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カテゴリ:パラグライダー
実質八重洲さん一強状態の上空送信可能なデジタル簡易無線機。 ケンウッドさんから上空送信可能モデル「TPZ-D510」が(やっと)今年5月に登場しました。 初回出荷ロットのタイミングで「評価機」をお借りできず、実機テストできたのが7月末&8月末~9月上旬と、リリースから時間が経ってしまいました。 (足尾エリア上空にてお試し中(2018年8月下旬)) 先行2社(八重洲さん、アイコムさん)で顕在化している点も含め、いろいろ試してみました。 ※地上で使ったことも書きますが、パラグライダーで空を飛びながらを主眼としたレビューです。 【参考・他機種のレビュー】 ◆ アイコム IC-DPR30 パラ・ハングフライヤー向けレビュー (2016年10月) ※(2018/09/24 13:00追記) 機能豊富なので、試した機能や設定すべてを紹介しきれませんでした。紹介しなかった機能や設定でこれは載せたほうがいいかなぁ・・・というのがあるので、後日加筆するかもしれません。 ※今回のレビューに使用した機材 (TPZ-D510 2台、スピーカーマイク KMC-55) (プログラミングケーブル(KPG-186U)) 【いきなり結論を♪】 長文になるので、ズバっと結論から申し上げます。 → でも、設定、機能が豊富すぎるので、、、 簡単に使いたい人には八重洲さんのVXD1Sが使いやすいかも? ※2020年夏、アイコムからIC-DPR4がリリースされ、(残念ながら)機能的優位性が失われました。 ★八重洲 VXD450S からの乗り換えは推奨しません。 基本中の基本、送受信性能(電波の飛び)は、VXD450Sのほうが優れています。 重たい、大きいが苦にならなければ、VXD450Sから変更する必要はありません。 ★(このレビューの本題から外れますが・・・) 地上同士での使用が主目的でしたら、TPZ-D510はお奨めしません。 アンテナが長くて、アンテナ交換できて、最大5W出せる、 陸上(3R)機の購入をお奨めします。 【参考; 他機種のレビュー】 アイコム IC-DPR30 パラ・ハングフライヤー向けレビュー https://plaza.rakuten.co.jp/kerokeropyon/diary/201610270000/ 【TPZ-D510 / VXD1S / IC-DPR30 / VXD450S比較表】 ★メーカーホームページ (流通ルートは、法人向けと量販店(個人のお客さま向け)の2つあります。) ★TPZ-D510技適詳細情報 → 総務省のサイト 【良いところ(^^/ 】 ★セカンドPTT機能 完全な1台2役にはなりませんが、それに近い使い方ができます。 ★小さいのに音が良い 本体スピーカーは、VXD450S並みの大きい音が出ます。しかも音は良い♪ スピーカーマイクは、設定変更で上空でも実用レベルに改善します。 ★チャンネル毎にUCコード、秘話コードを設定できる 工場出荷時ではそういう設定になっていないので、プログラミングケーブル(KPG-186U)と専用ソフト(MCP-9B)を用いて設定します。 【欠点】 ★アンテナが短いので、送受信能力がいまいち(-_-# 上空ではまあまあ実用レベルですが、送受信能力はVXD450Sに完敗です。 陸上3R 30チャンネルは最大2Wで送信できますが、アンテナが短いのが災いしてせっかくの性能が台無し...。 ★USB給電できません。 ケンウッドの他のデジタル簡易無線機も同様なので、ケンウッドさんはUSB給電に対応する予定がなさそう? ★プログラミングケーブル(KPG-186U)が無いとフル機能を使いこなせないのが残念。 ★機能豊富すぎて、無線機初心者にはとっつきにくいかも? 説明書無しでは使いこなせません。 ★ボディ、アンテナが華奢? 【ちょっと気になります・・・】 ★(IC-DPR30同様)陸上3R 30チャンネル、上空3S 5チャンネルすべてのチャンネルで送受信できる設定ができちゃいます。VXD1Sはこの設定はできません。上空飛びながらうっかり陸上3Rチャンネルで送信してしまうリスクがあるので、 VXD1Sのような仕様が望ましいと思うのですが・・・。 【TPZ-D510のコンセプト?】 ケンウッドのデジタル簡易無線機は「Hyper Dmemitoss」シリーズ名でラインアップされています。