峙代には、製造業はモノ作りのチャンピオンとして活躍することができた。時代は変わり、規格大量生産の行き渡った時代が来て、モノの価値はコモディテイ（日用品）化してゆく中で、どんどん低下することになり、同時に製造業に対するウエート低下も進むに至った。製造業の建て直しは、つくり過ぎない・、高くても売れるようにすることだ。そのために、縫製工場は脱下請けが必要となり、工場直販に進まなければならない。イタリアの縫製工場のように工場発信のデザインで直販する。大切なのは、見込み生産を止めることだ。売れ残りのないオーダーメードに徹することで、商品価値の下落は希少価値で歯止めをかける。すでにマス・カスタマイゼーションとして、紳士服で高級スーツのパターンメード、婦人服で簡易オーダーメードが顧客に広がりを見せている。その上に、商品価値を高めるのは知価による。つまりその商品により顧客にワクワクするようなイメージや感動を与えることである。この方向では、カスタマイゼーション（デザイン特注）の展開が進められているのである。　（２）工業先進国の国内製造存続の秘訣とは　工業先進国での国内製造業が存続する秘訣とは何だろう。第一には独自技術が挙げられる。他社にできない技術・スキルを持つこと、知価を生むデザインや縫製技術があることだ。これはオンリー・ワン技術ともいう。独自性のない横並びの技術では、絶望的価格競争に巻き込まれて生き残れない。次には、カスタマイゼーションに応じられる、オーダーメードをこなせる多品種個別生産を短時問で行い納入できることで、このためには、これまでの生産の常識を破る革新的道具立てや生産システム、そしてIT活用などが要る。そして、その上に、製造業は脱下請けを図ることで、これは製造業の生き残りの自己責任ということでもある。国内製造業として必要とされるのは、ネットワーク、オリジナリティ、アジリティ（機敏性）、バイパーソリューションだという説があるが、これらはインターネットやＳＣＭなど、デザインの独自独創性、迅速性やＱＲ（クィック・レスポンス）、高度問題解決力ということで、垂視されるものである。　（３）どんな生産方式になるのか　20世紀型大量生産システムが当たり前の生産方式で、どこでもコンベアシステムによる流れ作業が行われている。しかし、これは作り過ぎの生産システムで、売れ残り品が大量に生じ、底なしの値崩れの元凶となっているとの指摘がされている。大量生産を否定する、常識破りの生産方式が求められる。それはセル生産方式である。製造現場に革命を起こすものとして、まずトヨタ生産方式があり、これをベースとしてセル生産方式が生まれた。 20世紀の生産の考え方からはベルトコンペアを撤去し、流れ作業ライ ンを廃止するというような常識破りの生産方式であり、生産関係者から批判や罵声を浴びせかけられるという中で、生産革命が築き上げられていった。セル（細胞の意味）生産方式は、分業による単工程持ちの流れライン生産方式を取りやめて、統業による多工程持ちの少人数組み立ての方式としている。このセル生産方式は、生産に要する経営資源を少なくし、製造の付加価値を高くすることができる。それは分業の一コマのみで八時間を過ごしていた作業者が隣の工程に関心を持ち、多能工になり、一人屋台生産の主となり、セル生産方式の主役に立つようになったと解説されているものである。これは職場の自己責任、すなわち自分の責任として自覚し、よりよい自分の働きを自分で工夫することで、新しい職場が生み出された。しかし、これは仕立て職人に戻ることではない。テーラーのお店や洋裁店では仕立て職人やお針子が一人で丸仕上げしたり、サンブル縫いで一人仕立てしたり、二人組、三人組の仕立てなどが以前から行われていて、これに戻るのかという疑問が起こる。セル生産での一人生産は、その作業が改善を積み上げてムダを省いたもので、さらに設備として「からくり」（本書では「アイデア・デバイス」と呼ぶ）を効果的に活用する。セル生産は最終生産段階が手作業で組み立てられ、ベルトコンベアは使わない。にもかかわらず、その生産性はコンベアシステムと比べて引けを取らないという実績が示されているものである｡この点がテーラー仕事とは根本的に違っているところである。また、生産の競争力としてセル生産方式は、マルチ・レスポンスにマッチし、「摺り合わせ型もの作り」によく適合する。この「摺り合わせ型」というのは、アメリカがモジュール化生産方式などの「組み合わせ型もの作り」に優れているのに対して、より難度の高いもの作りに対する言葉である。　　　　　　　（続く）

  2016年11月23日

• 22日の日記

  客業生産理論の本文まえがき まえがき 　20世紀に威力を発揮した大量生産は現在では通用しなくなっているといわれる。大量生産を続けると、地球がもたないともいわれている。生産は顧客のために行われるものであり、このために顧客にとって適種、適質、適量、適価、適期の生産が行われなくてはならない。いたずらに大量生産を追いかけるのに時代に適合しない態度であり、ミスマッチであるといわれるようになってきている。これは大量生産が結果的に大量廃棄を招き、その処置が大きな社会問題にまで及ぶことになるだけでなく、地球資源の浪費のために資源枯渇の破局をもたらすことになると危惧されるからである。 また大量生産はコストダウンにとって最強の方法と考えられてきたが、現実には膨大な作り過ぎによって売れ残りの巨大なロスを生じ、処分売り値引き（マークダウン）で価格の低落を結果し、生産の付加価値を喪失してゆくばかりで、生産企業そのものの存続を脅かすに至っているほどになっている。そうした状況の中で、生産した商品の価値は顧客が決めるという時代になった。顧客が認めることで生産した商品力が価値付けられるのである。現在は、生産は工業により行われているのであるが、工業とは作り手の業ということで、結果はプロダクト・アウトの生産となっているのが現状である。しかし、生産は本来、顧客のためであることが求められマーケット・インの生産であることが目指されている。 本書では、工業生産からスタートし、脱工業生産を経て、顧客のための客業生産（客業は本書の造語）を実践するためのガイドとなることを意図している。そして顧客のための生産を行うモデル縫製工場とはいかなるものかを明らかとし、モデル縫製工場を実現するための方向を示し、実践してゆくためのガイドを提供しようとするものある。その実践に当たっては先ず、意識そのものから顧客志向の生産という観点に立つことが欠かせない。その意識の変換には、先ず言葉が変わらなければならない。顧客のための生産と言いつつ、作り手のものづくりの業である「工業」と言っていたのでは、意識は変換しないだろう。そこで本書では、顧客のためのものづくりの業としての生産は「客業生産」と呼ぶことにしている。２0世紀の大量生産は、21世紀に入り、顧客の個別の注文に応じる個別生産に変わてゆくと見られる。従って、工業量産として考えられてきたものづくりの業は、大量消費から大量廃棄をもたらし、遂に行き詰まりに至って、脱工業生産が叫ばれるようになってきた。 本書ではもの作りの業を客業個産として生産再構築し、ものづくりに携わる人の意識を変え、その上に客業個産をどう実現してゆくかを具体的に示し、特に少量・短納期の生産を主要項目こ置いて、縫製工場での実践をガイドすることとしている。実践のためには、単に必要事項の説明に止まらず、それが実践に移るためのチェックリストを作成し、それによるチェックの各項目について自己診断できるようにし、現時点で生産についでどの水準で理解しているかが認識できるようにし、もし十分理解していない項目があれば本書により用語の意味を読んだり、該当項目の解説を理解するようにして知識を積み、その上に立ってより具体的に、着実に望ましいモデル縫製工場の構築へと実践できるように企図してまとめたものである。 （続く）

  2016年11月22日

• 21日の日記

  「客業生産」論の理論的根拠は経済学公理に基づく… 「客業生産」はアダム・スミスが次のように説いた経済学公理に基づくものである。スミスは、「国富論」第4編において、「…全ての生産の唯一の目的であり目標は、消費である。生産者の利益は、消費者の利益を促進するのに必要なかぎりでのみ、配慮さるべきである。この公理は完全に自明であって、これを証明しようとするのがばかげているほどである。しかし、重商主義においては、消費者の利益は殆ど生産者の利益の犠牲とされており、消費ではなく生産こそが、あらゆる産業と商業の究極の目標であり、目的であると間違って考えられているようにおもわれる。…」 そしてピーター・ドラッカーの名言として「企業の目的と使命を定義するとき、出発点はひとつしかない。顧客である。顧客を満足させることが企業の使命であり、目的である」が知られているが、「客業生産」はこの名言に適った理論である。 経済学は初心の「経世済民」を忘れて、人類に対して悪徳の立場に陥ってしまったとの指摘が行われた。その論拠をディアドラ・Ｎ・マクロスキー著「ノーベル賞経済学者の大罪」（赤羽隆夫訳、筑摩書房刊）にとることができる。同書によれば、「悪徳の栄え」の項（P10）で次のように述べている。 経済学の分野で学問的「業績」と称されるものの大半は、その大部分が学術誌に掲載される論文であるのだが、重箱の隅をほじくるたぐいの内容であるばかりか、ずばり言って間違っている。（中略）私（著者）が経済学者の「悪徳」と呼ぶのは、ローレンス・クライン、ポール・サムエルソン、それにヤン・ティンバーゲンという１９４０年代の偉大な指導者のお陰で、現代の経済学が身に染めた三つの知的悪習のことである。つまり、観察、創造力、それに社会政策に関する彼らの信念が産み落とした悪徳である。 ●一つが「統計的有意性」という言葉を技術的な意味で使用しながら、「科学的重要性」と同一視したクラインの信念。 ●二つが黒板上で「存在証明」がなされれば、それが科学的な真理であるとするサムエルソンの信念。 ●三つが疑似科学の上の二点、すなわち統計的有意性と黒板上での証明の二つは、経済政策の策定に適用できるとするティンバーゲンの信念。一種の「社会工学」で、実践的な視点からはもっとも重大であり、上の二つの悪徳を正当化する。 この三人は天才であり、いずれもノーベル賞経済学賞受賞者の栄誉に輝いている（第一回目の受賞がティンバーゲン、第２回受章者がサムエルソン、クラインは第１２回目の受章者）。私（著者）は三人を最高に尊敬している。――しかし、これら三人の業績とこれに続く弟子達によって、経済学が学問的体裁を整え、経済政策の形を構築したかのように思えるものの、人間のためという原点から遠ざかるという悪徳の存在になっていってしまったのである…。 、「現代の邪悪」と吉川弘之（元東大総長）は呼んだ。実学と呼ばれる学問は、古典的な邪悪、自然災害であるとか、伝染病とか、悪人に対抗するために成立してきているが（例えば自然災害に対して土木工学、伝染病に対し医学、悪人に対して法律学）、これらの現代の邪悪は実は学問の進歩の結果、出現したというアイロニカルな側面を持っている。すなわち、地球環境問題を例に取れば、その解決には、もちろん環境浄化技術や省エネルギー技術の開発ももちろん重要だが、より本質的なことは、これらが人工物の生産の結果もたらされたものであり、問題の根源的な解決には、人工物の生産そのものを見直す必要があることを認識しなければならない。 　また、吉川弘行・元東大総長は次のように指摘している──「現代の学問は自閉的に閉じている。閉じた空間だけで無矛盾であればよい。学問とは隣との関係が問われないという契約の元に成立している。多くの学問は細分化の惰性の中で生きてきた」と。従来の思考の特徴はこの分断化、細分化の現象で、結果として部分から全体を見る視点を強調することである。 　客業理念は経済学の悪徳を排し、工業の邪悪を取り除く、あくまで人間の幸福にアドレスする立場なのである。 （続く）

  2016年11月21日

• 20日の日記

  客業生産理論が「インダストリー4.0」の理論的源流！世界はカスタマイズ生産へ…インダストリー4.0　理論的源流は「客業生産論」　近代縫製新聞の今月号に、頭書のタイシルで連載論説219回分が掲載された。インターネットのフリー百科事典ウィキペディアの「インダストリー4.0」の項目にインダストリー4.0理理論的源流は客業生産理論であると説明した。そのことについて次のように述べたものである。 インターネットのウィキペディアに投稿し、「インダストリー4.0」の項目に次のように書き込みした。「インダストリー4.0の理論的源流は客業生産理論である」という表題で、筆者の客業生産論が理論的源流である経緯を次のように示した。筆者は2004年5月10日 出版の河内保二著「チェックリストによる少量・短納期生産モデル縫製工場実践ガイド」（繊維流通研究会刊）の第13章に「客業個産モデルへの挑戦ガイド」として述べられている内容が、インダストリー4.0の理論的源流となっていると記した。同書は日中両国語併記で、同書の生産理論資料編にはその理論根拠となる資料が添えられている。同書は、日中両国で発売され、特に中国で関心を持たれた。客業生産は工業の大量生産を止めて、オーダーメードとするカスタマイゼーションのことであり、著者により工業でなく、客業と命名され、"ORDUSTRY" と造語され、21世紀の生産のあるべきモデルとして提唱された理論である。この考え方は中国からEUの繊維・アパレル業界に伝わり、同年12月にEURATEX（EU繊維・アパレル産業協会）の2020年ビジョンに次のように取り入れられて、発表された。「ＥUはコモディティを脱出してカスタマイズの生産へ」の見出しで、20世紀の「何でも量産」「何時でも量産」という工業生産は、工業製品のコモディティ化という低価値化を招来するとし、繊維・衣服製品のコモディティ化の脱却のために、製品差別化を図り、大量生産を廃止して、カスタマイゼーションヘの転換を進めると説いたのである。これはまさに「客業生産」の考え方と同考の2020年ビジョンである。生産を見込みの仮需である大量生産から実需のカスタマイゼーションへと変革する考え方は、その後、2011年にドイツ政府の第4次産業革命と位置づける開発プロジェクト「インダストリー4.0」として取り上げられるに至っている。（客業生産の詳細については、「客業生産」と検索して閲覧できます）客業生産という語は筆者の造語で聞き慣れない語であるかもしれない。これまでの大量生産を止めて、注文生産に切り替えるという提唱に対しては、常識破りとされるであろう。しかし、何よりもドイツが国家プロジェクトとして「インダストリー4.0」を取り上げて、国を挙げて取り組み、今や世界主要各国がドイツと連携して開発に参加し、カスタマイゼーションへの変換を目指すに至っている。そして、本欄前回に紹介したように、パソコンのウェブサイト、Nifty提供のココログに筆者の「経済工学リサーチのウェブログ（河内保二の客業生産論）」での論説に、海外24カ国から1100通を超すコメントを頂き、その多くが客業生産論に理解を示されている内容であり、筆者の「客業生産」論への賛同の気持ちが伝わり、多くの賛同者の支持をうれしく感じているところである。 筆者は拙著「チェックリストによる少量・短納期生産モデル縫製工場ガイド」（繊維流通研究会刊）の中で、第13章「客業生産」編を客業生産の本論と考えている。この著書では、客業生産論を次の目次のように構成している。 この目次に 従って、その内容を紹介して行きたい。この後も引き続き書き込んで灼くつもりである。 まえがき第13章　客業個産モデルへの挑戦ガイド　１．客業個産のモデル構築の条件　2．客業個産モデル縫製工場挑戦ガイドあとがき生産論資料編第1章　生産思潮の理論化の歴史 1．生産の理論化の歴史 ２．今後の生産思想とは第2章　マルチ・レイポンスの生産理論　１．多品種生産について　 　２．森羅万象を生み出す自然界の原理　３．複雑性の分析　４．組合わせによる多様性の発生　５．多様性を制御する法則　６．生産における多様度の制御　７．マルチ・レスポンス対応のセル生産方式　８．ITの活用―SCMの導入第3章　少量縫製の進め方　１．少量生産について   ２．少量生産はビューティフルか 　３．少量生産の科学　４．習熟ロスの要因分析　　５．作業訓練り効果　　６．機械による少量生産論　７．少量生産のまとめ第4章　短納期生産の理論　１．適時生産には短納期化   ２．生産を構成する作業と工程　３．短納期の観点から見て　４．短納期の理論　　５．短納期化に効果のある対策を次の目次のように構成している。 この目次に従って、その内容を紹介して行きたい。

