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橋本健二の読書日記&音盤日記

橋本健二の読書日記&音盤日記

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マンガ

2009年01月16日
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カテゴリ:マンガ
 以前紹介した漫画の第2巻。時間を操ったり、過去のできごとを透視したり、未来を予知したりする特殊能力者たちが、昭和を舞台に難事件に挑むというもの。

 1巻はさまざまな事件を扱うオムニバス形式だったが、2巻では「東京への原爆投下」というパラレルワールドで起こった事件をめぐって、さまざまな事件が寄り合わされるという凝った趣向。大きなストーリーが動き始めたわけである。

 なお1巻の評で、三島由紀夫と「光クラブ事件」の山崎晃嗣が知り合いだったはずはないというようなことを書いたが、実は友人だったのではないかという説を、保坂正康が唱えていることを知った。本当なら、おもしろい。


東京事件(2)






最終更新日  2009年01月16日 17時44分59秒


2008年09月30日
カテゴリ:マンガ
 以前、雑誌の連載の段階で取り上げた、父子の和解を中心とするストーリーで、一巻が埋め尽くされている。ゆう子の策略で、「究極」と「至高」が「どれだけ相手を喜ばせることが出来るか」をめぐって闘うことになる。こうして士郎は、雄山を喜ばせるための料理をつくらなければならなくなるのである。

 雄山は、妻と士郎と三人の家庭の思い出が詰まった料理を次から次へと繰り出し、しまいには高校時代に士郎が母親の誕生日に作った料理を出してみせる。これに対抗して士郎は、雄山が与えることの出来なかったのは家族の団らんだとして、一家の団らんを演出する料理を出す。

 和解だというが、雄山はもともと士郎をことさらに憎んでいるわけではない一方、士郎の心が変化していく過程がはっきり描かれているとはいえない。だから、これで和解したといわれても、腑に落ちない部分が多い。これは、その前の段階で、士郎の心を動かそうとする雄山の計らいに、かえって反発する士郎の姿を極端に描きすぎたことにもよろう。作品最大の山場を、うまく作り上げることが出来たかというと、疑問が残る。これは、和解のクライマックスに置かれた料理「ロブスターのトリュフソースとトリュフのパスタ」が、一家団らんの料理としてあまりに非現実的であることとも関係がある。

 「日本全県味巡り」は、まだまだ続くらしい。47都道府県全部を回るとすると、あと10年くらいかかるのではないか。気の長い話である。



美味しんぼ(102)






最終更新日  2008年09月30日 10時52分14秒
2008年06月04日
カテゴリ:マンガ
2004年刊の文庫化。紙屋研究所の紙屋高雪さんが絶賛していたので、手に取ってみた。広島の被爆少女と、その家族たちの、美しくも哀しい物語である。原爆投下の10年後の広島の川のほとり、「お前の住む世界はそっちではない」という声におびえる少女が、はじめて青年の愛を得る。その川の下を、無数の死体が流れていく。「生きとってくれてありがとうな」。ところがその直後から、体に異変が始まる。残された者たちは、差別され、自らも差別する。こんなストーリーについて語るのは、あえて禁欲する。細部の描写が美しく、しかもリアルだ。町外れのバラック暮らし。「立ち退き絶対反対」の貼り紙。外に干された洗濯物など。100ページ少々の小品。「高いのは私が売れない作家のせいなんで本当に申し訳ないです」というあとがきが、謙虚で好ましい。


夕凪の街桜の国






最終更新日  2008年06月04日 08時13分13秒
2008年05月15日
カテゴリ:マンガ
新聞で取り上げられていたので、ご存じの方も多いだろう。海原雄山と山岡士郎が和解して一段落とのこと。普段は単行本でしか読まないのだが、買ってみた。和解のシーンは、どうということもない。雄山が中川にシャトー・ペトリュスの1996年を届けさせ、「このワインが飲み頃になったら飲もう」とことづてする。そこで団社長が「Petrusの12年物はもう飲み頃だよ」といい、栗田ゆう子が山岡を引っ張っていく。そして母の写真を前に、二人で酌み交わすというもの。このマンガが始まった頃は、シャトー・ムートンをもてはやす評論家たちをこき下ろしたりしていたが、ペトリュスならもてはやしていいということなのか。そもそも、1996年のペトリュスがいま飲み頃だというのは正しいかもしれないが、ペトリュスなら何でも12年で飲み頃になるというわけではない。偉大な年といわれるヴィンテージなら、12年では早すぎだろう。通して読んだわけではないから留保はしておくが、あまりさえない和解の物語のようにみえる。






