テーマ:旅するシーカヤック(153)
カテゴリ:カヤック
瀬戸内カヤック横断隊、参加二日目。 横断隊の起床時刻である5時前に、蒲刈のB&Gの隅っこに張らせていただいたテントの中で目を覚ました。 まだ外は真っ暗。 今日は風も少しあるようだ。
シュラフから出てヘッドランプを灯し、早速テントの中の片付けに取り掛かった。 *** シルクのシーツ、ダウンのシュラフ、シュラフカバーを畳むと、テントの外に風防をセットしてバーナーに火を入れる。 コッフェルにお湯を沸かし、うどんを作る。 今日は、スライスした餅を数枚入れた、力うどん。 テントの入り口に座って熱いうどんを啜っていると、次第に目が覚めてくる。 うどんをほぼ食べ終わると、残った汁にインスタントのみそ汁を加えた、なんちゃってみそ汁で最後の仕上げ。 これが、体が温まって良いのだねえ。 *** 決まっているのは出発時間だけ。 予定は、午前6時50分。 それまでは、各人のペースで朝食を摂り、片付け、着替え、生活道具一式をフネにパッキングしていく。 7時前。 予定通り出発準備が完了。 早朝にも関わらず、お世話になったIさんが見送りに来てくださった。 お礼を述べ、手を振って浜を離れる。 さあて、今日はどんな一日がまっているのだろうか? *** 倉橋島の亀ガ首を目標にして漕ぎ始めると、北東の風で、追い風追い波状態。 おお、今日はなかなか調子が良いんじゃないか! 少し波はあるものの、これなら良いペースで漕ぎ進めそうだ。 しばらく漕ぐと、航路に入る。 この海峡横断は、広島と松山を結ぶフェリーや高速船が行き交う要注意ポイントである。 できるだけ固まり、左右をワッチしながら進んで行く。 沖に出ると少し波が高くなり、なんちゃってサーフィン状態がしばらく続いた。 ちょうど引き潮に変わるかどうかの微妙な時間帯。 追い風、追い波だし、もう少しペースが上がっても良さそうなものだが、もしかして潮とぶつかっている? なんて会話を交わしながらのパドリング。 しばらく進むと、明らかに周囲の波の形が変わって来た。 滑らかな形になって安定している。 やっぱり、潮が変わってきたんだ。 *** 今日のリーダーの指示に従って、亀ガ首の南側に回り込み、カヤックに乗ったまま暫し休憩し、再びバウを南西に向けた。 ああ、瀬戸内海も横断隊モードになってきたが、これで今日の一つ目の山は越えた! 鹿老渡の狭い水路の手前にある小さな浜で、一人の隊員が離脱することになり、全員が上がってフネを揚げるのを手伝うとともに、休憩を取る事になった。 やはり、陸に上がっての休憩はありがたい。 フネの上での休憩とは、休まる度合いが違う。 少し早いが、それぞれ行動食を引っ張り出し、エネルギーを補給する。 バナナ、魚肉ソーセージ&マヨネーズ、饅頭、おにぎり、みかん、カロリーメイト。。。 横断隊員の、一時の団欒。 再び漕ぎ出し、狭い水路を越えて倉橋島の西側に出ると、ちょうど風裏となっており、穏やかな海が待っていた。 『ああ、ホッとするなあ』と私。 でも中には、『波がないとぜんぜん面白くない』という人も居る。 やはり、スキルや経験、旅に対する志向によって、いろいろな思いがあるものだということを実感。 やっぱり、『あるく、みる、きく』旅志向の私は、横断隊員には向いていないのかもしれないなあ。 よーく考えよう。 *** 鹿島の西岸を南下し、羽山島を越えたあたりから、再び北東の風をまともに後ろから受けるようになった。 ここからは、今日の二つ目の山場である、周防大島までの海峡横断だ! まずは津和地島を目指し、途中で転針して、情島の北を抜け、周防大島の伊保田を目指すルート。 ↑ シャッターを押せたのはここまで。この後は写真を撮る余裕無し! 瀬戸内とは思えない追い波、追い風のサーフィン状態の中、淡々と漕ぎ続ける。 *** 他の人に突っ込まないよう、また、突っ込まれないように、適度な間隔を保つことに気をつける。 後ろから迫ってくる波の音を耳で聞き、波の状態を腰で感じて、危なくない波には乗ってスピードを稼ぎ、注意が必要な波には乗らないようにしてバランスを保つ。 こんな状況で必要なのは、シーカヤックの高いポテンシャルに対する信頼と、自分自身の経験に対する信頼だ。 *** 波高はそこそこ高いが、波頭がブレークしていないので、それほどの恐怖感はない。 ただ、ときおり二つの方向からの波が迫って来てヒヤリとする。 九十九里でのサーフ講習や、伊豆や外房、津軽海峡で荒れた時の事を思い出しながら、遠くに見える情島に向って、淡々と漕ぐ。 それにしても結構シビレルねえ。 昨年の横断隊で経験した、荒れたダンパー状の波の中での上陸でもそうだったが、瀬戸内のカヤッカーとはいえ、太平洋で受けたサーフ講習の経験が活きていると思う。 私自身、テクニックやスキルには自信はなく、サーフ講習でも優秀な生徒ではなかったが、あの時に限界に近い状況を経験したことが、この荒れた状況において、精神的な支えになっている事は確かである。 瀬戸内海は、決してみんながイメージしている、凪いで穏やかなだけの海ではないのだ! *** 情島の北側で少し休憩し、岬を回り込んで一気に周防大島へと横断。 狭い海峡だが、波はザバザバ、ドシンバタンで、最後まで楽しませて(?)くれた。 目的の浜は、やはりサーフィン状態での上陸。 フウ。 みんなでサポートし合いながら、無事フネを揚げる事ができた。 ああ、今日は本当にシビレタ! 金曜日は、穏やかで快晴の瀬戸内らしい瀬戸内海。 翌日の今日は、ある意味『横断隊らしい』瀬戸内の海況。 このコントラストが、なんともたまらないじゃあないか。 雨が降り、気温も下がった中、隊員達は疲れた体で荷物を運び、小さなテントを張る。 今日の海況を全員無事に乗り越えた充実感、連帯感、達成感。 経験したものだけに分かる世界が、そこにはある。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
November 22, 2006 09:41:26 PM
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