いよいよ「軽」撤退
スバルの富士重工業は軽自動車の生産を2012年3月に打ち切るそうです。記事によると、以下のような形で幕引きを図るようです。「サンバー」の乗用車版である「サンバーディアス」の生産を8月中に終了。軽自動車のワンボックスを乗用でも使えるように始めたのは、サンバー4WDが初めて登場した頃だったと思います。年末までに「プレオ」の生産を終了。「プレオ」は「ステラ」登場に伴い、後席を簡素にして商用向けだけになりましたが、「設計が古い」だの何だの言われながらも寿命の長いクルマです。視界が狭くなりがちな最近のクルマに比べたら、はるかに視界は広いです。「R1」「R2」は2010年3月に終了。「てんとう虫」とあだ名が付けられた「スバル360」の再現を狙って作られたと思いますが、軽自動車の規格ギリギリの大きさに作るのではなく、ちょっと小さめに作られましたが、時期的にアルファロメオのデザイナーの影響を受けて癖の強いデザインになったそうです。街で見かけると小さくて丸っこいので目立つ方です。実用車としては「プレオ」が優るので、スバルは軽自動車の車種をたくさん抱えなければならなくなりました。元々は「スバル360」と「スバル・サンバー」、「レックス」と「サンバー」、「ヴィヴィオ」と「サンバー」、「プレオ」と「サンバー」という乗用と商用のトラック・バンの二本立てだったのに、このあたりで自分で自分の首を絞め始めたのではないかと思うのです。スズキやダイハツに対抗できる、と思っていたのかもしれません。「ステラ」は11年6月に終了。「R1」「R2」のデザイン優先に対して、四角い実用的なデザインです。結局こちらが「プレオ」の後継です。提携相手がGMからトヨタに変わった時期と近かったので、ダイハツ・ムーヴのコピーのように見られていました。一方の「ムーヴ」が丸くなって、「ステラ」の四角さが際だつようにはなりましたが、「ムーヴ」のお下がりを着せてもらった「R2」、というイメージはついて回ります。これでしぶとかった「プレオ」からバトンタッチとなりました。最後に商用車「サンバー」を打ち切る。どんなクルマかピンと来ない人でも、赤帽の小さなトラックと言えばあちこちで見たことがあると思います。荷台の下、後輪のそばに小さなエンジンが詰め込まれています。そのエンジンは赤帽専用の特別仕様だそうです。軽トラックはエンジンの付いている場所で三種類に分かれます。それぞれメリット、デメリットがあるようです。「サンバー」のように後輪の後ろ。バスとかポルシェのスポーツカーのような場所です。あるサイトでは「農道のポルシェ」と書かれていました。「アクティ」のように荷台の下でも後輪より前。エンジン位置はF-1マシンのような場所になります。これは初代の「TN360」から変わっていません。「キャリイ」「ミニキャブ」のように運転席の下。前輪が前の端にありますから、初代エスティマのような配置になります。今の形になる前は「ハイゼット」のトラックと同じ配置でした。一部の「キャリイ」はショートホイールベース版として前後の車軸の間隔の短いものが今でもあります。なお、「キャリイ」は一時期、「アクティ」のようなエンジン配置になったことがあります。「ハイゼット」「キャリイ・ショートホイールベース車」のように運転席の下の前輪のそば。ハイエースやキャラバンやボンゴやエルフと同じような場所です。各車、自動車雑誌で走りにどんな違いがあるのか、やってもらいたいものです。サーキット、高速道路、生活道路、そして林道、あぜ道など、色々なステージでどんな走りを見せるか、面白そうです。田舎では自転車やスクーター代わりに軽トラックが使われているようで、よく見かけます。二人乗りできる、雨風がしのげる、こけない、2シーターの簡便な移動手段、という感じです。スバルは今後、レガシィ、インプレッサ、フォレスター、エクシーガといった「軽」ではない「普通」のクルマづくりに集中させるそうです。しかし、全部日本の道では大きめのクルマになります。アメリカやヨーロッパで受ける大きさでないといけない、というのもわかりますが、元スバリストとしては、日本からスバルが忘れられないように気を付けてもらいたいと思います。BGM:TORO (UA)