そして今日も日は過ぎる

2006/01/22(日)12:32

ソラリス

歩く図書館と本の虫(135)

 最近読んだ本です。  このところ結構な本を読んでいますね。 ソラリスの陽のもとに  二度にわたり映画化された、スタニスワフ・レムのSF小説です。  地球から遠く離れた星系に巨大な海を持った不思議な惑星があった。  二つの恒星からなる西経であり、惑星は通常公転周期がいびつとなり生物が生息できる環境になるはずがないとされていた。ところがこの惑星はどうしたわけか公転周期が安定している。それはどうやらこの惑星に広がる海の手によるもののようだ。そして驚くべき事に、海は一個の生命としてみることのできる存在でもあった・・・。  このソラリスは地球の手によって長い年月観察されているのですが、海の謎は何年経っても解明されないまま。そんなソラリスの観測ステーションに一人の男が降り立ったとき、あり得べからざる事象が起こっていた。  ・・・なんとも不可思議な物語ですが、序盤からぐいぐい引き寄せられてしまいます。他星系の生命と人間が良きにつけ悪しきにつけ、理解し合えるのか?そうした素朴な疑問を浮き彫りにさせてくれる逸品です。 何かが道をやってくる  レイ・ブラッドベリのダークファンタジー小説です。主人公は二人の少年。彼らの住む町にカーニバルがやってきます。しかしそのカーニバルはやがて静かな恐怖の影を少年達に投げかける・・・。  読み始めたときはイマイチテンポが良くないと思いましたし、主人公の内心の描写がなぜだかひどくもどかしいものを感じさせるところがあって名作と言われてる理由が良く分からなかったのですが、カーニバルがその真の姿を現し始める中盤から俄然面白くなってきます。  特に主人公の父親が前面に出るようになってからは、テンションが格段に上がり、最後まで目が離せない状態に。そして、読み終わった後にはすっきりと爽やかな読後感を残してくれる傑作ファンタジー小説になっています。  特に、かつて少年だったお父さん達にオススメの作品ですね^^ 鏡陥穽  PSO仲間の響騎諏深華さんからオススメされた、飛鳥部勝則氏の11作目の長編小説です。  「この作品、凄いですよ、グロイですよ!剣竜さん向きです!」  誤解のないように言っておきますと、私は別にグロ小説が好きな訳ではありません^^;非日常的で、壮大な物語が好きなだけでして、グロ系のホラー小説にそういうのが多いというだけの事です^^;;  閑話休題。飛鳥部勝則氏は10作目まではミステリーを書いているのですが、一転、この作品は完全なホラー。  キャラ立ちまくりの怪人達が現われ、想像力の限界を突っ走るような壮烈にグロテスクな物語が展開されていきます。  とにかくテンポが良いのと、ミステリー作家らしく謎から謎へと物語をつなげていく展開力が素晴らしいです。帯にはキング、クーンツ、マキャモンの三大ホラー小説家を引き合いに出してこの作品を評していますが、彼らの作品にも劣らぬ光を持つ作品ですね。非常に面白いです。諏深華さん、ありがとう^^  ホラー小説ファンにオススメできる逸品です。 殉教カテリナ車輪  そしてこちらは飛鳥部勝則氏のデビュー作です。  こちらは完全なミステリー。叙述トリックを生かした構成も面白いですが、何より図像学とミステリを結びつけている冒頭の展開が非常に面白く、引き込まれてしまいました。  飛鳥部氏の作品の良いところは、テンポが良いところですね。とにかくさくさくと先へ進んで読んでいけますし、表現が明快で良い感じです。こうした美点は作者に絵の素養もあることが影響しているのでしょうか。  ミステリーファンにオススメの逸品です。

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