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ココ の ブログ

飛翔(6)

飛翔(6)

 「荒城の月」を歌っていて余りにもキ―が高くて声がかすれそうに成った。高校時代に音楽部に入って混声合唱をしていた頃は何とか出ていたのに長年高いキ―の曲を歌って居なかったせいか喉が苦しくなった。酔ってカラオケで歌う曲はどれも簡単で楽に歌えるものばかりだったのに、案外、こういう単調な歌ほど難しい事を再確認した様なものだった。声は練習で或る程度は回復するだろうが、急には直らない。それだけに無理をして歌った。そんなボクの声が家中に響きだしたので家人は何事かと驚いた様だった。それでも何度もユー・チューブを鳴らしながら一緒に歌っていたので多分懐かしがって歌っているのだろうと理解した様だった。歌っている最中にも涙が出た。ティッシュ・ペーパーが沢山ゴミ箱に溜まって行った。面白い事に、ココが変な顔をしてボクの周りをグルグル廻って様子を見ていた。終いにデスクに乗ってボクの歌う顔をシゲシゲと観る始末だ。

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 夕食の時、ココの事を妻に話すと「多分、高い声が耳触りなのヨ。黒板を爪で引っ掻くような気持ちに成るのじゃ無い?」と言って笑った。ココにすればボクが歌う姿を観るのは初めての事なのだ。耳慣れない音声で異常な雰囲気を感じているらしい。「成る程、そう言えば、抱っこしてやると高音になる度に顔に甘噛みしようとするんだ」「そうでしょ、口笛を吹いても、気持ち悪い仕草をしてウロウロするもの。犬が歌う事があるでしょ?音楽を鳴らしながら物を売りに来る車が来ると隣の犬が一緒に歌いだしていた事があったわよネ」そう言われれば、犬が遠吠えのような声でスピーカーの音楽に合わせて歌って居たのを想い出した。「ココの場合は一緒に歌うんじゃ無く、気持ち悪い様な仕草だけで啼き声は出さなかったな」とボクは納得した。「そうでしょ、高音が気持ち悪いのヨ」確かに高音の波長がココの耳には異様な音に聴こえるらしい。

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 ココに何等かのインパクトを与えたボクの「荒城の月」も、家人のやんわりとした批判と丸一日歌い続けて飽きた事もあって終わった。今は時々、ユー・チューブを聴くだけだ。それでも充分堪能する事が出来る。中でも錦織健の歌唱力には何度聴いても感心するばかりだ。プロだから当たり前なのだろうが、あんな声を持って居ればどんなに嬉しい事だろうと想う。数十万人に一人の声の持ち主だけの事はあると想った。しかし、歌唱力では無く器楽曲でも表現力が優れて居れば感涙にむせぶ事も出来る。アン・アキコ・メイヤ―なぞは正直な処、ボクはこれまで知らなかった。日本人とアメリカ人とのハ―フだが、心は充分に日本人としての「荒城の月」の精神を持っている風に聴こえるのだ。彼女の持つ「ストラディバリ」のヴァイオリンの音も素晴らしい。その他には邦楽の琴や尺八・中国の二胡も良かった。身近な処ではハーモニカやオカリナもある。夫々個性がある。

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 その個性こそが人間性の原点なのかも知れないという気がする。色々な事を人間は言うが、教科書のような訳には行かないのが人間だ。教科書の様に行けば人生は詰らないものにしか成らないだろう。個性が同じマニュアルを見ても違う解釈をし、違う行動を取らせるのだ。良いとか悪いという問題では無く、結果が同じなら良いというものでも無い。一つの山を登るにしても様々なルートがあり、方法も違えば気象も違い季節も違うのだ。個人的には体調も違えばものの感じ方も違う筈だ。総てが各人の判断に委ねられているのだ。似たものは在っても全く同じという事が無いのだ。一回勝負に出るのが人生なのである。ル―チン・ワークのように同じ繰り返しの仕事の様な訳には行かないのである。人生は一回切りなのである。それを我々人間は果敢に挑んでこなして行くのだ。こなした後に充実感が待っている。人生の喜びを感じる時である。

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 そう想えば怖いものなぞ無い筈である。何も媚びる必要も威張る必要も無いのだ。失敗した事で臍を噛む必要も無いのだ。失敗をすればこそ人間は反省し、見直し、工夫し、次回にはそれをクリアするのだ。クリアしてこそ生甲斐や遣り甲斐を感じるのである。スポーツもそうだ。事業もそうだ。研究開発もそうだ。寄らば大樹の陰という考えは捨てるべきなのだ。誰かに庇護してもらおうなぞと甘っちょろい事を考えていると大きな落とし穴に落ちるか、後で後悔をする事になってしまうのである。人生は誰の為のものでは無く自分の為のものなのだ。だからこそ個性で生きるしか無いのである。勿論、人との協調性は必要だが、迎合ばかりしていたのでは人生の意味が無いのである。人生の成功者は、その殆どが個性的であるのを見ても分かる。人の後に付いて行って後塵を拝してばかり居ると、その前には出られないのである。自分は自分なのである。

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 同窓生との飲み会の回想や「荒城の月」の歌でこの数日があっと言う間に過ぎた。バレンタインのチョコレートを貰って、甘く苦味ばしった口中をワインで流す夕食の一時も既に終えた。相変わらず世の中は不景気風がインフルエンザを伴って吹き荒れている。不況の元凶であるアメリカは必死に成って偽物経済をもっともな風に見せようとしてもがいている。自分だけが苦しむのが馬鹿ばかしいとばかりに、ユーロやアジア・中東・アフリカを巻き込んでBRICに対抗しようとしている。中国も国内事情がおかしく成り掛けているのを抑えるのに躍起になっている。世界中が不況と言う恐竜に振り廻されているのだ。今年の干支である辰(龍・ドラゴン)の様に、今年は気象も含めて暴れまわるだろう。それでも若者はめげずにそれに向かって飛翔しなければならないのだ。ボクはそれをバックアップしたく、今、エールをおくりたいのである。

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