風色の本だな

2004/01/23(金)23:01

『13歳のハローワーク』

今日の東京は、朝から雨・・・。(実は午後から、とてもいいお天気になったんですよ。)一日にいくつもの用事が重なって、なかなか更新する余力がありませんでした。PTAも、「親子インターネット安全教室」「ジャズと語りのライブ」等、いくつかの行事や会議を控えています。16日は、中学の2学年の「総合的な学習の時間」で、生徒にも参加してもらい、被爆者の手記・証言を脚本にした「この子たちの夏 1945 ヒロシマ・ナガサキ」の朗読を届けました。17日は、PTAとして、地域の「どんど焼き」に参加。一昨年、昨年と、アナウンス係として参加し、司会進行の大役も行なっていたのですが、今回は受付・お餅つき・司会進行なども、中学生が大活躍で、見ていてとても清々しかった。こうした地域の活動で、中学生が活躍してくれると、未来に“希望”が持てますね。小学校の校庭に、子どもからお年寄りまで、地域のたくさんの人たちが集まりました。火を囲んで人が集うという、はるか太古の昔からの人間の営みが再現され、地元のグループが演奏する太鼓の響きや、ちらちらと舞い降りる雪が、最高の演出を加え、しばし言葉をなくすほどの厳粛な雰囲気に酔いしれました。係としての参加はしても、置き火で自らのお餅を焼いたのは初めてでした。しばし童心に帰り、風下で副会長と二人横に並んで、煙にいぶされ、共に涙を流しながらお餅を焼いたことも、忘れられない貴重な思い出になりそうです。市長や教育長にも参加していただきましたが、火を囲みながらの団欒は、会議室での懇談よりも、ずっとずっと和やかで、しみじみとした話ができて、充実した時間を得ることもできました。こうして地域がしっかりつながっていくことは、子どもたちが見守られ、育てられ、希望と活気に満ちた町になっていくのではないかなあ! 今日は図書館休館日。これから、市の中学校・都立養護学校の生徒作品展に出掛け、そのまま、S区のS中学校へ朗読のリハーサルに出掛けてきます。     ◆『13歳のハローワーク』村上 龍 著/はまのゆか 絵/幻冬社 ― 13歳たちとすべての挑戦者のための職業案内 ―村上龍さん、またやってくれましたね!という感じです。どっしりと重い本です。いい学校を出て、いい会社に入れば安心という時代は終わりました。この本では、花、動物、スポーツ、工作、テレビ、映画、音楽、おしゃれ、料理・・・など、いろいろな「好き」を入り口に514種類の職業を紹介しています。私自身も初めて知った職業もありました。★村上龍さんの言葉より『13歳のハローワーク』というタイトルにしたのは、13歳という年齢が大人の世界の入り口にいるからです。ちなみにアメリカでは、12歳までは子どもとしてケアされますが、13歳になると逆にベビーシッターなどのアルバイトをはじめるようになります。その年代では、現実に向き合うとき、とまどいと不安があるのではないでしょうか。自分はいったいどういう人生を送ることになるのだろうという漠然とした不安と、子どものままでいるほうが楽かもという、不安です。・・・・・・・・・・・13歳は自由と可能性を持っています。だからどうしても世界が巨大に見えてしまって、とまどいと不安を覚えるのです。わたしは、仕事・職業こそが、現実という巨大な世界の「入り口」なのだと思います。*     *     *     *      *     *      *     *はまのゆかさんの絵が加わって、とても柔らかく、親しみやすい本になっています。「なにも好きなことがないとがっかりした子のための特別編」もあります。最後は明日のための予習・・ということで、「13歳が20歳になるころは」というのがありますよ。ITビジネスの紹介や21世紀のビッグビジネスとして「環境」「バイオ」を紹介しています。現在、当市の図書館での予約が、すでに100件入っています。村上龍さんといえば、大学在学中の1976年に『限りなく透明に近いブルー』で群像新人文学賞、芥川賞を受賞。『限りなく透明に近いブルー』も、薬物に冒された主人公のかなり過激というか衝撃的な作品でしたよね。その後1985年に出版された『コインロッカーベイビーズ』も書き出しからドキッとさせられました。2000年に出版された『希望の国のエクソダス』では、パキスタンでの日本人の16歳の少年の言葉が胸に突き刺さります。CNNの記者の「日本が恋しくないか」という言葉に「あの国には何もない、もはや死んだ国だ、日本のことを考えることはない」と答える少年。そして、中学生の集団不登校・・。彼は、するどく時代を掴む、とても魅力的な作家です。“この国に希望を取り戻しましょう!”そんなことを考えて、村上さんが『13歳のハローワーク』を綴られたような・・そんな気がします。  

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