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今日も他人事

今日も他人事

宇宙世紀にアズラエルがいたら…という妄想



プロローグ(宇宙世紀0090年)
✅ ロンド・ベル創立に伴い、アズラエルがアムロ&ブライトと面談
・面談後のブライトとアムロの会話(アズラエルへの疑念、アムロ「嘘は感じない」、シャアへの警戒)

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アズラエル「いつぞやはどうも、艦長さん」(第二部の伏線)

何故、自分達を問うブライト。

アズラエル「僕は、これでも現場を重視する方でね。物事は常に広く総合的に見通して考えを張り巡らさないといけない。けど、現場でないと見落としてしまうものや判断が遅れることは往々にして起こりうる。これビジネス界じゃ常識ですよ。軍隊だって同じでしょう?」
アムロ「俺達に、貴様の手先をやれと?」
アズラエル「……残念だけど、僕はシャア・アズナブルという男をよく知らない。ジオン・ダイクンの忘れ形見で、エゥーゴではクワトロ・バジーナと名乗っていたことぐらいしか、ね。だから、読み違えてしまう可能性がある。君達は彼をよく知っているだろう?だからさ」
ブライト「何を企んでいる?」
アズラエル「企むだなんて、人聞きの悪い。地球をジオンの脅威から守る。それだけですよ、艦長」
アズラエル「どうせ、シャアは、なんとかしなきゃいけないんだ。なら後方支援は必要でしょう?それを僕とジョン・バウアーで肩代わりしてやろうって言うんです。キミ達にとっても悪い話じゃないと思いますけど?」
 話は終わりだと、席を立つアズラエル。
アズラエル「ま、よく考えてみてくださいよ。どうするのが最良なのか、この地球にとっても、キミ達にとっても、ね……」

ブライト「……信用できるのか?」
アムロ「嘘は感じないが」
ブライト「ニュータイプの勘、か……」
アムロ「どのみち、シャアは放っておけない。ダカールで自分の素性を世界中に明かした男がエゥーゴに戻らなかった。それには、意味がある」
ブライト「単に、エゥーゴが嫌になったという可能性は?」
アムロ「人類が地球を食い潰す。奴が、それを黙って見過ごすと思うか?」
ブライト「そういう男なら、クワトロ・バジーナと名を変えてまで地球圏に戻ってこようなどとはしない、か」
アムロ「必ず動く、シャアは」
ブライト「選択肢はないな、俺達に」
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・連邦政府に圧力をかけるアズラエル。ロンド・ベルの設立を承認させる

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アズラエルによるロンド・ベル設立と予算申請に連邦評議会は揺れる。
A「冗談ではない、そんなものを作れば第二のティターンズになりかねん」
B「今はテロ対策より経済復興を優先すべきではないのかね?」
C「それにこれ以上、軍備を増強すれば、スペースノイドの反感を」
アズラエル
「……それで? また、落とさせるんですか? コロニーを」
「シドニー、北米、ダブリン……足りませんか、まだ?」
 一同、黙り込む。冷ややかに睥睨し、それから小さく息を吐くアズラエル。
「ま、皆さんの言いたいことは分かりますけどね……ご心配なく。彼らの手綱は、ちゃんと執りますよ。この僕が」
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・部下にヤザンを始めとする元ティターンズの将兵集めとシャアの捜索および暗殺を急がせるアズラエル(第三部への伏線)。自室には、かつてジャミトフと対談した際の写真。フェードアウト。

第一部:



宇宙世紀0079(1年戦争)
✅ ジオン公国軍による北米占領。
・北米の経済が壊滅し、アズラエルの生家(アズラエル財閥)も大打撃を受ける。



宇宙世紀0083(デラーズ紛争)
✅ デラーズ・フリートによるコロニー落とし。
・穀倉地帯が壊滅し、北米はさらに衰退。アズラエル「地球を守るには強力な軍が必要」と確信。



・ジャミトフの「ティターンズ設立計画」を知り、出資と支援を申し出る。(プロローグの写真)
 「社会の脅威となる過激なジオニストの根絶と連邦政府による統制の絶対化」を望むアズラエルに対し、口元だけ笑って見せるジャミトフ。猛禽類を思わせるような冷たい眼差し。




宇宙世紀0087(グリプス戦役)
✅ ティターンズによるスペースノイド弾圧が激化。



・ダカールの地球連邦議会にて演説予定だったブレックスがアズラエルの送り込んだ双子によって暗殺される。
 同行していたクワトロ(シャア)、邪気に気付くも間に合わず。瀕死のブレックスから後事を託される。



・宇宙でエゥーゴのMSや施設が奇襲される事件が頻発。アーガマも補給の為、同宙域に接近し、噂を聞く。
 コロニー滞在中のカミーユ、精神的に疲弊している中で双子の歌声を聞く。
 束の間の穏やかな会話を交わすが、「お仕事の時間」と去る双子。

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 カミーユはひとときの休息を求め、寄港したコロニーの街を歩いていた。
 エゥーゴの戦士としての日々は過酷だった。戦闘の疲れを引きずったまま、彼は人混みを抜け、人気の少ない通りへと足を向ける。
 ふと、耳に美しい歌声が届いた。

