かわず草子

子供の自転車で片道５０分くらい。
夏休みで人気のない小学校の側に、その川があった。

草は刈られ、ゴミもそうそう見あたらない。
川べりにも降りやすく広めの道がつけられている。
川底はほとんど砂地で、流れもゆるやか。ちいさな魚がたくさん泳いでいる。

「靴ぬいでいい？」

そう言ったソウ君はすでに靴を脱いで足を水に入れかけてる。
ハルはここに来るまでに疲れたらしい。しゃがんで指で水をさわってる。そうだろうな、私が手伝っていたけど二歳児が自転車でここまで来たんだから、たいしたもんだ。

結局、三人とも川につかった。お湯みたいに暖かいところもあれば、冷たいところもある。
魚や流れる葉っぱを追いかけてはしゃぐ二人。
ちょっと気持ちいい。びしょぬれになったけど、ま、いいか。

でも。遊び終わって体を拭かれながらハルが言うには。

「はーちゃん、川嫌い。」

ええ！？
はいつくばって遊んでたのは誰？
ひとりで川の真ん中まで行っちゃったの誰？
さては服ぬれたのが嫌だったかな。

「こんどは水着持ってこよう」

「はーちゃん、水着好き！」

さようでございますか。