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橋本健二の読書日記&音盤日記

橋本健二の読書日記&音盤日記

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全7件 (7件中 1-7件目)

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社会一般

2009年02月11日
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カテゴリ:社会一般
 最近、戦後史について書いているので、物の値段や賃金水準について調べなければならないことが多い。そのための定番は、これまで週刊朝日編集の『戦後値段史年表』『明治大正昭和 値段史年表』だったのだが、ここに新たな定番が登場した。

 値段も高いが500頁近い分厚さで、品目が多い。たとえば、履物だけで男性革靴、婦人革靴、運動靴は女子および女子学童用、学生用、下駄、草履と揃っている。解説も詳しく、ところどころには役に立つ備考も付記されている。

 一家に一冊、とまではいかないが、近現代史に関心のある人はどうぞ。


『物価の文化史事典』







最終更新日  2009年02月11日 08時58分33秒


2008年12月03日
カテゴリ:社会一般
 1994年から95年にかけて、朝日新聞は「戦後50年」という連載記事を掲載し、95年に全5巻の文庫本として出版したが、その3巻目にあたるのが、この本。戦時下の家族手当の導入から始まり、電産型賃金に至る日本的な賃金体系の成立から始まって、「会社人間」の誕生から変質までを扱っている。

 気になる記述がある。

 「戦後社会は、サラリーマン化の時代だった。……。企業別の労働組合は事務職員との身分的区別をなくし、そのころから、工場労働者も会社重役も自分を指して『サラリーマン』と称するようになった。」(36ページ)。そして、この呼び方が現在(95年時点)まで続いているというのだが(200ページ)、果たしてそうだろうか。

 時期は特定できないのだが、実際には低成長に入った頃から、サラリーマンという言葉のニュアンスは、ホワイトカラー労働者だけを指す方向に変化したはずである。象徴的なできごとは、1983年の「サラリーマン新党」結成だろう。これは、自民党にもブルーカラー中心の労働組合にも代表されない民間ホワイトカラーの結集を目指していたはずで、都市新中間階級が独自の投票行動を示しはじめたことを象徴していた。要検討の重要な問題である。


『カイシャ大国』






最終更新日  2008年12月03日 17時35分16秒
2008年06月03日
カテゴリ:社会一般
これは、異色の対談。鈴木邦男は新右翼のイデオローグだが、「赤衛軍事件」で逮捕された川本に、ずっとシンパシーを感じ続けていたという。右翼とはいっても、偏狭なナショナリズムでも体制派でもなく、思想的にはともかく政治的にはむしろ左翼に接近する場合もある鈴木のことだから、分からないでもない。しかも本人も、新聞社をクビになった経験がある。そんな二人が、70年の体験と三島由起夫事件、当時の映画、そして天皇制やテロリズムについてホンネで語り合う。誰かのお膳立てや、雑誌のページ稼ぎではなく、本人の切なる希望で実現した対談だけに、おもしろい。鈴木の一方的な片思いのようなものだから、最初は川本も驚いたらしいが、だんだん意気投合していく。全共闘に対するシンパシーはもちろんだが、いちばん好きな映画監督は成瀬巳喜男だと、意外なところで一致したりする。川本によると、「マイ・バック・ページ」の映画化が決まったとのこと。自身も、全共闘に関わった人々がその後どう生きてきたかを、自分一人で取材してノンフィクションにまるとめつもりだという。これは、完成が待ち遠しい。新書の対談にはろくな本がないと思っていたが、これは必読。


本と映画と「70年」を語ろう






最終更新日  2008年06月03日 12時13分03秒
2008年05月24日
カテゴリ:社会一般
これは2回目の文庫化で、初出は1979年。著者は長年にわたって町工場の旋盤工と作家の二足のわらじを履き続けた人物。町工場の日常と金属加工の現場、そして職人たちの克明な描写は、この人にしかできない。著者は、「社会に対しても自分に対しても、辞めるという拒否権を行使することによってしか自分を表現する手段をもたぬ人たちが多いから、町工場の労働者は常に流動する。それはまた、腕一本で食ってゆくことに自信を持った男の面魂として、こころにくいほどにふてぶてしいものだ」という。このような労働者の心性は、いまではどれほど残っているものか分からないが、高度成長期までの労働者について考える際には、この労働者像を記憶にとどめておきたい。


