春の陽気のゴルフ練習

2011/04/01

カテゴリ：エッセイ

春の陽気のゴルフ練習

　ゴルフ練習所は平日の昼時ということもあってガラガラに空いていた。そういう空いている時を狙って行くから好きな場所を選べる。何時も一階の中央である。見通しが良いのと周りを気にせず打てるからだ。但し、一球ずつ気を入れて打ち、球筋を追い、落下地点を確認し、目標に何ｍずれたかを気にし、原因を考え、どの様に直すかを見つけて次のボールを打つという一連の流れを義務付けているから時間が掛かる。しかし、時間は幾らでもある。時間制限なしだから体調次第で多く打つ事もあるが、大体一時間も打てば疲れる。だからそれが目安となる。練習所にとって良い客だ。空いている時に来てくれる客を大事に扱えばもっと繁盛すると想うのだが、店員は其処まで頭が廻らない様だ。但し愛想は良い。

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　そういう事を考えるのは客としてのボクぐらいなものだろう。経営者は如何に売り上げが伸びるかを考えるのが常なのに此処ではそういう雰囲気は観られない。１０数年前に出来て最初の頃はよく通ったものだった。しかし、１０年ほど前からゴルフをやらなくなった。理由は仕事の流れもあったが、相手が居なくなったせいもあり、気分が乗らなくなったのもあった。楽しくなくなったのが一番大きな理由だった。ゴルフを始めたのが３０歳ぐらいの時で、４０歳ぐらいまでは楽しくて仕方なかった。５０歳までは仕事の付き合いで行くのが多かった。週にニ度ほど行っていたから真っ黒に日焼けし左手だけが白かったから直ぐにゴルフ焼けと分かった。が、それがピークで、５５歳の頃からやらなくなった。

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　その頃、親が亡くなった事も影響していた。そのせいで生活環境がガラリと変わり、新しい生活スタイルに慣れる事や、妻の病気や仕事の分野の微妙な変化に気を取られ、自治会長をやらされた事もゴルフから遠ざけた。要するにゴルフを中止する様々な要素が集中し運命づけられたようで神様の定めなら仕方が無いと想ったのだ。亦その気になれば再開すれば良いだけだった。だからでも無いが、たまたま昨年、取引先から誘われて再開してみると、是までの自分のゴルフのスタイルが間違っていたのに気付いた。フォームが長年の悪い癖で我流になっていて、レッスンプロに指摘されて直すと実に楽に打て、亦、楽しさが味わえる様になった。スコアも上がった。再開して良かったという気分になったのだった。

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　練習の大切さは学生時代ににクラシック・ギターをやっていた事や柔道をやっていた事で充分に分かっている積りだった。それなのに遊びに夢中に成って殆ど練習をせずグリーンに出ていたのだった。楽しい事は楽しいが、腕前は延びる限界に達していたのだろう。それで面白くなくなっていたのもあっただろうと容易に推定できる。何でも練習があっての本番での成果が出るものである。同じ楽しみでも更なる上を行こうと想えばプロ顔負けぐらいの練習をしないと駄目な事は誰でも理屈では知っている。それが出来なかったという事だ。つまり改めてゴルフをやり始めて自分のゴルフ環境が変わった事を知った。時間が出来、冷静に自分を観察する事も出来る環境に在る訳である。

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　これからが本当の楽しみを味わいながらエイジ・シューター（自分の年齢と同スコアでプレイする事。例えば７２歳の人がパー・プレイを達する事で、めったに無いスコアだから特に注目される）で廻れるのを楽しみに出来るのだ。プロは勿論、パー・プレイで廻るのが当然の事だから、如何にアンダー・スコアで廻れるかが問われる。そうでないと優勝が巡って来ないからだ。多くの歴戦のプロに混じって戦おうとすれば人よりも強靭な意志と信念が無ければ腕前だけでは勝てない。プロは皆、ハンディキャップはゼロなのだ。素人がオープン戦（プロとアマが混じってやるトーナメント）で上位に喰い込むのは至難の業なのだ。それが分かっていて素人が敢えてプロにならずにトーナメントに出るのは一種の優越感からだ。

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　それと自分への自信づけなのだろう。世の中には恐るべき素人が居るのである。まさか其処までは目指さなくとも自分の限界を知り、その限りで大いに楽しむのが大人の楽しみ方だろう。ちなみに何処かの老人会でやっているゲート・ボールなぞ、ボクには似合わない。ダイナミックさが無いのと老人のイメージが強すぎるのだ。更には子供のように気に食わない相手をボスが排除しているという笑い話も伝わって来る。老人会のマージャンも同じ事が言える。僅かな掛け金で、買ったの負けたの、負けた金を払えのとトラぶっているというニュースも伝わって来る。そういう小物集団には一切関わりを持たず、優雅なゴルフ・プレイをしていれば人生も楽しく過ごせるだろう。春の陽気なゴルフ練習場での感想である。

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最終更新日 2011/04/09　07:49:59 AM
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