2010/02/22(月)00:15
Someday We'll All Be Free:Significance A Song Has
昨夜(朝方)のSoul Saturdayをアップしてから、寝るタイミングを逃して結局、朝の光が
窓に差し込むまで、Denzel Washington主演のMalcolm Xを観ていた。
心を打つ、とお伝えしたが、幾度と無く観ながらも心が震えた。隣で観ていた
夫を振り返ると、やはり涙を浮かべていた。
彼の残した、また最後に登場するネルソン・マンデラの言葉には、人種間の
思想としての意味が大前提にあるものの、それに加えて、人としての誇りを
掲げよという導きが込められていると思えた。だから多くの人の心に届くのだと。
同時に私達は、人種の坩堝と言われる街に生きていくことの難しさと、それでも
しっかり前を見て自分達の置かれた環境と向き合う必要性を再認識させられた。
昨日はDonny Hathawayのオリジナル"Someday We'll All Be Free"をご紹介した
のだが、映画の最後、スタッフロールで流れるこの歌を歌っているのはLady Soul,
Aretha Franklinだ。彼女の力強さや優しさが心に染みる。
詞を書いたEdward Howardは、実はこの詞を心の病に苦しむDonny Hathawayに
贈ったものなのだと話している。
「多くのアフリカン・アメリカンがこの歌を賛歌のように歌っているが、私はDonnyの為に
作ったのであって、彼等の持つ意味とは違う。けれどこの歌が、彼等にとってそうした
大切な意味を持つことには嬉しく思う」
大事な友人を思って作った詩が、やがて自由を求める多くの人の心を動かし、こうして
映画の挿入歌となった。歌は時に、作った人の思いから様々な感情へと連結させて
広がり続け、新しい感動を生み出していく。
私にとってこの歌は、また別の意味を持つ。
9.11の事件の10日後、2001年9月21日の夜。俳優George Clooneyの声掛けで
実現した"America:A Tribute to Heroes"
先月大勢のセレブリティが集まって、Haiti大地震の義援金を募るベネフィットコンサート
がTV放送されたが、これと同様なテレソンで、Alicia Keysがこの歌を歌った。
私はこの時NY郊外の家にいた。夫は連日緊急時のさなか対応に追われ帰宅することも
ままならず、いつまた攻撃を受けるとも限らないマンハッタンのオフィスに泊り込む事態と
なっており、彼からの連絡をひたすら待ちながら聴き、この歌の中に、人に翻弄されない
自由とか命の尊厳とか人間らしさとか、当然人として持っているべきものが脅かされる
悲しさと、それに打ち勝つ強さを身につける大切さを見ていた気がする。
彼女がこの夜Donny Hathawayの名曲を通して伝えたのは、アフリカン・アメリカンの
自由ではなくて、アメリカの誇りであった。そしてそれが人種を超えて、全てのアメリカンの
心に響いたのは間違いない。
Donny Hathawayはこの曲の最後の収録後にプレイバックを聴きながら泣いたのだと
前妻が告白している。彼は深い心の闇に勝てずこの世界を去ったけれど、彼の遺した
名曲は、こうしてこれからも、人に笑顔や涙、勇気を贈り続ける。
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