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カテゴリ:怒りと上手に付き合おう
「怒り」は生きる上で当たり前の感情かもしれません。しかし怒りの感情と上手に付き合えないと、いろいろな不都合が発生したり、嫌な気持ちを引きずることが多くなりかねません。今回は怒りについて学んでみましょう。
そもそも「怒り」はどのように感じるのでしょうか?実は怒りは本当の感情ではありません。「二次感情」といって、最初に別の感情を感じて、その結果怒りを感じるようにできています。最初に感じる別の感情とは、不安、恐怖、悲しみなどのネガティブな気持ちです。具体例を挙げましょう。子供がいつも帰宅する時間に帰ってきません。母親はとても心配になりました。すると子供が帰ってきました。反省するそぶりもなく、遊びに夢中になっていたようです。母親は「強い不安」を感じていた分、かなりのテンションで怒ってしまいました。 「怒り」は、それを感じる人を守る為の「警報」の役目を果たします。警報に気づけない場合当人を危険な状態に陥らせる為、怒りの感情はとても強烈です。そして強烈すぎる為に、怒りの感情は、体や精神に悪影響を与えてしまうのです。 怒りの感情の起こり方、役目、放置した場合に心身に悪い影響を与えることを確認できました。ではいよいよ怒りの感情への対応方法を考えていきましょう。 これを読んでいるあなたは「起きてしまった怒りの感情を上手に消したい。どうすればいいのだろうか?」と感じているかもしれません。しかし怒りと上手に付き合おうと思うなら、一番大切にすべきは次の姿勢になります。 ![]() 予防する為には、怒りを感じる必要がないような良いコンディションを調えておくことです。また怒りを感じないで済むような環境にしておくことも大切です。 コンディションを調える為には、基本的な生活習慣が非常に重要になります。睡眠時間の長さ(7時間以上)、睡眠リズムを安定させること、栄養素をしっかり食事で摂取する事、適度な運動をすることなどが本当に大切になってきます。 怒りを感じないで済む環境調整とは、怒りを感じる原因を無くしたり、減らしたりすることです。例えばAさんと会うと非常に怒ることが多い場合、Aさんと会う回数を減らしたり、会わないで済むならば会わないようにするというものです。 そんなに簡単に運ばないと感じたあなた。じつはある程度減らせるにもかかわらず、負けたくないなどの気持ちが働いて、調整できる部分をそのまま放置しているケースはよくあるものです。 動物としてのコンディション調整。環境調整。その他にコンディション調整に非常に役立つスキルがあります。それが以前紹介した「コーピング」と「レジリエンス」というスキルです。これらは日頃からの地道で的確な実行がとても重要になるスキルです。すべてを行う必要などありません。あなたが気に入ったもの、あなたに合った方法。これらを行うだけでも、随分怒りにくいコンディション作りができることでしょう。 怒りと付き合うためには、予防が一番だと理解できたとします。しかし自分を取り巻く環境は、自分の気持ちだけで全て上手に調整できませんね。相手次第の場面もたくさんあります。長時間寝たくても、とても忙しい場合もあるでしょう。そうした場合に有効になるのは、考え方・捉え方を変えてみる方法になります。 考え方を変える方法の代表例は認知行動療法になります。詳しくは「わかりやすい認知行動療法」シリーズに任せますが、自分の非現実的・非合理的な思い込みを修正することで、自然と怒りを感じないですむようになるスキルです。 例えばあなたが新入社員の指導係になったとします。あなたからすれば、新人の動きはとても要領が悪く感じられました。あなたは内心「なんて要領の悪い奴なんだ。自分の仕事時間も減ってしまうし、関わる価値もない!」 ![]() ところがあなたは認知行動療法を学んでみました。その結果「確かに新人は経験も知識も少ない為、今の動きは悪いのは事実だ。しかし誰もが最初は知識・経験が少ないものだ。私もそうだった。むしろ相手の弱点や気持ちに配慮しながら、効果的に指導するように心がけるとよいのではないだろうか?そして、実はその姿勢の方が、相手が早く成長して自分が奪われる時間が少なくなるどころか、むしろ手伝ってもらえる機会も増えるというものだ」 ![]() もう一つの方法はリフレーミングという方法です。認知行動療法と似ている面があります。自分が感じていた意味を、別の観点から見直してみるという方法です。 例えば先ほどの要領が悪い新人の指導の場面。自分の時間が奪われて、負担が増えることばかりを考えてしまえば、当然不機嫌になりやすく、その結果怒りやすくもなります。ですが腹立たしかった新人指導の機会を「実はあまり他人に寛容でなく、リーダーシップが十分でない自分のリーダーシップ能力を鍛える機会にしよう」などと捉え直すことができれば、新人指導から受けるストレスの低減や一部解消ができる場合があるわけです。 【まとめ】 怒りとは、感じている本人を危険から守る為に感じる二次感情です。強烈すぎる感情の為、感じる人の心身に悪影響を与えてしまいます。 怒りと付き合う一番大切で効果的な姿勢は、怒りを感じないで済むコンディションをしておくことです。つまり日頃から怒りを予防することです。生物としてのコンディション調整、怒りを生む環境の調整、コーピングやレジリエンス向上を、無理なく日頃から実行しておくことです。 怒りを感じてしまった場合、効果的な対処方法として、認知行動療法やリフレーミングという方法があります。特に認知行動療法は、学んで実践するほど効果が高まるスキルです。長い目で取り組んでみることをおすすめします。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2025.01.02 19:30:16
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