てんたま★7★天使のたまごのそだてかた。★7★「あなたのすべきことは、たった1つです。 我々妖精の生きる地全てにおける聖地、このアネトリアの湖から、人間界へと赴き、そこで一番初めに出会った人間を見て、森や海、湖、空気を汚し、我々妖精の生存を脅かす人間たちは、本当に生存するに値する存在なのか判断を下すこと。 20年に一度、このアネトリアの力が満月により満たされる日までに判断を下しなさい。 世界の行く末をあなたに委ねましょう。 さぁ、行くのです。 妖精界の選ばれし乙女、フローラよ。」 「はい。クィーン。 あなたの意のままに従いましょう。」 少女は目の前に置かれた大きな石像(これが『クィーン』なのだろうか)の手の甲にそっと口付ける。 「よろしい。 あなたに与えられた時間は人間界における1ヶ月分。 それ以上は、妖精界でも最も神聖な場所で生きてきた、あなたの体では人間界で生きることは出来ません。 少しずつ、体が人間界の空気によって蝕まれていくからです。 いいですね? もう一度だけ言います。 必ず期限までに判断を下しなさい。」 「はい、クィーン。 私はこのアネトリアに忠誠を誓います。」 少女は誰もいない部屋の床に跪く。 『クィーン』と呼ばれているものの声は、直接、少女の頭の中に響いてきているようだ。 ------彼女が見たのは、明と出会う前の夢。 フローラの自分自身の過去夢。 ・・・・・・私はいつだって一人。 ・・・・・・どんな時だって、誰もいない水鏡の部屋に一人きり。 フローラは妖精界の女王である『クィーン』の娘であり、選ばれた乙女だった。 生まれたときから手に紅い宝玉を持っていたからだ。 それは、今は加工されて首にさげられているが。 この紅い宝玉は力を持つ者の証。 宿命(さだめ)のもとに生まれた証。 それからというもの、フローラは他の妖精たちとは隔離されて育てられた。 もの心つくころには周囲には誰もおらず、別宮におかれた。 人間の生存を公正に判断するためには純粋無垢なココロが必要とされたからだ。 他の妖精たちが楽しそうに遊ぶところを、いつも窓から見下ろしていた。 どれだけ美しい布を纏い、どれだけ澄んだ別宮にいても。 孤独だった。 ・・・・・・審判。 「明は確かに優しい。 温かくて、人を思いやるココロの持ち主。 でも------!!!」 『タスケテ・・・!! タスケテ・・・・!! イタイ!! クルシイヨ・・・・イタイヨ・・・!! ダレカ!! タスケテヨ!!!!!』 「ああああああああああああっ!!!!!」 耳を抑えてうずくまるフローラ。 彼女には聴こえるのだ。 木々の叫びが。 水の啼く(なく)声が。 今にも消え行く妖精(なかま)の悲痛な叫び声が。 まだ生きていたいと縋る(すがる)声が。 20年に一度しかないチャンス。 自分はこの為だけに生かされて、生きてきた。 人間をこのまま生かしておくのか、それとも滅ぼすのか。 世界の運命を判断するためだけに・・・・。 もしも、人間をこのまま生かしておけば、いつかはアネトリアの湖も『死の湖』 となり、妖精たちも、木々も、動物たちも、みんな生きていけなくなるかもしれない。 現に、アネトリアの湖は少しずつ力を失いつつある。 でも・・・・・!! もしも、人間を滅ぼすことになれば、こんなにも良くしてくれる明はもちろんのこと、明の大切にしている者たちまで消滅してしまう・・・・・。 「私は、どうすればいいの? 私にはどちらも選ぶことは出来ない・・・・・。」 フローラは自分の背負うものがどれだけ大きいのか十分承知していた。 ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ <編集後記> いやぁー。大変でした・・・(苦笑) 自分で2つUPすると言ったのは良かったものの、こんなに大変なことになるとは・・・(滝汗) でも、これでフローラの今まで見えてこなかったところが露になりましたね。 少し重たい内容でしたが、いかがだったでしょうか? ちなみに、次回もこの続編になります。 あまりにも長かったので2個に分けました・・・。 感想などいただけたら嬉しいですvv では、「天使のたまごのそだてかた。★8★」でお会いしましょう♪ |