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橋本健二の読書日記&音盤日記

橋本健二の読書日記&音盤日記

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世相・風俗

2007年12月04日
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カテゴリ:世相・風俗
『世界』に連載されていた記事の単行本化で、「岩波写真文庫」24冊を取り上げて、赤瀬川原平が1950年代日本の風俗や文化を論じている。赤瀬川の文章は、実体験にもとづきながら時代の様子をよく伝えてくれるが、その背景にある経済社会の構造についての目配りが不足している点が物足りない。やはり、あくまでも主役は写真である。新宿の街頭に山と積まれた糞尿桶、炭坑のあった長崎・軍艦島の高層アパートと群衆、女装して米軍キャンプ前で花を売る小さな男の子など。岩波書店は写真文庫の復刻版を10冊出したようだが、これでは物足りない。大部になってもかまわないので、本格的な写真集を出してほしいものである。


戦後腹ぺこ時代のシャッター音






最終更新日  2007年12月04日 07時59分00秒


2007年09月26日
カテゴリ:世相・風俗
 テーマを教育と有名大学・高校・中学への進学だけに絞った親向けの雑誌として、ときどき話題になる「プレジデントFamily」だが、今回初めて買ってみた。特集は「得する学歴、ムダな学歴」だが、このタイトルそのものの記事があるというわけではない。巻頭の「一流大学、一流企業を目指す親子に8つの注意」(渡邊正裕)は、けっこう面白かった。10年後の日本では、手取り収入で300万円以下の「ロウアー」、300万から900万の「ロウアーミドル」、2000万以下の「ミドル」、それ以上の「アッパー」の4つの層が出現し、転職できるだけのスキルを身につけた者だけがミドル、アッパーへ上昇することが可能なのだ、とか。親が入れたい会社、入れたくない会社ランキング、出身大学別・親が入れたい大学など、調査結果もけっこう面白い。大企業には採用区分があって、エリア職だと一流大学を出ていても出世できないなどと、わかりきったことをわざわざ説明しているのは、母親向けだからか。この雑誌は「中流の上」の高学歴層向けだと思っていたら、そうでもないようで、「偏差値30台で夢の公務員になれる!」「拝見!『2流大学内定王』の親の顔」など、けっこういじましい記事もあって笑える。こんな雑誌を毎月買って真剣に読んでいる母親とは、どういう人々なのか。会ってみたいものだ。会ってもいいという人がいたら、ご一報を。






最終更新日  2007年09月26日 10時57分45秒
2007年09月04日
カテゴリ:世相・風俗
 日本企業のビジネスマナーについて研究してきた米国人の団体が、日本で働く米国人ビジネスマンのためにまとめた本だか、これがとびきり面白い日本文化論になっている。日本のビジネス界は、彼らにとっては驚きの連続だ。接待の場所や、料理・酒の選択、席次の決定など、あらゆるところで会社の格と系列、接待相手の社内での地位を考慮しなければならない。「私たちのビジネス社会の習慣とはまったく遊離した、不思議な国の不思議なでき事」というわけである。「献酒献杯のタイミング」などは、私だってよく分からないけれど。「酒は多数の好みに合わせる」というのは、ありそうな話である。大手銀行の役員が、「各企業のトップ、官界、政・財界あわせて三千名くらい」の名前と地位を記憶しているというのは、日本人でも驚く。それとも、ビジネスマンにとっては常識なのだろうか。「OLとの交際」で、いろいろ注意を促した後に「なにしろ彼女たちの情報伝達能力は、通信衛星にも匹敵するのであるから」とあるのは笑わせる。今なら、インターネットだろう。20年以上前の本だから、実態に合わない部分もあるだろうけれど、基本は変わっていないのではないだろうか。品切れだが、古書で容易に手に入る。

ボストン研修協会『おじぎと盃』






最終更新日  2007年09月06日 14時49分17秒
2007年08月12日
カテゴリ:世相・風俗
 タイトルを見ると、往復書簡から新しい事実が明らかにされたことを当然期待するが、本人は完全に別世界へ行ってしまっているようで、自分の名を取った「造田博教」なる宗教について語るだけ。ほとんど対話になっておらず、著者の取材による部分を読むしかない。犯人の造田は、高校入学時までは成績の良い優等生で、将来は東大か早慶に進学することを希望していたらしい。それがパチンコにのめり込んで莫大な借金を作り失踪した両親のために、高校を中退してパチンコ店で働く羽目になり、人生は完全に狂ってしまう。そしてついには「ボケナスのアホ」を殺そうと街頭に踊り出る。このストーリーは、ほとんど「四丁目の夕日」か「ヒミズ」だ。永山則夫とも、また深川通り魔の川俣軍司とも異なる、しかしひとつの典型的な転落の仕方といえるだろう。ノンフィクションとしては失敗作だが、事実を知るには役に立つ。

青沼陽一郎『池袋通り魔との往復書簡』






最終更新日  2007年08月12日 07時11分05秒
2007年08月09日
カテゴリ:世相・風俗
 これは2回目の文庫化で、原著は1983年。事件があったのは1981年。当時、私は学生だったが、1979年までの2年ほど深川に住んでいたので、非常に印象深い事件だった。この事件の場合、裁判の過程で犯人である川俣軍司の犯行時の心理状態や犯行動機が必ずしも解明できたとはいえない。この著者にはお手の物の題材だったはずだが、裁判で明らかになった以上の事実が明らかにされたわけではなく、やや中途半端な終わり方をしている。むしろ圧巻は、川俣が築地の寿司屋を振り出しに、寿司屋に勤めては辞め勤めては辞めることを繰り返す過程を丹念に追った部分で、何者かが自分の人生を妨害しているという妄想を強めていく背景が理解でき、結果的には川俣がある種の被害者であるという側面をわずかながら強調することになっているようにも読める。少なくとも、事件の原因を単純に覚醒剤に求めることはできないということだろう。裁判についての記述はやや冗長で、とばし読みに向く。

佐木隆三『深川通り魔殺人事件』






最終更新日  2007年08月09日 08時26分15秒

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