2006/05/30(火)10:24
『黒く塗れ 髪結い伊三次捕物余話』 宇江佐真理 を読み終えました
大衆時代小説の中で、池波正太郎、藤沢修平につぐ
担い手と個人的には思っている 宇江佐真理 の
『黒く塗れ 髪結い伊三次捕物余話』を読み終えました。
さすがに、第4作目に来ると、内容も息切れして、
だれるのが、ふつうですが、この本も例にもれず、
3分の2の、ところまでは、このシリーズも、
そんな感じで読んでいましたが、
最後の2編が、その印象を,払拭させてくれて
やっぱり 宇江佐真理 は いいなあと
思わせるところで、終った。
ストーリーを、明かすのは,野暮のきわみで、
いただけないのだが、
伊三次が、使われている同心の不破の妻
いなみ が、ときどき登場するが、
この小説の中で、誰がすきかというと、
伊三次、文吉の次に,
いなみ じゃあないかなあと思う。
不破くらいの同心は,きっと過去の傑作小説には、
すくなからず 登場するが、
この いなみのようなキャラクターは、
初めてではないだろうか。
それにくらべると、まだ、不破と、いなみの
せがれは、いまだに、うまく描けてないのではないか。
その他の時代小説も、あるていどは、目を通していると思うのだが、
この人以上のものは、いまだにみつからない。