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くぅちゃんのひとりごと

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2018/10/18
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カテゴリ:カテゴリ未分類


大好き架純ちゃん大笑い
ドラマ酷評だけど、テーマを選んだ奴がわるい。



芥川龍之介の名作に「杜子春(とししゅん)」って
のがあります。
小学校の教科書にも掲載され、読んだことが
ある人は多いのではないでしょうか。

原作は中国の童話で、芥川はよく元ネタを
こういうのから持ってきます。
原作よりも遥かに良い作品にするところが
非凡なのでしょう。

電子図書でも青空文庫なら無料。
ただ昔の表記なのでメチャクチャ読みにくい
ので、現代表記にしました。

久しぶりに自分で読んでみると
相当良かったのでウィンク
再度掲載します。



「杜子春」

少年(杜子春)はとある街の
広場に佇んでいた。

彼はまだ15歳になったばかりと
いうのに将来に希望を無くし
しょぼくれていた。

先日、両親を亡くして身よりも無い。
住まいも無く極貧の生活。

もう死んでしまいたいなどと
思っていたところに
声をかけてきた一人の爺さんがいた。

彼は白装束に身をまとい、長いひげを
たくわえ、どこか人間離れをしている雰囲気を
感じさせた。

爺さんは
「・・どうした?若者?」

少年は元気なく
「いえ・・なんでも無いです。」
「ただちょっと ひもじくて」

「そうか それでは今日の夕方
この場に立ち、自分の影の頭のあたりを
掘るがよい。それで未来がひらけるはずじゃ。」
そう爺さんは言い残し立ち去った。

「どうせ、少し頭のおかしくなった
爺さんの言うことだ」
当初はまったく、爺さんの言うことなど
気にも留めなかった杜子春だったが。

「待てよ どうせ死ぬなら、その前に
爺さんの戯言を聞いてやってもいいか」
そう思いなおした。

・・夕方になった。爺さんから言われたとおりに
自分の影の頭あたりを掘ってみた。

すると・・

なんとそこから金銀財宝が出てくるではないか!

杜子春は一夜にして大金持ちになった。
歓喜する少年。

翌日から彼は豪奢な生活を始めた。
広い家をみつけ、そこで毎日のように
パーティを開いた。かつて杜子春が
両親を亡くした際には、冷たくあしらった
親戚連中もこぞって集まった。

