珍島シッキムクッ
シッキムは洗うクッは超自然的な神の力で日常生活における不幸を事前に防ぎ平安を維持するために行う祭祀儀式で仏教、儒教、道教などが入ってくる前から主に庶民の精神に深く根を下ろし伝統的な民間信仰として伝えられてきた。珍島シッキムクッは国家指定重要無形文化財に指定されている。本来は死者の魂が極楽往生するために一晩中行う儀式だが今回珍島の沖合いで起きた歳月号の沈没事故で亡くなった人々のために5月31日(土)にシッキムクッの中のホンコンジギクッを行うことにした。このクッは水死した人の魂を水から救い出し恨みを解いてあの世に送る儀式である。事故現場で直接行えばいいがそれは無理なので珍島の南端にある彭木港で行うことにした。ステンレスの器のなかに死者の名前を書いた紙を入れて儀式を行うが、今回は死者の数が多いので男女別々に器を二つ準備するそうだ。珍島シッキムクッの衣装は全て純白だ。特にその芸術性と音楽性に優れている。珍島シッキムクッ保存会の会長に何度も「クッをしてほしいと」連絡があったそうだが今回観光課長や周囲の人達と会議をした結果今月末に決定した。迷信と思う方もいるだろうが・・・「魂を絶対水から救うよ!絶対上がるよ」と真顔で会議している姿に私も真顔で聞き入っていた。歳月号の船とともに成仏できないでいる魂がシッキムクッで恨みを解き極楽往生できるよう心から祈りたい。