橋本健二の読書日記&音盤日記

2009/04/29(水)16:44

『昭和30年代・40年代の世田谷』

都市論・東京論(65)

 昭和ブームのせいか、こんな本まで出版された。世田谷区各地の古い地図と写真を集めて、当時の地域のようすを解説したもので、全159頁。  自宅の付近の写真も多く、経堂駅、すずらん通り商店街、農大通りなどの鮮明な写真がある。いまも営業している和菓子屋や電気屋がある。最近になって閉店した食堂が、昭和25年には旅行者向けの外食券食堂だったというのは驚き。  世田谷区は23区でいちばん人口が多く、83万人。人口の少ない100万人程度の県でも、郷土史の本や写真集は数多く出版されているから、こんな本が出ても不思議はない、といいたいところだが、大多数が定住者である地方の県と特別区とでは事情が違う。昭和ブームであること、高齢化と同時に定住者が増えてきたことが背景だろう。どこの区でも成立する企画とは思えないが、これからはいくつか出てくるかもしれない。地元の書店では山積みになっている。

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