  2016年11月20日

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  19日の日記

  アパレル産業の衰退を憂えた２００２年論説　第4 回（最終回） 　今回は、日本国内製造業の活路について考え、更に繊維晶製造業のこれからの路線について 考察し、最後に　日本の縫製業界はどう進むべきか―今後の進路…私見29項 として総括して示した。 今から14年前、21世紀の始まりの時に、21世紀の生産のあり方を論じて、「客業生産（Ordustry）」であるべきだと提唱したもので、これが筆者の「客業生産」論 の序説となるものと思っている。誰も大量生産を止めて、客業個産にするようにとは言わなかった。まさに常識外れの暴論とみられたかもしれない。しかし、その後、2001年5月に拙著「チェックリストによる少量・短納期生産モデル縫製工場ガイド」（繊維流通研究会刊）を発行し、これには「客業生産」の理論を詳述して、日中両国語で編集した。この理論は先ず中国で注目され、次にEUの繊維・アパレル産業協会（EURATEX）が2004年12月公表した繊維・アパレル産業2020年ビジョンに大量生産を止めて、カスタマイゼーションに移行する方針を示した。そして、2010年にドイツが大量生産を止めてカスタマイゼーションに移行するという第4次産業革命と位置づけてプロジェクト「インダストリー4.0」を立ち上げたのである。2004年出版の拙著については、この後、稿を改めて、掲載する予定であるので、ご関心のある方は、引き続きご覧下さい,。５）日本国内製造業の活路　日本国内製造業にどのような活路が論じられているのか。「製造業は不滅です」では国内製造業の活路を「製造業こそ、起死回生の起爆剤!.として、バーチャル化の進展、コアーコンピタシスの確立など製造業生き残りの条件を提言し、物づくりについての日本の優位性を述べ、独自の戦略で発展する企業を事例として挙げて説明する。別な論で「中小製造業の生き残り策」として挙げられるものでは、独自技術の確立と高付加価値の製品作りであり、横並びの企業では仕事の受注困難か、絶望的価格競争に巻き込まれるだけとする。「オンリーワン技術」け生き残りの根元的項目である。そして大量生産を脱して、多品種少量生産に切り替えることだと指摘されている。受注難に対しては、「脱下請け」を行い、取引先を広げることである。インターネットを利用して営業力をカバーするなどが必要となるとしている。1.客業個産　量産でコストを下げるという工業の常識を破らなくてはならない。工業の生産はあくまで顧客のために行われるわけで、生産は「客業」なのであり、量産・量廃の害をなくすために「個産」とすることが迫られている。これまでの量産では、ひとり一人の顧客が見えなくなってしまった。一人では面倒と言うことである。だが、本当に大事にしなくてはならないのは、ひとり一人の顧客であるはずなのに、20世紀の量産の企業はそれを忘れてしまったと指摘される。　「客業個産」で量産に対抗できる生産システムとして、セル生産方式が注目され、ソニー、キャノン、ＮＥＣ、三洋電機、松下電器などの工場が採用を始めている。2.セル生産方式　20世紀型の生産ラインに使われたペルトコンベヤーは作業の細分化が特徴で、ラインに沿って一人一、二分の単調作業が黙々と繰り返されるものであった。しかし、効率を徹底追求したはずのベルトコンベヤーは、全体のペースが最も未熱な工員に引きずられ、一か所でトラブルが生じるとライン全体が影響を受けるという欠点があった。しかも、これは造り過ぎとなり、在庫の山を結果する。これに対して、セル生産は作業効率でコンベヤーシステムに引けを取らないばかりか、造り過ぎも仕掛かり在庫もなくし、さらにまとまった仕事を任されるため、作業者の意欲と責任感が高まる。その結果、セル生産方式の現場では品質や生産効率が向上、技能は賃金にも反映されている。国内製造業の活路を示す生産のあり方として、セル生産方式に関心が注がれている。3.経営理念―Ｃ・Ｅ・Ｅ満足向上　製造業も流通・サービス業も企業不祥事を引き起こすようなことでは存続は困難である。これまでに不況に耐えられず、幾多の不祥事が摘発された。経営理念が問われている。製造企業の経営理念として、兼ねてから「Ｃ・Ｅ・Ｅ満足の向上」を唱えてきている。この理念では「Ｃ・Ｓ＝顧客満足」「Ｅ・Ｓ＝地球環境満足」「Ｅ・Ｓ＝従業員満足」の向上を目指すものである。最近の企業不祥事では、顧客満足を無視し、顧客の信頼を裏切るような事件が相次いだ。改めて「Ｃ・Ｓ」について見直さなければならない。次ぎに地球環境への関心が高まっており、「Ｅ・Ｓ」の取り組みが経営上重要となってきている。　これまでの製造業の常識は、資源、エネルギーを消費して製品を生産販売し、その後のことは面倒を見ないというものであったが、深刻な資源枯渇問題や廃棄物問題を引き起こし、大気、海洋、土壌の汚染が人類の生存を脅かしており、まさに恐怖の事態を現出している。生産のあり方も従来の「コストと効率」一辺倒からの脱却が問われており、これまでの20世紀型の生産システムとは異なる「逆工場インバーズ・マニュファクチュアリング・システム」が構築され始めている。逆工場とは、「製品のライブサイクル全般に対して責任を持ち、システムとして安定的な製品の循環系を実現する産業での工場」という意味とされる。自動車も家電もリサイクルが実施されるようになっている。そして「企業は人なり」の立場から経営にとって人財は最も重要な存在であり、そのために従業員に対する「Ｅ・Ｓ」が不可欠となる。しかし、現在の社員はまことに不遇の時代に耐えることを求められている。このような雇用環境では人材はおろか、人災や人罪的社員をつくってしまう。経営の理念として従業員の「Ｅ・Ｓ」が見直されなければならないのである。６）.繊維晶製造業のこれからの路線　コモデイティ・グッズとしての縫製品は中国で縫製、プライム・グッズとしてのブランド品は国内縫製でという構図が描かれる。縫製工場は直販路線を取ることになる。1.直販路線これまでの問屋やアパレルメーカ 依存の下請け縫製業界は、もはや自ら直接にマーケットを目指さなければ、生存が難しい時代になったとの縫製業界の認識であり、危機感である。価格の崩壊したアパレル製品の商品価値をどう高めるかが課題である。　　2.商品価値をどう高めるか―ブランド：強烈な新鮮さのプレゼンテーションが課題　ヒットしたブランドは次ぎにはより刺激の強烈な新鮮さを求められるが、それは非常に難しい。デザイナーはクリエーションを発揮してこの難しさに挑戦する。従来はシングル・ブランドというのが普通であるが、一つのブランドの新作デザインに命をすり減らすクリエーション作業の連続であり、このシングル・ブランドでは、いつもヒットするとは限らない。たとえば、ユニクロの失速であるが、既存店の本年１月の売り上げは前年同期比35％減、２月も36％減で、ユニクロの柳井正社長は「消費者に驚きや新鮮さを与える商品開発ができなかった」とその理由を説明している。急成長した結果、同社の商品が消費者に行き渡りすぎて、特に独自性を好む若者の支持を失ったとの指摘もされている。顧客との共感を低価格と良質の商品で訴えてきたのが、その商品が行き渡って、次の共感を呼ぶ商品が出てこなかったということだ。最近の売れている商品では、３万～５万円の婦人ブランド服が好調で前年比２割増で推移と報じられた。流行りと廃りはファッションの表裏をなすものであり、常に流行らすことは極めて難しい。の持つこのような不確実性を改善する方向がマルチ・ブランド戦略であり、沢山の有名ブランドによりヒットの平準化を図ろうとするものである。このブランド・マルチ化は、ＬＶＭＨグループやグッチ・グループがしのぎを削ってマルチ戦略として争っている。しかし、この戦略は売り上げ優先の経営戦略であり、デザインの強烈な新鮮さとは相反する面を持つ。これによって、ＶＭＨグループから高田賢三が去り、グッチ・グループからイプ・サンローランが抜けたというようなことも生じた。経営上は売り上げに効果のあるように、マルチ・ブランドの上に異なるブランド同志での相乗効果により消費者への訴求効果を高めるブランド・コラボレーションという方向が生まれるに至る。コラボレーションは芸術の分野で行われる共同製作を意味する言葉であるが、ビンネスの世界に使われるようになった。例えば、"ＰＯＲＴＥＲ”ブランドの吉田カバンがソニーと共同でソニー製パソコンの専用バッグをつくり、ソニーのホームページ上で販売しているが、おしゃれな会社と先端企業の組み合わせの妙が強烈な新鮮さを消費者に訴える。この例では異なる会社のブランド・コラボレーションであるが、マルチ・ブランド間のコラボレーションは、異なるブランドの持つキャラクターを掛け合わせて新しさを生み出すというものだ。ブランドに対しても目の肥えてゆく消費者を捕らえる策として、コラボレーションが強烈な新鮮さのプレゼンテーションとして登場することが考えられる。ブランド経営も、ジンクル・プランドから大規模経営のマルチ・ブランドの出現となり、シングル・ブランドがそこへ吸収されるようになったが、さらにその先にブランド・コラボレーションが姿を現し始めている…。3.海外展開路線　産業経済省の産業政策では、海外展開について次のように述べている。わが国の繊維・ファッンヨン産業の現状を見ると、デザイナーレペルでは世界のトップレベルに位置しているにもかかわらず、産業のレベルでは、大幅な輸入超過にあるなど、国際競争力は十分ではない。こうした状況を改善し、わが国の繊維・ファッション産業、さらには産地・中小企業の海外市場の拡大を後押しするために、官民が緊密に連携して、以下のような取組を行うことが必要である。●ジャパンクリエーションの海外展開を始めとする各種の情報発信イベントの整備・強化●ジャパンファッションを、ＩＴを活用し海外へ発信するための新たな基盤の整備・強化●販売代行や輸出コンサルといったビジネスの創出など、海外のビジネス展開を円滑にする仕組みの構築。また、海外でのビジネスに際して生じる、現地政府などとの各種トラブルの円滑な解消などのために、政府や政府関係機関が適切な支援を講じるべきである－としている。縫製品業界でも、革新な縫製技術を武器に海外アパレルからの受注獲得・提携に取り組み、海外市場に目を向けた企業活動を積極的に進めるべきであるとしている。4.乗り越えるべき縫製技術　これまでのファッンヨン産業の隆盛は、パリ、ミラノのモード界の革命や革新なくしては実現されなかったであろう。80年前、パリのオートクチュール業界が第一次世界大戦の影響により低調に陥り、さらに戦後の大恐慌の中でココ・シャネルによるモードの革命が行われ、これによりパリのオートクチュールは息を吹き返した。シャネルはそれまでのパリの文化、伝統、美意識、衣裳デザイン、そして常識をことごとく否定し、「皆殺しの天使」といわれた。34年前のパリの５月革命では学生、労働者、市民によるそれまでの社会、政治を覆す運動であったが、パリのモード界にも波及するところとなり、当時衰退しきったモード界を日本の前衛的デザイナーたち－高田賢三を始め三宅一生、川久保玲、山本耀司ら―がそれまでのパリの衣服感を震憾させた異質の原理により、パリモード界の常識を覆してパリモードのパワーを復活させた。現在、日本の縫製品製造業界は元気なく、疲弊しきっているが、この状態を打破するには、縫製技術そのものもこれまでのノウ ハウをただ金科玉条として遵守するというのでなく、これを乗り越えてゆくところに打開の道が開けるのである。この点は「アパレルテクニカルテキスト」（河内保二監修、東京都ミシン商工業協同組合刊）において強調した論旨である。すなわち、日本の洋服という常識から思い切って「洋」の字を捨てる位の意識革新が求められ、そうすることで日本発のクリエーションが成り立つと言うことである。5.造り過ぎない生産－モジュールデザインでパターンオーダー　生産がオーダーメードになれば造り過ぎはなくなり、売れ残りも発生しない。客のデザイン選択にはコンピュータでチョイスするものも出現している。たとえば、ベネトン社のホームページには「３－Ｄ　フィッティング　ルーム」が2002年１月23日より開設されており、顧客はヌードボデイモデルに服のアイテムとしてジャケット／コート、トップ、ボトム／ドレスのデザインが何種類も示されている　（このホームページのＵＲＬはｈｔｔｐ:／／ｗｗｗ.ｂｅｎｅｔｔｏｎ.Ｃ０.jｐ／ｉｎｄｅｘ２.ｈｔｍｌ）。この中から、気に入ったデザインを選ぶと、モデルに着せられる。さらにモデルは向きを変えて、１回転するので、後ろ姿やいろいろな向きでのスタイルをチェックできる。これはコンピュータによる着せ替えシステムであり、服のアイテムがボデイモデルにモジュールとして組み合わせに応じるようにしている。また、服の色を変えることもできる。オーダーメードの中のパターンオーダーでは、顧客が選んだスタイルをモジュールとしての各種パターンの中から選び出し、顧客のサイズに補整して縫製するものである。これはデザインでのモジュールシステムとも共通する。デザインではコンピュータに各パーツデザインのデータベースを作っておいて、その中からパーツを選び出し、そのパーツを組み合わせてスタイルを作り、デザインを完成させるものである。メイド・イン・ジャパンの復活に工業製品のモジュール生産方式が注目されている。縫製の場合は、他の工業製品のように、モジュール生産として既製パーツを組み合わせて加工するものとは異なり、既製パーツによる組み付け縫製することはできない。それは各パーツがオーダーで指定された生地で作られることから、すべて一緒にその１着が縫製されるという制約のためである。6.無在庫・売り切り生産－セル生産でオーダーメード　無在庫にするには統業となり、売りきりとするにはオーダーメードとすることになる。今日の歯止めの利かない価格低落は、１００円スーツや１円衣料まで売られるようになって、衣服の商品価値は崩壊するに至っている。この原因は売れ残り品の捨て値処分であり、縫製品業界は売れ残りの原因となっている造り過ぎを止めなければならない。これを続ける限り、縫製業界は赤字の中で消滅してしまうだろう。そこで売り切りにするには、オーダーメードになる。注文を貰ってからつくるので売れ残りはない。また、在庫もない。オーダーメードの生産はセル生産が最適であると考えられるに至り、その生産性はコンベヤーシステムと比べて決して劣らない。現実に一人生産や「からくり」による現場作業の様子が報道されるようになり、産業界の関心が強まっている。（セル生産に関するキャノン社のホームページは、httpo://ｗｗｗcanon.co.jp/aboutus/domain/lbp/flower/）7.今後の進路　これまでに述べてきたことをまとめて、私見29項として次のように列挙して示してみた。　　　　　　　　　　　　　　　　　　（終わり）