特定小電力無線「Demitoss」シリーズの上位の位置付け。軽量・コンパクトな大きさで最大出力2W(上空チャンネルは1W)の実現は業界初? ●外観 特定小電力無線機やアマチュア無線機で培った?スリムに見せるデザインは八重洲さんやアイコムさんとは一線を画するものがあります。 VXD1Sとほぼ同じ寸法なのですが、並べたり、重ねてみると、、、あれれ? TPZ-D510のほうがスリムにみえるでしょ? (VXD1Sと重ねるとほぼ同じサイズとわかるんですが、並べるとなぜかTPZ-D510がスリムに見えちゃうのはデザインのなせるワザか?) アンテナは、VXD1Sより2.8cm、VXD450Sより11.9cm短いです。 (上空チャンネル送信可能デジタル簡易無線機4機種を並べると・・・ VXD450Sのアンテナが長いのが際だっていますね♪) ボディ、アンテナが華奢な印象です。 うっかり落とすと傷になるかも?(落下対策にケースに入れておくことをお奨めします) (隙間から基板やバックアップ電池が見えちゃうのは、コストダウンのため?) ※VXD450Sと比較 ●操作性 ・ボタンは少ないので誤操作する心配は無いと思います。 ・メニューキーが小さいため、手袋をしながらの操作がしづらいです。 ・UCコードはVXD1Sと同じく電源ONの状態で設定変更できす。UCコードは常時表示可能です。 ●新機能 (1)セカンドPTT機能(取扱説明書39ページ参照) 1台2役的な使い方ができます。ただし、アマチュア無線のデュアル機ようなメインとセカンド2つチャンネル同時受信はできません。セカンドチャンネル受信中にメインチャンネルで送信されても、セカンドチャンネルの受信が終わらないと切替え可能な状態になりません。(手動でチャンネル変更は可能です。) (2)チャンネル毎にUCコード、秘話コード設定が可能 オプションのプログラミングケーブル(KPG-186U)とメモリーコントロールプログラム(MCP-9B)が必要ですが、チャンネル毎にUCコードや秘話コードの設定が可能です。従来機種ではUCコードや秘話コードを設定してしまうと全チャンネル同じコードになってしまっていました。 ※工場出荷時は一括設定なのですが、メモリーコントロールプログラム(MCP-9B)の拡張メニューから一括入力設定変更機能を無線機本体に反映させることができます。 ※MCP-9Bの画面例(赤丸の一括入力設定のチェックを外した設定をTPZ-D510に登録すると、チャンネル毎にUCコード、秘話コードの設定が可能になります。) (クリックすると別ウィンドウで大きく表示します) ※MCP-9Bの拡張メニューから「一括入力設定」を追加してTPZ-D510に設定追加登録すると、UCコード、秘話コードの設定をチャンネル個別に設定するか全チャンネル共通に設定するかを変更できるようになります。 (クリックすると別ウィンドウで大きく表示します) ※UCコード、秘話コードの設定を全チャンネル共通にする(「ALL」)かチャンネル個別に設定する(「CH」)かを変更できるようにした画面(取扱説明書に記載ありません) ●送受信性能 (残念ですが)アンテナが5.6cmと短いのが災いしています。 上空3SチャンネルはVXD450S、陸上3R チャンネルはVXD20と地上間(テイクオフ~ランディング)で受信比較しましたが、TPZ-D510は完敗でした。 VXD1S、IC-DPR30同様、地上の屋内~屋外の通信には不向きです。 空中、テイクオフおよびランディングとの距離約4km程度は音が途切れることは皆無でしたので、上空 vs (屋外の)地上間は問題無いと思います。 ※アンテナ長いほうが送受信では有利なんですが、長いと邪魔なるからという意見のほうが多いのでしょうか? 上空(3S)の無線機はアンテナ交換できない仕様なので、故障・修理対策のためにアンテナを短くまたは無くしたいのがメーカーの意向なのかもしれません。特定小電力無線機のようにロングアンテナ仕様を出してほしいなぁ、難しいのかなぁ~。 ●内蔵マイク 本体内蔵マイクは適度な変調度で良好です。マイク感度調整に加え送信音質の変更も可能です。(取扱説明書44~47ページ参照) ※風切り音対策は必要です。 ●本体スピーカー音量・音質 屋内、屋外、上空ともじゅうぶんな音量、音質です。受信イコライザー内蔵で低音強調、高音強調、フラットの3つ音質を選べます。