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カテゴリ:マンガ
先日読んだ桐野夏生『水の眠り 灰の夢』の題材になっていた草加次郎事件を取り上げているというので、読んでみた。大塚英志原作のマンガである。舞台は昭和40年代で、主な登場人物は、未来へタイムスリップしたり、時間を30秒ほど戻したり、過去を透視したりすることのできる特殊能力者たち。彼ら・彼女らが、やはり時間を行き来する犯人たちによる難事件に取り組むという趣向で、昭和の日本とタイムスリップを組み合わせるわけだから、ストーリーは自在である。たとえば、光クラブ事件の山崎晃嗣が三島由紀夫の友人で、破綻を避けるために三島の助けを借りてタイムスリップし、1968年の東京で三億円事件を引き起こす、といったぐあいである。もっとも、三島は1947年に東大を卒業していて、山崎が金貸し業をはじめたのは1948年、事件は1949年だから、つじつまは合わない。もく星号事件を扱ったストーリーもあり、この事件と過去への介入による時間の分岐を関連づけたところは、なかなか秀逸な発想である。しかし、魅力的な舞台設定と人物設定からすれば、もっと驚嘆すべきストーリーができてもいいはず。今後に期待したい。
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最終更新日
2008年01月04日 14時49分26秒
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