DJ Kennedy/life is damn groovy

2006/07/09(日)01:18

DJ Kennedy #208:Soul Saturday

Soul Saturday(16)

She's Gone / Tavares Hall & Oatesの73年リリース、She's Goneを父の隣りで聴いたのはまだキャウチに座っても足が届かない頃で、恋など当然知るはずもないのだけれど、私はとても切ない気持ちでうっとりとしたのを覚えている。 この曲がとても気に入ってしばらくはアルバムを聴いたものだが、時が経って、別の声でこの曲を、やはり父と一緒に聴いた。カヴァーで歌ったTavaresのShe's Goneだ。 父は昔からソウルをよく聴いて書斎のコレクションは拍手を送りたい程なのだけれど(そうそう、何故かパノラマカラーのアフロ・ウィグが書棚の上に乗っている)、音楽を語るということは殆どなく、気が向くと私を呼んで共に聴き、「どう?」と感想を尋ねてくれる。それは今も変わらず、私の好きな時間の一つである。                     Tavaresは69年に結成されたソウル・シンガーズには多い兄弟グループ。私達が知る彼等のヒット・ナンバーズはディスコブームの到来を告げる頃の、テンポの速いHeaven Must Be Missing An AngelやBee Geesによって書かれたMore Than A Womanなどだけれど、実はメロディのきれいなバラードCheck It OutでR&B界に登場したのだった。 (私はCheck It Outが大好きだ。) スロウ・ジャムから始まった彼等のキャリアは76年、She's GoneでR&Bチャート1位を獲得、ブレイクを迎える。続いてIt Only Takes A Minuteもトップ10入り、Jackson5を手掛けたプロデューサーとのコラボレイションもあり、人気は不動のものになっていく。 79年にディスコブームがピークに達し”ディスコ・グループ”の地位も確立するが、80年代に入りブームが去ると、試行錯誤を繰り返しながら80年、アルバムLove Uprising、彼等にとっては「これぞTavaras」と言える素晴らしい作品を世に送るのだが、激しい音楽史の流れに乗れず、第一線から姿を消すことになる。    ***** オリジナルよりもメロウで温かい雰囲気のShe's Goneを聴きながら、珍しく父が幼い私に教えてくれた、大した話ではないのだが。 「これを歌っているお兄さん達は5人兄弟で、最初"Chubby & The Turnpikes"って名前だったんだって。ニックネイムがChubbyやPooch、Tinyって言ったらしいよ。」 二人でけらけらと笑いながら聴いていると彼等がとても身近に感じられ、それからTavaresが好きになった。 この前久し振りに、父がTavaresでも聴こうかと言いShe's Goneの思い出を話すと、「彼等のカヴァーはムリがないね」と話したのを思い出して、今夜はこの曲を心地良く聴いている。 父の言う「ムリのない」は、カヴァー・トラックを自分たちのものとして歌い上げる、というよりも「歌いたいから歌ってる」という曲に対する自然な気持ち(勿論ヒットを持ちたい、とは思っていただろうけれど)が伝わるってことなんだろうな、と今更聞いてみようとも思わないが、何となく理解ができたと感じた。 Tavaresは今もコンサートを続けていて、もう一度くらい聴きに行ってもいいね、と父と話しているところだ。

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