「……?」

 カミーユは立ち止まり、音のする方へと歩を進めた。
 路地を抜けた先、街角の一角で、銀髪の少女がひとり、澄んだ声で歌っていた。
 彼女の歌声は、静かに街を包み込み、まるで宙域を漂う微かな光のようだった。
 カミーユは、思わず足を止めて聴き入る。
 歌が終わると、少女はそっと視線をカミーユへ向けた。

「あ……良い歌だね?」

思わず口にした言葉に、少女はくすりと微笑んだ。

「ふふ、ありがとう。お兄さん、優しい人ね……ね、"兄様"?」
「うん、"姉様"」
「え?」

 カミーユは眉をひそめ、背後を振り返る。
 そこには、少女とよく似た銀髪の少年が立っていた。
 その顔には天使のように愛らしい笑みが浮かんでいる。

「君たち……このコロニーの子かい?」
「いいえ。私たち、お船で渡ってきたの。お兄さんは?」
「俺もさ」
「じゃあ、一緒だね、僕たちと。ふふ……渡り鳥なんだ、お兄さんも」

 ――渡り鳥?

 カミーユの脳裏に、これまでの戦いの日々がよぎる。
 故郷であるサイド7のグリーンノアを離れて、アーガマに乗って、エゥーゴのパイロットとして地球でも宇宙でもティターンズと戦い続けて。
 なるほど。この子達の言う通りだ。
 今の自分は渡り鳥のようなものかもしれない。

 「君たちは……」

 どこから来たのか。
 そう聞こうとした時、双子はくるりと踵を返した。

 「ごめんなさい、お兄さん。もう時間なの」
 「時間?」
 「うん、お仕事の時間。だから、帰らなきゃ」
 「そっか……頑張れよ、二人とも」

 カミーユの言葉に、双子は愛らしい笑みを浮かべると、そのまま足早に路地の向こうへ消えていった。
 カミーユは、二人の後ろ姿を見送りながら、静かに息をついた。

 「俺も帰らなきゃな……」

 アーガマへ。
 戦場へ。

 ――そういえば、あの少年。

 近くにいたはずなのに、足音も、気配もまるで感じなかった。
 まるで、そこに存在していなかったかのように。

 「……疲れてるのかな……当然か」

 独り言ち、カミーユも踵を返した。
###




・双子のMS「バンパイア(ハンブラビのカスタム機)」とカミーユのΖガンダムが交戦。
 カミーユは説得を試みるが、双子の攻撃で味方が戦死し、説得を断念。カミーユのプレッシャーに押される双子。再戦を楽しみにしつつ撤退。

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双子と別れ、アーガマに帰還したカミーユは出港後、妙な胸騒ぎを覚えていた。

「なんだ……この感じ……俺を呼んでる……?」

フェダーイン・ライフルでアーガマを奇襲する謎のモビルアーマー(グレーテルのバンパイア)。
カミーユがZガンダムで出撃。謎のモビルアーマーは高速で離脱していく。

カミーユ「間違いない。あれだ、あの感覚は」
ブライト「待て、カミーユ!」
カミーユ「クワトロ大尉が居ないんです。僕が仕留めます!」
ブライト「カミーユの奴、一人で……ネモ隊、カミーユの援護に回ってくれ。アポリーはアーガマを防衛」

アーガマから距離を取ったところで謎のモビルアーマー(グレーテルのバンパイア)がモビルスーツ形態に変形する。

「この新型も変形を……ティターンズか!」

カミーユもZガンダムを変形させ、モビルスーツ形態でドッグファイト。
脇から奇襲するヘンゼルのバンパイア。

カミーユ「もう一機! やはり、罠か……けど!」

二機の連携を活かした時間差攻撃に翻弄されながらも、カミーユはフェイントを利かせて、一瞬の隙を突く。

カミーユ「もらった!」
グレーテル「あはは、凄い凄い」
カミーユ「何ッ!?」

聞き覚えのある声にカミーユは一瞬、動きを止めてしまう。
刹那、ヘンゼルのバンパイアから放たれた"海ヘビ"を巻き付けられて電流を流される。

カミーユ「しまった……うわああああっ!」

グレーテルが容赦なく、フェダーイン・ライフルの照準を身動きの取れないZに向ける。

グレーテル「さようなら、お兄さん」

トリガーに指を掛けた時、側面から無数のビームが飛来。
アーガマから救援に駆け付けた三機のネモだった。

グレーテル「……邪魔よ」

グレーテルが構えていたフェダーイン・ライフルを無造作に放つ。戦艦級の火力で、先頭のネモをシールドごと一撃で吹き飛ばす。
もう一機のネモがビームライフルを撃ちながら接近するが、グレーテルは宙返りの要領で素早く射線を避け、背後に回り込みながら両手のクローアームでネモの両肩を切り裂く。
ネモのパイロットは必死に唯一残された頭部バルカンで反撃するも、目前からバンパイアの姿が消え、刹那、モニター一杯に映り込む。ひしゃげるコックピット。グレーテル機のテールランスがメリメリとネモのパイロットをコックピット毎、刺し貫いていく。