小関智弘『春は鉄までが匂った』






最終更新日  2008年05月24日 17時23分26秒
2008年04月24日
カテゴリ:社会一般
図書館にあればいいのだが、ここまでマイナーな統計になると手近な図書館にはない。しかたなく、研究費で買った。さまざまな官庁統計、シンクタンクや民間企業などが行った調査結果から、外食産業に関する数値を集めたもので、B5版627頁のボリューム。いま書いている本に、いろいろ活用しているところである。多数の企業がさまざまな調査を独自に行っていることがわかるが、いまひとつ、社会の現実に踏み込めていないように思える。格差拡大が、人々の食生活にどう影響しているのかが、よく見えてこないのである。どこかの企業で、この問題に焦点を当てた調査をやりませんか。協力します。CD-Rが付いていて、これは便利と思ったら、収録されているのはごく一部の表だけで、しかもPDF形式。すべての表をワークシートで収録してほしかった。


外食産業統計資料集(2008年版)






最終更新日  2008年04月25日 21時14分08秒
2008年01月28日
カテゴリ:社会一般
この白書は、数年おきくらいに買っているが、ずいぶん変わったものだ。私がいちばんよく使う統計表は、印刷媒体から消え、CD-ROMのみ。いちいちパソコンにセットしなければならないので、不便だ。CD-ROMが付いていること自体は良いのだが、主要な統計表くらい巻末につけておいてほしいものだ。カラフルな図表が増え、また食糧自給率を向上させることの意義や、食品の安全性など、消費者にアピールしようとする姿勢が前面に出ている。全体としては農業・農村の急速な衰退が隠せないなか、なんとか積極面を見せようとする姿勢も目立つ。たとえば販売農家数を経営規模別に見ると、5ha未満は減少しているのに対して、5-10ha、10-15ha、15ha以上はいずれも増えているというグラフがあるが、実は後の3カテゴリーは全部合計しても4.5%にしかならないはず。しかし、東京に住んでいると農業のことを忘れがちなので、社会科学系の研究者やジャーナリストは、たまに手に取ってみて良いのではないか。冒頭のページ、前書きを書いた松岡利勝前農林水産大臣のにこやかな写真に苦笑。


食料・農業・農村白書(平成19年版)






最終更新日  2008年01月28日 11時39分52秒
2007年10月30日
カテゴリ:社会一般
 ここで「高学歴ワーキングプア」と呼ばれているのは、大学院の博士課程を出て、非常勤講師やコンビニ店員などとして生活している人々のことである。大学院の無節操な増設・拡大によって、就職できない大学院生が増えていることはもちろん承知していたが、この問題を正面から扱った本は、おそらく初めてだろう。著者は、現役のオーバードクターである。読んでみて目から鱗だったのは、大学・短大入学者数に大学院入学者数を合計すると、18歳人口減が始まった1991年と現在とでほとんど変わっていないという指摘だ。大学院重点化が文科省と東大法学部による「既得権維持のための秘策」だったと言いたくなる著者の気持ちもよくわかる。コンビニでアルバイトをして生計を立てながら研究を続けていたものの、失望して姿を消してしまったという女子院生のエピソードは涙を誘う。苦労の末、専任の地位を得た若手が、研究しない年配教授たちを見て「自分のこれまでの研究や努力が、なんだか穢されたような気がしてきたんです」と告白する気持ちも、よくわかる。定員が増えたため、他大学から旧帝大の大学院に進学する院生が増えているが、これらの院生たちが生え抜きの院生たちから「ロンダ(学歴ロンダリング)」と蔑まれているという生々しい指摘もある。現行の大学院教育が税金の無駄遣いであり、しかも膨大な人的資源の浪費だという著者の結論は、まったくその通りだろう。内容に問題がないわけではない。博士が100人いる村でも話題になったが、学校基本調査の「死亡・不詳」を無批判に使うのはいかがなものか。文科省と東大法学部の秘策というのは、いかにも陰謀理論的だし、大学院では「常識をとても大切にした教育が行われている」と美化するのも疑問だ。とはいえ、多数の若手研究者たちの肉声を集めた労作で、大学関係者の必読書である。


高学歴ワーキングプア






最終更新日  2007年10月30日 06時53分54秒

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