先週末の花冷え、春の強風で自宅前の桜は葉桜になりました。
かなり以前(市役所在職中)、「桜が咲く頃には、あの人は」のお題で、何を連想するかの問いかけがありました。「可哀想、亡くなったの?」との強烈な返答もありましたが、多くの人が志望校への進学、新社会人スタートなどの明るい返答で、「桜が咲く頃には、あの人は退院できる」と返答したのは市立病院の看護師さんでした。それぞれの職場や生活環境などで受け答えが違うようでした。桜が咲く頃には、あの人は、去年より綺麗になったと、伊勢正三の唄をもじる人はいませんでしたが。
「願はくは 花の下にて春死なん その如月の望月の頃」
以前は、西行法師の歌も連想することもありましたが、今は花(桜)の咲く頃になると、一昨年に七回忌(命日は4月11日)を勤めた亡母のことを思い出すようになりました。亡くなる前年、この場所で桜を背景に写真を撮りました。今では、写真立ての中から当方と妻子を見守ってくれています。当方の奥さん、我が家へ嫁いで数少ない「良いこと」が、自宅前で満開になる桜だと。桜に感謝です。余談ですが、西行法師の歌をもじって、「願わくば 宴のさなかに我ゆかん 耳に恋唄 目に月明かり」と詠んだら、家人から最期まで人様に迷惑をかけるのかと諭されました。
高校時代の古文の授業で、古来より花とは桜にことを指すので、桜の花が咲くは間違いと指摘された記憶があります。桜が咲く。桜が満開など、桜が散る。

父が亡くなったのは一昨年の7月2日で、我が家の前栽のアジサイが咲いていました。夏に向けてアジサイの蕾が膨らむと、やはり父を思い出すようになりました。
アジサイは平成合併前の「旧町の花」でした。昭和31年の2村合併後、再選した村(町)長がいなくて7代までが1期。アジサイにかけて「七変化」とか、七化けなどと揶揄する人もいました。8代町長は3期でしたが、後継町長は贈収賄で逮捕、次は交通事故げ遠因で辞職、合併前には「全国初の」共産党町長が2期と、7変化以降も波乱づくめの町長選挙が続きました。合併した長浜市でも前市長が2回目の再選(3回落選)する、こちらも違った意味で波乱の市長選でした。
アジサイ
アジサイは日本固有種。幕末、長崎のオランダ商館勤めのドイツ人医師シーボルトが、日本人妻「瀧(滝)」の名をとって学術名を「オタクサ」と命名したと風聞していました。かなり以前のNHK大河ドラマ「花神」は、大村益次郎(中村梅之助)と、シーボルトとお瀧さんの娘・楠本イネ(浅丘ルリ子)が恋仲になる脚本でした。このドラマは面白かったですが、中村梅之助さんは「遠山の金さん」のイメージが強すぎて、キャスティングで物議をかもした記憶があります。余談ですが、漫画「仁 JIN」では、日本で最初の産婦人科医となるイネと主人公の仁が長崎で出会う場面があります。ドイツ人との混血児であることで受けた差別と、石井宗謙からの性的虐待、子を出産したことを語るを場面もありました。大河ドラマでは、幕末の激動期に医師から軍学者へ転身する大村益次郎を慕う役柄でした。浅丘ルリ子さんのキャスティングは良かったと思います。またまた余談ですが、浅丘さんと石坂浩二さんが結婚する契機になったドラマ「二丁目三番地」を楽しく観ていた年代なので。浅丘さん「兵ちゃん(石坂さんの本名)は芸能人だから・・」とコメントしたとか。当時は銀幕に映る役者が俳優で、いわゆる銀幕のスター。大河ドラマにも出演していたが、彼女からは俳優として認められていなかったのでしょう。

楠本イネ
桜が咲く頃には 昨夏に漬けた近江人(琵琶湖周辺の居住者限定?)のソウルフード鮒ずしの桶だしです。数年前からニゴロブナの漁獲量が減り、地元の漁師さんからの仕入れる塩切り鮒は10㎏で3万5千円でした。一昨年の3万円から5千円の値上がりです。スーパーや道の駅に並ぶ鮒ずしも価格高騰してますが、10㎏漬けるには米5升hが必要。冬場から春先の蛋白質源だった鮒ずしが、いまでは贅沢品になりました。 自家製は難しい 父が亡くなる2年前に、我が家流の漬け方(塩飯と山椒入り)を伝授してもらいました。前年(一昨年に漬けた鮒ずし)は、自画自賛の漬かり具合でしたが、今回はの出来は今ひとつ。殆どが親戚や友人へのお裾分けですが、自家製は品質の均一化が難しい。でも、これが愉しみでもありますが。
桜が散ると、夏野菜や里芋の植え付けなど、それなりに晴耕雨読時々昼酒の日々も忙しくなります。作業後は、出来栄えが今ひとつですが、鮒ずしを酒肴に晩酌。これも愉しみです。