グレーテル「ウフフ……!」
ヘンゼル「アハハ……!」

もう一機のネモもヘンゼル機のビームサーベルによって笑いながら右腕、左腕、頭部と切り飛ばされ、達磨状態にされた挙句、左腕のビームガンでコックピットを撃ち抜かれて破壊される。

その残虐な光景に、カミーユの怒りが頂点に達する。

カミーユ「……やめろっ!」

カミーユの激情に、Zガンダムのバイオセンサーが反応した。

凄まじい出力でグレーテルに切りかかるZガンダム。咄嗟にフェダーイン・ライフルを投げ出し、楯にすることで一刀両断にされるのを防ぐグレーテル。
Zの背後へと"海ヘビ"を放つヘンゼルだが、カミーユは背中越しにビームライフルを斉射。"海ヘビ"ごとヘンゼル機の右腕を吹き飛ばす。凄まじいプレッシャーに圧倒される双子。

「お前たちは……っ!?」

瞬間、バイオセンサーを介して、カミーユの肥大化したニュータイプ感能力は双子の記憶すら読み取ってしまう。二人の体験した"地獄"を。

「……見たんだ?」
「………………!」

心の中を覗かれた感触に、双子は嗤う。
カミーユが呼びかけようとした時、双子は損傷したバンパイアをMA形態に変形させ、戦場を離脱していく。

ヘンゼル「バイバイ、お兄さん」
グレーテル「また、遊びましょうね」
カミーユ「……待てっ!」

すかさず、二人にビームライフルの銃口を向けるZガンダム。
バンパイアは回避行動すら取らず、真っすぐに飛翔する。撃ってみろ、と言わんばかりに。
カミーユの脳裏にネモ隊のパイロット達の顔が浮かぶ。無惨に惨殺される光景も。
撃つべきだ。頭では理解している。
しかし、カミーユの手は震えていた。
「……くそっ!」
銃口を下ろすZガンダム。モニターから敵機の姿が消える。
「……俺は……」

ヘンゼル「……撃たなかったね、あのお兄さん」
グレーテル「"優しい人"は好きだわ……ふふ、またいつか、会えるかしら?」

笑い合い去っていく二人。
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・双子を回収したティターンズ艦。艦橋でアズラエルが艦長にゲリラ作戦の中止を指示。
 目的は、強化した双子と新型可変機の威力テストだった。渋々、従う艦長。

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突如、カミーユの激情に同調するように強烈なプレッシャーを放つZガンダム。
本能的に危険を感じた双子はカミーユに別れを告げ、ティターンズの艦艇へと舞い戻った。
『バンパイア両機、着艦』
 オペレーターの報告を聞き、艦長は後ろの席にふんぞり返っているアズラエルに声を掛ける。
『……本当に中止されるので?』
『ええ。戦闘データは十分に収集できましたし、こちらの手もばれてしまった。潮時です』
『しかし、アーガマを』
『僕の要請を聞く様に言われてるでしょ……なんでしたら、バスク大佐に回線つなぎましょうか?』
『……いえ』
『結構。なら、さっさと撤収準備を進めてください』
(全く。一々、逆らうんじゃないよ……これだから職業軍人って奴は)
 アズラエルは内心で侮蔑しながら、手元のコンソールを操作した。
 端末上に記録映像が映し出される。
 それは、ダミー隕石に紛れて戦場を視察していたアイザックが収集したZガンダムとの交戦データだった。
『しかし、あの二人で仕留めきれない……ガンダム、ねぇ……』
 トントンとアズラエルの指が端末を叩く。
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クワトロ「なにがあった、カミーユ」
カミーユ「何がです?」
クワトロ「苛立ちを感じるな」
カミーユ「戦争をやってるんです。当たり前でしょう、そんなの!」
クワトロ「しかし、君の苛立ちは自分に向いている。ネモ隊がやられたのは、君のせいではあるまい」
カミーユ「……僕には敵の新型を落とせた。でも、やれなかった。感じたんです、パイロットを。子供でした。コロニーにいた」
クワトロ「……子供?」
カミーユ「僕が落とさなきゃいけなかったんです。僕が躊躇しなければ……!」
クワトロ「そう思うのなら、次は躊躇わずに撃て。でなければ、次に死ぬのは君の方だぞ」
カミーユ「分かってますよ、そんなこと!」
 声を荒げて立ち去るカミーユ。
 サングラスを取るクワトロ。脳裏を過るブレックス暗殺現場から立ち去る子供の背。
クワトロ「子供、か……まさかな」

・ジュピトリス艦内。ハンブラビの設計を褒めるアズラエル。慇懃に応じるシロッコ。

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アズラエル「君の設計した変形マシーンは良く出来てる。うちの技術者にも学ばせてやりたいよ」
シロッコ「身に余る光栄です、アズラエル理事。助言は幾らでも出来ますが……しかしながら、教えてどうにかなるものでもありますまい」
アズラエル「へぇ?」
シロッコ「センスの問題ですからな。凡庸な人間は何を見聞きしたところで、似通ったものしか生み出せません」

