2006/10/03(火)05:01
Peter Catの記憶
30年ほど前、神宮の野球かラグビーのあと、千駄ヶ谷の駅まで歩いて帰る途中で偶然、ビルの2階に、面白そうなお店を見つけました。
大きな窓ガラスが印象的なお店で、名前はPeter Cat。外階段を登った先のガラス扉を開けると、店の真ん中左手奥にグランドピアノと左右に大きなスピーカー。窓沿いに二人がけのテーブルが3-4と、ピアノの手前に10人ぐらい座れそうな、大きなテーブルがおかれ、その奥にも2-3人がけの席が用意されていました。テーブルも椅子もかたちはてんでばらばらだけれども、全部木製で色調その他統一された印象があった。
グランドピアノの向こう側は、壁一面がジャズのLPレコード、その数多分数千枚。
当時勤めていた某金融機関、同じ職場の一年下に入ってきた男の子(今は出世して、その会社のNo.2!)が、土曜午後のデートを、麹町の泉屋(クッキーの泉屋)ティーラウンジで待ち合わせと、しゃれているのに対抗し?、自分も当時付き合っていた相手と、月1-2回そちらのお店で待ち合わせるようになりました。
「何で、土曜日の午後まで働かなきゃいけないんだ?」とか、文句を言いながら、人もまばらな丸ノ内を出るのが、だいたい午後の3時過ぎ。
土曜日は、学生かな?という感じの女の子が店番で、固めのチーズケーキと紅茶で過ごす土曜の午後は、なかなか素敵な時間ではありました。(チーズケーキとかロールキャベツとかは、マスターの手作りだった)
お店は、夜もやっていて、そのうちにWeekdayの夕方にも行くようになりました。Weekdayの夜、お店にいるお兄さんは、目つきのするどい、、「ここは君らみたいなノンポリ系の来るとこじゃないんだぜ」みたいな、若い(自分より3-5歳ぐらい上かなって感じ)くせに、「将来の偏屈オヤジ」イメージふんぷん。
でも、話すことを聞いているとすごーくジャズに造詣が深いし、たまたま夜、ピアノのライブにあたったことがあるんだけれども、これもものすごーく上手い兄ちゃんで、「へー、こんな千駄ヶ谷みたいなとこでも、こんなすごいとこあるんだ」と思っていた。
そのうち、夜のお兄ちゃんを見かけなくなり、土曜のチーズケーキも味が変わり、自分も相手と別れ、お店も名前が変わってしまった。
自分もそれなりの年齢になり、再びあのPeter Catのようなお店を探し求めるのですが、なかなか得がたい。最初に、あれだけのモノにあたってしまうと、普通のところでは飽き足らなくなってしまうものなのでしょう。
あの、夜の目つきがするどい兄ちゃんがデビュー前の村上春樹さんだったことを知ったのは、つい数年前のことでした。
そして、あの土曜のお店番の女の子は、Saxの早坂紗知さんだったのでしょうか。
古いお話しですみません。
いつか誰かに話しておかなくては、と思っていたんですけど...
行きがかり上、なかなか今の連れ合いというわけにもいかず。
経堂にも、あのようなお店がつくれないだろうか?