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ふらりかずたま ひとり言 

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2007年12月13日
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「ワーキングプア3」が放映されたその日、東京高裁が、世田谷区清掃・リサイクル条例に違反したとされた回収業者3人に対し有罪判決を言い渡しました。条例では、ごみ集積所に置かれた古紙を無断で持ち去ることを禁じています。
たしかに回収業者がトラックで早朝の街を回り、ゴミ集積所から空き缶や古新聞をごっそり集める光景が目に付きます。東京高裁の判決を聞いた回収業者(会社)の社長は「官から民への移行が進むなか、廃品回収では官が民を圧迫しているのは、許せない」と言っていましたが、廃品を勝手に持っていくと窃盗だ、いや廃棄されたものを拾っても問題ない、という議論に付き合う気はありません。それよりも、大切なことがあります。

NHK特集では、京都の老夫婦の生活が紹介されていました。支払期間が足りず年金はもらえません。収入はご主人のアルミ缶拾い。自転車で街に出てアルミ缶を集め、自宅に戻ってハンマーで叩きつぶす、大型のごみ袋3杯分(自転車に積める限界)たまると回収業者まで売りに行く。これを繰り返して11月は3回。計16000円ほどの収入です。万が一の時に備えて蓄えている70万円、そのため生活保護を受けることはできません。街で見つけたギンナンを拾い集め、それを煎って食事代わりにしていました。
おふたりには独立した息子さんが2人います。ときおり、息子さんから1万円くらい送られてくるそうですが、老夫婦は「息子らも子供の教育や住宅ローンで苦しい時期だから、助けてもらおうとは思っていない」と頑張ります。
缶を売って戻ってきたご主人は胸が痛み始めました。しかし、布団に横たわって耐えるだけ。奥さんは「空き缶を集め回って、頑張るだけ頑張って、それができなくなったら、終わるだけです」と話していました。

P1020523.JPG
さまざまな願いを込めて、函館クリスマスファンタジー点灯式

回収業者の隙間を縫うように、自転車に袋を積んで空き缶をチマチマ集めている老人たちが居り、それだけを収入の道として生活している現実を、きちんと見なくてはなりません。長い間社会に貢献してきた高齢者が、空き缶拾いでしか生活できない現実を条例制定より先に解決すべきなのではないでしょうか? 
日本経済を支え、国を作り、子供を育てあげた高齢者は、本来、社会的貢献者として尊敬され、尊重されながら余生を楽しむべき人たちです。ここまでの処遇は無理というなら、せめて社会的弱者として十分な保護を受けるべきでしょう。
にもかかわらず、貧しい者、年老いた者、障害を持つ者に対する福祉を切り捨て、年金を減額し、さらには未来を担う子どもらの教育予算も削減して、米軍への莫大な「おもいやり」予算、防衛予算、意味不明の各種交付金、箱物行政、必要もない「公共」事業などに国民の血税を垂れ流してきたのがわが国の政治です。

このような実態があるのに、救いの手を差し伸べもせず、リサイクル条例を振りかざし、そうした老人たちの極限生活の道すら閉ざすことを「適切な措置」というのでしょうか。

自宅近くの道路脇にトラックを停めて、あちこちから自転車で運ばれてくる缶や古新聞を買う業者がいます。自転車の老人に聞いてみました。老人は「回収にきてくれるから楽だし、その場で現金をくれるので助かる」と感謝していました。ピンハネしているにもかかわらず、その業者は老人たちにとって「味方」なのです。

長寿大国ニッポンが直面している高齢者のワーキングプア。苦しみに耐える時間が延ばされただけ、というのではあまりに残酷です。





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最終更新日  2007年12月13日 01時56分40秒
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