  2016年11月19日

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  18日の日記

  アパレル産業の衰退を憂えた２００２年論説　第3 回  20世紀生産論の常識を破らなくては、生産再生は考えられない。常識破りの生産論として、「客業生産」論は大量生産を止めて、カスタマイゼーションに転換することを唱えてきた。どう常識破りするのかを論じてい.る。そして日本の少子高齢化が問題となってくると、少子化が少客化を招いで国内市場は縮小するので、海外の人口増加による多客化をターゲットとして販路を開拓することになる。以下をご覧下さい。３　常識破って製造業の新生　これまでの常識を守ることが製造業の存続につながらない。これはあたかもこれまでの旧体制では日本の活力を維持できなくなり、構造改革を進めなくてはならないことと同じである。日本製造業の新生は常識を破るところから始まる。常識をどのように破ってゆくのか―。１．客業個産という常識破り　工業とは辞書によると、工業は農林・水産業や鉱業で生産された原料を加工して、人間生活に有用な物資を生産する産業部門とされ、実質的には工業は製造業である。工場に多数の労働者を集めて、機械・装置を中心に分業と協業により高度の加工を行うものである。工業は手工業から出発し、問屋制家内工業、マニュプアクチュアを経て、蒸気力、機械力を導入した産業革命により工場制工業の確立に進んだ。次ぎに工場とは、多数の人びとが同一の建物・施設に集まり、共同の作業によって一定の商品を継続的に生産する場所である。近代的な工場制は産業革命とともに出現、生産技術において機械の優位が確立したことでそれ以前の工場制手工業（マニュプアクチュア）の工場と区別される。工場の出現で、それまでの各家族単位での生産様式は崩れ、人びとは集団での規律に縛られるようになった。また熟練職人の地位も低下するなど、社会のありかたが大きく変化した。19世紀の末からテーラー・システム（科学的管理法）や2ォード・システムなどが出現して工場内の組織は著しく変貌した。今考えれば、日本の敗戦はアメリカの工場生産の変貌に後れを取ったことにある。技術革新を経た今日ではオートメーションエ場の出現や各種管理手法の進歩（工場管理）などでさらに高度に組織化されたものに変わりつつある。しかし、このような工業は生産の本来あるべき姿から遠のいてしまった。生産は顧客のために行われるものであり、顧客にとって「適種、適質、適量、適期、適価」な製品を生産するものであるのに、その製品のコストを下げるためにひたすら量産に励むことになり、その結果生産された製品は顧客に押しつけるという「プロダクトアウト」となって、顧客の嫌うこととなり、大量の売れ残り品の発生を見ることとなった。大量生産は20世紀にうまく効果を発することがでるように生み出されたものであるが、これをそのまま21世紀に持ち込むことはできない。生産は顧客のために行われるという原点に立だなくてはならない。工業の大量生産という常識を破って、客のための業、すなわち「客業（Ordustry　と造語した）」となり、顧客ひとり一人を対象とする生産、すなわち「個産」にならなくてはならない。この「客業個産」にはどのような生産の方式が行われることになるのか。これはまさに生き残りの方式となるものである。２．常識破りのセル生産方式　大量生産においてコンベヤーは。フォードが採用して大成功を収めて以来、常識となった設備である。しかし、コンベヤーシステムは在庫の山を前提とし、造り過ぎの欠点を持つ。「セル生産方式」ではコンベヤーを撤去するという常識破りの生産方式で、仕掛かり在庫をなくすものである。数人のこぢんまりしたチームをいくっもっくり、その一つ一つを「セル」とするもので、このセル方式は、できるだけ多くの作業を一人で引き受ける。セルは英語で細胞を意味し、一つのセルを構成する人数は、作業者の熟練度によって柔軟に変えられ、六人のセルなら全工程が六分割され、十五分程度の持ち時間で各自の分担が仕上げられる。一人の作業が遅れた場合は、前後の工程を担当するメンバーが手伝って、作業が中断しないようにする。高度な熟練作業者が一人で製品をまるごと完成させる一人セルもある。小規模なだけに、工場内では細胞のように臨機応変に形を変えたり、分裂や増殖もできる。造り過ぎがなく、作業者も働き甲斐があり、多品種少量生産に向いている。また、生産設備も小規模な手作り設備が用いられ、これを「からくり」と呼んでいる。顧客の要望にも応じることのできる「からくり」を作り出せるので、顧客優先の生産が実現する。このような「からくり」は、設備の常識を覆すもので、生産優先の「プッシュ型設備」に対して「プル型（顧客の要望が引っ張る）設備」となるものである。３．業界常識を破る直販　中小製造業は下請は加工業者により成り立っている。これまでは業態は下請けが常識となってきた。しかし、製造業が下請けのままでは、デフレの中に消滅させられてしまう恐怖がある。この常識を破るのが脱下請けの取り組みであり、自社の得意技術を訴求して、マーケットに直販する動きである。４．IＴ活用による常識破り　脱下請けを実現する直販を具体的に進めるのに中小企業のＩＴ活用の道が開かれている。インターネットのホームページによる直販のＰＲやインターネットを利用する。"ｅ―コマース"により、店舗費用のかからないビジネスを進められる。製造業者の創造や開発に業者同士で協同して当たるコラボレーションにもＩＴネットワークが強力な助けとなる。手軽に利用できるＩＴ環境が整いつつあるが、このような手段が常識破りの製造工場の直販を実現させてゆくのに役立つと考えられる。さらに、ＩＴを個人の生産性や企業の競争力の向上に活用することが求められ顧客とのコミュニケーションにもＩＴ活用は威力を発揮すると見られ、顧客の多様な欲求に対応するにもネットワークのコシピューターデータベースが役立ち、また、これは迅速対応のためのクィックレスポシスを実現するにも、多様度対応のためのマルチレスポンスを実現するにも、欠かせないシステムとなっている。４）少客化：日本から多客の海外展開　もう日本の国内だけにこだわっていては生き残れない！と、大手製造メーカーの声である。日本国内は人口減少の少客化の時代が目前に迫っている。海外の人口激増の国では多客化か進んでいるわけで、ビジネスのターゲットとなる。このターゲットは、購買力の高い国と多客国が対象となる。高級ブランドにとっては日本は前者として販売に力を入れてきている。日本の販売業界にとっては高級ブランドを育ててこなかったために、日本の購買力の高さをビジネスに結びつけられず、販売不振に苦悩して、価格破壊に追い立てられている。このため、製造業者はコストダウンに血道を上げることとなり、海外生産へと傾斜する。そして、海外生産のグローバリゼーショシに巻き込まれてゆくのであるが、日本の製造業は先行きおそろしいという感じになっている。日本ではこういうものこそ日本で作りつづけるべき ハイテクの極みといったものまで、中国で作るようになってきているといわれる。日本では製造業の従業員がこの10年で２５０万人減った。生活産業の衣服製造業で見ても、従業員数４人以上の縫製事業所の従業員数は1995年から1999年の５年間に15万人減っていて、今もなお減り続けている。中国を中心としたアジアの製造業の発展、進歩は日本の製造業にとって心配となってきている。日本だけでなく、先進国では製造を中国など人件費の安い国に移す傾向が強まっている。この傾向は1997年を起点として世界的に顕著になっており、この時点以降、特に中国は世界の工場化か進み、珠江デルタと長江デルタは工場の発展目覚ましく、去る2002年５月に中国に出向いてその発展を目の当たりにしてきた。これからは日本という国を維持してゆくのは、第二次産業から第三次産業への転換と見られ、これまでサービス業で従業員数が３００万人の増加となっている。アメリカのアパレル産業では製造業が小売業に乗り出して、次第に小売とメーカーの区別がなくなりつつあるという。どうも、ものつくりの様子が変わってきているようだ。従来、ものつくりは、特に人手メーカーにあっては、ほとんどの部品を自社内で製造する生産が当たり前であった。しかし、世界のメーカーのものつくりの潮流は、製造を外部委託し、コストを低減する方向に変わってきた。ジーンズのメーカーで世界最大の米リーバイ・ストラウス社のジョン・エルマティンガー社長は、「北米の戦略は、消費者のニーズに合う服つくりのため、プラント化、マーケッティング、商品アザインに力を入れることである。製造をアメリカとカナダから外国の下請け工場に移せば、プラントに資源と資金をつぎ込めるようになるだろう。これは競争力を保つためには重要である」として北米の22の工場を閉鎖し、１万3000人を1997年11月から1999年２月にかけてレイオ了する、と発表した。この例のように、ものつくりを重視せず、社内から社外に、そしてさらにコストの安い国外にものつくりを移すという様変わりである。プラントには力を入れるが、製造は下請けに出す。つまり、製造なんてくだらないＩ－とする経営者の風潮がそこにある。この風潮は日本にも及んでいる。ＩＴ関連の不振で、大手電機メーカーのこのところの人員削減は製造なんてくだらないという風潮ではないのか？と思う。つまり、作っても売れなければ意味がない。口スになるだけである。作ること自体に価値があるわけではないということである。このことは重要な観点であ。しかし、売れなくなれば、松下電器も東芝も富士通もＸＥＣもソニーも日立も京セラも三菱電機も沖電気も、製造人員のリストラである。製造が生む付加価値とは何かを考えなければならない。「製造業は不滅です」（牧野昇著、経済界刊）という書も刊行されているが、製造業は悲観的で、工業生産も日本では成り立ちにくくなっている。製造のアウトソーシングのタイプとしてこのところ注目されているのは、ＥＭＳ（Ｅlectronics Ｍanufacturing Ｓerviceｮ)として電子機器の開発、試作、部品調 達、物流、サポートまで手がける製造受胎サービスやＯＤＭ（Original Design Manufacturing｝という依頼を受けた受注側のメーカーが製品の試作や設計、量産の一歩手前までを一貫して請け負い、生産は他の会社が担当する事業、そしてＯＥＭ（Ｏｒｉｇｉｎａｌ　Ｅｑｕｉｐｍｅｎｔ Ｍａｎｕｆａｃｔｕｒing）はメーカーが依頼を受けて別の会社のブランドの製品を生産する事業というように、製造は外部委託となって行く。この流れはアルビン・トプラーの。第二の波’から。第三の波’へのシフト現象かと思う。そうした中で、海外市場への販売展開の面は生産に比して関心が向けられていない。（続く）

  2016年11月18日

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  17日の日記

  アパレル産業の衰退を憂えた２００２年論説　第2回21世紀に入り、20拾世紀に盛りを謳歌したものづくりのパラダイムは、行く詰まりを見せ始めた。筆者は1988年「次代社会の生産論」としてその序文に次のように書いた。現在生産論では、おそらく現代は生産の模索時代として論じられるのではないかと思っています。生産の模索時代とはいったい何に対して模索しているのかが問題です。わが国がこれまで近代化を進め、工業化を高めてきた生産は、経済大国として成功する反面、多くの不調和、行き詰まりも生み出してしまいました。ノーベル賞の江崎玲於奈博士も次のように述べています。「特にここ百年余りの科学の進歩は目ざましい。そこから生まれたさまざまの技術、医療や医薬はわれわれに限りない益を与えた。この過程の裏には、自然の破壊や汚染、核兵器の配備、人心の荒廃など好ましからざる影もある。」といっています。その上、国民の生活や消費の変化、即ち多様化に対応できなくなって、生産の見直しが始まっています。工業生産は大量化、高速化、大規模化を目指しましたが、これらについて実現度の高い産業としての重厚長大産業は行き詰まり、軽薄短小産業に主導権を譲っています。すなわち、現在生産論は工業生産の立場に立って、大変貌の時代への適合を模索しているわけなのです。そして、工業生産主導の時代は終わったとする説が注目を集めています。 それでは、工業生産の次に来る生産とはどんなものであるかが関心の的となります。しかも、次の時代と目される21世紀は12年後に迫っており、もはや遠い将来の話ではありません。ここに次代の生産としての考察を行うことにした理由があります。以上のような問題意識により次代生産論を述べたのであるが、この模索はどうやら第4次産業革命としてドイツが中心となって開発が進められている「インダストリー4.0」プロジェクトが解決を与えてくれるのではないかと考えている。では、前回に続いて、2002年生産論をご覧下さい。。２）常識守って製造業消滅か1.構造改革のもたらす”役割の終わった産業の退場”という痛み　現在は小泉内閣による構造改革の中で、産業や生活にＩ段の痛みが襲っており、縫製業界もかつてない苦難の中にいる。物価下落は歯止めのない縫製工賃の引き下げ圧力となって縫製工場に襲う。構造改革は付加価値を生まなくなった産業は役割を終わったものとして退場させ、新しい産業を創出するために行われるものとされる。縫製の国内生産は発注量の激減と加工賃の引き下げのダブルパンチで、縫製業者はほとんどの企業が赤字経営を強いられ、倒産や廃業が続出の状態となっており、縫製工場が消滅の恐怖の中にあるとされる。京都の西陣の状況も心が痛む。京都では、倒産した西陣織の機屋から何百年と蓄積された織物の型紙がヨーロッパのファッンヨン・プランドにより大量に買い付けられているということで、浮世絵などが二束三文で国外に流出した江戸末期と同じ状態だという。数年後に、プラント物のッグに西陣の模様が次々とあしらわれるかもしれないと、総務省総務審議官の月尾嘉男氏は述べている。現に工業統計や繊維統計から消滅する業種として、「養蚕農家」「古綿打直業」「絹紡績業」が挙げられており、平成14年10月から消滅する。そうした中、政府・自民党は繭から生糸を製造する「製糸業」の廃業を補助して促すことにしたという。製糸工場は現在７工場あり、このままでは全部共倒れして、１社も残らなくなるとして、廃業を促して２社程度が残るように絞り込むとする。このため廃業補助金として１億５千万円を見込み、これは廃業に当だっての設備廃棄や従業員退職金などの資金の３分の１を負担する仕組みだという。すでに平成11年工業統計では従業員数30人以上の縫製事業所が10事業所以下となった服種が次のように示されていて、消滅の恐怖はまさに目前の感がある。「毛皮製衣服・身の回り品製造業―４事業所（従業員数２５０）」「足袋製造業―７事業所（従業員数３５８）」「ネクタイ製浩業―７事業所（従業員数２６２）」「（ンカチーフ製造業―３事業所（従業員数１０６）」「刺繍業＝９事業所（従業員数５５８）」となっていて寂しい限りである。因みに繊維工業で消滅目前業種として従業員数30人以上の事業所が１事業所だけになったのは、「製綿業」と「その他のレース・繊維雑品製造業」、２事業所だけになったのは、「横編ニット生地製造業」「その他の紡績業」「ボビンレース製造業」となっており、すでに消滅したかもしれず、ゾオーツとするような恐怖が襲う。まことに大変な事態である。2.構造改革の後に来るもの―右肩下がり経済の試練　構造改革の後に何か来るか。常識ではかつての縫製にとってよい時代が景気回復と共に戻ってくると考える。しかし、本格的景気回復には10年くらいの期間を要するとされており、そのときでも成長率は％程度と言うことで、高度成長といったものにはならない。今後に対する常識は覆させられる。その上、景気回復期には人口減少の時代に入り込んでいるわけであり、日本経済は右肩下がりとなっている。すでに今年の春闘はベースアップはゼロとなり、定期昇給が辛うじて維持されたが、中にはこの１年間賃金５％カットの大企業も出てきた。今後は経済右肩下がりにおいて定期降給が当たり前になると覚悟しなければならない。消費者数は減り、購買力も低下して成長はマイナスとなってゆく。これも常識では考えられないことだろう。しかし、現実は常識には従わない。経済右判下がりという未踏の時代の試練にどう処するか、襲い来る恐怖に打ち勝ち、常識を越えた対応が求められるのである。3.税金で産業は生きのびられるか―借金財政に産業助成金の財源なし　選択と集中がキーワードとなるようだが、実際の厳しさの中では、厳選と撤退だという説もあるほどで、中国輸入品にもっとも弱い繊維・アパレル産業がこの先残るかどうかは心許ない。アメリカの繊維・アパレル業界も厳しい状況に変わりはない。役割の終わった産業に対して廃業補助はあっても、これを維持保存するような財源はもはや政府にはないし。このような産業の退場は先般の石炭産業の消滅と同様にならざるを得ないのだろうか。黒旗の次ぎに白旗が続くかと、産業の諸行無常、盛者必滅、会者定離という平家物語のこの語句が身にしみる、寂しい限りというべきか。4.工業生産の行き詰まり―造り過ぎ、量産・量廃の害　生産の常識は、コストダウンに大量生産は不可欠であると考えている。しかし、量産の結果は造り過ぎによる売れ残りの莫大な値引き損を引き起こし、その揚げ句、最後には量廃の害を発生させている。量産による地球資源枯渇と量廃による環境破壊の恐怖を前にして、このような生産のあり方は許されなくなっている。1908年に米フォードの創始者、ヘンリー・フォードが「Ｔ型フォード」を発売して以来、自動車産業のビジネスモデルは世界的に「大量生産・大量消費」を前提に構築されてきたが、約百年を経て、そのモデルが変わろうとしている。20世紀の「大量生産」の常識は覆され、「脱量産」が叫ばれ、そして究極の生産として「個産」へと向かい始めたのである。5.2０世紀デザインに可能性はあるか―ファッションと共に死語化　柏木博・武蔵野美術大学教授はその著「20世紀はどのようにデザイシされたか」　（晶文社刊）　で、20世紀デザインの特徴は「必要性」を満たすための規格化製品を大量に市場に送り込んだと述べている。これは衣服ではファッションとしてシしスンに大勢の採用するスタイルを提供することであった。しかし、この結果は、ひとり一人の人間が平均的な消費者像に変わり、そこに20世紀デザイシの限界が現れることになったという。21世紀は、この限界を乗り越えなくてはならないとし、二几的で効率追求型のデザインから脱却することが重要となっており、これによって忘れられた人間的感覚を見出すことが課題となっていると指摘している。画一化、標準化の没人間性デザインが否定される。ファッンヨシの定義に洽っていたユニクロも失速して、ファッションが死語化してゆく。これまでのデザインの延長線上に未来を見出すのは難しい。6 .経営の常識　企業経営は利益がなくては存続できない。しかし、利益のためには法を犯したり、顧客の信頼に背いて行動することは許されない。しかし、日本の企業経営はこのところ利益ボケして、企業不祥事が続発している。経営は利益優先が常識になって、企業倫理が欠落している。このため。コーポレートーガバナンスが叫ばれるのである。これは直訳すると「企業統治」で、社外取締役、執行役員制度などを導入して経営を監視し、企業の意思決定などを行っていくことであるとされる。経営の常識が利益優先のままでは、不祥事の続発を招き、製造業の消滅のスピードを速めることになってしまう。なお、コーポレートガバナンス協会では円滑な企業経営のために行うあらゆる手段がコーポレートーガバナンスのシステムであるとし、企業に関わるすべての利害関係者（経営者、従業員、取引先、顧客など）に対し企業の透明性を高め、利害調整をきちんと行うことで効率的な経営が実現できるンステムの確立を目指しているという。7.中小製造業は下請けという常識　中小製造業は資本力が弱く、製造を専門とする加工下請けの業態を取るというのが常識であった。このデフレ経済の下では、下請けの中小企業には容赦なく値下げ圧力がかかっている。元請け企業は利益を確保するため、自社の値下げ分以上の値下げを下請け企業に要請する。要請といっても強制に近い。断れば次からの仕事がなくなるから、採算を度外視してでも受注するが収益は向上しない。さらに貸し渋りも増加している。一部の銀行では優良企業からもらった手形すら割り引かないし、通常なら応じるような借り換えにも応じない。以上のように中小製造業の苦境が伝えられており、下請け業態という常識では生き残ることは極めて難しい。８．設備の常識　生産における設備のこれまでの常識は、既存設備を活用し、その稼働率を上げることで設備投資を予定通り償却することであった。顧客の要求に応じようとしても、既存の設備がいうことをきかない場合は、顧客の声は拒否され、設備が優先されるのが当たり前であった。これを「プッシュ型（押しつけ型）設備」という。つまり設備優先の生産は、顧客に製品を押しつけることになる。顧客優先の反対であり、生産優先が常識となっていたのである。これではモノ余り時代において消費者が買いたいものがないということで、消費の落ち込みを止めることができないことになる。（続く）

