見取り八段・実0段

2006/02/21(火)20:49

【野ブタ。をプロデュース】

本(10)

白岩玄:著。第41回文藝賞受賞作。 今さらですが。。。 昨日、寝込んでいたら、兄ちゃんが読み終わったからと貸してくれました。 夕方借りて、夜には読み終わった。 そんなペラッペラな内容。 文体は、まるっきり高校生の頭の中。 読み慣れない人には読みづらいかも知れないけれども マンガ世代ならば、それほど抵抗なく読める、かなぁ。 高校生時代に限らず、人は誰でも「着ぐるみ」着て生きているような所はある。 自分を上手くプロデュースできている人間が勝ち。 桐谷修二は自分のプロデューサー力に自信があった。 誰よりも上手くできていると自負していた。 ある日、目の前に現れた一匹のブタ。。。じゃなくて、1人の転校生(うん、編入生か) が彼のプロデューサーとしての好奇心に火を点けた。 他人をプロデュースする。 モー娘。をプロデュースするつんくのように人気者にしてみせる。 そして、成功と、彼自身のミスによる転落。。。そして。。。 この桐谷修二には救いがない。 まぁ、ラストから見るに、それでもメゲないんだけど。 でもおよそ納得の行かないラストだった。 これが桐谷修二の選んだ解決なんだ。 それでは、彼は闘う事をしないんだ。 逃げていくんだ。救いのないまま。。。 次に失敗したら?また逃げるんだろうか。 いつまで逃げるんだろうか。 これを読んで、すっごいな~、と思ったのは あのドラマを作った人は、よくこれを読んであのドラマを作れたな、って事。 たぶん、ドラマを作った人も私と同じように納得行かない思いをしたんだろうな。 桐谷修二と言う人を救って上げたくなったんだろう。 その結果、出来上がったのが原作とは違う「野ブタ。」である小谷信子と彰なんだろう。 ドラマの桐谷修二は幸せ者だ。 救われている。 だからラストでも前向きだ。 友達と離れても、同じ青い空で心は繋がっている。いつまでも。 私的には、ドラマの「野ブタ。をプロデュース」は、ぜひ皆に見て貰いたい名作だ。 でも、小説「野ブタ。をプロデュース」は、皆に読んで貰いたいと言うほどではない。 この小説を読んだままだったら、いっぱい脳内補填してあげないと、 桐谷修二を救って上げる事ができないからである。 それとも、彼は救われないままで、充分だと思っているだろうか。 ドラマが彼にやってあげた事は、余計なお節介だったのかも知れない。 生きる事って孤独な事なんだね。 そんな風に、つい思ってしまう、ちょっと寂しい本だった。 野ブタ。をプロデュース

続きを読む

このブログでよく読まれている記事

もっと見る

総合記事ランキング

もっと見る