そして今日も日は過ぎる

2004/08/23(月)18:55

十二人の怒れる男たち

適当鑑賞記(49)

 昨日は弁護士会の事前研修に出席。  その研修の過程で『裁判員~決めるのはあなた~』というドラマを見ました。  要するに今、日本でも採用しようという動きのある裁判員制度が、仮に採用されたとしてどのようなものになるのか、というドラマです。主演は石坂浩二。裁判員を岩崎ひろみなどが演じているドラマでした。  先の読める展開ではありましたが、なかなか面白かったこのドラマ。ですが、やはりというか何と言うか、『十二人の怒れる男たち』を意識した作りになっていました。裁判員が互いの事を番号で呼び合うとかね(『十二人の怒れる男たち』とは違った意味で、これが効果的なラストにつながっていました)。  三谷幸喜の『十二人の優しい日本人』もそうですが、『十二人の怒れる男たち』という作品と一見同じような進行を見せるかのようにはじまりながら、段々オリジナルの展開に移っていくという作品は内外を問わず結構あるようですが、このドラマもその一つに数えられるでしょう。  陪審員制と裁判員制という違いはありますが、市民の司法参加という面では同じ。その畳み掛けるような展開と、さわやかなラストで有名な『十二人の怒れる男たち』は傑作中の傑作です。  様々な市民の司法参加に関する映画・演劇・ドラマを見る前に、スタンダード作品として、まず見る事をオススメしたい作品であります。  さてさて、ここからは少し真面目な話。  興味のない方はどうかスルーしてやってください。  陪審員制度と参審員制度と、現在日本で採用されようとしている裁判員制度の事です。  以前口述試験の項目で若干書きましたが、いずれもいわゆる市民の司法参加の形態です。  陪審制については、アメリカで採られている制度として知っている方もいらっしゃると思うのですが、アメリカで採用されているのは有罪無罪の表決をする『小陪審』制度です。  これに対して、日本では検察官が独占的にやっている(刑事訴訟法247条)起訴・不起訴の判別を一般市民から無作為に選ばれた者たちが行うのが『大陪審』制度です。  他方、『参審員』制度というのは、市民から無作為で選ばれた者が参審員となり裁判官と共に表決及び量刑についてまで決定する制度です。この参審員というのは任期制で、2,3年程の期間裁判に関わる事になります。  では、日本で採用されようとしている『裁判員制度』とは如何なるものか。実は参審制に近く、一般市民から無作為に選ばれた者が、当該事件に限り裁判官と対等の立場で有罪無罪の表決を為し、有罪の場合は量刑まで定める事になる、という制度です。  まだまだ具体的な人数や表決方法については定まっていないようですが、行政・法曹三者共に導入を模索しているようで導入は規定路線のようです。  これを採用するに当たっては、違憲ではないか、行うとしてどれほどの義務を市民に課すか、など様々な問題点があります。  一々列挙していくとキリがないのですが、そうした問題点については明日にでも書きたいと思っています。

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