 シロッコの返事に感心するアズラエル。

シロッコ「ところで、理事。ジャミトフ閣下の"真意"を……あなたはどこまでご存じで?」
アズラエル「……?」
シロッコ「ジャミトフ閣下は、地球に引かれている人々を根絶やしにするために、ティターンズを作ったのですよ」
アズラエル「……何を言い出すかと思えば。閣下はスペースノイドから地球を守る為にティターンズを設立した。それが事実だ」
シロッコ「しかし、エゥーゴとの戦争が長期化し、地球の経済が窮地に追い込まれれば、いずれ地球上の人間は餓死していなくなりますな……」

 睨むアズラエル。平然としているシロッコ。

シロッコ「今、時の運はティターンズ……いや、ジャミトフに味方している。しかし、時代の流れは変わる。その時、君には賢明な判断をして貰いたいな」
シロッコ「これは忠告だと思って欲しい、ムルタ・アズラエル。君とは良き友人でありたいと思っている」

 アズラエルの脳裏を過るジャミトフの冷たい視線。
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・アクシズのジオン残党とティターンズが交渉していることを知ったアズラエル、ダカール演説を契機として、ティターンズへの支援を打ち切り、双子を伴って地球に戻る。
 後日、ジャミトフとシロッコの死を知る。




第二部:

宇宙世紀0088年(第一次ネオジオン紛争)
✅ ハマーンのネオジオン軍による地球侵攻。

・アズラエル、ダブリンを拠点に反ジオン系ゲリラへの武器支援。

・ダカールを占拠したハマーン。見せしめとしてダブリンへのコロニー落としを決行。同時に、ラカン・ダカランのMS部隊にダブリンを包囲させる。

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ティターンズ壊滅後、アクシズのハマーン・カーンはネオジオンを名乗り、地球へと侵攻。
 連邦政府首都ダカールを占拠したハマーンは、散発的に続くテロに対して報告を受けていた。
 各地のテロを影から扇動し続ける男の名はムルタ・アズラエル。
「目障りな俗物が……我らに楯突くことの愚かさが分からぬと見える」
 報告書を握り潰すハマーン。
「サイド4のマシュマーに伝えよ。核パルスエンジンに点火せよ、と……ラカン!」
「はっ」
 首を垂れるラカン。
「このコロニー落としは、地上に被害を与えるだけが目的ではない。その恐怖によって、我々の力を誇示するためのものだ。二度と我々に逆らおうなどと思わせぬために、な……」
 顔を上げたラカンの眼光が鋭く光る。
「愚かなアースノイド共に絶望という言葉があることを思い知らせてみせましょう、ハマーン様」
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・アズラエル救出を命じるブライト。反発するジュドー。嗜めるルー。

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ティターンズとの戦いの後、ハマーンを追い、地球に降下したアーガマ。
そこへ、宇宙のネオジオン艦隊がコロニー落としを狙っているとの知らせが届く。
「……本当にコロニーが動いているのか? ハマーンめ」
 呻くブライト。
「ダブリンには、無辜の市民だっているんだぞ……それを」
 ブライトはジュドーとルーにダブリンに向かい、アズラエルの救助を命じる。
「アズラエルってブルーコスモスの親玉で、ティターンズに協力してた奴でしょ?なんだって、俺が!」
 反発するジュドー。嗜めるルー。渋々、出撃するジュドー。
「……大勢の市民を見捨てて、アズラエル一人を優先する。何をやっているんだろうな、我々は」
 唇を噛み締めるブライト。
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・迫りくる死に怯えるアズラエル。愉快げな双子に苛立ちながら、包囲網の突破を命じる。
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「くそっ……くそっ!」

ダブリンの私邸でアズラエルは焦燥していた。

「こんな、こんな筈はないんだ……こんな、馬鹿な……!」

アズラエルの構想は、ネオジオンが本格的な侵攻に乗り出す前に、地球上の連邦軍を再編させ、武器を提供して扇動した各地の反ジオンゲリラの動きと連動させることにあった。
しかし、その想定はハマーンの迅速な対応、そしてアズラエルの予想以上の地球連邦軍側の対応の遅さによって裏切られた。
散発的なゲリラ活動も、その効果を出す前に、ネオジオンによって確固に鎮圧されてしまい、完全に勢いを失ってしまっている。
そればかりか、ハマーンは背後で暗躍していたアズラエルの存在まで嗅ぎつけていた。
今や、このダブリンはネオジオンのMS部隊によって包囲網を敷かれ、外部との連絡は遮断され、脱出もままならない状況となっている。
頭上には、刻一刻とコロニーがダブリン目掛けて迫りつつあるというのに……。

「……フフ」

そんなアズラエルの様子を見て、双子が、くすくすと笑う。苛立たし気に二人を見やるアズラエル。

「何、笑ってる……お前ら、状況を理解しているのか!?」
「勿論」

 ヘンゼルはニコリと微笑み、両手を広げる。

「"そら"が落ちて来て、逃げられなくなって皆、ここでおしまい。ねぇ、"姉様"?」
「そうね、"兄様"」

その言葉に、アズラエルの神経がピクリと跳ねる。

「ふざけるな……!!」

彼は、思わず怒鳴った。

「僕は……死ぬつもりはない、こんなところでっ!!」

アズラエルは忌々しげに双子を睨むと、歯噛みしながら怒鳴った。

「何の為に、お前達を拾ってやったと思ってる!!? "アレ"を使って、さっさと突破口を開けっ!!」



「おじさま、カンカンだったね」

アズラエル邸の通路を歩きながら、ヘンゼルは隣のグレーテルに囁く。

「どうする、姉様?」

――やっちゃおうか、もう。

これまでも、ずっと、そうしてきたように。
言外の問い掛けに、グレーテルは「そうね、兄様」と答える。

「怒鳴られるのは好きじゃないもの……でも、その前に、もっと遊びましょ?」

だって、とグレーテルは見上げる。目の前にそびえたつ二つの巨躯を。

「折角、おじさまがこんなに素敵な"玩具"を用意してくれたんですもの」
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・ダブリンを包囲したラカンのMS部隊と双子の量産型サイコ・ガンダムが交戦