杜子春は人のいいところがあって、
そんな連中にも気前良く酒や食事を
ふるまった。

生まれて初めてちやほやされることが
杜子春にはとても気持ちよかった。


しかし・・
そんな豪奢な生活も僅か数年で
金は使い果たし無一文に。
ふたたび極貧生活へと舞い戻ることに
なってしまった。

あれほどちやほやしていた連中も
金の切れ目がとばかりに全く姿を
表さなくなった。

杜子春はまたも街の広場に立ち
しょぼくれていた。

・・そこへまたあの時の爺さんが
現れた。

「おぉ どうしたことか?」
「なぜまたしょぼくれておる?」

杜子春は事の事情を爺さんに
話した。

それを気の毒に思ったのか
「では また本日、夕刻に
自分の影の胸のあたりを掘るがよい」
そう言い残して立ち去った。

杜子春は今度も彼の言葉どおりに
影の胸部分を掘ってみた。
すると、予想通り前回同様に
金品が出てくるのだった。


再び一夜にして大金持ちに
なった杜子春。

今度こそ堅実にお金を使うと思いきや
、やはりそこは子供。
悪い大人たちに唆され
豪奢な生活をはじめてしまうのだった。

・・結果 またも数年で金を使い果たし
極貧生活へ。ほんとに懲りないガキだ。

・・そして やっぱり街の広場に
たたずんでいると やっぱりあの爺さんが現れた。
爺さんもほんとうに面倒見がいい。

「こんどは自分の影の腹のあたりを・・」
と爺さんが言いかけたとき
杜子春は
「いいえ もうお金はいいです!」

「僕はもう人の心の醜さにはとても失望しました。」
「もう人でいたくありません」

「あなたは 仙人さまなのですよね?」
「こんな奇跡を起されるのだから」

「お願いです」
「僕をあなたの弟子にしてください」

しばらく腕をくみ、熟考していた爺さんは
「・・いかにもわしは仙人じゃ」

「しかし修行は想像を絶する厳しさじゃぞ?」

「覚悟しております。お願いします。」
少年はきっぱりと言った。



・・彼は仙人の修行をはじめた。
彼は多くの試練にも耐え、めきめきと
成長を遂げていった。

そして多くの時が過ぎ。
ついに最終試験の日をむかえた。

師匠の仙人は少年に
「今から地獄へ行く。
様々な困難が待ち受けるが
一言も声を発してはならない!」

「もし一言も声を出さなければ
はれて仙人と認めよう」

・・仙人の言うとおり、地獄では
猛烈な責め苦が彼を襲った。
針の山を歩かされたり
炎に焼かれたり。

しかし仙人になりたい
一心でここまで頑張ってきた彼は
もう後にはひけなかった。

・・いくつもの困難を乗り越え
へとへとになった彼の目に
あるものが飛び込んできた。

それはなんと、獣に姿を
変えられた両親の姿だった!

地獄の鬼は容赦なく
両親を鞭で打ち据えた。
肉は裂け、悲鳴をあげる両親。

それでも地獄だから再び死ぬことはなく
ただ逃げ場の無い苦痛が
永遠と続くのみであった。


・・杜子春は思わず声を
あげそうになった。
自分のことを心から可愛がり
育ててくれた両親が
ひどいめにあっているのだ。

地獄の鬼が杜子春に気づいた。
「うん?ガキがいるな」

「あれ、この獣たちは
おまえの親か?」

声を出すわけにいかない
杜子春は黙っていた。

すると
烈火のごとく怒り出した
鬼は
「なぜ しゃべらぬ?」
「こいつらは お前の親なのだろう?」

「何とか言え! 言わぬならこうだ」
地獄の鬼は手に力をこめ
激しく両親を打ち据えた。

ますます大きくなる悲鳴。
その声は地獄中に響くかと思われた。

しかし、自分が声を出してしまえば
仙人への道は閉ざされる。

彼は必死に声をあげるのを
堪えていた。

・・そのとき か細い声が聞こえた。
母の声だった。

母は
「いいのよ杜子春」

「あなたは黙っていなさい」

「私達は貴方のためなら
どんなめにあってもかまわないのだから・・」

息も絶え絶えのほとんど
聞き取れない声を
母はしぼりだしていた。


・・親というものはありがたいものだ。
お金があるときはちやほや持て囃し、無ければ
冷たくあしらう、そんな利害に左右されることなく
いつだって愛してくれた。

人の心の醜さに辟易とした杜子春は人であることを
やめようと考え、
こうして忍苦の果てにそれは成就されようと
している。


・・でも 

もう杜子春にはそんなことは
どうでもよかった。

自らの心はただ感謝でいっぱいだった。


・・杜子春の目からは涙がぽろぽろとあふれた。
そして獣に近寄り、そっと抱きしめ
震える声で声をかけた。


「・・おかあさん!・・」



・・・・・・


ふいに辺りが暗くなり、杜子春は気が遠くなるのを
感じた。

やがて気がついた彼はいつのまにか
見覚えの在る街の広場へと運ばれていた。

凄惨な地獄にいたことが
嘘のように。あたりには人々のざわめきと
陽の光があった。


ふと ふりかえると
そこには師匠が笑顔で立っていた。

「・・・合格じゃ」

「えぇ?」杜子春はキョトンとした顔で
言った。
「僕は声をあげてしまいましたが・・」

「いや 
我が身を思ってくれる親に
声もかけない非道な者が如何にして
仙人になれるというのか」

「逆に あの場で声を出さなんだったら」
「おまえを地獄へ放置してもかまわなかった。」



「・・さて どうする?」
「合格したので仙人として生きるも良し・・」

「いえ!」
杜子春は仙人の言葉をさえぎり
「僕は貧しくても 人間らしく人間として
生きていきます」
その声は明るさに満ちていた。

「そうか では山の麓に小さな畑と
小屋を用意したので、そこに住むが良い」
「私からのささやかなプレゼントじゃ」

そういうが早いか 仙人は雲のように
高く空へと舞い上がり かなたへと消えていったのだった。


(完)






Last updated  2018/10/18 05:17:38 AM

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