弁護士・伊藤和子のダイアリー

2008/05/10(土)01:45

ビルマ・被災者に支援物資が届かない- それでも国民投票?

ヒューマンライツ・ナウ(15)

ビルマのサイクロンの被害に胸が痛む。昨日・今日とビルマの弁護士が 実情を訴えに来日しているので、国会や外務省などに案内し、 実情がいかにひどいかを改めて知る。川や海に被災者があふれ、誰も 組織だって救援しないために、多数の遺体が川などに浮かんでいるという、、。 軍事政権はサイクロンについて何らの事前警告も国民にしなかったし、 救援活動も怠っている。 先日タイに調査にいった際にお世話になった、毎日新聞の藤田記者の記事は、 さらに考えさせられる。世界が被災者を助けようと救援物資を 送っているが、被災者のもとに届かない、軍が接収してしまう、という訴えを 多くのビルマ人から聞いたが、それは懸念でなく現実なのである。 ミャンマー:緊急援助食糧を軍が差し押さえ http://mainichi.jp/select/world/news/20080510k0000m030140000c.html ミャンマーを襲ったサイクロンの進路 【バンコク藤田悟】世界食糧計画(WFP)は9日、ヤンゴン空港に輸送したサイクロン被災者向け緊急援助食糧38トンが軍事政権当局によって差し押さえられていることを明らかにした。同日朝に到着した9万5000人分に相当するビスケットで、当局の規制によって積み下ろしできないという。  WFPの担当者は「トラックで被災者に届いているべき食糧が足止めされ、耐え難い事態だ。救援物資の安全な到着が保証されるまで救援活動はできない」と述べ、物資輸送を中断する考えを示した。AP通信によると、軍事政権側は「根拠のない非難だ」と反論した。   一方、軍事政権は9日夜、国営テレビを通じ米国からの支援物資を受け入れると表明した。受け入れや被災者への配分方法については触れていない。 --- そして、こんなみんなが大変ななかで、問題のある憲法国民投票を強行してしまおう、というのである。国連事務総長は国民投票の延期を訴えているが、軍事政権は受け入れない。  この憲法草案、軍事政権の延命のために強行しようとしているもので、アウンサンスーチーさんの政権参加を排除するなど、本当に問題だらけの草案だ。  軍事政権は、各国の支援も十分に受け入れず、国民投票の各国からの監視も受け入れず、 これだけ大変な時期に、延命のための国民投票を強行しようとしている。  自分たちの保身のために国民にどんな苦痛を強いてもかまわない、という姿勢が顕著だ。  民主化勢力を排除した憲法の制定よりも、今は何より人命を救う時期なのに!!   http://mainichi.jp/select/today/news/20080509k0000e030047000c.html ミャンマー:被災者150万人、国民投票延期を…国連総長  【ニューヨーク小倉孝保】国連は8日、サイクロン「ナルギス」によるミャンマーの被災者が少なくとも150万人にのぼるとの推計を明らかにした。軍事政権は新憲法案の是非を問う国民投票を10日に予定しているが、潘基文(バン・ギムン)事務総長は8日、延期して救援活動に集中した方が賢明だと指摘。国連の人道支援要員の受け入れ要請も含め、ミャンマー政府に直接接触して働きかける意向を示した。  ホームズ国連事務次長(人道問題担当)は8日、サイクロンで「深刻な影響」を受けた被災者は推定150万人に達すると指摘。軍政による国際支援受け入れの遅れを「失望している。人道支援が抑えられていることに、いら立ちが高まっている」と批判した。  潘事務総長は8日の声明で、ミャンマー国民の健康状態を深く懸念しているとし、「あらゆる資源、能力をこの緊急事態への対応に充てる方が賢明かもしれない」とミャンマー政府が国民投票を延期することに期待をにじませた。  また、潘事務総長はこの日、訪問先の米南部アトランタで記者団に対し、「ミャンマーのタンシュエ国家平和発展評議会議長との直接接触を試みている」と語った。事務総長は同議長に電話で国連の考えを伝える考えだが、接触の可能性などは不明だ。  国連は現在、人道支援要員約100人をミャンマーに派遣したい意向で、同政府からのビザ発給を待っている。  ミャンマー政府は国民投票を一部被災地域を除き、予定通り10日に実施する考えを崩していない。 毎日新聞 2008年5月9日 11時50分(最終更新 5月9日 11時56分)

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