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「ラカン隊長、市外に延びる道路は全て封鎖完了しました」
「ん……一匹たりとも逃がすなよ。コロニーの餌になる鼠は、多い方が良い」

 ダブリンを完全包囲したネオジオンのMS部隊。隊長であるラカンのモニターに新手の反応。

「あれは……サイコガンダムとかいう奴か?」

それは、アズラエルの奥の手である二機の量産型サイコガンダムだった。
ネオジオンのMS部隊から火線が集中するが、サイコミュ制御の量産型サイコガンダムは双子の意思に沿って、ダブリンの建物を楯にしつつ、滑らかに射線を回避する。
足元に逃げ惑う市民を無造作に蹴散らしながら、量産型サイコガンダムの全身に内蔵された火器が一斉に火を噴く。

「散開しろっ! アズラエルめ、厄介なものを……だがっ!」

ラカンのザクⅢ、弾幕を避けながら猛然と双子に迫る。



「アハハハハッ、凄いや!」

"おじさまが用意してくれた玩具"――量産型サイコガンダムは双子に非常な高揚感を与えていた。

漆黒の宇宙空間を高速で自在に飛び回ることのできるバンパイアの乗り心地も素晴らしかったが、全長27.2mの巨躯は原型となったサイコガンダムMk-Ⅱのそれに比べれば遥かに小柄ながらも、ネオジオンのザクⅢやドライセンよりも一回り大きい。
その鋼鉄の巨体がサイコミュによって双子の意思に従い、滑らかに動き、素早く応じる。
指を動かすより先に、機体が敵を撃ち抜く。視線を向けるだけで、標的が爆ぜる。

まるで、自分がこの機体になったようだ――いや、この機体こそが、自分なのだ。

「楽しいね、"姉様"」
「ええ、"兄様"」

量産型サイコガンダムから放たれる高出力のメガ粒子の雨。
空をカトンボのように逃げ回るネオジオンのモビルスーツの様子も、落ちた瓦礫が降り注ぎ、巻き添えとなってアリのように群衆が潰されていく光景も、二人の精神を余計に高揚させた。
落ちる瓦礫、砕かれる肉体、潰える命――すべてが、二人に快楽を与える。
逃げ惑う彼らの悲鳴が、分厚い装甲版越しに双子の脳へと直接、伝わってくる。
この機体は素晴らしい――ただの戦争の道具ではない。
かつて、大人の影に怯え、蹂躙され、這い蹲るしかなかった自分たちにとって、これは救済そのものだった。

――もう、見下ろされる側じゃない。

バンパイアの時は、まだ"対等"だった。
だが今や、自分たちが巨人となり、大人たちを、この世界を、見下ろしている。
自分達の方が"上"――その事実に双子は狂喜した。

「さぁ……もっと殺しましょう。殺して、殺して、殺し尽くしましょう」

迫りくる敵を。この町の全てを。
それだけ殺せば……きっと自分達が死ぬことは無い。
例え、あの"そら"が落ちてきたとしても。

###



・激戦の末、量産型サイコガンダムの1機が右脚および左腕もう1機が頭部を破壊されながらも高い火力でラカンのザク3と互角以上に渡り合う。ラカン、迫りくるコロニーを見て後退。
 ブライトの指示で到着したジュドーのZZガンダムが双子を、ルーのZガンダムがアズラエルを回収、戦線を離れる。直後、ダブリンはコロニー落下の直撃で壊滅。

###
ラカン「生意気がっ!」

ザクⅢのビームがグレーテルの量産型サイコガンダムの頭部を直撃。しかし、動じることなく、その全身から放たれる無数のビーム。

ラカン「ええい、しつこいっ……ぬっ!?」

別方向から飛来したビームを避けるザクⅢ。それはアズラエル救助にやって来たジュドーのZZガンダムだった。

ジュドー「いい加減にしなよ、あんたらっ!」
ラカン「エゥーゴの……ガンダム!」

頭上には既に目視可能まで迫りつつあるコロニーを見て、ラカンは舌打ちする。

ラカン「潮時か……このラカン・ダカランが仕留めきれんとは……不覚!」

形勢不利を悟り、撤退信号を出すラカン。撤収していくネオジオンのMS部隊。

ジュドー「待てよ、おっさん!」

追いすがろうとしたジュドー。その時、頭部をやられた量産型サイコガンダムがビルに倒れこむ。
激戦の末、大破寸前の量産型サイコガンダム二機。
片方は左腕と右脚を、片方は頭部を失い、既に限界を迎えつつあった。
接近するZZガンダム。

