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終わりました。 本当にスレイン君がロマンを貫いた作品でした。 好きな相手の為に、あそこまで報われない生き方を選ぶとは……最後には全てを失ってしまいますし。 個人的にはこの終わり方で良かったかな、と思います。 とはいえ、この結末に納得いかない人は間違いなくいると思います。 そういう意味では見る人を結構、選ぶような気がします。 23話では姫様を拘束してでも地球との全面戦争を続ける覚悟を示したスレイン君。 しかし、24話で、スレイン君は月面基地の放棄、つまり作戦の中止を決断しました。 個人的には、これ以上戦い続けることに意味を見いだせなくなったからだと思います。 23話の時点では姫様を隠し続ければ、火星の戦力を地球に向けて動かす事が出来ました。 しかし、姫様が女王として就任し、正式な通達を出したことで、対地球に向かっていた火星の勢いを殺す結果となり、勝機が遠ざかったことを意味しています。 それでも、戦い続けることを望む勢力もいるでしょう。 スレイン君がザーツバルグ卿のように地球を憎んでいれば、火星本国の意思に反してでも地球を強硬に討とうとしたかもしれません。 (ザーツバルグ卿がそんな力押しの方法を選ぶかはともかく) しかし、スレイン君の行動は常に「姫様のため」だったと思います。 姫様のために、火星を統一し、平和な世界を作らなければならない。 その為には敵対し続ける地球を討たなければらない。 例え、それが姫様の意思に反することだとしても。 ですが、姫様の宣言によって、状況は変わりました。 これ以上、地球と戦おうとすれば、姫様と抗争状態となり、火星は内乱状態になりかねません。 そもそも、どれだけ火星勢力が御旗を失ったスレイン君に協力するでしょうか。 この時、スレイン君はこれ以上、戦い続ける意味を失ったのだと思います・ 「まさかな。そんな手を使うとは」 姫様の行動に微笑を浮かべるスレイン君。 ここで妙に焦ったり、苛立ったりせず、この反応を示したことでスレイン君の気持ちを察することができます。 「私はあの光の中を跳びながら色々な物を見ました」 「未来です。良いことも悪いこと全て。見えるのはほんの少し先のことだけ。 「なんでも分かってるつもりでした。 多くの事はその通りだった、 でも、本当に大切なものは何も見えていませんでした」 タルシスの未来予測ってどこまで可能なんでしょうね? あくまで戦術レベルだと思ってたんですけど。 とはいえ少しでも未来が見える以上、それは全能感につながるんじゃないでしょうか。 二期のスレイン君が以前に比べて自信に満ちていたのもその影響なのかもしれません。 馴れてしまうと、まさに「なんでも分かってるつもり」になってしまうのでしょう。 ……もしかすると、クルーテオ卿も同じような心情だったのかもしれません(火星騎士は皆、自信満々ですが)。 その彼もザーツバルグ卿の真意を読めず、裏切られたのは皮肉ですけれど。 「全軍に伝える」 「この月面基地を放棄する」 「ネムリナ姫、これまでの数々のご無礼、大変失礼いたしました」 「どうか、何時までもお健やかに」 去り際のあの背中の哀愁が何ともいえない。 スレイン君、まだ17歳ですよ。。。 ネムリナ姫も可哀想ですね。 多分、本心からスレイン君の事を好きになってたと思います。 残念ながら好きになった相手が一途過ぎました。 できれば、いずれは失恋を忘れて、他の相手を見つけて欲しいものです。 「なんてことを」 「よせ、我々に最早、勝機はない。命を無駄にするな」 スレイン君の予想に反して戻ってくるハークライト卿やステージス隊。 ここはスレイン君が自分を過小評価し過ぎたと思います。 全員が全員ではないにしても、スレイン君を「主君」として忠義を抱いていた者達は間違いなく居た訳で。 彼らにしてみれば主君だけ死なせて生き残る訳にはいかなかったのでしょう。 バルークルス伯爵はあの死地に良く戻って来たなぁ。 彼なりに火星騎士としての意地を貫いたのでしょうね。 「そうだな。ハークライト。このまま終わる訳にはいかない。 僕にはやることが、まだ」 「決着をつけるぞ、貝塚イナホ!」 「嬉しいよ、そうこなくては!」 「失うものもない」 「分かってないな。これはもっとも求めた選択だ!」 「ずっと、ずっと目障りだったんだ、その色が!」 一度は戦う意味を失ったスレイン君ですが、闘志を剥き出しにしてスレイプニールに向かっていきます。 嬉々として戦いに向かうスレイン君の姿を見たのはこれが初めてかも。 火星騎士の僕、姫様の騎士、地球攻撃の司令官。 もはや背負うべきものは何もなく、宿敵と決着をつけるためだけに戦う。 どうせ死ぬなら、最後に個人としての我儘を貫きたいと思ったのでしょう。 「予測イメージを全てカットだ。 もう僕に、未来なんて必要ない!」 巧いなぁと思った台詞。 故障したタルシスの予測機能を停止させながらなので、台詞に無理がない。 「もういいだろ」 「騙した、奪った、殺した、多くの仲間を犠牲にした」 「どうして。どうして僕を助けた!」 正直、死んだ方が楽なんですよね。彼にはもう戻るところも、生きる希望もないのですから。 仮に公に生き残っていたとしても、火星からは国家を騙した人間として、地球からは戦犯として扱われる訳で。 償う方法なんてある訳なくて、終身刑か死刑しかないですからね。 だから、姫様の願いは結果的にスレイン君にとって惨い仕打ちと言えなくもない。 ただ、「姫様がスレイン君の事を憎んでいる訳ではなく、救われて欲しいと願っている」という事実は多少なりともスレイン君を慰めたことでしょう。 余談ですが、個人的にスレイン君が救われたなと思ったのは、23話で姫様がスレインを疑った時に、エデルリッゾが泣いてくれたことですね。 「スレイン様は何も変わってはおりません」 「スレイン様の行動の成否は私には分かりません。 でも、あの方は何時でも、姫様のことを思ってらっしゃいました。 ご自分の立場や命が危なくなろうとも、常に姫様の為を思ってらっしゃいました。 姫様が、目覚める日をずっと信じて」 勿論、スレイン君は知りませんが、一人でも泣いてくれる人がいてくれてよかった。 多少、主人公達が活躍し過ぎな気もしますが、先の見えない展開や戦闘描写、何よりスレイン君やイナホなど好きになれるキャラが出来て実に楽しめる作品でした。 ただ、結局、「アルドノア・ゼロ」の「ゼロ」の意味は分かりませんでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023年03月13日 02時14分33秒
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