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九三 曠原淑女 一九二四、五、八、 日ざしがほのかに降ってくれば またうらぶれの風も吹く にはとこやぶのうしろから 二人のおんながのぼって来る けらを着 粗い縄をまとひ 萱草の花のやうにわらひながら ゆっくりふたりがすすんでくる その蓋のついた小さな手桶は 今日ははたけへのみ水を入れて来たのだ 今日でない日は青いつるつるの蓴菜を入れ 欠けた朱塗の椀をうかべて 朝の爽やかなうちに町へ売りにも来たりする 鍬を二梃たゞしくけらにしばりつけてゐるので 曠原の淑女たちよ あなたがたはウクライナの 舞手のやうに見える ……風よたのしいおまへのことばを もっとはっきり このひとたちにきこえるやうに云ってくれ…… お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.05.12 05:18:42
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