カテゴリ:旅行・山関係
最終日。霧が羅臼の町を包んでいます。 望郷の森「展望台」まで行ってみました。海上も丘も街中も…先程まで見えていた羅臼港さえ霧の中。しかし、霧は低く、空は青さを取り戻し始めています。霧のかなたに国後島の山並みが望めます。 自分では「この霧は日が高くなれば晴れる」と勝手に思っていますが… この日のメインイベントは「ホエールウォッチング」。霧に阻まれては困るのです。 霧に包まれる羅臼。国後の山々だけが見える 何はともあれ観光船「はまなす」の事務所へ。朝8時10分の便は出港できたとのこと。受付を済ませ、少し早目ですが羅臼港に行きました。出船予定時間は11時10分です。霧がジワジワ晴れてきました。 10時45分、予定時間を30分ほどオーバーして第1便が戻ってきました。 降りてくる乗客の中に「鷲の宿」で一緒になった男性を発見。 「クジラに会えましたか?」 「いやぁ、ロシア側に行かれてしまって、ゴマ粒。船長さんたち頑張ってくれたんですけどね」 「ああ、それで帰港が遅れたんですね。お疲れさまでした」 そんな会話をしながらも、「僕らもアカンのかなぁ」と弱気が頭を持ち上げます。 観光船「はまなす」。私たちと小林クンは上部甲板最前列 マッコウクジラは強い歯を持ったハクジラの仲間で、歯を持つ生物としては世界最大です。標準的なオスの体長は16~18メートル、体重50トン。メスは12~14メートル、体重25トン。 潜水のために特化された巨大な頭を持ち、2000メートルの深海まで一気に潜れます。一度潜ると1時間以上息継ぎしないで捕食行動を行います。 深海に住むダイオウイカと格闘している絵を見たことがありませんか? 絵を見てもその壮絶な戦いぶりが伝わってきます。 ちなみに、ザトウクジラ、ナガスクジラなどヒゲクジラ類は小魚やオキアミを主食として、ガバ~ッと吸い込み、「ヒゲ」で濾し取って食べます。 海を割って突き出された、潜水艦のような(潜水艦がまねをした)巨大な頭部 11時10分、出港。 私たちは上部甲板の前列席に陣取ります。私たちの隣には船のスタッフ「小林クン」。彼はクジラやイルカを探し出す役目です。 スタッフも乗客も目を凝らして探しますが現れません。 1時間が経過しました。知床半島の先端部が左手に見える位置まで来てしまいました。 「いったん潜ったら1時間くらい出ないのは普通だから」 小林クンが、親切というか率直というか、ガッカリするようなことを平然と言ってくれます。 「マイク入れてみよう」と船長。 スタッフが集音マイクを海に入れ、クジラの鳴き声を探します。 「近くに居ま~す」とスタッフ。 「しばらく、この辺で待っていよう」と船長から指示が出ました。 海中にマイクを沈めクジラを声を探す 小林クンがひと声あげます。 「1時の方向、ロシア側に浮いている!」 「どこ、どこ?」 「ずっと先に見えるっしょ。ブロー(潮を噴く)した!」 母ちゃんが「見えた!」 鈍くさい私は「どこやねん?」 やっと見えました。国後島近く、潮を噴き上げるクジラらしい動物がいます。 「朝の便はアイツを見たんかなぁ」 続けて小林クン「10時方向に居る」。 「この男、どんだけ目がエエんやろ?」と感心しながらカメラを向けると、たしかに居ました。 巨体が水面を滑るように移動し、ときおり盛大なブローを見せてくれます。 雄大なブロー。噴気孔が最前方左側にあるのはマッコウの特徴 そのクジラを目指して「はまなす」は猛スピードで移動。 小林クンによると「この時の判断難しい。追い付く前に潜られたり、元の場所近くで出て、どちらもダメということもある」そうです。 追い付きました。目の前に信じがたいほどの巨体。生まれて初めて、生きているマッコウクジラを見ました。何度も何度もブローを繰り返し、反転しています。 堂々とした遊泳。圧倒的な存在。感動、畏敬、安らぎ…言い表せない感情が心を満たします。 コンデジの鈍いピント合わせに辟易しながらシャッターを押し続け…。そのうち、人間のお相手に飽きたのでしょうか、クジラは尾びれを高々と上げ潜ってしまいました。 もう12時40分、帰港の時間をオーバーしていると思われます。 船が港に向け走りはじめました。 いきなり船側にクジラが出現。船はただちに反転してクジラを追尾します。 至近距離で巨体をくねらせるクジラ。小林クンは「潜れ!」と何度も言っています。尾びれを上げる雄大なシャッターチャンスは潜るとき1回だけ。いつまでも浮いていられると、帰港しなくてはならない我々のシャッターチャンスが無くなるのです。 長く雄姿を眺めていたい気持ちと、潜水行動を早く見たい気持ちが拮抗しています。 10分以上も船の周囲を泳いでいたでしょうか、「潜る!」と小林クンが叫びます。 慌ててカメラをクジラに向けます。どうにか潜水ポーズの撮影をすることができました。母ちゃんのデジイチも軽快なシャッター音を響かせています。 いよいよ帰港。この頃になって、イルカたちが船の前方を次々と横切っていきます。早過ぎてカメラを構えることもできず、ほとんど見るだけ。それでも「あっちだ、こっちだ」と船内は大喜びです。 ジャンプを繰り返し海峡をかけるイルカたち イシイルカだと説明されましたが、遠くてその姿を撮ることはできませんでした。 帰港は30分遅れの13時40分。船長はじめスタッフの頑張り、目のいい小林クンに感謝です。 羅臼の霧はすっかり晴れています。一息入れてすぐに出発。 この旅行ラストの目的地は標津町の「サーモン科学館」。前回は真冬の駆け足訪問でした。遡上期にもう1回見学したいという母ちゃんの要望に応え組み込みました。 次回は「サケにまつわるエピソード」です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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