  2016年11月17日

• 16日の日記

  アパレル産業の衰退を憂えた２００２年論説 最近、アパレル産業や縫製品製造業の衰退について、その対策が多く語られているようである。日経ビジネス誌が特集し、繊研新聞が取り上げ、河合拓氏が語り、坂口昌章氏は 「ファッション業界をなんとかしたい」と訴え、栗野宏文・ユナイテッドアローズ上級顧問クリエイティブアドバイザーは講演し、小島健輔氏は指摘し、南光浩氏は総括している。しかし、経産省の繊維・衣服製造業担当は、生活製品課に含まれて、アパレル関係は服飾品として扱われることになり、衰退期の産業のイメージが強まっている。 筆者は２００２年に拙論「常識守っ て消滅？　常識破って再生！縫製品製造業が問われる存続 」を「アパレルビジネス」誌（繊維流通研究会刊）に発表した。筆者の位置づけでは、21世紀に入り、21世紀の生産のあり方を論じたものであり、その後まとめられた「客業生産」理論の序説となるものである。それから１４年が経過したが、アパレル業界の衰退は歯止めがきかない状態となっている。その意味で、この２００２年論説は読み返すだけの意味があるものと考えている。以下に連載の形で、この論説をご覧に入れたいと思っている。 この世の中に人類は60億人が生活している。人口は今後も増え続け、2050年には89億人に達するが、先進国は出生率の低下によって11億8000万人から11億6000万人に減少するのに対し、開発途上国は47億2000万人から77億5.00万人に激増するとされる。この人間の生活には衣食住を始めとする物資、エネルギー、製品の消費が伴う。この消費に対して供給される製品はコモディティーグッズと呼ばれる生活必需品とブライムーグッズと呼ばれる高価格品とになる。前者はユニクロであり、後者はルイ･ヴィトンということになる。製造業は原料を加工して消費のために必要な製品を造り出す。製造業は人間生活に欠くことのできないものの一つであるが、それだから日本の産業として不滅だというわけではない。その証拠に日本の製造業が空洞化し、熟練技能工が減少を続け、製造ノウハウが消失して、製造業が消滅かという恐怖感が強まっている。特に縫製品製造業は工業業種の中で従業員一人当たり最低の付加価値に落ち込んでおり、給与水準も最低で、若い人に魅力がなく、収益の面でも労働力の面でも消滅の恐怖が襲っている。衣服は生活に欠かせないと言うが、国内の消費者は今後は増加せず、経済右肩上がりの景気回復は期待できないから、業界規模は今後さらに縮小せざるを得ない。海外では人口爆発的消費者激増となるから、ここでは大量の衣服需要があるが、日本アバレル業界は海外販路に関心が薄く、グローバルビジネスに大きく後れを取っている。こうした消滅の恐怖の中で、製造業として日本の縫製品製造業にどんな活路があるのだろうか―について論じることとする。 １．目前の製造業消滅の恐怖 　まだまだ物価は下落する…製造業の窮地は続く。日本の製造業は盛りを過ぎたとも見られている。それは工業統計において、製造事業所数は高度成長期に急激に拡大したものの、そのピークがオイルショック後の昭和58年の78万２８０事業所であって、それ以後は縮小の過程に入り、また従業員数のピークはバプル期末期の平成２年の１，１７８万8.019人であって、平成壱11年には59万６，８６３事業所になり、従業員数は９，９０４。４７３人と１千万人の大台を割ってしまうというように、連続して減少していることで示されている。特に中小製造業の事態は深刻で、製造業の中小企業の集積する東京都大田区は、ピーク時の昭和58年に約9200社の工場があったのが、その後は閉鎖が続き、平成10年 には約6000社に落ち込んでしまって いる。西の中小企業の集積地といわれる大阪府東大阪市でも、産業の空洞化が進んでおり、同市内の中小企業の従業員数は、平成２年の９万２。８８５人から、平成12年には７万７５２人に減少し、昭和30年代の水準まで落ち込んでいる。経済産業省の報告では、製造企業の７社に１社が工場を海外へ移転したか、移転の計画であるということだ。これは日本の製造業が全体的に情報化、サービス経済化の潮流の中で、日本経済に占める割合が縮小しているためであるとされている。そのような中に、繊維・衣服製造業の縮小は際立っている。それは昭和25年には日本の製造業の出荷額一位を占めるなど、かつては日本の花形産業であったのであるが、昭和40年代後半のアメリカの繊維規制発動問題に加えて、ドルシｮックやオイルショックに直撃され、その結果原料の高騰などにより国際競争力が低下し、一方海外製品の輸入拡大から国産品の需要低迷、価格低下も加わり、川上、川中、川下を通じたほとんどの分野で出荷額の構成比が低下し、昭和25年と比べて構成比は平成12年には20・９ポイントのマイナスというように大幅に縮小し、事業所数で６・８ポイントのマイナス、従業員数で16・９ポインドのマイナスとなり、往事の面影は失われてしまった。国勢調査ではミシン縫製工について、平成２年と平成７年との比較が示されており、ここでも大幅な減少になっている。 同調査によると、平成２年には670.758人であったミシン縫製工は、平成７年には５３３。４８３人になり、20・５％の減少となっている。多分、平成２年が人数のピークではなかったかと思う。以後は今日まで減り続けているわけで、その減少の速度が目立つわけであるが、平成２年に対して今日ではほぽ半減しているのではなかろうか。このまま進めば、縫製品製造業の消滅の恐怖はますます強まるだろう。 （続く）

  2016年11月16日

• 7日の日記

  ９０歳を迎えるに当たって この１１月に筆者は９０歳となる。平成２７年９月現在の統計では、８０代の人口が１００２万人に達していたが、９０歳以上を迎えた人口は１８４万人となっていた。更に９５歳以上を迎えた人口は４６万人、そして１００歳以上は６万人となっている。８０歳代で亡くなった人数は８１８万人で、死因は次のようになっていた。、80～84　　悪性新生物　　心疾患　　肺炎　　脳血管疾患　　不慮の事故85～89　　悪性新生物　　心疾患　　肺炎　　脳血管疾患　　老衰そして９０歳からの死因は、次のように示されている。９５歳までに１３８万人が亡くなっている。そして１００歳までには、更に４０万人が亡くなっている。１００歳以上の人数は６万人超となっている。90～94     心疾患     悪性新生物     肺炎     老衰    脳血管疾患95～99     老衰    心疾患     肺炎    脳血管疾患　　悪性新生物100歳以上 老衰　 心疾患　  肺炎 　脳血管疾患      悪性新生物（１位から５位まで）確かに振り返ってみるのに、８０歳代で軽い脳梗塞で入院し、次に前立腺肥大で内視鏡手術のため入院し、そしてた中に家内に先立たれたりして、９０歳になるというのは大変なことなのだと知らされる。 　さて、９０歳となるのに、筆者は高血圧と糖尿病の合併で腎不全の治療中で、血中のクレアチニンが７に近づいているということで、人工透析の準備に入ることになった。クレアチニンの数値がこれ以上悪くならないように、薬をきちっと飲むこと、食事に気を付けて、１日のカロリーを１４００カロリーに抑え、蛋白質を４５～５０gとなるようにし、塩分を６g以下にし、カリウムは１４５０mg以下に、リンは６６０mg以下になるようにしてゆこうと思っている。糖尿病の食生活には慣れているので、その延長と思って挑戦して行こう。

  2016年11月07日

• 15日の日記

  九十歳を目前にして  今朝、佐藤愛子著の「九十歳、何がめでたい」という本の広告が目に止まった。御年九十二歳、満身創痍、ヘトヘトでしぼり出した抱腹絶倒の怒りの書というこの書の内容に、…時に世を儚み、時に昔を振り返り、自らの老いを嘆いて、「いちいちうるせえ」「何がめでたい」と拳を振り上げる。笑えて泣けて、スカッと気持ちが晴れる痛快エッセイ…とある。  筆者も九十歳を目前にして、高血圧に糖尿病の合併症で腎不全の一歩手前で、血液透析の準備に入るところであり、誠に身につまされる思いである。 しかし、考えてみると、筆者は思いも及ばず、青春時代は戦災に遭い、その後も天災、人災の多い中で、九十歳まで生きていられた。この生きてきた期間に著書や論文、論説などを多く書き残してきた。会社では技術顧問をJUKI、一の穂株式会社、日清紡株式会社美合研究所、台湾工業院SDC、イオン系子会社などで勤めた。大学の講師も日本女子大、和洋女子大、聖徳大学で務めることができたし、教え子も千人を超えた。技術開発も自動縫製システムの大型プロジェクトを始め、多くの機器設計や研究開発も行い、「客業生産」理論を構築し、そして俳句は2千句以上、短歌は二百首以上を詠み、囲碁は日本棋院の四段となった。九十年、今でもそうだが、煩悩に苦しみ、悩んだり、そして人生のラストシーンを迎える段階に達した。この年になると、こうした振り返りが頭の中を駆け巡るということになる。

  2016年10月15日

• 30日の日記

  世界遺産として「紀伊山地の霊場と参詣道」が登録されて、高野山と熊野三山神社及び熊野古道が指定されましたが、熊野本宮大社は熊野三山神社の中心であり、熊野歌会が伝統的行事となっています。本年は 9月24日に第29回熊野本宮大社献詠被講式が行われました。筆者も毎年献詠させて頂いており、本年もお題「未来」に次のように詠みました。　 お題「未来」 天災と人災ともに多き世に　暮らし安かれ未来を祈る                     卜水 天災は地震、台風と次から次に発生し、安心、安全を軽視した豊洲市場工事などの人災の報道も尽きることはない。夢の未来としての2020年の東京五輪、パラリンピックには、せめて人災だけでも減少して欲しいものである。

  2016年09月30日

• 23日の日記

  筆者のウェブログ「経済工学リサーチのウェブログ～河内保二の客業生産論ー」に対する世界各国24カ国からの1100通を超えるコメントを訳しながら約1週間掛けて、一通り目を等して、世界の著名ブランドからの激励と感謝のコメントを読ませて頂き、客業生産論への大きな関心を寄せられていることに驚きと共に「客業生産論」提唱者としてこんなにうれしいことはないと感じた。ここに著名ブランドからのコメントを列挙してご覧に入れたい。◆◆◆世界著名ブランドよりのコメント◆◆◆●うわー、非常に良好な多くのデータ！―投稿者： ルイ ヴィトン 2014年３月18日　　　（フランス）●良い情報感謝します。―投稿者： エルメス 2014年5月09日　　　（スイス）　　●なんとたくさんの優れた記事。―投稿者：グッチ　 2014年3 月18日　（イタリア）　 ●感謝します。たっぷりの投稿！―投稿者：ブルガリ 2014年5月11日　（イタリア） ●あなたが実際に幻想と述べています。―投稿者：プラダバッグ 　2014年5月10日　（イタリア）●おかげで、参考情報！―投稿者：ミュウミュウバッグランキング　（イタリア）●ファンタスティックフォーラムの投稿、よろしく！―|投稿者：ヴィヴィアンウエストウッド通販 （英国）●うわーかなり多くの優れたアドバイス。―投稿者: フルラ レディース 　2014年３月9日●ありがとうございます、十分な資料！―投稿者：ボッテガヴェネタ長財布レディース　2014年5月28日　（イタリア）●乾杯。私はこれを楽しみます。―投稿者：クロエ 　2014年5月29日　（アメリカ）●あなたは素晴らしく報告しました！―投稿者：ケイトスペード 　2014年5月29 日 （アメリカ）●どうもありがとう。多くの資料。―投稿者： シャネル バッグ 白 　 2014年3 月18日 　（フランス）●真実をよく説明された。―投稿者: シャネル バッグ 2014年5月9日 （フランス） ●極上の記事でそれを感謝します！―投稿者：コーチバッグメンズ　（アメリカ）●多くの情報をありがとうございます。―投稿者：コーチバッグ新作（アメリカ）●これがうまく言われています！。―投稿者：ビクトリアシークレット通販　2014年5月10日　　（アメリカ）●素敵な、本当の話。！―投稿者：サマンサタバサ財布人気 　2014年5月13日 （アメリカ）●かなり多くの事実をありがとうございます。―投稿者：トリーバーチ　2014年3月15日　（アメリカ）●素晴らしい情報、ありがとうございます！―|投稿者： MCMバッグメンズ（韓国）●おかげで、便利な資料！―投稿者：ティファニー婚約指輪|　（アメリカ）●どうもありがとう！事実が充実しています！―投稿者：オメガ時計レディースコピー 2014年5月10日 （スイス）●大量のデータを、それを感謝しています―|投稿者：ロレックス時計 2014年5月10日　（スイス）●素晴らしい素材、乾杯。―投稿者：アディダスジャージレディース　2014年5月09日 （ドイツ）●素晴らしい記事、よろしく。―投稿者：アディダスジャージ激安　2014年5月 09日 （ドイツ）●どうもありがとう。充分なライトアップ！―投稿者：ニューバランススニーカーグレー 　2014年5月06日　（アメリカ）　●同僚をアップするのは何か、どのようにすべてがあるのか、あなたはこの記事についての言うことは何が。私の見解では、私の支持において、その実際に驚くばかりである。―投稿者：ニースナイキフリー3.0 V2メンズランニングシューズブラックグリーン　2015年6月29日 （アメリカ）●これがうまく表現されています。―投稿者：靴メリッサ　2014年5月29日　（アメリカ）●ありがとう。私はこれが好きです。―投稿者ナイキ　2014年3月 14日（アメリカ）●乾杯。私はこれを感謝しています。―|投稿者：リーボッククラシック（英国）●非常によく実際を語る！―|投稿者：プーマジャージレディース　 2014年3月15日●よい表現。ありがとうございます。―投稿者： プーマ スニーカー メンズ | 2014年3月,28日　（アメリカ）●優れた事実のアメージングすべての種類！―投稿者：マイケルコースアウトレット　2014年5月13日 （アメリカ）●うわーかなり多くの有益な助言―投稿者：マークジェイコブス時計店舗 2014年5月15日　（アメリカ）●あなたが実際に完全にこれを説明しました！―投稿者：ガガ時計メンズ　2014年6月7日 （アメリカ）　このように筆者の「客業生産」論に対して多数の大変好意的コメントを頂きましたが、こんなに関心を持って頂き、これらのコメントを励みとして、今後の論説を深めていきたいと思っています。