(取扱説明書46ページ参照) 主観ですが、VXD450Sより聞き取りやすい印象です。 ※音質、内蔵マイクの補足 良い音は期待できますが、デジタル簡易無線特有の遅延はあります。他機種同様ゆっくりはっきりと話すようにして下さい。早口だとデジタル処理が追いつかず聞き取りにくくなります。 ●外部スピーカー(MIC / SP端子) ねじ込み式1ピン4極プラグですが、八重洲さんとの互換性がありません。 独立回転ナットによるねじ込み式を採用しているので、ケーブルがよじれる心配がありません。VXD450Sのオプション「CT-91」はケーブルがよじれて断線するリスクを抱えていますから、これは良いと思います。 (※プラグはしっかり差し込んでからナットを回すようにして下さい) (ケーブルにやさしい独立回転ナットによるねじ込み式は良いですね♪) ●スピーカーマイクのスピーカーとマイクは? 純正・防水スピーカーマイク(KMC-55)を使用しました。 スピーカーマイクの音量は控えめです。VXD1Sよりはマシですが、デフォルト設定のままでは受信音がフルボリュームでも小さいです。 外部マイクロフォンタイプの設定、自動音量制御(受信オーディオ特性)の設定を 『HIGH』 にすることで実用レベルに改善します。(取扱説明書45ページ参照) スピーカーマイクの感度、音質設定も可能です。(感度は標準の0dB、送信オーディオイコライザーはフラットでOKと思います。) マイクの音は内蔵マイク同様良好です。風切り音対策として布カバーをつけるとよりGoodです。 ※ぴょんちゃんは風切り音対策として「まめしば」などカバーをスピーカーマイクに装着しています♪ (つぶらな瞳のまめしばスピーカーマイク・カバー(^^/ ) ●その他機能等 【充電】 3.8Vのリチウムイオン電池を採用していますが、USB給電に対応していません。 他のケンウッド製デジタル簡易無線機もUSB給電非対応です。ケンウッドはいまのところUSB給電方式採用は考えていないようです。 【登録申請書】 TPZ-D510は免許不要ですが、登録手続きが必要です。登録申請書が同梱されていますので、忘れず登録手続きして下さい。 下記ページを参考にして登録手続きして下さい。 未登録のまま使っていると電波法違反で摘発される恐れがあります。実際に摘発されていますので、面倒がらずに手続きして下さいね。 → http://www.soumu.go.jp/soutsu/kinki/01sotsu07_01001384.html ★改善してほしいなあと思うところ ・アンテナが短い = 送受信能力が削がれていて、陸上(3R)チャンネル最大2Wの出力が活かされていません。 ・メモリーコントロールプログラム(MCP-9B)を使わないと全機能を活用できない。 チャンネル別にUCコードや秘話コードを設定できる機能がMCP-9Bを使わないといけないのがなんとも・・・。 ●総評 小さなボディにたくさんの機能が搭載されています。音は実用レベルで、セカンドPTT機能は1台2役的な使い方できます。機能ありすぎなので、はじめて無線機を扱う人には使いこなしきれないかもしれません。 VXD450S並みの送受信能力があれば買い替え推奨に太鼓判したかったんですが、次期モデルに期待でしょうか? 試した印象から、位置付けはこんな感じでしょうか。 ●送受信能力を第一としたい方は、流通在庫はまだあるらしい?「VXD450S」。 ●はじめて無線機を扱う方には、実売価格最安の入門機種「VXD1S」。 ●いろいろな機能をアクティブに使ってみたい方には「TPZ-D510」。 陸上(3R)モデルですが、アイコムからIC-D70、IC-D70BT、IC-DPR7、八重洲からVXD30がこの夏リリースされました。IC-D70、IC-D70BTは、GPS、サブチャンネルPTT機能搭載しているので、これらの機能を搭載した上空(3S)チャンネル向けモデルをつくっていただけることを期待します。 アルインコさ~ん、ロングアンテナ仕様の上空チャンネル送信可能なデジタル簡易無線機、、待っていますよ~♪ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020.12.10 14:39:25
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