ジュドー「なんだ……こいつらも、ガンダムなの!?」

コックピットが開き、中から出て来てZZを見上げるグレーテル。

ジュドー「!?まだ子供じゃない……こっちも!」

続けて、もう1機からも出てきたヘンゼル。

ジュドー「乗れよ、お前ら!」

ZZガンダムの差し出した手に飛び移る双子。同時にZガンダムから通信が入る。

ルー「ジュドー! ターゲットを回収したわ」
ジュドー「了解……捕まってろよ、お前ら!」

双子に叫びつつ、ZZのスロットルを吹かせる。

ジュドー「大人の身勝手で……!」

ダブリンを離脱していくZZとZ。

ジュドー「殺されて堪るかよっ!」

直後、コロニーが地表に激突。背後から凄まじい熱波。

逃げられなかった市民達の断末魔の意思をダイレクトに感じ取り、わなわなと震えるジュドー。

「……泣いてるの?」

不思議がる双子。
###



・アーガマ艦内、アズラエルはブライトに怒りをぶつけ、エゥーゴと連邦軍の怠慢さをなじる。
 ジュドー、アズラエルに拳を食らわせ「大人たちの勝手さ」を非難。

###
「ご無事でしたか、アズラエル理事」

静かな声が響く。

格納庫の中央に立っていたのは、ブライト・ノア。

彼は、アズラエルの姿を一瞥すると、表情を崩さずに言った。

しかし――

「無事なわけないだろっ!!」

アズラエルは、怒鳴った。彼は、Zガンダムのコックピットから降りるなり、苛立ちを隠そうともしなかった。

「この僕が、死にかけたんだぞ!? 見ろ、ダブリンを! あの有様を!!」

ブライトは何も言わず、黙ってアズラエルを見つめ返す。

「ジオンの奴らに好き勝手させやがって……何の為に、僕がティターンズに金を注ぎ込んできたと思う!? こうならないためだろうが! それをお前らエゥーゴが余計な真似を」
「あんたさぁ!」

ジュドーの拳。アズラエルは殴り倒され、無様に床に転がる。

「勝手、言わないでよね!!」

ジュドーの声が、デッキに響き渡る。

「あんたみたいな大人たちが、戦争で世の中めちゃくちゃにして、それで苦しむのはいつだって俺たち、子供なんだ! 俺、嫌いだよ、オジサンみたいな人!!」

吐き捨てて去っていくジュドー。

「ちょっと、ジュドー!」

ブライトに視線を送るルー。頷くブライト。追っていくルー。

「……くそっ」

悪態をつきつつ、身を起こすアズラエル。手を差し伸べるブライト。

「立てますか」

憎々し気に、手を払いのけ、立ち上がるアズラエル。

「躾がなっちゃいないな、エゥーゴは!」
「申し訳ありません。サイド1のシャングリラ育ちですので」
「はっ……野蛮だね。スペースノイドって連中は」
「コロニーでは、空気を吸うだけで税金が掛る。そういう生活を強いられれば、ああもなりますよ」
「……ボクが殴られたのは自業自得だと!?」
「貴方だけじゃない。こんな世界しか残せなかった私たち大人の責任でもある。我々、全員が殴られても仕方ない……そう思いませんか?」
「……ふん」

そっぽを向くアズラエル。
###

・双子、アーガマに収容されていた精神崩壊状態のカミーユを発見
***

 既視感があった。

 ――ここに"彼"がいる。間違いなく。

 双子は、まるで何かに誘われるようにアーガマの艦内をさまよい、やがて一室の前で立ち止まった。
 暗い。静かだ。
 扉を押し開けると、やはり、そこに"彼"がいた。
 あの渡り鳥のお兄さん……カミーユ=ビダンが。
 しかし、近づいて呼びかけても、何の反応もしない。
 まるで、人形みたいに。

「……どうしたの、お兄さん。どうして、目を合わせてくれないの? 僕達のこと、嫌いになっちゃった?」

 ヘンゼルは、カミーユの指を、そっと掴んだ。
 細い指。 生きているはずなのに、どこか冷たい。

「何か喋ってよ」

 爪を立て、ぐっと力を込める。
 赤い筋が浮かび上がり、ゆっくりと血が滲む。

「もっと痛くして欲しいのかしら? ……それとも、殺して欲しい?」

 グレーテルが、耳元で囁く。
 舌を這わせるように、喉元へと触れ――甘く、囁く。

「お兄さんが望むなら……少しずつ噛み千切ってあげるわ。そうしたら、鳴いてくれるかしら、小鳥みたいに」

 ――さあ、どうするの?
 ――また、輝いてみせてよ。
 ――あの時みたいに。

「……ぅ……」

 カミーユの口から、小さく息が漏れる。
 でも、それだけだった。
 目は、ぼんやりとしたまま。二人の方を見ようともしない。身じろぎすらも。

「……つまらない」

 指を離す。残ったのは、血の滲んだ爪痕だけ。

 ――壊れちゃったの? もうお終いなの?
 ――もう二度と飛べなくなってしまったの?