  2016年09月23日

• 13日の日記

  「インダストリー4.0」の理論的源流「客業生産論」に対する海外からの反響筆者のココログ（Niftyのウェブサイト）の中のウェブログ「経済工学リサーチのウェブログ・河内　保二の客業生産論」http://e2kawauchi.air-nifty.com/e2research/2012/06/post-b0cb.htmlに海外の関心を集め、これに対するコメントの投稿が世界各国（米、カナダ、英、独、仏、伊、ベルギー、スイス、スペイン、オーストリア、デンマーク、ポーランド、ブルガリア、ロシア、印、インドネシア、豪、タイ、ベトナム、カンボジア、香港、台湾、中国、韓国など24カ国）から１１００通超にも達して、筆者も驚くと共に賞賛と感謝の意が添えられていて誠に欣快の至りである。ここにコメントのほんの一部であるが和訳を見て頂きたい。「客業生産論に対する海外の反響」が好意的であることを知ることができる。　　　　　客業生産論のブログへのへの海外からのコメント　　　●あなたは非常に熟練したブロガーであり、これは、非常に興味深いです。私はあなたのRSSフィードに加入し、あなたの素晴らしい発表の多くを求めることを楽しみにしています。また、私は自分のソーシャルネットワークであなたのウェブサイトを共有しました！―投稿者：FIN419全コース（アメリカ大学）●魅惑的な議論は間違いなく価値があるコメントです。私はあなたがこの主題についての詳細を書くべきだ、それはタブーの問題ではないかもしれないが、一般的に人々はそのような対象については議論しません。次へ！ ご多幸を祈る ！！―投稿者： www.copperchase.co.uk/ats/messaging.php　2015年1月28日（英国）●うわーそれは奇妙でした。私は本当に長いコメントを書きましたが、私のコメントを提のクリックした後、表示されませんでした。ガルルル...私は再びすべてのことを書いていません。とにかく、ちょうど素晴らしいブログだと言いたかったのです！―投稿者：Csの碁ハック 　2015年５月18日（アメリカ）●あなたが実際にあなたのプレゼンテーションがそう簡単に見えるようにされましたが、私はこのトピックでは、私は理解しないだろうと私は思うものであることが本当にわかりました。それは私にとってあまりにも複雑で、非常に広大だと思われます。私はあなたの次の 書き込みに対して楽しみにしており、私はそれのこつを取得しようとします！― 投稿者：Rosella 2015年1月22日　　（アメリカ）●素晴らしい発表をして頂きありがとうございます！私は実際にそれを読んで楽しんで、あなたは偉大な作者であるということができます。私はあなたのブログを確かにブックマークし、将来的に屡々、戻って来ます。私は、あなたが、あなたの偉大な発表を続けることを奨励したいです。素敵な夜をお過ごし下さい！―投稿者：シボレー（アメリカ）●あなたがここに持っている素晴らしいウェブサイト、私はあなたがこの記事での話について、同じトピックをカバーする何らかののメッセージボードを知っておられたかどうかを知りたい？と思ったのです。私は本当に私が同じ興味を共有する他の経験豊富な方からの回答を得ることができるグループの一員になりたいです。あなたが唯一の推奨事項をお持ちでしたら、私に知らせてください。お大事に―投稿者:Ford Fiesta RS Turbo （アメリカ）●こんにちは、Google経由で自分のブログにアラートさせ、あなたのブログは本当に有益だということが分かりました。私はブリュッセルの立場で注意するつもりです。あなたが将来的にこれを続ける場合には、私は感謝するでしょう。数多くの人々があなたの文章から利益を得ることになります。 乾杯！―投稿者： somatodrol funciona （ ベルギー）●ファンタスティック勝者！私はあなた があなたのサイトを修正する間、私は見習いたく、ブログのウェブサイトに加入できますか？アカウントは私に適切な取引を助けました。私はあなたの明るい明確なコンセプトを提供したこのブロードキャストで少しは知りました。―投稿者：ドラ 2015年3月14日（スペイン）●このウェブサイトを教えてくれた私の仲間から、このウェブサイトを知って、私は今この時間、私はこのウェブサイトを訪問し、この場所で非常に有益な記事を読んでいます。―投稿者：best weight loss exercise programme | 2015年10月7日　（アメリカ）●うわー、非常に良好な多くのデータ！―投稿者：ルイヴィトン（フランス）●真剣に貴重な多量のヒント！―投稿者：エルメス（スイス）●あなたが実際にこの素晴らしさを報告しました！―投稿者：ブルガリ（イタリア） ●おかげで、参考情報！―投稿者：ミュウミュウバッグランキング（イタリア）●なんとたくさんの優れた記事。―投稿者：グッチ財布リボン（イタリア）●おかげで、便利な資料！―投稿者：ティファニー婚約指輪|（アメリカ）●極上の記事でそれを感謝します！―投稿者：COACHバッグメンズ　（アメリカ）●乾杯。私はこれを感謝しています。―投稿者：リーボッククラシック（英国）●ファンタスティックフォーラムの投稿、よろしく！―投稿者：ヴィヴィアンウエストウッド通販 （英国）●素晴らしい情報、ありがとうございます！―投稿者： MCMバッグメンズ（韓国）●このウェブサイトは間違いなく私はこのテーマについて必要なそして誰に質問するか分からなかったすべての情報を持っています。―投稿者：白い年次花の写真 2015年2月6日PM韓国Sogang大学）●こんにちは、非常にクールなウェブサイトだ！極上のガイ..美しい....私はあなたのサイトをブックマークし、さらにフィードを取りますよ？私は提出内のまさにここで非常に多くの有用な情報を見つけて満足している私たちは、この点で余分な戦略を策定する必要があるかどうか。共有していただきありがとうございます。―投稿者：|проверкапозицийсайтавяндексе （ロシア）●こんにちは、この素晴らしい段落を読んだ後、私は同僚と一緒にここに私は親しみを共有大変陽気です。― 投稿者：ドブラDIETA AMに2015年５月28日、 （ポーランド）●私は最新と以前の技術の類似性に関してこの段落を完全に読み取ります。それは素晴らしい記事だ。―投稿者：http://agenbola.asia （香港）●このWebページは、すべてのブログ閲覧者の中で、良い記事だから非常に急速に有名になります。―投稿者：ニュース　（タイ）●これは、すべてのWeb訪問者のための書き込みの驚くべき作品です。彼らは、そこから利益を得ることがでると私は確信してます。―投稿者： garciniacambogia.la （カンボジア）●ハウディ、私は時々あなたのブログを読んで、私は同様のものを所有し、あなたがスパムコメントの多くを受けたのではないか？と私は思っていました。もしそうなら、あなたはどのようにそれに対して防護されましたか、あるいは、、任意のプラグインか何かあなたは示唆することができますか？。私は最近、私を狂わせるような非常に多くを学んで、それで任意のサポートは非常に高く評価されます。 ―投稿者：M88　2015年4月5日 （中国） ●今日ほとんどのウェブサイトは、サイト自体にいくつかの認証または許可を示します。仕事の独立した管理があなたの後ろにより多く設定します。この記事では、5つの潜在的なホームビジネスの仕事の機会を提示しました。―投稿者： https://Visual.ly/users/designerslondon 2015年1月19日 （アメリカ） ●私はそれが私にとって最も重要な情報の一つであると感じます。そして私はあなたの記事を勉強してうれしいです。まさに仕事：しかし、いくつかの通常のものにコメントしたくて、サイトの味が理想的であり、記事は本当に素晴らしいです。乾杯―投稿者 http://www.wattpad.com/78708186-acc-305-week-3-p7-14-page-389-el-gato-painting 2014年12月26日　（アメリカ）● 通常、私はブログ上の記事を読んでいない、しかし私はこの書き込みアップは非常に私をしようさせ、そうすることを余儀なくしていることを言いたいです！あなたの文章の味が私を驚かせてきました。おかげで、非常に偉大な記事に感謝。―投稿者：電話パーvoyance 2014年2月3日 （アメリカ）●このウェブサイトでこの投稿についての対話は、私はすべてのことを読んでいるので、今の私もここにコメント。|私はこの段落は、すべてのインターネットの訪問者、新しいブログを構築する上での本当に良い段落に触れたことを確認しています。|うわー、この記事では、私の妹は、したがって、私は彼女を知っているつもりですが、これらの気難しい事を分析しています。|ブックマークさ!!、私はあなたのブログが好きです！|ウェイクール！いくつかの非常に有効なポイント！私はあなたに感謝します　英国の本物のUGGのブーツ   ―投稿者：|イギリスの本物のUGGブーツ　2013年12月10日  （英国）●より長期のためにいくつかの計画を立てるのに最適な時間であり、それは幸せな時間です。私はこの発表を学んで、私はできれば、私はあなたにいくつかの魅力的なものやヒントをお勧めすることを望むたいです。たぶん、あなたはこの記事についての次の記事を書くでしよう。私はそれについてより多くのものを読みたいです！―投稿者：| Mi40無料 2013年12月4日  （アメリカ）●こんにちは。あなたに迷惑を掛けて申し訳ありませんが、私はあなたのウェブサイトに出くわしました、あなたは私とまったく同じテンプレートを使用することが起こることを発見しました。唯一の問題は私のウェブサイト上で、私はあなたのように見えるスタイルとデザインを得るために戦っています。私はこれが考え出し得ることができるのであなたは、kamivesely@zoho.com：で私に連絡をいただけませんか。ちなみに私はあなたのサイト：http://e2kawauchi.air-nifty.com/e2research/2012/06/post-b0cb.htmlをブックマークし、確かに頻繁に訪問します。感謝します！―投稿者：2015 Mustang Supercharger | 2014年3月22日（アメリカ・フォード自動車）●私は3つの完全に別のブラウザでサイトをロードしています。私はこのウェブサイトはより速く、次に最も多くをロードすると言わなければなりません。あなたは電子メールで私にあなたのウェブサイトのホスティング会社の名前を送信されることを気に掛けて下さいますか？私の個人的な電子メールをお知らせします。ご希望の場合は、私もあなたのアフィリエイトリンクを介してサインアップします。 ありがとうございました。―投稿者：変換レシピのPDFファイル 2014年1月1日　（ドイツ）● スウィートブログ！ ヤフーニュースで閲覧中に、私はそれを見つけました。あなたはヤフーニュースに記載されるよえにする方法上の任意の提案はありますか？私はしばらくの間そうしようとしてきたが、私はそこに着くように見えることはありませんでした！ ありがとうございました。―投稿者： F150のEcoBoost排気 2013年12月23日　（アメリカ・フォード自動車）

  2016年09月13日

• 10日の日記

  我が国ものづくりの様変わり…客業生産に向かうか？（記事更新追加）　我が国はかっては工業大国といわれた。現在も「ものづくり大国」だと思っている人は少なくない。しかし、我が国のものづくりの代表である電機業界は、ソニーもパナソニックもシャープも大赤字となり、特にテレビ事業が厳しく、東芝はテレビ事業から撤退すると発表した。そして、欧州危機を背景にした円高（1=77円台）進行は輸出製造業に深刻な影響を及ぼし、自動車各社では１円円高で850億円減益となるということである。　日本自動車工業会豊田章男会長（トヨタ自動車社長）は2012年6月4日の記者会見で「この超円高の状態が続けば日本の製造業は崩壊する」と改めて危機感を表明したと、次のように伝えた。最近の円高については「この超円高下では理屈で言えば日本でものづくりを続けることはあり得ない」と強調、その上で「もうかればいいという考えで100万台の国内生産を海外に移管したら一瞬にして20万人の雇用が失われる」とし、「自動車産業の影響力の大きさを知っているからこそ、石にすがりついても国内生産を維持している」と話し、政府に自動車産業を軸にした製造業強化の取り組みを訴えたと報じた。自動車産業も政府の強化策を要する時代となっている。 ものづくりを懸命に頑張っても、ワーキングプアーとなるだけでは、ものづくりは崩壊する。どうしてこういうことになったのか。ものづくりの経緯について見ることが、その理由を考えるのに役立つだろう。筆者は客業生産でないものづくりは厳しくなるばかりと思って、事態を憂慮している。工業の今、昔： 経産省「日本の工業」をベースに、筆者が加筆したもの●約86年前（1930年代頃）は、繊維工業が盛ん。●約60年から46年前（1950年代半ば～1970年代前半）は、重化学工業が発展。高度成長時代といわれた。●約46年前（1970年代）は、工業の中心は重化学工業などの重厚長大型工業から軽薄短小型工業の組立加工型工業（機械工業）に変わっていった。1973年アメリカのダニエル・ベルは「脱工業社会の到来」を刊行。ダニエル・ベルの言う『脱工業化社会』とは、物理的な生産物（物的な財）に対する需要が減少して、知識的な生産物（知的な財）に対する需要が増加している知識社会（情報社会）のことである。●約36年前（1980年代）は、円高の進行で日本の工場は海外へ移転し、日本の工業が将来衰退するという不安が生まれ、産業の空洞化が問題となる。1985年に堺屋太一は「知価革命」を刊行し、工業社会が終わると説いた。1990年頃、工業製品はコモディティ化による価格崩壊が始まった。1993年アメリカのマイケル・ハマーは著書「リエンジニアリング革命」を刊行。脱コンベアの動きが起こった。1995年頃より「工業生産」の代わりに「ものづくり」と称するようになった。1998年筆者は「工業生産（Industry Production）」ではなく、「客業生産（Ordustry Orduction）」であるべきだと提唱。（注記：Ordustry Orductionは2004年に造語したもの）●約]6年前（2000年代）は、組立加工型の機械工業が発達し、自動車や半導体・電子部品の生産が盛ん。2001年4月、ものづくり大学開学。2002年より経産省は毎年「ものづくり白書」を発表するようになった。2002年5月、筆者はアパレルビジネスマガジン誌に「常識守って消滅？　常識破って新生！　縫製品製造業が問われる存続」と題して寄稿し、その中で客業個産という常識破りを説いた。日本の縫製業界はどう進むべきかについて私見29項として示した。2004年5月、「客業生産（Ordustry）」に関する理論を説く河内保二著書「チェックリストによる少量・短納期生産モデル縫製工場ガイド」（繊維流通研究会刊）を出版した。2004年12 月、EU 衣服・繊維協会（EURATEX）は、EU 繊維・衣服産業2020 年ビジョンにおいて、量産脱却、コモディティ化克服のカスタマイズド・マニュファクチャリングのコンセプトを示した。2005年7月、EUで「工業生産」から「カスタマイゼーションのものづくり」を目指す開発プロジェクトを発表。2005年11月、経産省は「ものづくり国家ビジョン」を公表。従来の工業としての製造パラダイムから「ものづくりパラダイム」への転換を求めるもので、そこには新たな価値創造が目指され、サステナブルであるため「物質負荷・人間負荷」をかけず、顧客・消費者の満足を高めることにより実現を図ると提言している。プレジデント誌2006年5.15号で東京大学大学院経済学研究科　藤本隆宏教授は、ものづくりは「擦り合わせ・インテグラル型」の日本、「組み合わせ・モジュール型」のアメリカと論じた。2008年9月ユニクロを展開するファーストリテイリング社は同社の経営理念「FR WAY」を発表し、その中心的ステートメントを「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」とした。この理念を読んで、その内容が筆者が提唱する客業生産の理念（特に2002年5月発表の内容）とよく一致していることに気づかされ、心強いものを感じた。2009年9月１日、消費者庁発足。2010年5月１日、日銀西村清彦副総裁は日本のものづくりは「組み合わせ型」でなく「摺り合わせ型」でと講演した。2011年 ドイツでは（正確には2011年のハノーファー・メッセの見本市では）、「インダストリー4.0」、すなわち第4の産業革命のコンセプトが生まれている。2011年6月17日、ものづくりが「摺り合わせ型」から「組み合わせ型」に変わっていくと、中ノ森清訓氏は記した。2012年は、工業生産が長期に減少を続けており、半導体工業や液晶テレビ工業が大赤字となり、自動車も楽観を許さない状態となった。2012年4月、野口悠紀雄早大ファイナンス総合研究所顧問は著書「製造業が日本を滅ぼす」（ダイヤモンド社刊）を発行し、円安・輸出頼みを捨て、新たな成長モデル（付加価値の高いサービス産業）を確立せよと説いた。いまや製造業の国内総生産(GDP)比率は25%を切り、7割強は広義のサービス産業が占める。日本はサービスで動いている国なのだと論じられている。そしてものづくりは、テレビ事業で「摺り合わせ型」の垂直統合モデルは敗北したのであると結論している。三菱重工業大宮英明社長は5月2日、ものづくり再生に関して、コモディティ化を超えて独創性、使い勝手で活路と語った。5月7日には、自動車業界のものづくりについて、特に電気自動車時代を目前にして、「組み合わせ型」への転換が進められていると、フリージャーナリスト井上久男氏は「トヨタの革新は本物か」と題して報じた。そして、モジュール化大競争時代到来すと説くのは、モノづくり経営研究所イマジン　日野三十四代表。2011年に独フォルクスワーゲン（VW）が世界第2位に躍進した要因はモジュラー・ツールキット戦略であり、VWは2018年に世界一になると宣言した。それ以降、トヨタ自動車がトヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー（TNGA）、日産自動車が「日産CMF」（CMFはコモン・モジュール・ファミリー）を相次いで発表し、モジュール化の流れに追随した。擦り合わせ型製品の代表といわれた自動車が急速にモジュラー型製品になろうとしている。電機、産機、素材、化学などの一般の製品にもモジュール化競争の時代が到来する。6月5日公表された2012年版ものづくり白書で、政府がものづくり基盤技術の振興に関して講じた施策に関して報告し、日本のものづくりはモジュール型への対応を強く求められていると記している。2013年は、アベノミクスの初年度であり、TPP交渉に関心が集まった。2013年４月にドイツが国を挙げたプロジェクトとして「インダストリー4.0」を提唱したもので、第４次産業革命とも呼ばれる。ドイツ政府が2013年に「インダストリー4.0」、すなわち「第4の産業革命」を推進するという構想をぶち上げたことで、世界的注目を集めた。2013年ものづくり白書では、貿易赤字が拡大する中で、「輸出を支えるための国内生産基盤の維持」や、グローバルニッチトップ企業やベンチャー企業等の「新しい輸出の担い手の育成」、さらには、「グローバル需要の取り込み、経常収支維持のための海外収益還元促進」等といった課題と今後の方向性について記述した。2014年はアベノミクス2年目となり、成長戦略に関心が向けられた。2014年ものづくり白書では、 IoT（Internet of Things）の進展により、ものづくり産業も大きな変革を遂げている中、製造業の新たなビジネスモデルへの対応は重要な課題となっているとし、インダストリー4.0 等の各国の動きも見据え、我が国ものづくり産業の今後の方向性を検討した。2015年は、成長戦略どこへ行ったか―働き方改革に注目。格差拡大が指摘される。インダストリー4.0への記事が出始める。2015年ものづくり白書では、付加価値が「もの」そのものから、「サービス」「ソリューション」へと移る中、ものづくり企業には、市場変化に応じていち早く経営革新を進め、ものづくりを通じて価値づくりを進める「ものづくり＋企業」となること等について分析が行われた。●本年（2016年）４月２８日、経済産業省は、ドイツ経済エネルギー省との間で、IoT/インダストリー4.0協力に係る共同声明への署名を行った。今後、この共同声明に基づき、IoT/インダストリー4.0に関する様々な課題の解決に向けて、日独両国間で連携して行く。2016年ものづくり白書では、我が国製造業の状況、ＩｏＴやビッグデータ、ＡＩを始めとする第４次産業革命に対応する日本企業の状況や国内強靭化に対する取組、市場の変化に応じて経営革新を進め始めた製造企業の状況等について述べている。インダストリー4.0は、日独の協力も盛んで、2017年にハノーファーで開催される国際情報通信技術見本市「CeBIT」では、パートナーカントリーとして日本が指名された。　日本ではいまだに「ものづくりの国」という通念が定着している。日本は、「ものづくりに強い国」ではあっても、もはや「ものづくりの国」とは言えないことは、新興国の追い上げ、円高基調、空洞化等の現実から、明らかであると論じられている。工業の生産はあくまで顧客のために行われるわけで、生産は「客業（Oedustry）」なのであり、コモディティ化の毒を防ぎ、量産・量廃の害をなくすために「個産」とすることが迫られていると筆者は考えている。

