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瀬戸内シーカヤック日記

瀬戸内シーカヤック日記

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January 30, 2007
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地元の小さな銭湯。 大きく、新しく、設備の整ったスーパー銭湯や、観光地の立派な温泉にはない良さ、そう、地元に住む人々とともに歴史を重ねてきた、居心地の良い、独特のあたたかい空気感がある。

***

先週土曜日の昼。 シーカヤックの補修を終え、昼ご飯を食べると、子供達はそれぞれクラブ活動へ。 小さな家に残されたのは、妻と私。

『ひさしぶりに、一緒に銭湯にいかないか? ちょうど、回数券も2枚残ってるし』
『そうねえ、たまには銭湯も好いかもねえ』

そそくさと風呂道具一式を準備し、二人で近所の銭湯へ歩いて行く。

***

のれんをくぐり、番台に二人分の回数券を渡し、『じゃあ、今日は一時間後!』
男湯の引き戸を”ガラリ”と開け、脱衣所に入って行く。

いつも居るおじさんは、鏡に向って髪を染めている。 『こんにちは』 『今日は遅いじゃない』 『いろいろと作業してたもんで』
脱衣所には、他にも常連さん。 『こんにちは』 『おお』 『こんにちは』 『こんにちは』 。。。

***

浴室に入ると、まずはいつものように普通の風呂へ。 ジェット風呂、電気風呂、薬湯、スチームサウナ、水風呂があるが、いつも最初は普通の風呂へ入る。 ここの風呂は井戸水だが、この水の当たりがなんとも柔らかく、体が芯から温まるのだ。

体が温まったら、水風呂の水を桶一杯汲んでスチームサウナへ。 座る所に桶の水を流し、待つこと5分。 体中から汗が噴き出してくる。

ヒゲを剃り、頭をそして体を洗い、あとはサウナ、水風呂、ジェット風呂を適当に楽しんで、普段なら2時間ほどゆっくりと過ごすことになる。

***

でも今日は、妻との約束通り、1時間で風呂を出る。

脱衣所で体を拭いていると、おじさんが顔を覗かせ、『おお、今日はえらい早いじゃあないか』
『ええ、今日はめずらしくかあちゃんと来とるんで』 『ほうか、そりゃあええのう』

***

脱衣所を出ると、すでに妻が待っていた。 帰り道。
『久し振りの銭湯はどうじゃった?』 『やっぱり良いねえ、疲れがとれるよ』

『今日はねえ、背中にテープ張っていたからか、おばさんから、バレーでもしよるんね? と聞かれてねえ』 『それで?』 『そうしたら、マッサージしてあげようって、背中に石けんを付けてくれて、指で首から背中までマッサージしてくれたんよ』
『おお、そりゃあ良かったなあ』 『うん、気持ちよかったあ。 すぐには直らんから、気をつけんさいよって』

***

2779

翌日、日曜日の夕方。 宇品、金輪島を巡る日帰りツーリングから帰り、道具を片付けると、潮を流しに銭湯へ。

『こんばんは』 『おお、今日は遅いじゃない』 『ええ、今日は海に遊びに行ってたもんで』
『何が釣れた?』 『いやあ、釣りじゃあないんです。 カヌーって知ってます?』

『カヌー。 知っとるよ』 『わたしはあれが趣味で、海で漕いどるんですよ』 『ここらじゃ川はないけえ、海がええよのう』 『ほうですよ、海ならえっと(沢山)ええ所(良い所)がありますけんねえ』

***

サウナから出て水風呂に入ると、隣の薬湯におじさんが入っていた。
『昨日は髪を染めとられましたが、あの後どっかええ所へいったんですか?』 『なあに、そんな金はありゃあせんよお』 『そうですかあ。 じゃあ、家で一杯キュッと!ですか?』

『今日は一人か? 昨日は”これ”と来た言うとったが、それじゃあゆっくりできまあが』 『ははは(残念ながら、別に”これ”ってわけじゃあないんですが)! そうですねえ。 今日はバレーの試合なので、一人で来ました。 ゆっくりして行きます』

***

その後もサウナで、風呂で、常連のおじさん、おじいさんたちとの会話を楽しむ。 年金のこと、仕事のこと、銭湯のこと。。。 『ほんまに大きな風呂はええですねえ。 家の風呂じゃったら、10分も入っとらんですよ』 『そりゃあ、わしも同じじゃ』

一人のおじさんが、脱衣所からガラス越しに手を振って誰かを呼んでいる。 廻りを見渡しても、それらしき人は居ない。 (これって俺を呼んでるの?)自分を指差してみると、『うんうん』と頷く。
行ってみると、台の上に置かれた蜜柑を指差し、『あんなが持ってきたんじゃ。 食べさせてもらえ』 『ええんですか?』 『ええよ、食え食え』 『じゃあいただきます』

遠慮なくいただく。 美味い、甘い。 『こりゃあ、美味いですねえ』 『ほうじゃろう』
見ていると、おじさんは番台のおじさんにも蜜柑を持って行った。 『うまいでえ。 これ食べんさい』 ほんとうに良い銭湯だ。

二つほどおいしい蜜柑をいただき、少し休憩して再び風呂へ。

***

ゆっくりとつかって帰り支度。 『帰るんか?』 『ええ、今日は妻が出てるんで、私が夕食を作るんですよ』 『じゃあ、先に帰るよ。 お先に』 『ありがとうございました。 じゃあ、失礼します』

銭湯に、シーカヤックツーリングにと、なかなか良い週末だった。

スーパー銭湯や、観光地の立派な温泉にはない良さ、地元に住む人々とともに歴史を重ねてきた、居心地の良い、独特のあたたかい空気感のある銭湯。
少子高齢化や燃料高騰で大変だとは思うが、大切な地元のコミュニティ空間として、長く続いて欲しいものである。






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Last updated  January 30, 2007 03:45:08 PM
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