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橋本健二の読書日記&音盤日記

橋本健二の読書日記&音盤日記

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社会学一般

2008年01月17日
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カテゴリ:社会学一般
著者は、毀誉褒貶は多いものの、戦後日本を代表する社会学者の一人だという点では衆目の一致するところ。この著者が、戦後日本社会学の代表的な著作を数十冊取り上げ、要約とともに批評を加えていく。随所には、自身の経験にもとづくさまざまなエピソードが加えられ、これが面白い。1950年代初め、著者はマルクス主義から逃れようと決心して社会学の道に進んだのだが、社会学科に進学してみると共産党員が何人もおり、その後は社会学も急速にマルクス主義の地盤になっていく。経済学では、マルクス経済学と近代経済学が別の学会を形成したが、社会学ではこのような棲み分けが行われず、辞典や講座ものの出版物でも2つの立場が並列されるなど、対立関係(著者によると「冷戦体制」)のなかで研究が行われるようになった経緯などについて詳しく書かれていて、大変面白い。「それまで会ったこともない若い人が私に敵対的態度を示すようなこともあった」というのは、私も心当たりがある(私自身のことではない、念のため)。なお私の『現代日本の階級構造』も取り上げられ、もちろん批判的コメント付きではあるが「高度の分析レベルをもった、優れたSSM研究」と評されている。


富永健一『戦後日本の社会学』






最終更新日  2008年01月17日 10時38分25秒


2007年09月17日
カテゴリ:社会学一般
 もともと2004年に出版された本で、かねてから読みたいとは思っていたのだが、その砕けた内容に1500円を払う気が起こらず、放っておいた。今年になって文庫化され、しかも近所の古書店で390円だったから、迷わず買った。私は専門外の本なら1500円くらい迷わず出すのだが、社会学の本となるとちょっと判断基準が厳しくなる。専門外の本なら面白いか面白くないかだが、社会学の本となると、その他に「頭に来る」というカテゴリーがあって、その恐れのある本に1500円は出したくないのである。ちなみに著者のホームページによると、著者は「迷わず買える本の値段の上限が1500円」なのだそうである。
 しかし読んでみると、なかなかしっかりした本である。資料もきちんと押さえられている部分が多いし、鋭い指摘も多くいろいろ教えられる。叙述のトーンはあくまでもユーモラスだが、実は全20回の講義には大別して2種類がある。それは、背後にきちんとした実証的裏付けと論理を持って俗説を批判している部分と、世に行われている杜撰な実証を意図的に模倣しながら、俗説の有効性を相対化する部分である。両者の見分けの付く人はニヤリとさせられるだろうが、見分けの付かない人はちょっと混乱したり、誤解(あるいは書かれている内容を鵜呑みに)する可能性がある。しかし760円の価値は十分ある。社会学に関心のある人は、ぜひご一読を。

パオロ・マッツァリーノ『反社会学講座』






最終更新日  2007年09月17日 15時04分17秒
2007年09月08日
カテゴリ:社会学一般
 私を含めて社会学者というのは、ごく一部を除けば数学が苦手である。そもそも数学が得意なら文科系に来る可能性は低いし、来たとしても経済系に進んでいるだろう。だから、数学者や計量経済学者が書いた統計学の本を読んでも、さっぱり分からない。かといって、学部学生用の入門書では説明の省略が多すぎるし、しかも初歩的な分析手法しか取り上げられていない。社会学の研究者や、研究者を志す人にちょうどいい水準の統計学の入門書というのは、なかなか見あたらない。その空白を埋めるのが、この本である。社会学の研究者が使う可能性のある分析手法はほぼ網羅されており、解説は適度に数式を使うスタイル。計算例が豊富に出てくるので、イメージもわきやすい。多変量解析の初歩まで学んだ人が、次のステップに進むにはいい本である。ただし、具体的にどのようなソフトを使って計算したらいいのかまでは説明されていない。この点を補完する解説書が欲しいところだ。

数理社会学会監修『社会の見方、測り方』






最終更新日  2007年09月08日 13時09分10秒
2007年05月25日
カテゴリ:社会学一般
 先日読んだ『消費社会から格差社会へ』で取り上げられていて、思い出したので再読。PARCO時代の三浦展の代表作であり、彼の原点になった本である。この本でいちばん優れているのは、人口統計を巧みに分析して、団塊世代が1960年代末に地方から大都市へと移住した人々であること、しかも最初は都心部に住み、次いで高円寺・吉祥寺・国分寺の「三寺」や下北沢などに移り住み、そして30代になると高島平などの巨大団地に住むか、あるいは千葉・埼玉・茨城に流出するという、大きな流れを形成してきたことを実証した部分。そのあと、団塊世代の消費生活や住居、好んで読む雑誌やマンガなどについての分析が続くのだが、こうしたマクロな流れが最初に明らかにされているので、地に足のついた分析という印象を与える。もっとも団塊世代的な犯罪は、永山則夫の連続射殺事件だという指摘もうなずける。これから団塊世代は、内部に大きな格差を抱えたまま老後を迎えるわけだが、その貧困層からは、新たな犯罪が生まれてくるのではないだろうか。格差拡大は「高齢化による見せかけだ」と主張した人々がいたが、冗談ではない。団塊世代はしばらく鳴りを潜めていた感があるが、これから団塊貧困老人たちの反逆が始まるかもしれないのである。
 現在は、品切れ絶版。入手困難本で、Amazonをみると中古品がなんと1万円で売られている。図書館で借りて読みましょう。






最終更新日  2007年05月28日 07時41分33秒
2007年05月23日
カテゴリ:社会学一般
 『下流社会』で大ブレイクしたマーケッターあるいは在野の社会学者と、今や大御所となった元フェミニスト社会学者の対談。3部構成だが、まず誰が読んでもおもしろいのは第3部の「企業・個人史」で、パルコ時代の三浦と大学院生時代の上野に、パルコの情報誌「アクロス」を通じた意外な接点があったというお話。第1部の「『下流社会』診断」は、さほど目新しさはないものの、「下流」の生態と女性の内部分化について小気味よいテンポで話が進み、楽しめる。しかし上野千鶴子という人、意味もなく相手に反論したり相手の見解を否定してかかろうとするところがあって、ときおり議論が空回りする。教育について論じたところなど、完全にページを浪費しているし、堤清二について論じた部分は、最後の方だけに読後感をしまりのないものにしてしまっている。軽い読み物だから、図書館ででもどうぞ。







最終更新日  2007年05月25日 16時56分26秒

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