最終更新日  2008年05月15日 17時13分29秒
2008年01月04日
カテゴリ:マンガ
先日読んだ桐野夏生『水の眠り 灰の夢』の題材になっていた草加次郎事件を取り上げているというので、読んでみた。大塚英志原作のマンガである。舞台は昭和40年代で、主な登場人物は、未来へタイムスリップしたり、時間を30秒ほど戻したり、過去を透視したりすることのできる特殊能力者たち。彼ら・彼女らが、やはり時間を行き来する犯人たちによる難事件に取り組むという趣向で、昭和の日本とタイムスリップを組み合わせるわけだから、ストーリーは自在である。たとえば、光クラブ事件の山崎晃嗣が三島由紀夫の友人で、破綻を避けるために三島の助けを借りてタイムスリップし、1968年の東京で三億円事件を引き起こす、といったぐあいである。もっとも、三島は1947年に東大を卒業していて、山崎が金貸し業をはじめたのは1948年、事件は1949年だから、つじつまは合わない。もく星号事件を扱ったストーリーもあり、この事件と過去への介入による時間の分岐を関連づけたところは、なかなか秀逸な発想である。しかし、魅力的な舞台設定と人物設定からすれば、もっと驚嘆すべきストーリーができてもいいはず。今後に期待したい。


東京事件(1)






最終更新日  2008年01月04日 14時49分26秒
2007年12月06日
カテゴリ:マンガ
気に入っているワイン漫画の第4巻。最初の2つは、主人公のカナが礼子という客室乗務員と友だちになるというストーリーだが、ちょっと無理があるかな。作者として、友達を作ってやりたい気持ちはわかるが。「フランスからの客」は、いいお話だ。今回は、カナの父親問題が前面に出すぎのようにも思う。ちょっと先を急ぎすぎではないだろうか。名作『ソムリエ』みたいに、もっとワインそのものをめぐるいいエピソードをいろいろ見せてほしいものである。


ソムリエール(4)






最終更新日  2007年12月06日 13時37分23秒
2007年12月03日
カテゴリ:マンガ
映画『続三丁目の夕日』が公開されている。先日見に行ったが、なかなか面白かった。必然性もないのに、ゴジラが出てきたり、当時の羽田空港を再現したCGが出てきたり。技術を見せようとする姿勢がやや強すぎたきらいはあるが、俳優たちはみな好演。とくに、前作では堅いところのあった小雪が、豊かな表情を見せていた。この本は、映画の公開に合わせて、原作から元になったストーリーを集めたアンソロジー。映画のネタバレが多いので、読むのは映画を見てからにしましょう。


三丁目の夕日続・映画化特別編






最終更新日  2007年12月03日 09時02分08秒
2007年09月21日
カテゴリ:マンガ
 「鉄腕アトム」の数々のストーリーの中で最高傑作といわれる「史上最大のロボット」を含む一冊。浦沢直樹によってリメイクされていることでも知られる。名作といわれるくらいだから、読んでおこうかと買ってきた。ロボットたちの性格描写がよくできていて、感情移入しやすい作品だ。確かに面白かったけれど、感想めいたものを書こうとしても、月並みなことしか思いつかない。ロボットを作る人間たちがブルジョアジーで、ロボットはプロレタリアート。あるいは、世界一を競わされるオリンピック選手たち。うーん、つまらない。終わり(笑)。

手塚治虫『鉄腕アトム(文庫版)』第7巻






最終更新日  2007年09月21日 13時58分49秒
2007年07月08日
カテゴリ:マンガ
 先日読んだ、中西新太郎『〈生きにくさ〉の根はどこにあるのか』に出てきたマンガ。「階級分化のあからさまな現実を実も蓋もなくはっきり見せてしまう」という説明だったが、少し違うと思う。ろくでなしの親に逃げられた中学生の閉塞感を、リアリティの失われる極限で描いたものだが、その閉塞感はどこから来るのか。それは、敵が見えないということだろう。下層階級は互いに傷つけ合い、殺し合うにもかかわらず、これに敵対するはずの上層階級はどこにも現れない。下層階級の閉塞した状況を描いたという点では、山野一の『四丁目の夕日』にもつながる。興味のある人は、どうぞ。

古谷実『ヒミズ』






最終更新日  2007年07月08日 14時11分19秒

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