つばさのカリスマ
というと、飛行機のスペシャリストかとお思いになるかもしれませんが、実は山形新幹
線つばさ」の車内販売を担当する、とある女性のお話。
どこがカリスマかというと、なんと1日1往復での売り上げが30万円近いというので
すね。コンビニ1日の売り上げが50~60万円といわれていますが、24時間営業で
あの店舗でのこと、と考えると、いかにすごい売り上げか、わかろうというものです。
お弁当186個の売り上げ記録も持っている。だが彼女、その記録を樹立した日に、素
直に喜べなかったんだそうです。「あと一人、お弁当が欲しいというお客様がいらして
・・・」
目指すはパーフェクト。つまり賞味期限の短いお弁当のような商品を、売り残さず、そ
して買いたいお客様すべてに行きわたるようにしたい、というのですね。
それだけ大きく売るには、さまざまな工夫があるようです。
ワゴンの積み方も、左右対称に、どちら側に座っているお客様にも同じように見て選ん
でいただけるように。
お釣りを素早く渡せるように、エプロンのポケット4つの右二つに500円玉、100
円玉。左に50円玉と10円玉を入れ、500円と50円は1枚ずつしか使わないので
、100円と10円を必要枚数より多めに出し、手渡しながら余分を残す。少なく取る
と、もう一度追加が必要になるから。
お弁当の中身を写真やイラストで説明し、購買意欲を誘う。
といった誰にでもできることから(これだけでもすごいけど)季節や天候に合わせてコ
ーヒーや飲み物の量を決めたり、ホームで列車を待つお客さんの姿を見て、お弁当を持
っている人の人数から積載数量を変えたり(売り残さないために)。という職人的な勘
を働かせる。
さらには、お弁当を買ったお客さんに、中身を説明することで、周囲の人の購買意欲を
誘う。
目が合ったお客さんの耳元で「いかがですか?」と囁く、に至っては、一度でいいから
囁いて欲しい!!
「山形の方は、お菓子をお勧めするときに「おいしいですよ」というと、「じゃあ二つ
頂戴」と信用していただける。それだけに、信頼を損ねるようなことはできない」
とおっしゃっていました。
この方の素晴らしいところは、普通なら、歩合給にしてもらって、ガンガン売ろうとす
るところ、なんと、固定給のアルバイトなんだそうですよ。商品を売って、お客様に買
っていただいて喜んでいただくことに、喜びを感じているということで、まさに職人の
なせる技なんですね。
車内販売って、よそで買うより何だか単価が高いような気がして、いつもケチってしま
いがちなのですが、こういう方に「見込み客」だと狙われたら、絶対買っちゃいますよ
ね。
一度、その職人技に触れてみたいものです。