2009/03/30(月)15:06
『艶縛―軍靴の蹂躙―』バーバラ片桐著
すごく面白かった。
バーバラ片桐さんがあとがきに『軍人受けが好きで、あまりなよなよしていなくてピシッと芯が一本通った、根が結構単純な受けが大好き』と書いていらっしゃいましたが、その通りです!
もう首がカクカク鳴るくらいに頷いてしまいました。
あー、バーバラ片桐さん、私もまさにそんな軍人さんの受けキャラが大好きでございます
そして、イラストの軍服姿もとっても麗しゅうございます。
そうです!思い出しました!(今、思い出したんか~)
バーバラ片桐さんと朝南かつみさんのゴールデンコンビは『軍服の劣情に堕ちて』も書いていらっしゃったのですねぇ・・あれも面白かったなぁ。
『艶縛―軍靴の蹂躙―』バーバラ片桐/朝南かつみ
アルルノベルズ 2009年4月10日発行
時代は大正―近所で評判の化け物屋敷(廃墟)の主・元男爵家の近衛将校、末松興宣(おきのり)は深夜、憲兵の突然の来訪を受ける。
その憲兵たちが見たものは、お化けよりもある意味驚きの、すこぶる美貌の青年だった・・。
その青年は、夜着代わりの和服を引っ掛け、その上にどてらを羽織った姿で登場!
もの凄い美貌の青年がどてらですよ!どてら!・・美青年がどてら・・どてら・・もう凄い衝撃です。
時は3年前にさかのぼる・・東京株式の暴落を機に恐慌に陥り、飢餓で米騒動が起きた。
何もしない政府に代わって、米倉から米を運び出し、民衆に分け与えた男がいた。
大量の米を誰にも気付かれず、一晩で運び出したことから、犯人は非常に訓練された部隊を動かす、優れた指揮者だと推測されたが・・全ては謎のまま彼は伝説の男となる。
長い間苦しんでいた民衆は再びあの英雄を求め、憲兵は犯人を必死に捜していた。
ある晩、とある政治集会に「あの男」が参加するという密告を受け、憲兵が踏み込み、逃げた男を追ったところ、この末松邸に入ったという。
赤坂憲兵分隊長・岩波大尉は強引に家宅捜査を始め、抱かせるなら今夜の事は知らない事にしてやると興宣を脅した。
その後も仲間を助けるため、岩波の言いなりに嬲られる・・でもそれがだんだん優しさを帯びてくるのに戸惑う興宣だった。
そして遂に民衆が決起し、帝国議事堂へ宮城目指して押し寄せて来た。
興宣率いる近衛中隊に出動命令が下り、近づく民衆に武器を向け、一触即発の危機!
暴動は避けられないのかっ!?
決心した興宣は、一人民衆の前に進み出た・・
ここが最高の名シーンですなぁ~、挿絵の興宣の凛々しさと言ったら!
民衆の暴動を止めた興宣は正体を知られる事となり、内務省に連行され、処刑されることになった。
牢獄で想うのは岩波のことばかり、その時ふいに幼いころの記憶がよみがえり、二人の運命的な出会いが明らかに!?
はたして処刑される興宣を岩波は救うことができるのか!?
ただ、私の好み的に惜しいのは、「受け」に暗さや陰がないところですかねぇ・・。
いやいや、でもこの人には陰なんて似合わないでしょう!
正義感があふれていて、クールビューティさんぽいのに天然で、本当に部下から慕われ、皆から可愛がられているのが伝わってきます。
しかも元男爵家なので、かなりツンデレさん?
とにかく、ぜひ読んでこのキャラをご堪能下さい。
処刑されてしまうのか!?というところで、もう少しスリリングな展開が欲しかったなぁ・・。
私の満足度★★★★☆