「また、遊ぼうよ……ねぇ」

 ヘンゼルは、そっとカミーユの手を取る。
 さっきまで痛みを与えていた指を、今度は優しく自分の頬に押し当て、撫でさせる。
 グレーテルもカミーユの顔を覗き込む。

「踊りましょうよ。もう一度、"そら"で。私達と一緒に」

 グレーテルの唇がカミーユの頬に軽く触れた。
 ピクッと微かに反応するカミーユ。

「……ぁ」

 その時、双子は感じた。
 宇宙を。

「……あはっ!」

 二人は顔を見合わせて笑い合う。
 やっぱりだ。
 このお兄さんは……まだ、死んでいない。
 きっと蘇る。
 蘇って、そして、もう一度、自分達と――

「ふふっ……またね、お兄さん?」
「ボク達、待ってるよ。ずっと」

 クスクスと笑いながら、二人は部屋を後にする。
 扉が、静かに閉じ、部屋は暗闇に染まる。

「…………」

 静寂。
 暗闇の中、機械の音だけが響いていた。
***



・ネオジオンへの反攻作戦の為、腫れ上がった頬を摩りながらアズラエルは双子らを伴ってアーガマを降りる。双子、ジュドーと別れの挨拶

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「ジオンの連中だって一枚岩じゃない筈だ。五年か、十年も立てば絶対に内紛が起きる」

このアズラエルの予想は半分当たった。確かに内紛は起きた。しかし、それは五年後でも十年後でもなく年内、それも僅か数ヶ月後のことだった。

「……は?」

報告を受けた時、アズラエルは言葉を失い、それから狂ったように笑い出したという。
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第三部:

宇宙世紀0093年(第二次ネオジオン紛争)
✅ シャアのネオジオン軍による地球寒冷化作戦。



・アズラエル、ロンド・ベルにロンバルディア級戦艦とヤザン率いる元ティターンズ将兵のMS部隊を合流させる。
 ロンバルディア級戦艦の格納庫の仲、5年ぶりにヤザンと成長した双子が再会、お互いの"獣性"が健在であることを確認。

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「まさか、この俺がガンダムと共に戦う日が来るとはな……」
 ロンバルディア級戦艦の格納庫でギャプランTR-5を見上げる。
「……で、何のようだ?」
 肩越しに背後を一瞥するヤザン。隅から出て来る背の伸びた双子。
「ちぇ、気づかれちゃった」
「いつかの……まだくたばってなかったか」
「おじさんこそ」
「お前らも出るのか?」
「いいえ、私達は別のお仕事があるの」「そう、僕達にしかできないお仕事がね」
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・アズラエルの尽力とロンド・ベルの奮戦により、ネオジオンによる5thルナの落下阻止に成功。
 しかし、アムロのZガンダムはシャアのサザビーを仕留めきれず、ネオジオン艦隊を逃がしてしまう。
 アデナウアー・パラヤが宇宙にシャトルで上がった報を聞き、和平派の動きに気付くアズラエル。
 シャアの行方を探る為、アデナウアーの足取りを追わせつつ、自身も宇宙に上がる。

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 アズラエルの尽力とロンド・ベルの奮戦により、ネオ・ジオンの5thルナ落下作戦は阻止された。
 標的だったチベット・ラサ基地は無傷――だが、決して完璧な勝利ではない。
 アムロのZガンダムはシャアのサザビーを仕留めきれず、ネオ・ジオン艦隊を逃がしてしまった。
 その報告を聞き、アズラエルは舌打ちした。

「チッ……あいつら、せっかく要望通り、Zガンダムを手配してやったのに……ま、5年前の機体じゃこんなもんか」

 そう言いつつも、不快感は消えない。
 折角、シャアを戦場で討ち果たす絶好の機会だったものを――

「やはり、必要かな。新型が……ん?」

 思考を遮るように通信が入る。連邦政府内のシンパからだった。

「……アデナウアー・パラヤが宇宙に上がった? いや、そんな話、聞いてないよ、僕は」

 ―――なんだって連邦政府参謀次長が今、この時期に?

 瞬間、胸騒ぎがした。
 アズラエルは立ち上がり、目を細める。

「あいつら……!」
「アズラエル様?」
「和平だよ。でなきゃ、この僕に黙って動くもんか」
「まさか、いや、しかし……」

 困惑するシンパをよそに、アズラエルは苛立たしげに手を振った。

「ああ、冗談じゃない。コロニーどころか隕石だって平気で落としてくる連中だぞ? そんな野蛮な奴らと交渉? 有り得ないだろうが!」
「厭戦気分という奴でしょうか?」
「怠慢だよ、ただの」

