がんは感謝すべき細胞です。

2011/05/20(金)21:16

ありがとう「身土不二」

健康・生活(198)

日本の食糧自給率は40%、昭和35年ですから約50年前は79%でした。 昭和35年から35年経った平成7年には42%となっています。 穀物自給率は28%、昭和35年ですから約50年前は82%でした。 昭和35年から35年経った平成7年には30%に激減しております。 このように35年で、戦争や内乱、そして大災害がないのに、自給率が激減し、その結果、自国の農業が悲劇的に崩壊させられたことは、古今東西、ありません。 まさに日本は徹底的に「植民地化」され、悲惨な「人体実験」を受けてきた結果、 罹病するのが当たり前、 介護制度の世話になるのが当たり前、 という狂氣に満ちた社会になってしまいました。 特筆すべきは、穀物自給率です。 主食用穀物は60%とある程度、自給していますが、トウモロコシの輸入が約40年前に比較して約11倍に増加しています。 輸入穀物の約60%がトウモロコシです。 このトウモロコシは、主に牛の飼料の材料となっております。 牛の食性、つまり本来の主食は牧草ですが、人間がこの牛を美味しく食べるために、トウモロコシを濃厚飼料に加工して、牛に与えています。 本来の牧草ではなく、トウモロコシを材料とした濃厚飼料を与えられた牛が、奇形や病気になるのは当然です。 その死体である「牛肉」を、自らの食性に反して、霜降り肉が美味しいと錯覚して、食べている人間も罹病するのは必然ではあります。 さて、小麦粉も原料の輸入小麦が中国など新興国の需要増で高騰しております。 日清製粉などの大手製粉会社は、小麦粉の出荷価格を6月20日から10%上げると表明しております。 これに伴い、パンメーカー北海道大手の日糧製パンは100品目のパンの希望小売価格を7月1日出荷分から平均約6%値上げすると発表しました。 このままでは、食糧危機は何時到来してもおかしくない情況になっております。 平成20年7月23日日本経済新聞に、経済教室・「先進国の補助金も一因」という小論が掲載されていました。 著者は農林中金総合研究所主任研究員・Ruan Wei氏。 以下、要約引用いたします。 多くの途上国は先進国からの輸入穀物で国内農業が疲弊し、自立が阻害されてきた。(中略) 世界最大の穀物輸出国、米国では(中略)販売収入で生産コストを賄えない構造は同じだ。 それでも米国の農家が穀物生産を続けられたのは手厚い農業補助金のおかげだ。 80-06の27年で連邦政府が農家に支出した補助金は約三千二百億ドル(現在の換算で約33兆6千億円)に上り、同じ期間の米国の農産物輸出総額の四分の一に相当した。 現代農業は生産規模、農業技術、インフラが生産コストを規定し、先進国は高い競争力を持つ。 そこに多額の補助金が加われば途上国農業は太刀打ちできない。 その結果、途上国の輸入が増大、(中略)途上国の飢餓状態は短期的に緩和されたが、中長期的には途上国の農業経営を圧迫、食糧自給体制の崩壊をもたらした。 穀物は人間の生存に欠かせない主食で、生産は立地や気候条件に制約される。 一人の人間が食べる穀物の量は所得や価格との関係が薄く、価格弾力性が小さい特徴がある。 主食がグローバル市場に過度に依存すると、価格高騰時に貧困層の生存が脅かされるリスクが高い。 そのため各国は安全保障の観点で穀物自給率を高く維持することを目指してきた。 それを困難にしたのが先進国の農業補助金による人為的な価格低迷なのだ。中略 穀物への投機マネー流出はこうした穀物価格の割安感と人為的政策によるエタノールの需要促進への期待感が背景にあった。中略 その解決にはアジアにおける穀物の共同備蓄や緊急融通制度の構築が有効だ。                                                            引用終了 ここに、戦後、日本という「途上国」が「先進国・米国」の物量に呑み込まれ、食糧自給体制と農業とが崩壊させられた本質的理由を再認識することができます。 しかし、食糧、穀物には「競争力」はありません。 つまり「身土不二」の原則があります。 この意味は、「身体と土(環境・風土)とは一つ」です。 その風土から生まれた人間にとって、健全に生命を維持して行くには、それと同じ風土で栽培された食べ物を食べるしかありません。 食べ物が血となり、 血が細胞となり、 細胞が身体を作ります。 身体は食べ物から作られています。 その食べ物が、異なった風土で作られたものであれば、「異常な心身」になってしまいます。 伝統食の原則は「三里四方で獲れた食べ物を食す」ではあります。 日本では、日本産の米・野菜は「食べ物」です。 米国では、米国産の米・野菜は「食べ物」です。 しかし、日本では、米国産の米・野菜は「食べてはいけない製品」略して「食品」です。 同時に、米国では、日本産の米・野菜は「食べてはいけない製品」略して「食品」です。 つまり、 食べ物は、風土限定であり、 外国産とは競合などはしないし、 外国との競争力もありません。 食べ物は、ただ唯一、その風土が生んだ人のためにあるのです。 食べ物は、一旦、違う風土に運ばれますと、それは「食品」となり、異物・毒物となってしまうのです。 食べ物を、自動車やテレビなどの一般的な工業製品と同様に扱っては断じてなりません。 「食べ物は、生命そのものです」 「食べ物」「農作物」の輸出入を含む「自由貿易」。 その「自由貿易」こそ、「禁断の実」を食べることに他なりません。 「禁断の実」に触れた以上、「楽園」から追放されるのは当然でありましょう。 「楽園」に復帰するには、自国の食べ物を食べるしかありません。 伝統食への復帰です。 少食・粗食への回帰です。 穀菜食の復活です。 これが実現しますと、食糧自給率は100%になります。 付記:ここでいう「食糧自給率は40%」は、供給カロリー換算ベースです。 そこで「消費カロリー・ベース」や「金額ベース」で換算しますと、65%になるという考えかたがあるようです。 もう一つ、私の推測を言わせていただければ、現在の一般的な農業は、農薬・トラクターなどが必須の「石油農法」です。ですから、石油は自給しておりませんので、食糧自給率は限りなく「ゼロ%」に近くなります。 結局、食糧自給率は、「百%」か「ゼロ%」しかありません。 現在の日本は、残念ながら「ゼロ%」です。

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