経堂界隈

元旦朝のおせち


よそのお宅はもっと豪華でも
僕ら老夫婦二人だけだから、こんなもんで十分

黒豆はカミサンがオリゴ糖で炊いた丹波の黒豆
数の子は、無漂白
ほくほくの堀川ゴボウ
ちょっとだけ贅沢

例年より早めに朝食を終えて、ほかの皆がまだのウチに、初詣
狙いは当たり、例年に比べ列は短い
「早起きは三文の得」

「天気もいいし、お散歩でもしますか」
「どこへ？」
「経堂駅？それとも下高井戸？」
「いつもと変わらないじゃない」
「ほかだと何の店もやってない」

ぐるりと回って緑中から日大文理学部裏を抜けて下高井戸へ
「コンビニとチェーン店は多少やってるんだ」
「マツキヨやってるね。スギ薬局もやってる」
「10年前に比べると、やってる店増えたねぇ」
「元旦の平日化」
「いやだって人も多いと思うよ」
「正月も働く人が増えてる」
「食べるとこないと、一人暮らしの老人とかも困る」
「生産年齢人口が減ってる日本は、正月三が日を休んでる余裕はもうない！？」
「売上狙いで営業する百貨店とかは嫌だと思うけど、介護とか正月も休めない人が増えてるのは事実」

「Cozy Cornerもやってる」
「お正月のお土産とかケーキが売れるんだろう」
「Cheshire（パンとクッキーの店）も元旦と二日はやるんだ」

「カルディもやってる。狙い通り、お餅１ｋｇ304円だよ」
「6日までだから今日は２ｋｇにしとこう。また来ればいいよ」
「福袋買おうよ」
「毎年売り切れるんですけど、今年はまだ少し残ってます」
「中身が袋ごとに違うんですか？」
「だいたい一緒ですね。去年はスーパーフードが多かったんですけど、今年はふつうで、おすすめですよ」

コーヒーを一杯ついでにいただいて、ごきげんのカミサン
僕もご相伴

「昔、正月頑張って買った百貨店の福袋はひどかったなぁ」
「どうしようもないものばっかり入ってて、驚いた」
「私なんかバカだから、大きな袋ばかり狙った。大きいのはダメなんだよね」
「小さいからいいってもんじゃない。百貨店のヤツは、中身がわかってて買うのは別といて、福袋と優勝記念セールは買っちゃいけｒないって言ってた」
「ああやって、百貨店はお客失っていったんだよね」
「そうだよなぁ。正月早々やってきてくれた大事なお客さんに、あんなバッタ品売りつけるんだもの。今や日本全国全部の百貨店合わせて、AEONとかセブン＆アイと同じ売上しかなくなっちゃった」

ちょうど12時に帰宅
テレビをつけたら、BBCのBreaking　Newsはトルコ、イスタンブールでのナイトクラブ銃撃
世界は今年も平穏ではない

You-Tubeは、さだまさしのPPAP和風Versionがなかなか面白い
そのあとはBETのLove and Happiness: An Obama Celebration
「White Houseからってのが皮肉がきいてていい」
「僕はPlanet of Apesを思い出した」
「失礼ね」
「いや、そういう意味じゃあないんだ。それを言ったら僕らだってYellowだし」
「原作者のピエールブールはフランス人で東南アジアで植民地関係の仕事してた。日本軍の捕虜になったこともあって、そのときの体験が戦場に架ける橋なのね。原作の背景には、確かに人種的偏見がある」
「アメリカ的じゃないうと思ったら、やっぱりフランス野郎かぁ。しかも、あの猿は日本人なんだ。それはともかく、50年前に、このWhite Houseの光景を想像した人があっただろうか？僕が思いだしたのは、チャールトンヘストンが猿の惑星で自由の女神像を見つけて驚いたあの光景なんだ。Obamaの8年というのは、確かにある部分、白人支配を破った逆転の8年だった。しかし、本当はもっとやりたかったし、できたかもしれないObamaが、特に後半ひどい状態になっちゃったってのは、黒人であることによる遠慮があったかもって気がするんだな」
「8年前にヒラリーだったら、女性としての遠慮が、やっぱり邪魔になったかしら？」
「2010年代は、まだそういう時代だったってことか」
「Obamaが猿の惑星ならトランプは？白人支配の復活？」
「それほど単純化はできないが、時代的にはGodfatherじゃないかな。トランプファミリーはマフィアじゃないけど、どこかファミリーってのは共通性がある。オヤジが米国に移民でやってきたマイケルコルリオーネは、父親の希望する上院議員にも大統領にもならずにマフィアのボスで終わってしまった。同じくジイサンが移民で米国にやってきたトランプは、マイケルと同じように、カジノとホテルから、ついに大統領になり上がった。
これも皮肉だが、ObamaにとってもどこかGlass Wallだったに違いないPolitical Correctnessを打ち破るのがトランプ君唯一、最大の功績ってことになるんじゃない？」
「次はMichelle Obamaってのがあなたの予想だもんね」
「間違いない！」
「彼女は旦那にもしかしたらあったのかもしれない遠慮はないね」
「そうかもしれない。そうか」
「何よ？」
「2016年はPolitical Correctness崩壊の始まった年ってことかもしれない」
「あるかもねぇ。日本だって、小池さんもそうだけど、なんて言ったって天皇陛下のご退位希望があった」
「そうだ。天皇制ってのは、Political Correctnessで固められてきた。この言論統制は天皇陛下御自身にしか破ることができなかった壁だった」
「年頭のお言葉もなかった」
「また、なんか困ったことご発言になったら困るからかもしれないよ」