 吐き捨てながら、逡巡する。

 ―――どうする?
 ―――"双子"を使って妨害するか? それとも……

「……いや、アデナウアーの足取りを追え。ああ、手を出さなくていい。ひょっとすると……"奴"が出てくるかもしれないからさ」

 一拍置き、口角をわずかに吊り上げる。

「上手くいけば、ロンド・ベルの不始末を帳消しに出来るかもしれない」

 通信を切り、アズラエルは眉間を押さえながら、ゆっくりと息を吐いた。
 それから、天井を見上げ、ポツリと呟く。

「そろそろ、上がるか。僕も」

 アズラエルが五年ぶりに宇宙へと上がったのは、それからすぐのことだった。
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地球連邦政府の予算は有限である。
その限られた予算が軍事費に流れることを和平派は嫌った。軍縮によるアズラエルを筆頭とする過激派の弱体化と自分達の提唱する政策――福祉の充実や復興支援――の実現こそが、彼らの理想であった。彼らはロンド・ベルの軍閥化を恐れ、ジオン残党との終わりの見えない泥沼の戦いにも辟易していた。
ネオ・ジオン側からの武装解除の申し出とアクシズ譲渡によって譲られる予定の莫大な金塊は、彼らにとって渡りに船であり、和平交渉の場にシャア自らが出席したのは、現場のアデナウアー・パラヤ達、交渉使節団を痛く感動させ、自分達の考えが間違ってなかったのだ、と強く信じさせた。彼らはシャアの術中にはまった。



宇宙に上がったアズラエル、"スウィートウォーター"占領中のネオジオン軍を壊滅させるため、ルナツーに貯蔵されていた核兵器の封印を解くように要請。

「理事、あなたはご自分が何を仰ってるか理解しておられるのですか?あなたは……連邦所属のコロニーに核を撃てと仰っておられるのですよ!」
「ジオン残党のテロリストに不法占拠されているコロニー、でしょ」
アズラエルは平然と答えた。
「フィフスルナ以降、シャアの行方は依然知れない。現状、一番可能性が高いのは当座の根拠地であるスイートウォーター。なら、そこを潰すのが最良でしょ。仮に、あの男がいなかったとしても、ネオジオンは駐留部隊ごと拠点を失うことになる……別に、連邦軍の手で撃てなんて言っちゃいませんよ。
 移送中の核兵器をネオジオン軍が強奪。扱いを誤って自分達で爆破……そう言うことだって起こり得ると思いません?」
「バカバカしい! そんな偶然、世論が信じるなど」
「世論なんて、どうにでもなりますよ。大事なことは、結果です」
「しかし、あそこにはまだ一千万のコロニー住人が」
「あのねえ、司令官さん……地球には、その十倍、二十倍の生命がいるんですよ。それに、地球は僕らの故郷なんです。優先すべきはどちらか…考えるまでもないですよね?」
 反抗するルナツー司令官に対し、冷笑を返すアズラエル。
 「失礼」
 アズラエルの下に、シャアと連邦政府和平派が同サイドの"ロンデニオン"で会談中との報が届く。
 ロンド・ベルに情報をリークし、シャアの身柄を抑えるように指示を送るアズラエル。
 「さっきの件、頼みましたよ。もし、間に合わなかったら……分かりますよね?」
 司令官に言い捨て、ルナツーを退出するアズラエル。
 「……これではティターンズの、いや、ジオンの二の舞ではないか!」
 アズラエルの座っていたデスクに軍帽を叩きつけるルナツー司令官。

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・シャアは連邦政府から騙し取ったアクシズを地球へと落下させ、地球の寒冷化を狙う。
 アズラエルの手配した核ミサイル群がアクシズを狙うが、ギュネイのファンネルによって阻止。
 核攻撃を阻止し、勝ち誇るギュネイをヤザンのギャプランTR-5が奇襲。「やるな、強化人間!」中破しながらも反撃に転じるギュネイのヤクト・ドーガ。「俺は……ニュータイプだ!」ファンネルを余裕で回避するヤザン。「はっ!」




・双子、レウルーラへ潜入。サザビーに乗る前のシャアを狙うも五年前と同じ邪気に感づかれ、返り討ちに遭う。「同じ手は食わんよ」
 双子の片割れが死亡、残った方もシャアの銃撃を避けてダクトに逃げ込む。
 「もう一匹いる。始末しろ」
 シャア、衛兵達に残りの始末を淡々と命じる。
 一人、ブレックスへの弔いの後、サザビーで出撃する。



✅ 地球へと落下するアクシズ。
・ヤザン、アクシズを押し戻す行動には加わらず。
 「正気か? アクシズはもう重力に引かれてるんだぞ!」
 ギャプランTR-5を変形。宙域から離脱直後、背後でサイコフレームの発光が始まる。
 「……なんだ!?」

・レウルーラ艦内を逃走中の双子の片割れ、窓からサイコフレームの発光を目撃「綺麗……」



・ヤザン、ロンバルディアに着艦。

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アズラエル「君は、加わらなかったみたいですね、アレ」
ヤザン「俺が、そんなセンチメンタルに見えるか?」
アズラエル「いや。賢明ですよ、ヤザン・ゲーブル」
ヤザン「ふん……ガキ共は?」
アズラエル、肩をすくめ、首を横に振る。
ヤザン「そうか」
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・アズラエル、サイコフレームの光を思い出しながら、憮然とした表情を浮かべて、足元に広がる地球へとシャトルで帰還していく。

エピローグ(宇宙世紀009X年・戦後)
✅ 精神崩壊から回復したカミーユ、診療所を開く。
・ニュースで流れるアズラエル死亡(自爆テロ)の報を観ているカミーユ。ニュータイプの感覚で懐かしい歌声を感じ取る
・路地裏でボロボロの双子の片割れを発見。昔と変わらぬ笑み「……はぁい、お兄さん」




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