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カテゴリ:日常
大手塾にいた頃、生徒の進学先にノルマがあった。
○○高校に何人以上合格させるとか、旧学区トップ校に何人以上合格させるとか、そういう類のノルマだ。 そのノルマの達成具合により、給料や賞与の額が上下したものだから、何が何でもノルマを達成するために、見込みのある生徒に対してはトップ校を受けるように指導していた。 そんな大手塾から独立して、この塾を開いた。 ちなみにこの塾は、『○○高校を目指す塾』というようなスタンスは取っていない。 どこを目指そうが、どこを受験しようが、それは生徒本人が決めることであり、生徒本人が決めなければいけないことであると思っている。 もちろん、数字を照らし合わせて、客観的に「合格の可能性」については本人や保護者の方に伝えるが、最終的に生徒が決めた受験先に関しては、どれだけ合格の可能性が低くても、もしくはどれだけ余裕で合格する学校であったとしても、NOとは言わないことにしている。 私の仕事は、どの学校に行けるか行けないかをジャッジすることではなく、生徒が自分で決めてきた学校に入学できるように、生徒と一緒に戦っていくことだからだ。 今日、神奈川県の後期選抜合格発表があった。 今年の後期受験生はみな、受験校に対して思い入れが強かった。 4月の時点から、誰に何を言われてもずっと変えずに憧れつづけてきた高校を受験した。 結果は、残念ながら憧れつづけた高校に不合格になった子がいた。 厳しい戦いになることはある程度予想されたが、やはりダメだった。 不合格になった子に、後悔はしていないかと尋ねた。 やはり、キッパリと、後悔していないと答えた。 受けて良かったと思っているし、例え他の合格出来る高校を受けたとして、それで合格しても、嬉しくなんてなかったと思うと答えた。 「大学受験は頑張らなきゃな。またここに勉強しに来ていいでしょ?」と、意識はもう前を向いていた。 そうは言っても、相当悔しかったんだろうと思う。 不合格の通知をもらってまだ数時間しか経っていないのだから、ショックもまだまだ大きいのだろう。 しかしそんな素振りは微塵も見せずに、少し影のある笑顔を私に向けて、これからの話をしてくれた。 こいつは、物凄く成長している。 そう思った。 初めて会った頃、どこか弱く、どこか頼りなく、どこか甘い部分が隠しきれなかった。 進路面談の時、「諦めません」と肩を震わせて泣いていた。 不合格の悲しみを必死でこらえながら、隠しきれそうもないショックを隠そうとしながらも、必死で前を向こうとして見せてくれた笑顔は、とても立派な表情だった。 私は、この立派な表情を絶対に忘れまい、いや忘れてはいけないと自分に誓った。 今日の合格発表を以て、今年度の受験が幕を閉じた。 第一志望に合格した生徒と、私立高校に通うことになる生徒。 皆、受験を通してもの凄く成長してくれた。 たくさんのものを得た。 卒塾生全員が、私の誇りであり、私の分身であり、私の家族である。 そのことに、変わりはない。 3月中旬、皆で卒塾式をやろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Feb 26, 2010 10:48:07 PM
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