牧野フライスがTOBに反対表明
大手工作機械メーカーの牧野フライス製作所は、ニデックからのTOBに反対すると表明しました。さらに、対抗措置の導入も発表しています。TOBを仕掛けているニデックとは、以前の日本電産です。モーター開発において世界一のシェアを誇り、永守重信氏が一代で築き上げた企業です。永守氏の強い個性と積極的なM&Aによって、現在に至っています。Wikipediaによると、連結子会社は345社もあります。牧野フライスは、1937年創業の工作機械国内4位のメーカーです。1970年代と早くから海外進出しており、海外比率が高い企業です。この両社ですが、ニデックが昨年末に、事前協議のない形で牧野フライスに買収を提案したところから始まります。牧野フライスは、TOBの開始の延期を再三要請していたにも関わらず、ニデックはこれに構わずに予定通りTOBを開始しました。買付価格は当初から提示していた1株1万1,000円です。これは、ここ最近の牧野フライスの株価に近いです。また、買付予定数の下限も、当初予定の50%(1,169万4,400株)を維持しました。牧野フライスは総議決権数の3分の2相当への引き上げを求めていましたが、これを無視した形です。東海 フィルターΦ340X300(三菱電機・牧野フライス・西部電機 Mカプラ用) (品番:UT500-A)(注番4185871)これを受けて牧野フライスは、株主にはニデックのTOBに応募しないことや、既に応募した場合には速やかに応募の解除を呼び掛けています。TOB期限が5月21日であるのに対し、買収対抗措置の導入には6月に予定する株主総会で決議を得る必要があるため、としています。形としては、ニデックによる敵対的買収になりました。個人的な意見ですが、敵対的買収をして、果たしてうまくいくのか、という疑問があります。私も何度もM&A経験していますが、どのような規模であれ、双方が納得して合意しないと、M&Aは絶対にうまくいきません。半ば強引に傘下に収めたとしても、反発やモチベーションの低下などで、当初の計画通りの成果が得られないことが想定されます。従業員の退職も相次ぐでしょう。このようなことが想像される中でのTOBは得策か、疑問に思います。大学院で研究しましたが、M&Aの成功確率は一般的に10〜30%程度とされています。友好的なM&Aであっても、なかなかうまくいかないものです。この行方には注目したいと思います。株主の判断がどうなるのか、見守りたいと思います。