ken tsurezure

2005/06/05(日)14:25

時代の兆候

詩(31)

今夜海岸でまた6人練炭自殺した/そんなニュースは最近ありふれて新聞記事にもならない/レンタカーは毎晩自殺志願者を乗せてハイウェイを走る/見知らぬ他人同士で誰も話すらしない 海岸でそのレンタカーを見つけたのは中年のサーファー/彼はサーフィンで世界のトップに立つのが夢/夢を見ていればとりあえず明日を忘れられる/明日もマックジョブで心も身体も疲れ果てるだけ サーファーの同級生が昨日老人を殺した/同級生は帰る部屋もなく車で生活していた/最近仕事が見つからなくて食うものに困っていた/だから彼は刑務所で食い扶ちを得るつもりだった その同級生の友達は子供を連れ去り/車の中で小学生を犯していた/レイピストの彼はだらからも相手にされず/風俗に行くカネもないからそうやって欲望を満たしていた レイピストの勤め先にはエリート社員がいる/彼は毎日サービス残業で家にも戻れない/貯金はしてみたけど使い道は何もない/こんな生活が何時まで続くか不安でならない エリートの恋人は派遣社員でコンピュータ入力をしている/彼が仕事ばかりで自分に構ってくれないと不満げ/玉の輿は逃したくないけど本当は彼が好きじゃない/できれば結婚していい男と不倫したいと思っている 派遣社員の昔の友達は今もフリーター/最近できちゃった結婚でDV男と一緒になった/毎日泣き叫ぶ子供を今日も殴りつけている/どうしてこうなったのか 中絶が遅かったと後悔している フリーターの隣の家では三十代のニートがいる/彼は引きこもって7年以上も外に出ていない/何をやってもうまく行かない現実が嫌になった/彼には未来も現在も明日も希望もない ニートの彼の部屋からは巨大なマンションが見える/そこには一発当てて勝った大金持ちばかりが住んでいる/そのマンションに住む人はみんな抗鬱剤を手放せない/ドンペリに混ぜて飲む睡眠薬はとても苦い そのマンションの近くには巨大な繁華街/今日もギャングスターが勢力争いで血を流している/彼等はみんなエクスタシーで夢うつつの状態/彼等の集うクラブではアメリカンヒップホップが流れる クラブのDJはアルバイトの掛け持ちをしてる/小さな空間での盛り上がりだけが彼の楽しみ/国民年金なんて払わないし雇用保険にも入れない/とりあえず今の夜が楽しければいいと思っている DJブースの脇でぼんやりしてる大学生の娘/彼女は今まで7回リストカットしたけど死ねなかった/この先何があるかわからないけどいい事はない/彼女はここに生まれてこなければよかったと思う 最近正義の味方が多すぎて困る/無限の正義の名目で人殺しのお手伝い/強い人には優しいのに弱い人には厳しい/それが今の流行 歴史の証明結果

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