  2016年09月10日

• 6日の日記

  . 本日、ウィキペディアの「インダストリー4.0」の項目に次のように加筆投稿した Today, I was retouched posted in the item "Industry 4.0" of Wikipedia in the following manne。 ◆◆ Theoretical headwaters of Industry 4.0 is a "Kyakugyo production"（Ordustry） theory ◆◆ "By check list a small amount and short delivery time production model garment factory Practical Guide", (Textile Distribution Study Group published) Yasuji Kawachi's book , published in 2004 May 10, in this the chapter 13 "Challenge Guide of individual production model Kyakugyo(Ordustry)" is described and has a theoretical source of Industry 4.0. The book in both countries language also shown during the day, the production theory Appendices of the book are accompanied by materials that are the theory basis. The book, released in Japan and China, has been of particular interest in China. Is Kyakugyo production to stop the mass production of the industry is that of customization to be made-to-order, rather than the industry by the authors, Kyakugyo and naming of, coined the "ORDUSTRY", as a model should be productive in the 21st century a proposed theoretical. The idea is transmitted to the EU textile and apparel industry from China, is incorporated in the following manner to the 2020 vision of EURATEX (EU textile and apparel Industry Association) in December of the same year, it was announced. Under the heading of "the EU to customize production to escape the commodity", industrial production of "anything mass-produced," "at any time mass production" of the 20th century, and to lead to low value-called commoditization of industrial products, Because of the departure of the commoditization of textiles and garment products, aims to product differentiation, abolished the mass production（Ending the era of mass manufacture), it was preached and promote the transformation of customization. This is exactly the concept and the 2020 vision of the same considered of "Kyakugyo production". The idea to transform the production and from the mass production is a temporary demand of prospects to the customization of the actual demand is, then, it has come to be taken up as a development project positioned as the fourth industrial revolution of the German government in 2011 "Industry 4.0". (For more information about the Kyakugyo production, you can browse and search for "Odustry")

  2016年09月06日

• 5日の日記

  ブログのへコメント筆者のココログの中のウェブサイト「経済工学リサーチのウェブログ・河内　保の客業生産論」に海外の関心を集め、これに対するコメントの投稿が約千通にも達して、筆者も驚くと共に誠に欣快の至りである。ここにコメントの一部であるが和訳と原文と見て頂きたい。こんにちは！私は、あなたの次のようなブログサイトを設定することを知ることに興味がありました：http://e2kawauchi.air-nifty.com/e2research/2012/06/post-b0cb.htmlが未熟な人のために行うのは難しいです：私は今、しばらくの間、自分のブログを作成したいと思ってきたが、私はいつもそれが沢山の仕事を必要と仮定してきた主な理由でオフになっています。 どう思いますか？ ありがと うございました投稿者：Somanabolicマッスルマキシマイザー| 8：23 PMに2014年4月4日You have made your position quite well.!Posted by: parker ボールペン | March 17, 2014 at 05:15 PMあなたは非常によく自分の位置を得ました。！|パーカーボールペン投稿者： 5時15分PMに2014年3月17日You said it very well.!Posted by: エルメス バッグ | March 17, 2014 at 07:46 PMあなたは非常によくそれを言いました。！|エルメスバッグ投稿者： 7：46 PMに2014年3月17日Thanks, Useful stuff!Posted by: Tiffany 婚約指輪 | March 17, 2014 at 11:54 PMおかげで、便利なもの！投稿者：ティファニー婚約指輪| 23:54に2014年3月17日You actually revealed it effectively.Posted by: TOMS 靴 | March 18, 2014 at 12:55 AMあなたが実際に効果的にそれを明らかにしました。投稿者：TOMS靴| 0:55で2014年3月18日Excellent content, Many thanks.Posted by: コーチ メンズ 財布 | March 18, 2014 at 02:28 AM優れたコンテンツ、感謝します。投稿者：コーチメンズ財布| 2時28分AMに2014年3月18日Whoa lots of superb material.Posted by: グッチ 財布 リボン | March 18, 2014 at 02:59 AM優れた材料のおっとたくさん。|グッチ財布リボン投稿者： 2：59 AMで2014年3月18日Its not my first time to go to see this site, i am visiting this web page dailly and get fastidious facts from here daily.Posted by: Green Coffee bean extract | March 18, 2014 at 03:03 AMこのサイトを見に行くために、私の最初の時間ではないが、私は、このWebページを毎日訪問し、毎日ここから細心の注意を払った事実を取得しています。投稿者：グリーンコーヒー豆エキス| 3時03分AMに2014年3月18日Wow many of very good data!Posted by: ルイ ヴィトン 長財布 | March 18, 2014 at 05:57 AMうわー、非常に良好な多くのデータ！投稿者：ルイヴィトン長財布|午前5時57分AMに2014年3月18日Well spoken without a doubt. !Posted by: 時計 コピー 激安 | March 18, 2014 at 05:58 AMまあ間違いない話！投稿者：時計コピー激安| 5時58 AMで2014年3月18日Fine stuff Cheers.Posted by: ガがミラノ時計 レディース | March 18, 2014 at 08:20 AMファインスタッフ乾杯。投稿者：ガがミラノ時計レディース| 8時20分AMに2014年3月18日Thanks, I like this.Posted by: MCM バッグ | March 18, 2014 at 09:04 AMおかげで、私はこれが好き。投稿者：MCMバッグ| 9時04分AMに2014年3月18日Thank you! 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  2016年09月05日

• 3日の日記

  筆者のプログの一つに「ココログ」に置いた「経済工学リサーチのウェブログ」（http://plaza.rakuten.co.jp/kawauchi75/diary/2xxx-xxx-xxxxx/）があるが、「我が国ものづくりの様変わり…客業生産に向かうか？」と題するプログ（June 07, 2012 in 客業生産論）は、次の ような内容である。このブログに対して、何と世界中から約千通のコメントが寄せられ、このブログが大変好意的に受け容れられ、プログに対する感謝と賞賛を頂いて、身に余る光栄に感じている。　1）プログの内容 客業生産コンセプトが産業政策へ | Main我が国ものづくりの様変わり…客業生産に向かうか？　我が国はかっては工業大国といわれた。現在も「ものづくり大国」だと思っている人は少なくない。しかし、我が国のものづくりの代表である電機業界は、ソニーもパナソニックもシャープも大赤字となり、特にテレビ事業が厳しく、東芝はテレビ事業から撤退すると発表した。そして、欧州危機を背景にした円高（1=77円台）進行は輸出製造業に深刻な影響を及ぼし、自動車各社では１円円高で850億円減益となるということである。　日本自動車工業会豊田章男会長（トヨタ自動車社長）は2012年6月4日の記者会見で「この超円高の状態が続けば日本の製造業は崩壊する」と改めて危機感を表明したと、次のように伝えた。最近の円高については「この超円高下では理屈で言えば日本でものづくりを続けることはあり得ない」と強調、その上で「もうかればいいという考えで100万台の国内生産を海外に移管したら一瞬にして20万人の雇用が失われる」とし、「自動車産業の影響力の大きさを知っているからこそ、石にすがりついても国内生産を維持している」と話し、政府に自動車産業を軸にした製造業強化の取り組みを訴えたと報じた。自動車産業も政府の強化策を要する時代となっている。 ものづくりを懸命に頑張っても、ワーキングプアーとなるだけでは、ものづくりは崩壊する。どうしてこういうことになったのか。ものづくりの経緯について見ることが、その理由を考えるのに役立つだろう。筆者は客業生産でないものづくりは厳しくなるばかりと思って、事態を憂慮している。工業の今、昔 経産省「日本の工業」をベースに、筆者が加筆したもの●約80年前（1930年代頃）は、繊維工業が盛ん。●約60年から40年前（1950年代半ば～1970年代前半）は、重化学工業が発展。高度成長時代といわれた。●約40年前（1970年代）は、工業の中心は重化学工業などの重厚長大型工業から軽薄短小型工業の組立加工型工業（機械工業）に変わっていった。1973年アメリカのダニエル・ベルは「脱工業社会の到来」を刊行。ダニエル・ベルの言う『脱工業化社会』とは、物理的な生産物（物的な財）に対する需要が減少して、知識的な生産物（知的な財）に対する需要が増加している知識社会（情報社会）のことである。●約30年前（1980年代）は、円高の進行で日本の工場は海外へ移転し、日本の工業が将来衰退するという不安が生まれ、産業の空洞化が問題となる。1985年に堺屋太一は「知価革命」を刊行し、工業社会が終わると説いた。1990年頃、工業製品はコモディティ化による価格崩壊が始まった。1993年アメリカのマイケル・ハマーは著書「リエンジニアリング革命」を刊行。脱コンベアの動きが起こった。1995年頃より「工業生産」の代わりに「ものづくり」と称するようになった。1998年筆者は「工業生産」ではなく、「客業生産」であるべきだと提唱。●約]0年前（2000年代）は、組立加工型の機械工業が発達し、自動車や半導体・電子部品の生産が盛ん。2001年4月、ものづくり大学開学。2002年より経産省は毎年「ものづくり白書」を発表するようになった。2002年5月、筆者はアパレルビジネスマガジン誌に「常識守って消滅？　常識破って新生！　縫製品製造業が問われる存続」と題して寄稿し、その中で客業個産という常識破りを説いた。日本の縫製業界はどう進むべきかについて私見29項として示した。2004年12 月、EU 衣服・繊維協会（EURATEX）は、EU 繊維・衣服産業2020 年ビジョンにおいて、量産脱却、コモディティ化克服のカスタマイズド・マニュファクチャリングのコンセプトを示した。2005年7月、EUで「工業生産」から「カスタマイゼーションのものづくり」を目指す開発プロジェクトを発表。2005年11月、経産省は「ものづくり国家ビジョン」を公表。従来の工業としての製造パラダイムから「ものづくりパラダイム」への転換を求めるもので、そこには新たな価値創造が目指され、サステナブルであるため「物質負荷・人間負荷」をかけず、顧客・消費者の満足を高めることにより実現を図ると提言している。プレジデント誌2006年5.15号で東京大学大学院経済学研究科　藤本隆宏教授は、ものづくりは「擦り合わせ・インテグラル型」の日本、「組み合わせ・モジュール型」のアメリカと論じた。2008年9月ユニクロを展開するファーストリテイリング社は同社の経営理念「FR WAY」を発表し、その中心的ステートメントを「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」とした。この理念を読んで、その内容が筆者が提唱する客業生産の理念（特に2002年5月発表の内容）とよく一致していることに気づかされ、心強いものを感じた。2009年9月１日、消費者庁発足。2010年5月１日、日銀西村清彦副総裁は日本のものづくりは「組み合わせ型」でなく「摺り合わせ型」でと講演した。2011年6月17日、ものづくりが「摺り合わせ型」から「組み合わせ型」に変わっていくと、中ノ森清訓氏は記した。●現在（2012年）は、工業生産が長期に減少を続けており、半導体工業や液晶テレビ工業が大赤字となり、自動車も楽観を許さない状態となった。2012年4月、野口悠紀雄早大ファイナンス総合研究所顧問は著書「製造業が日本を滅ぼす」（ダイヤモンド社刊）を発行し、円安・輸出頼みを捨て、新たな成長モデル（付加価値の高いサービス産業）を確立せよと説いた。いまや製造業の国内総生産(GDP)比率は25%を切り、7割強は広義のサービス産業が占める。日本はサービスで動いている国なのだと論じられている。そしてものづくりは、テレビ事業で「摺り合わせ型」の垂直統合モデルは敗北したのであると結論している。三菱重工業大宮英明社長は5月2日、ものづくり再生に関して、コモディティ化を超えて独創性、使い勝手で活路と語った。5月7日には、自動車業界のものづくりについて、特に電気自動車時代を目前にして、「組み合わせ型」への転換が進められていると、フリージャーナリスト井上久男氏は「トヨタの革新は本物か」と題して報じた。そして、モジュール化大競争時代到来すと説くのは、モノづくり経営研究所イマジン　日野三十四代表。2011年に独フォルクスワーゲン（VW）が世界第2位に躍進した要因はモジュラー・ツールキット戦略であり、VWは2018年に世界一になると宣言した。それ以降、トヨタ自動車がトヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー（TNGA）、日産自動車が「日産CMF」（CMFはコモン・モジュール・ファミリー）を相次いで発表し、モジュール化の流れに追随した。擦り合わせ型製品の代表といわれた自動車が急速にモジュラー型製品になろうとしている。電機、産機、素材、化学などの一般の製品にもモジュール化競争の時代が到来する。6月5日公表された2012年版ものづくり白書で、日本のものづくりはモジュール型への対応を強く求められていると記している。　日本ではいまだに「ものづくりの国」という通念が定着している。日本は、「ものづくりに強い国」ではあっても、もはや「ものづくりの国」とほ言えないことは、新興国の追い上げ、円高基調、空洞化等の現実から、明らかであると論じられている。工業の生産はあくまで顧客のために行われるわけで、生産は「客業」なのであり、コモディティ化の毒を防ぎ、量産・量廃の害をなくすために「個産」とすることが迫られていると筆者は考えている。 June 07, 2012 in 客業生産論 | Permalink　このブログの内容に関して、次のように約千通のコメントが寄せられた。その中からいくつかのコメントを原文に和訳を添えて紹介する。Comments Woah! I'm really enjoying the template/theme of this blog. It's simple,yet effective. A lot of times it's very hard to get that "perfect balance"between user friendliness and visual appeal. I must say that you've done avery good job with this. Additionally, the blog loads super fast for me onFirefox. Excellent Blog!Posted by: the tao of badass pdf | October 30, 2013 at 01:58 AM すごい迫力！私は本当にこのブログのテンプレート/テーマを楽しんでいます。それは、シンプルでありながら効果的です。多くの時間は、それは、使いやすさと視覚的な魅力の間では、 "完璧なバランス」を得ることは非常に難しいです。私はあなたがこれで非常に良い仕事をしてきたと言わなければなりません。また、Firefoxの上で私のための超高速ブログロードされます。優れたブログ！|ワルPDFファイルのタオ投稿者： 1：58 AMで2013年10月30日hey there and thank you for your information - I have definitely picked upsomething new from right here. I did however expertise several technicalissues using this web site, since I experienced to reload the web site a lotof times previous to I could get it to load correctly. I had been wonderingif your web host is OK? 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  2016年09月03日

• 31日の日記

  本日、ウィキベディアの「インダストリー4.0」の項目に次のように加筆投稿した。◆◆インダストリー4.0の理論的源流は「客業生産」理論である◆◆      2004年5月10日 出版の河内保二著「チェックリストによる少量・短納期生産モデル縫製工場実践ガイド」（繊維流通研究会刊）の第13章に「客業個産モデルへの挑戦ガイド」として述べられている内容が、インダストリー4.0の理論的源流となっている。   同書は日中両国語併記で、同書の生産理論資料編にはその理論根拠となる資料が添えられている。同書は、日中両国で発売され、特に中国で関心を持たれた。 客業生産は工業の大量生産を止めて、オーダーメードとするカスタマイゼーションのことであり、著者により工業でなく、客業と命名さ、"ORDUSTRY" と造語され、21世紀の生産のあるべきモデルとして提唱された理論である。   この考え方は中国からEUの繊維・アパレル業界に伝わり、同年12月にEURATEX（EU繊維・アパレル産業協会）の2020年ビジョンに次のように取り入れられて、発表された。「ＥUはコモディティを脱出してカスタマイズの生産へ」の見出しで、20世紀の「何でも量産」「何時でも量産」という工業生産は、工業製品のコモディティ化という低価値化を招来するとし、繊維・衣服製品のコモディティ化の脱却のため、製品差別化を図り、大量生産を廃止して、カスタマイゼーションヘの転換を進めると説いたのである。   これはまさに「客業生産」の考え方と同考の2020年ビジョンである。生産を見込みの仮需である大量生産から実需のカスタマイゼーションへと変革する考え方は、その後、2011年にドイツ政府の第4次産業革命と位置づける開発プロジェクト「インダストリー4.0」として取り上げられるに至っている。（客業生産の詳細については、「客業生産」と検索して閲覧できます）

