テーマ:旅するシーカヤック(153)
カテゴリ:カヤック
仕事の区切りが良かったので、金曜日の有休に一日追加して、木曜、金曜で柱島にキャンプツーリングに行く事にした。
*** 倉橋島のいつもの浜で、シーカヤックに荷物をパッキング。 さすがに平日だけあって浜は静かだ。 柱島までは、直線距離で10km弱の島渡り。 荒れると途中でエスケープできないルートなので、天気予報はしっかりチェックしてある。 パッキングを終え、10時前に出艇した。 海は穏やか、風もほとんどなく、順調に漕ぎ進む。 黒島を通過。 小柱島の東端を目標に、周囲をワッチしながら進んで行く。 そう、この柱島水道は、大型船舶の航路となっており、要注意なのだ。 小柱島まで1時間。 柱島の港までは、1時間15分であった。 なかなか良いベースだ。 *** 柱島の港のそばに、釣り船が出ていた。 『こんにちは。 釣れますか?』 『うん、アジが釣れる』 しばらく見ていると、次から次へと大きなアジがあがっている。 『どこまでいくん?』 『倉橋から漕いで来たんですが、今日は、柱島でキャンプしようと思ってるんです』 『キャンプかあ』 『おー、そうじゃ。 キャンプなら食事用に魚をやろうか?』 『えー、いいんですか?』 『ええよ』 『ありがとうございます。 じゃあ、せっかくなんでいただきます』 『3匹でええか?』 『充分ですよ!』 『生きとるのと、締めたのとどっちがええ?』 『じゃあ、締めた奴をいただいていいですか?』 『ほら! 氷も入れといたけえ。 塩焼きにして食べんさい』 『本当に、ありがとうございました!!!』 思わぬ収穫。 ありがとうございました。 これで今日の夕ご飯のおかずが決まった。 アジの刺身にアジの塩焼きだあ! *** いただいた魚をコックピットに収めると、バウを南に向けた。 今日の宿泊予定地は、柱島の南の浜。 フェザークラフトK-1を使った瀬戸内横断の時にチェックした浜。 以前、当時小学生だった次男とキャンプツーリングに来た時は柱島の北側の浜に泊ったので、今度は別の浜を選んだのだ。 カヤックを浜にあげ、しばし休憩。 青い空と、刷毛で掃いたような白い秋の雲。 最高の天気、最高の平日有給休暇である。 浜のすぐそばには、柱島のすぐそばで爆沈した戦艦陸奥の慰霊碑が建っていた。 まずはそこに、お参り。 そして集落に買い出しへ。 畑に囲まれた、静かな島の道を歩き、港へと向かう。 港の前は、家や商店が軒を連ねている。 商店に入り、目当ての品を探す。 刺身を食べるための醤油と、アジを焼くための塩、ビール、などなど。 醤油が、大きな瓶しかないようだ。 『スミマセン、醤油の小さい瓶はないですか?』 『えー、そこらに無い?』 『ああ、今ちょうど切らしてるみたいじゃねえ』 『そうですか』 仕方なく、塩とビール、パンを買って帰ろうとしたら、『少しでよかったら、醤油を分けてあげるよ』と、店のおばさん。 『ありがとうございます。 少しでいいですから。 助かります』 今日は、親切な人にたくさん巡り会えるなあ。 別の商店で氷も購入し、再び狭い道を歩いて浜に戻る。 静かな島時間。 浜で昼ご飯を食べ、テントを張り、荷物を片付け、買ってきた氷でビールとアジを冷やす。 そしてゆったりと景色を眺める。 夕方、アジを焼く網がないことに気付き、散歩を兼ねて再び集落に向かった。 途中、神社にお参りし、一晩お世話になることの報告と、航海の安全を見守っていただけるようお願いする。 昼とは違う道を通って港へと向かう。 急斜面に寄り添うように立ち並ぶ家々。 その家と家とを結ぶ狭くて急な坂と階段。 高台からの眺望は、島、島、島。 行き交う人とは挨拶を交わす。 『こんにちは』 すると、向こうも『こんにちは』と返してくれる。 宮本常一の『わたしの日本地図』に載っている柱島の写真と、それほど大きく変わっていないことに驚く。 地方(じかた)の街は、昔の面影がないところも多いのに。 うれしい反面、複雑な思いも。 でもやはり、こんな静かな場所が、瀬戸内に残っていてくれることを願っている。 *** 昼に買い出しをした商店で、焼き網と、これも忘れていたアジの刺身用のおろし生姜を買い込む。 まだ暑い。 ジュースを買い、港の近くの日陰で出入りする船を眺め、時に船から話しかけられた漁師さんと話しをし、そしてiPodの音楽を聴きながら、のんびりと時間をつぶす。 いいねえ。 やっぱり島はいい。 *** 日が傾き、浜に戻る。 クーラーバッグから、いただいたアジを出してみる。 うーん、やっぱり新鮮だ! 目が違う。 3匹だからなあ、2匹を刺身で、1匹を塩焼きかなあ? まずは、刺身からいくとするか。 こりゃあ、たまらんなあ! (つづく) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
September 29, 2006 07:36:51 PM
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