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浅井惠子のブログ

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2020年11月15日
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カテゴリ:浅井恵子 日記
此の文を書くにあたって初めて私も曾ては、台湾全省運動会に参加する、台中市代表の卓球選手だった事を思い出しました。
私の主なプロフィールは、何時もチャンピョンを獲得している、水泳選手と、女優、そして舞踊家でした。
 私が確か高校一年生の頃、選手不足の為、仲が良かった卓球名手の「姚足」さんにすすめられ、水泳競技と日程が重ならない事を確かめて、彼女と組んで卓球ダブルスの試合に出る事になったのです。
その試合の最中、強い視線が私に向かって投射して来るのを痛い程感じました。試合の最中でボールから少しでも目を離すことが出来ず、試合の相手がボールを拾いに行った時サッと視線を感じた方へ眼をやると、観衆の中で何年も会っていない阿公が立っていたのです。私はびっくりして「阿公(アコン)(お爺ちゃん)!」と叫びました。
あの頃は試合と云っても人々が卓球台を取り囲んで「立ち観戦」するという状態でした。その中に阿公がいたのです。
阿公は慌てて指を口にあて卓球台を指してから軽く両手をたたきました。私は「静かに、試合を頑張って」と解釈し、湧き上がる全身の「興奮力」でボールにたち向かいました。そしてたしか、台湾全省で三位と云う卓球無知な私に、過ぎた成績を得る事が出来ました。
試合が終ると私は阿公の懐に飛び込みました。阿公は私を胸に抱き、後頭や背を優しくさすってくれました。
二人は手を繋いで近くの我が家へ向かって、ゆっくりと歩いて行きました。途中いろいろとたくさんのお話をしました。最後には私一人でペチァクチャペチャクチャと息をもつかずに、ずっと溜まっていた阿公へのお話しをしゃべり続けていました。阿公は耳を傾けてうなずき乍らじっと聞いてくれました。
あの頃の全省運動会は開会式を開催市内で派手に行い、各項目の試合いはそれぞれ分散して行われていました。私は卓球試合いが台中市の学校で行われて良かったと思いました。阿公が台中県内に住んでいたので来られたから。
家へ着くと母が一生懸命夕飯を作っていました。阿公は「わしは帰るから夕飯はいいよ」と云い「最後のバスに乗り遅れると帰れないからな、宏達にもさっき会えたし宏坤や宏宗にも学寮へ会いに行ったし、梅子(私の本名)に立派な試合ぶりも見せて貰ったし」と満面の嬉しさでした。
母が必死に懇願すると厳しい表情となり「わしは此の二、三日中にやる事がいっぱいあるから」と頑として断り、私が制服を着替えてその場に戻ってくると、阿公は母に何か事ずけているところで、母は下を向いてうなずきながらポロポロと大粒の涙を流していました。
阿公はさっと立ち上がり「さあ、もう時間だ」と靴を履き私を抱きしめて、泣きすがる母を優しくなだめ乍ら行ってしまいました。
母はそこに立ちつくし何時までも泣いていました。
「なんでそんなに泣くの?あの山を一つ越えれば何時でも阿公に会えるじゃない」というと母は、「阿公はもう行ってしまうのよ」
私「そうよ、行ってしまったじゃない」
母「あの世へ行くんだよ」
私「えー!?」
母は云いました。
「阿公は呪術に長けた偉いお導師様だ、阿公は神様もうらやむ孝子で、神様にお願いしたのだ、自分は年老いた母の面倒を見たいので、どうか母の天寿が尽きるまで、此の私の命を延ばして母の面倒を見させてください」とな。
「そのお母さまが亡くなったので、覚悟を決めたのだ」と又大声で泣きました。
私「どれ位伸ばしてもらったの?」
母「阿公は親指を折って他の指の節々に当てて占い、人の寿命の長さが解るのだ。自分の寿命とお母様の命の長さが解ったみたいだ。」
私「どれぐらい伸ばしてもらったの?」
母「はっきりは知らないよ!」
私「ねえ何年位伸ばしてもらったの?」
母「そんな大事なこと阿公に聞けないよ。」
私「ねえ!何年くらい!」
としつこく聞くので母は煩わしそうに、
「五年半位」と云ってまた泣き出しました。
私「なんでたったの五年半なのよ!神様だから何年でも伸ばせるでしょう!どうして五十年半伸ばすとか、五百年半とか伸ばしてくれないの!」と私も泣き出してしまいました。
それから三日位して訃報が届きました。
阿公が亡くなった知らせです。
私は又母に聞きました。
「人が亡くなると解っている日は、どうするの?どうやって逝くの?」
母「知らないよ、そんな大事なこと聞けないよ」と又云います。
私も又しつこく聞くと、
「よそで聞いた話だけど、その日が来たら、身なりを整え、目を閉じて静かに横たわり待つのだ」
と云いました。
お葬式の後阿公の財産分配があり、それに参加した母が帰宅すると、学寮から帰ってきて待ち構えていた長兄陳宏宗が聞きました。
「どうだった」
母「お前の父陳蘭馨には財産を分けない事になっていて、陳蘭奇叔父さんと陳蘭松叔父さんがすごい反対してくれた。」
「義姉さんが四人の子供を女で一つで、育てていくのは大変なことだ、絶対に分けないとだめだよ」と大いに頑張ってくれたけど母が、
「私の夫は親不孝者で親を見捨てて日本へ行ってしまいました。そのお爺さんの財産はいただけません。」と云って帰ってきたとの事、長兄は、
「それで財産は貰わない事になったんだね」
母「うん」
長兄「一円も貰わなかったのだね?」と念を押しました。
母は「うん」と同じ返事をしました。
長兄「それで良い!それで良かった!」とさっぱりした様子でした。
陳蘭奇叔父さんと陳蘭松叔父さんの優しい気持ちが心に沁みました。そして感謝の気持ちでいっぱいです。
それからは、母からも兄からも父について、そして親戚について何一つ話してもらえませんでした。
私は、幼いころお爺さんにとっても可愛がられた事、そして何時も私を背中におぶってくれた「阿公」のことが懐かしくて仕方ありませんでした。


皆さんの御健康と幸せをお祈り致します。




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最終更新日  2023年04月30日 16時33分25秒
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