  2016年08月31日

• 26日の日記

  北陸日本海沿岸旅情雀飛ぶ　浜は日暮れて　日本海　　　　 土筆海ないで　沖に見せたる　蜃気楼　　　　土筆荒波や　竜巻立ちし　沖の空　　　　　　土筆野分けして　岩に砕ける　波白く　　　　 土筆朝日差し　波光りたる　水晶浜 　　　　土筆

  2016年08月26日

• 10日の日記

  繊維・衣服製造業の衰退と再建策 経産省は6月17日、製造産業局の組織を再編し、繊維・アパレル製品や服飾品、日用品、インテリア製品、住宅・建材などの消費者向け分野において、生活の質の向上を求める国内外の消費者に対して訴求力を高めることにより、競争力のある産業を創出していく観点から、企業間連携の促進や商取引慣行の改善、新市場の創出などの業種横断的な政策を講じて行くべく、生活製品課を新設しますと、発表した。（繊維工業の内、炭素繊維については素材産業課に移管。） その昔、繊維の名前を付けた局から繊維名の課に再編され、そして今回は生活製品課に所属することになり、産業の変遷を知らされる。そして繊維・衣服製造業の建て直しが益々迫られている。 筆者は、14年前に「工業生産の行き詰まり―造り過ぎ　量産・廃棄の害」として、次のように論じた。――生産の常識は、コストダウンに大量生産は不可欠であると考えている。しかし、量産の結果は造り過ぎによる売れ残りの莫大な値引き損を引き起こし、その揚げ句、最後には量廃の害を発生させている。量産による地球資源枯渇と量廃による環境破壊の恐怖を前にして、このような生産のあり方は許されなくなっている。1908年に米フォード社の創始者、ヘンリー・フォードが「Ｔ型フォード」を発売して以来、自動車産業のビジネスモデルは世界的に「大量生産・大量消費」を前提に構築されてきたが、約百年を経て、そのモデルが変わろうとしている。20世紀の「大量生産」の常識は覆され、「脱量産」が叫ばれ、そして究極の生産として「個産」へと向かい始めたのである。―― 　その後、この論調に大きな同調者が現れた。2005年12月発表された欧州繊維・衣服協会（EURATEX）の2020年産業ビジョンにおいて、次のように生産は進化すると記したのである。「ＥUはコモディティを脱出してカスクマイズの生産へ」の見出しで、20世紀の「何でも量産」「何時でも量産」という工業生産は、工業製品のコモディティ化という低価値化を招来するとし、繊維・衣服製品のコモディティ化の脱却のために、製品差別化を図り、大量生産を廃止して、カスタマイゼーションヘの転換を進めると説いたのである。これはまさに筆者の「客業生産」の考え方と同考のパートナーの出現であり、心強いものを感じた。生産を見込みの仮需である大量生産から実需のカスタマイゼーションへと変革する考え方は、その後、5年前にドイツ政府の第4次産業革命と位置づける開発プロジェクト「インダストリー4.0」として取り上げられるに至っている。 　そして、今日、中国経済は工業の過剰生産で世界経済をも揺るがしかねない危機状態に陥っている。この危機を脱却する方向は、世界の工場として生産中心であったのを消費中心の「新常態」にシフトすることであり、これは筆者のいう「客業生産」と同考のコンセプトのものである。 　わが国の繊維・アパレル産業もその生産を大量生産から脱却し、カスタマイゼーションとすることが産業の建て直しの道となる。欧州繊維・衣服協会の2020年ビジョンはこの点を明確に示している。わが国の繊維・アパレル産業も産業再建に、この2020年ビジョンを学ぶ必要があるのではないかと思っている。

  2016年08月10日

• 30日の日記

  川開き花火大会に当たり一句　闇一閃　光はねたる　川開き　　　　　　　土筆 自作句評：本句は蕉風の才にあやかって詠んだもので、句の感じがどこか通じるものがあると思っている。 吹きおろす浅間は石の野分哉　 芭蕉 吹き落す石は浅間の野分哉　　 芭蕉 吹き飛ばす石は浅間の野分かな　　 芭蕉 闇の底 切り裂く 鼠花火かな 宮原秋生 闇に生れ 闇に消え去る 花火かな 的地遙 花火果て 人人に闇 のしかかる 山口速 大花火 果て大淀の 闇戻る 高橋照子

  2016年07月30日

• 27日の日記

  　　重ね言葉「くるくる」で一首 来る来ると　来るはずなのに　来る来ると 　　　来る来る知らせ　くるくる変わる　　　　　　　卜水

  2016年07月27日

• 24日の日記

  コモディティ化はものづくりを殺す！！　2016年ものづくり白書が去る5月20日発表された。その「第3節　市場の変化に応じて経営革新を進め始めた製造企業」において、次のように製品のコモディティ化に関しての記載があった。　――顧客が求める機能やスペックの水準を商品機能が超えると、対価に結びつきにくくなることから技術発展の理由がなくなるため進展が鈍るのである。結果として、技術発展のＳ字カーブと顧客ニーズの交点を境にコモディティ化が進み、以後価格競争に陥ることになる。このように、機能的価値だけを追求してものづくりを行っていても、価格競争による利幅低下を招くことになる。そこで、快適な使い心地やデザインといった顧客の主観によって決まり、機能やスペックのように定量化できない価値、「意味的価値」へ付加価値が移っていくのである。 例えば、ブラ ンド品の「ブランド」は意味的価値を象徴する要素である。人によっては高級時計に対し、時刻を表すという機能以上の金銭を支払う。そうした機能的価値との差額部分が、それを保有することで得られるステイタスや満足感、デザイン性といった意味的価値ということである。　今や、意味的価値はIoTや第4次産業革命による変化とあいまって、ものを媒体として提供されるサービスやソリュー ション等の付加価値まで含め、「コト」としてその重要性が飛 躍的に高まっており、各企業においてはものづくりのみならず、「コトづくり」が問われる時代となっているのである。――　そして、筆者は2000年の論説で製品のコモディティ化について、次のように記述したことを思い出す。　国内少子化で海外との生産方式の棲み分はが進む。生産される製品はコモデティ・グッズとプライム・グッズとに分けられるが、必需品は前者でディスカウント向け低付加価値品であり、後者は高付加価値ブランド品である。国内ではプライムグッズの生産が望まれるが、そのためには高い価値を維持するために造りすぎの値引き販売などは行わないようにする。　コモディティ化とは、競合する企業の製品やサービスについて、性能、品質、ブランド力などに大差がなくなり、顧客からみて「どの会社の製品やサービスも似たようなもの」に映る状況をさすマーケティング用語で、企業間の技術力やサービス力の高度化・均質化に起因するとされており、顧客は価格（料金）や購入（利用）しやすさのみを基準にものやサービスを選好するようになる。単に製品やサービスの無個性化が進むだけでなく、価格や料金が低下する傾向が強い。このため高価なものやサービスが低価格化・大衆商品化してしまうことも、コモディティ化とよぶ場合があると解説される。これまで製品の高スペックや高品質、こだわりの品質などで、ものづくりにより創り出された製品価値は、コモディティ化により価値を低下され、喪失させられ、価格競争の中に投げ込まれてしまうのである。　しかも作りすぎて在庫になると末路は付加価値を喪失して、100円商品に落ちることにもなりかねない。　そして、今日の課題として、中国の過剰生産の問題、特に鉄鋼の過剰生産問題で、これにより鉄鋼の価格の崩壊が著しく、世界鉄鋼市況に不況の波が襲い、これは世界経済を揺るがしかねない影響を及ぼしている。　日本国内生産商品は価格が崩壊することのない、作りすぎの在庫を持だない個産による道しかない。製品のコモディティ化は過剰生産によるもの余りにより加速化され、過剰生産のもたらすコモディティ化促進はものづくりを殺してしまう恐れがあり、これを防ぐには大量生産を止めることであり、カスタマイゼーションに移行することで、ドイツの国家プロジェクト「インダストリー4.0」もカスタマイゼーションを目指し、世界主要各国も「インダストリー4.0」に協力して、カスタマイゼーションを目指しており、このことは筆者の唱えてきた「客業生産」とすることなのであると思っている。

  2016年07月24日

• 12日の日記

  第4次産業革命「インダストリー4.0」に対する中国と日本 ドイツ発の新産業革命「インダストリー4.0」の波に乗ろうとする中国企業と、動きが鈍い日本企業と題してニュースウィーク誌のコラムに丸川知雄氏は次のように報じた。 ドイツの産業見本市「ハノーファー・メッセ」が4月25日から29日まで開催された。同メッセでは毎回パートナー国が指定されていて、今年はアメリカがパートナー国だったため、開催式にはオバマ大統領が駆けつけ、ドイツのメルケル首相とともに挨拶する様子がニュースでも流れたという。 ドイツが2010年に掲げた産業政策「インダストリー4.0」を皮切りに、この第4次産業革命への国レベルでの取り組みが各国で進められている。そのハノーファー・メッセでは、中国企業がインダストリー4.0に対して、ドイツ企業に次ぐ存在感を示していたということで、メッセのウェブサイトで出展者を国籍別に検索すると、全部で5392の企業や機関が出展したなかで、地元ドイツが2340社・機関で最も多く、中国はそれに次ぐ718社・機関で、今回のパートナー国であるアメリカの415社・機関を上回っていた程だという。それに対して、広大な展示場を丸一日かけて一回りして、日本のプレゼンスが小さかったことが指摘された。実際、出展者を国籍別に検索すると、1位から3位は前に述べたようにドイツ、中国、アメリカで、そのあとはイタリア（211）、インド（146）、オランダ(143)、トルコ（140）、フランス（96）、スイス（90）、台湾（78）、韓国（71）、オーストリア(66)、スペイン（65）、ロシア（64）・・と続き、ようやく22位に日本が37社・機関で登場といった状況だと報じた。このままでは、日本のものづくりの今後で、中国、韓国、台湾にも後れを取りかねない。 経済産業省は4月27日、2030年に向けた「新産業構想ビジョン」の中間整理をまとめた。これは「第4次産業革命」と言われる、モノのインターネット（IoT）や人工知能（AI）、ロボット、ビッグデータなどによる産業の進化を可視化したものである。同省は4 月28 日、ドイツ経済エネルギー省との間で、日独IoT/インダストリー4.0協力に係る共同声明への署名を行ったと公表した。 今後、この共同声明に基づき、IoT/インダストリー4.0に関 する様々な課題の解決に向けて、日独両国間で連携して行くことになった。そして同省は5月9日、ＩｏＴ推進ラボ第1回先進的IoTプロジェクト選考会議「IoT Lab Selection」における規制・ルール形成等支援を進めていると、次のように発表した。先進的ＩｏＴプロジェクトの創出を目指す「IoT Lab Selection」（本年2月実施）において支援対象となったプロジェクトのうち、2件について産業競争力強化法に基づく「グレーゾーン解消制度」を通じた規制適用の明確化を行うとともに、1件について規制見直しを検討中ですと、いよいよ、ＩｏＴ推進について具体的に動き出した。 民間でも、トヨタがインダストリー4.0でドイツの通信規格を採用した先見性として、4月28日付けウェブサイト「ニューススイッチ」が次のように報じた。トヨタ自動車は工場の生産設備をつなぐネットワークの規格に「イーサキャット」を採用する。ドイツで開発・オープン化された通信規格で、高速性に加えて省配線化が可能。ＩｏＴ（モノのインターネット）技術への対応が進んでいるため、工場自動化（ＦＡ）ネットワークの標準規格として採用を決めた。２９日までドイツで開催中の「ハノーバーメッセ２０１６」会場でトヨタが明らかにした。今後導入する工場設備には、標準の通信規格として対応を求める。取引先には３月に通知した。 　実際に、日本はすでに欧米から2、3歩遅れている現状だ。しかし、官民連携した上での産業構造の変革、新たな技術導入促進を行うことで、これからの巻き返しを期待していきたいということであるが、同感である。 　以上のように近代縫製新聞6月号掲載の連載論説で記述した。

  2016年06月12日

• 客業生産への先駆事例

  客業生産への先駆事例　筆者は21世紀のものづくりはカスタマイゼーションのものづくりである「客業生産」であるだろうと2002年以来提唱してきたが、2011年からのドイツ政府による国家プロジェクト「インダストリー4.0」は、第4次産業革命と位置づけられて、ものづくりのカスタマイゼーションに向かって研究開発が進められるに至り、連携する国々も中国、米国、イタリア、インド、オランダ、トルコ、フランス、スイス、台湾、韓国、オーストリア、スペイン、ロシア・・と続き、日本も22位に遅れた形ながら参加している。これは世界の主要諸国が「インダストリー4.0」プロジェクトに連携して、21世紀のものづくり革命に取り組む体勢が構築されたことを示すものであり、筆者の「客業生産」の方向が具体化してゆくことにまことに感慨深いものがある。 　ものづくりのカスタマイゼーションには、大量生産を止めること、従って、流れラインを止め、個別に加工のセル生産方式を採用すること、構成部品やモジュール、ユニットなどを標準化しておくこと、そして最近のサイバー・フィジカル・システム（CPS）を取り入れて、ロボット自動化を進めること、このためにIOT（モノのインターネット）が重要である。 　ここで、CPSとは、実世界（フィジカル空間）にある多様なデータをセンサーネットワーク等で収集し、サイバー空間で大規模データ処理技術等を駆使して分析／知識化を行い、そこで創出した情報／価値によって、産業の活性化や社会問題の解決を図っていくものと説明される。 また、IoTとは、コンピュータなどの情報・通信機器だけでなく、世の中に存在する様々な物体（モノ）に通信機能を持たせ、インターネットに接続したり相互に通信することにより、自動認識や自動制御、遠隔計測などを行うことをいう。　こうした産業革命「インダストリー4.0」プロジェクトの進展は、繊維・アパレル産業においても次のように先駆事例が報じられるようになったことは心強いものがある。　●経営トップ層のリーダーシップで組織を変革し、 IoTを活用した自社だけのビジネスモデルを確立・・・YKKグループ　　（2016年ものづくり白書より）　YKKグループは、ファスニング事業とAP（ArchitecturalProducts）事業を中核とし、それらを支える工機部門で事業を展開している。同グループの優位性は世界のどこでも同じ商品・品質・サービスを提供出来ることであり、そのために 経営の根幹の思想である「一貫生産」にこだわり、最適な材料から設備までを自社で開発し、同じ材料や機械を世界中で使うことで品質と均質性を高めている。この一貫生産体制を更に進化させるため、工機部門を中心に、世界中の約50ヶ所の工場で約３万台の生産設備データを統合し活用する” YKKiIoT（integratedIoT）” に取り組んでいる。 具体的には、世界中の工場や機械の稼働状態を統一的に把握し課題を抽出するため、設備総合効率という共通の指標を設けている。これは、機械の時間稼働率と性能稼働率、良品率を掛け合わせたものであるが、過去も各工場なりの分析はあったものの、本質的な課題抽出には至らなかった。それは、実際には機械の停止時間の定義や加工条件の取り方が工場ごとに微妙に違うためであり、この微妙な違いの標準化として、設備総合効率の考えを徹底して浸透させることが成功の秘訣であったという。 ハード（設備）面では、従来の高度化・自動化といった開発者目線のテクノロジー・プッシュ型開発をやめ、工場の従業 員側の使いやすさを重視した開発に変更。これにより工場側で作業手順やその水準の統一化が容易になった。また、ソフト（運用）面では、本部側が譲れない部分（稼働データを活用して達成したい目標、その鍵である設備総合効率の考え方）を明確化し、その軸がぶれない範囲で細かい運用についてはそれぞれの現場の考え方や慣習を尊重した。 加えて、もう１つの成功の鍵は、経営トップ層が方針を明確にし、その考え方を着実に浸透させていったことである。一般に、IoTの活用の企画や執行の責任は情報部門に任されているという企業は多い。しかし、こうした企業では情報の収集やシステム導入自体を目的化しがちであり、IoTが経営の改善やビジネスモデルの改革につながらないことが多い。同様に 製造現場では、現場の個別レベルでの生産性向上を目的化しがちであるが、それが経営の改善になっていなくては本末転倒である。YKKにおいても、現場からの反発の中で、経営トップ層が大局的な目線で目的を示し、その達成のために情報部門のやるべきこと、製造現場のやるべきことを地道に説得していったという。 同社の大谷副社長は、「決してIoTブームだからということでは無く、一貫生産体制の更なる進化という経営方針の実現のためにIoTというツールを活用したに過ぎない。経営トップ層がしっかりと目標を打ち出し、単なるデータ収集だけで無く、何のために行うのかということを常に従業員に問いかけた。これまで現場の作業者や機械の開発者の多くが長年の経験と勘をベースとしており、説得は容易ではなかったが、粘り強く地道に浸透をはかったことこそが最も大事なことだった」と話す。IoT活用の考え方と経営者のあり方という点において、優れた事例の１つと言えよう。●シタテル（株）（熊本県熊本市）は国内の技術力の高い様々な縫製工場との連携によりジャパンクオリティのもと、小ロッ ト・短納期を可能にするアパレル産業における生産プラットフォームを流通サービスとして提供する企業である。 日本のアパレル産業の多くは生地メーカーから店頭に並ぶまでの間に多段階の生産、流通構造が存在し、商社や卸を通さないと物が流れない仕組みとなっている。その為中間マージンの増加や開発期間の長期化、物流コストの増加といった弊害が生じていた。結果、我が国の縫製工場等アパレル製品製造業は生産コストの安い諸外国にシェアを奪われていき、繊維産 業の事業所数及び従業者数は1985年の66,174箇所、115万人から2010年には15,902箇所、30万人まで減少していた。 こうした日本の高い縫製技術の衰退に対する危機感から、同社では多くの中間業者が介在する多重構造によって生じる流通不全や古い産業特有の商習慣を見直し、国内外の小売店等やデザイナーからの注文を国内の縫製工場へとつなぎ、売り手の「こんな服を提供したい」という思いを「高品質、小ロット、短納期」で実現するクラウドソーシングサービス「sitateru」を立ち上げた。 事業者と工場の間に立ち、企画からデザイン、パターン（型紙）の作成、生地選定、資材調達、サンプルチェック、プロセス管理と企画から生産、納品に至るまですべてをコントロールすることが出来る他、国内外の素材提案、トレンドを先取りした付加価値のある生地・素材の提案まで可能としている。こうしたサービスを人とテクノロジーの融合によって実現している。 同社の運営する「sitateru」は３つのセクションによって成り立っている。一つは事業者等のユーザーとのやり取りの場面であり、 お客さまからの様々な依頼に対応すべく、作りたい衣料品のイメージ画像などを可能にし、サービスの使いやすさを追求している。 また、「マイアトリエ」というツールを自社開発しオーダーや進捗確認をスマホから行えるようにしている。次に様々な協力工場とのネットワーク構築に関しては社内のアパレルに精通し、経験豊富な目利き人材によって、優れた技術を活かせずにいる中小縫製事業者を評価しデータベースを整備している。 つまり、これまでの商習慣の中で取引先への依存度が高く、自社の高い技術を如何に評価しPRするかという点で問題を抱えていた工場を客観的に評価することで、これまで「暗黙知」として見える化できていなかった技術の形式知化を可能にしており、新規取引開拓に繋げているのである。また、これらユーザーと工場をつないでいるのがSCS（シタテルコントロールシステム）であり、技術力、生産対応アイテム、価格帯、リードタイム、繁忙期、閑散期といった連携工場の情報をデータベース上で管理し、最適なオペレーションを行うことで小ロット、短納期化を実現している。 2014年３月にスタートした「sitateru」は２年足らずでユーザー登録数1,600社を超え、提携工場数110工場と順調に増加している。また、自社のプロ縫製コンシェルジュによる工場への厳しい品質チェックにより、ハイブランド品の生産や事業会社のユニフォーム等、ユーザーの幅もより高品質を求める層へと拡大している。 将来的にはSCSの更なる高度化とCAD、CAMといったデザインやパターニングのデジタル化を進め更なる短納期化、低コスト化を図り、縫製工場業界の地位回復を狙う。（2016年ものづくり白書より）●独アディダス社はドイツ南部アンスバッハに新設する「スピードファクトリー」で１７年からロボットによる靴の生産を始めるそうだ。アディダス社は先進国でのロボット生産は部分的なものでアジアの下請工場に直ちに替わるものではないとしているが米国でもロボット生産を計画しており、大量生産のベーシックラインはアジアでの労働集約的計画生産、中少量生産のデザインラインは消費地での機動的ロボット生産、と使い分けるものと推察されると、小島健輔氏はコラムで伝えた。ナイキにも同様な動きが見られるから、グローバルなスポーツブランドに共通する戦略転換なのだろうと同氏は論じる。●日本の島精機も独自技術のホールガーメントニット自動生産システムで国内回帰を目論んでいると、同氏。●繊維工業ではセーレン社（福井市）が、多品種・小ロット生産の傾向に合わせ、同社が独自に開発した、企画から販売まで一貫しておこなう染色システム「ビスコテックス」により、従来のファッション分野から広告資材、自動車内装資材などにも分野を拡大している。同社の本社に、その場で47万通りのオーダーが可能なパーソナルオーダーアパレルのアンテナショップをオープンしている。セーレンはテキスタイルとアパレルの生産システム「ビスコテックス」を活用し、オーダーを受けてから数km先の自社工場でテキスタイルの生産と裁断、縫製を行ない、最短で2週間で購入者の手元に届ける。単に生地を裁断するだけでなく、生地そのもののデザインと生産からスタートするアパレルのオーダーショップは世界初だ。川田達男セーレン代表取締役会長兼最高経営責任者は、「大手企業の染色業の下請けに過ぎなかった当社が、30年前にIT化、デジタル化、流通ダイレクト化という夢を掲げて『ビスコテックス』をスタートした。余計な在庫をまったく必要とせず、しかも誰もが欲しい服を作れるこの仕組は、ファッション産業の夢の仕組みだ」と語った。まさに筆者のいう「客業生産」のモデル工場である。　このように第4次産業革命の「インダストリー4.0」の先駆事例が身近なところにも及び始めた感じとなってきている。「インダストリー4.0」というと、IOTやサイバー・フィジカル・システムなど聞き慣れない用語で難解の感があるが、現実に実施している工場がスマートファクトリーとして増加して行くことになると思う。「客業生産」時代への道筋が明らかとなりつつある。

  2016年06月02日

• 16日の日記

  日本のものづくりの新しい歴史のスタート　筆者は40年前、勤務先の会社で、電子計算機の入出力関係の製造を担当する電子課長を勤めていたことがあり、その折、コンピューター関係の学習を受けて以来、特にコンピューターに関心を持つことになった。そして最初のパソコンとして購入したのが東芝の8ビットパソコン「パソピア」で、昭和59年のことであった。これ以後は、パソコンのバージョンアップと共にＮＥＣ98 シリーズや富士通ＦＭシリーズなどを使い、最近ではヒューレット・パッカードのカスタマイゼーションによるパソコンオーダーで、ディスクトップやノートパソコンを購入し、ＯＳもウィンドウズＸＰ、ＶＩＳＴＡそしてウィンドウズ１０にバージョンアップしてきている。 このようにコンピューターとの長い付き合いの中で、最近の人工知能の進化に驚かされた。 今年3月、世界囲碁トッププレイヤーの1人、韓国の李世ドル（イ・セドル）九段が五番勝負でグーグル傘下企業のディープマインドが開発した人工知能（AI）「アルファ碁」に敗れたというニュースが世界中を駆け巡った。 筆者は囲碁については、2009年に関西棋院より2段の認定を受けていたが、2014年に3段に昇段し、同年日本棋院より4段昇段の認定を受けて、免状を授与された。現在5段に昇段の挑戦中でもあり、人工知能が囲碁トップ棋士を破ったというニュースは、身近な現実として驚きを禁じ得ない。　筆者は自動縫製システム開発大型プロジェクトの中で、縫製工場エキスパートシステムの開発を計画したのが昭和61年のことであったが、当時は人工知能の初期でもあって制約が多くて大きな展開が望めなかった。それが人工知能は一挙に使用範囲が拡大するに至ったのである。「日本再興戦略」改訂2015（平成27年6月30日閣議決定）では、ＩｏＴ、ビッグデータ、人工知能による産業構造・就業構造変革の検討が主要施策の一つとして掲げられている。 また、「第５期科学技術基本計画」（平成28年１月25日閣議決定）においても、「「超スマート社会」の実現に向けた共通基盤技術や人材の強化」として、AI等の重点的に取り組むべき技術課題等を明確にし、関係府省の連携の下で戦略的に研究開発を推進するとしていたが、4 月12日、政府は産業界の代表と意見交換する「官民対話」を開き、情報ネットワークを介してものづくりの高度化を図る、「ＩｏＴ」技術でドイツと連携する考えを示した。製造現場など日本が強みを持つ分野のデータ活用や人材育成などに取り組むと伝えられた。 新聞には今後の人工知能が゜社会に与える変化について次のように示した。これに衣服製造工場での用途を筆者が付記した。■2020年頃には自動車の自動運転…衣服製造工場納品などの自動運転■2025年頃には部屋の片付けをする…衣服製造工場内での自動仕分けその後自然な言葉で翻訳する…海外衣服製造工場内での自動翻訳■2030年頃には知識を獲得して人間に教える…衣服製造工場内での自動技能教育 更に衣服製造業やアパレル産業に役立つ人工知能とはどういうものになるのか、考えてみた。●アパレル消費トレンド予測…当てずっぽう予測からの脱却　●デザインモチーフ創出…マンネリデザインからの脱却●生地特性と縫製法作成…縫製不良発生の防止●縫製工場のエキスパートシステム構築…専門深化 21世紀の世界のもの作りは、JIAM2016展のセミナー「インダストリー4.0」にも取り上げられた、第4次産業革命としてのドイツの国家プロジェクト「インダストリー4.0」において、ＩｏＴ、CPS（サイバー・フィジカル・システムの略で、ロボット自動生産システムのこと）、セル生産方式などよるカスタマイゼーションへの方向に変わらんとしている。日本政府も「第４次産業革命」を官民一体で進める方針を決め、ドイツと連携して「ＩｏＴ」技術に取り組むことになった。これは筆者の提唱してきた「客業生産」の方向であり、ドイツと共に実現への一歩を踏み出した。日本のものづくりの新しい歴史のスタートである。そして人工知能の進化は、このような産業革命を進めるのに大きく貢献するものだと思っている。

  2016年05月16日

• 19日の日記

  客業生産理論の具現化―第4次産業革命により促進　政府は4月16日、産業競争力会議（議長・安倍首相）を開き、成長戦略の概要を公表したが、重点10分野の筆頭に第4次産業革命推進を柱に掲げた。これにより、わが国もドイツの国家プロジェクト「インダストリー4.0」の開発に連携参加して生産のカスタマイゼーションに向かうことになった。政府が成長戦略に取り入れたことにより、第4次産業革命についての情報はこれまでとは異なり、遙かに多くなると思われる。本年に入ってならも、新聞により次のように取り上げられてきている。●1月16日付け記事…第4次産業革命　希望と課題●4月3日付け記事…ＩｏＴ　モノにネット　産業・暮らし変革●4月13日付け記事…「ＩｏＴ」日独連携へ　首相表明　先進工場で国際標準●4月13日付け記事…ＩｏＴ推進　官民連携　第4次産業革命　各分野データ共有●４月14日付け社説…スマート工場　産学官連携で生産性高めよう●4月16日付け記事…政府ＩＴ人材育成へ　小中プログラミング必修　新成長戦略の概要判明●4月20日付け記事…成長戦略　人工知能など重点10分野 今後は成長戦略の進行と共に、第4次産業革命に関する各種情報が新聞にも掲載されることであろう。筆者の提唱してきた「客業生産」理論の具現化が促進されて行くので、これからがいよいよ楽しみである。 筆者は拙著「チェックリストによる少量・短納期生産モデル縫製工場ガイド」（繊維流通研究会刊、2004年5月発行）の「まえがき」に次のように述べた。 20世紀に威力を発揮した大量生産は現在では通用しなくなっているといわれる。大量生産を続けると、地球がもたないともいわれている。生産は顧客のために行われるものであり、このために顧客にとって適種、適質、適量、適価、適期の生産が行われなくてはならない。いたずらに大量生産を追いかけるのは、時代に適合しない態度であり、ミスマッチであるといわれるようになってきている。これは大量生産が結果的に人量廃棄を招き、その処置が大きな社会問題にまで及ぶことになるだけでなく、地球資源の浪費のために資源枯渇の破局をもたらすことになると危惧されるからである。また大量生産はコストダウンにとって最強の方法と考えられてきたが、現実には膨大な作り過ぎによって売れ残りの巨大なロスを生じ、処分売り値引き（マークダウン）で価格の低落を結果し、生産の付加価を喪失してゆくばかりで、生産企業そのものの存続を脅かすに至っているほどになっている。そうした状況の中で、生産した商品の価値は顧客が決めるという時代になった。顧客が認めることで生産した商品が価値付けられるのである。　現在は、生産は工業により行われているのであるが、工業とは作り手の業ということで、結果はブロダクト・プウトの生産となっているのが現状である。しかし、生産は本来、顧客のためであることが求められ、マーケット・インの生産であることが目指されている。　本書では、工業生産からスタートし、脱工業生産を経て、顧客のための客業生産（客業は本書の造語）を実践するためのガイドとなることを意図している。そして顧客のための生産を行うモデル縫製工場とはいかなるものかを明らかとし、モデル縫製工場を実現するための方向を示し、実践してゆくためのガイドを提供しようとするものである。　その実践に当たっては先ず、意識そのものから顧客志向の生産という観点に立つことが欠かせない。その意識の変換には、先ず言葉が変わらなければならない。顧客のための生産と言いつつ、作り手のものづくりの業である「工業」と言っていたのでは、意識は変換しないだろう。そこで本書では、顧客のためのものづくりの業としての生産は「客業生産」と呼ぶことにしている。 20世紀の人量生産 は、21世紀に入り、顧客の個別の注文に応じる個別生産に変わってゆくと見られる。従って、工業量産として考えられてきたものづくりの業は、大量消費から大量廃棄をもたらし、遂に行き詰まりに至って、脱工業生産が叫ばれるようになってきた。　本書ではもの作りの業を客業個産として生産を再構築し、ものづくりに携わる人の意識を変え、その上に客業個産をどう実現してゆくかを具体的に示し、特に少量・短納期の生涯を主要項目に置いていて、縫製工場での実践をガイドすることとしている。実践のためには、単に必要事項の説明に止まらず、それが実践に移るためのチェックリストを作成し、それによるチェックの各項目について自己診断できるようにし、現時点で生産についてどの水準で理解しているかが認識できるようにし、もし十分理解していない項目があれば本書により用語の意味を読んだり、該当項目の解説を理解するようにして知識を積み、その上に立ってより具体的に、着実に望ましいモデル縫製工場の構築へと実践できるように企図してまとめたものである。

  2016年04月19日

• 18日の日記

  日本のアパレル企業が販売戦略の誤りで、オムニチャンネル販売戦略に乗り遅れて、店舗整理やリストラに追い込まれている中、米国の若者の間で高い人気を誇ったサーフ系ブランド、パシフィック・サンウェア（PacSun、パックサン）が先ごろ、米連邦破産法11条（日本の民事再生法に相当）の適用を申請したと報道された。カリフォルニア州に拠点を置く同社は今後、債権者である投資会社のゴールデンゲート・キャピタルなどの協力を得て、経営再建を目指すという。 米国では、小売業者による破産法適用の申請が相次いでいる。特にティーン向けのファッション・チェーンは低迷が著しく、「アメリカン・アパレル」や「ウェットシール」、「デリアス」、「スポーツオーソリティ」なども、同法の下での経営再建を目指している。

  2016年04月18日

• 16日の日記

  16日熊本県を震源とする大地震―平成28年熊本大地震―の発生に対して、安倍首相は「何よりも人命が第一だ」と述べ、救助活動をなどを全力で取り組む考えを示したという。　　筆者は本年の宮中歌会始にお題「人」に、次のように詠進させて頂いた。　　山噴火　海は津波と　川洪水　　　　　陸の地震に　守らし人命　　　　　　　　　　　卜水　　今回の大地震で、政府は全力を挙げて人命救助に当たる。筆者は詠進歌に共通の心情を感じている。　　この大震災で亡くなられた方々に心よりご冥福をお祈りいたしますと共に、負傷された方々にお見舞い申し上げます。また罹災された方々に呉々もご再起されますように祈念申し上げます。

  2016年04月16日

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