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カテゴリ:パラグライダー
斬新なデザインで新境地を開拓したIC-DPR30が登場したのは、2016年9月のこと。アンテナ内蔵、突起部分無しは良いんですが、スカイスポーツで使うにはちょっと・・・という感想でした。 そのアイコムさんから2020年夏「IC-DPR4」がリリースされました。 ※2022年7月、Bluetoothを外したIC-DPR4 LITEが登場。 ※茨城県筑波山・足尾エリア上空にてお試し中(2020年8月下旬) ※以前レビューしたTPZ-D510、VXD1S、IC-DPR30同様、パラグライダーで空を飛びながらを主眼としたレビューです。 ※今回の評価に使用した機材(IC-DPR4 2台、スピーカーマイク(HM-186LS)) 【結論から言っちゃいます♪】 長文なので、ズバっと結論から申し上げます。 ★上空送信できるデジタル簡易無線をこれから使う人には、一番のお奨め機種! TPZ-D510同等の機能・性能搭載で、より使いやすくなっています。 ★でも、八重洲 VXD-450S に不満が無いなら乗り換えは推奨しません。 基本中の基本、送受信性能(電波の飛び)は、VXD450Sのほうが優れています。陸上チャンネルは使わない上空チャンネルだけでじゅうぶん、重たい大きい、アンテナが邪魔が苦にならなければ、VXD450Sから変更する必要はないと思います。 ★地上同士での使用が主目的でしたら、IC-DPR4はお奨めしません。 アンテナが長くて、アンテナ交換できて、最大5W出せる陸上(3R)機の購入をお奨めします。 【参考・他機種のレビュー】 【IC-DPR4 / TPZ-D510 / VXD1S / IC-DPR30 / VXD450S比較表】 ★メーカーホームページ → リンク カタログ・取扱説明書 【良いところ(^^/ 】 ★小さいボディだけど大きい音。 本体スピーカーは、VXD450S並みの大きい音が出ます。 スピーカーマイクは、設定変更で実用レベル。 ★チャンネル毎にUCコード、秘話コードを設定できます。 ★アンテナは短いけど、送受信能力はじゅうぶん。 ★多機能だけど、操作性は良好♪ ★スピーカーマイクなどオプション関係は、アイコム製アマチュア無線機のものが使えます。 【欠点】 ★サブチャンネルPTT機能 1台2役、1台3役を狙った機能ですが、チャンネル切替のタイムラグが2~4秒あり、上空での使用はお奨めできません。 ★音質... 高出力の音が出る設計ですが、ボディが小さく(軽く)、スピーカーも小型のため、VXD450Sと比べちゃうと音にゆとりが...。そのため聞き取りやすさにちょっと難があります。とは言え、このボディでここまで出るのは大健闘と思います。(個人的主観) ●外観 幅50mmはTPZ-D510よりも小さく最小。 厚みはTPZ-D510、VXD1Sと同じ27mm。 これ以上小さくすると操作性に影響を及ぼすと思われるので、このサイズ感で定着しそうです。 VXD450Sとの比較(左: VXD450S 右: IC-DPR4) アンテナの長さは 5.2cmと短いです。 短いですが、根元が丈夫でしっかりとした造りの印象。 写真写りの関係で5.2cm以上あるように見えますが、寸法はノギスで計っています。 ●操作性 ・ボタンは少なく、音量調整、チャンネル変更もボタンで操作します。 無意識にボリュームをいじって聞こえなくなっていた・・・なんて心配は無用になるかな? ・UCコードは、TPZ-D510、VXD1Sと同じく電源ONの状態で設定変更できます。 UCコードは常時表示です。 UCコードは常時表示します。UCコード未設定時はOFF表示されます。 ●機能 (1)サブチャンネルPTT機能 1台2役、1台3役的な使い方ができます。ただし、アマチュア無線のデュアル機ようなメインとサブ2つチャンネル同時受信はできません。 サブチャンネル受信中にメインチャンネルで送信されても、サブチャンネルの受信が終わらないと切替え可能な状態にならないのはTPZ-D510と同じです。チャンネル切替に2~4秒ぐらいのタイムラグがあるのが気になりました。TPZ-D510はこんなにタイムラグあったかな? 同様の機能を持つ他社、他機種との比較、親和性(互換性)はテストしていません。 (2)チャンネル毎にUCコード、秘話コード設定が可能 IC-DPR30同様、チャンネル毎にUCコード、秘話コード設定が可能です。VXD1Sはチャンネル毎の設定は不可。TPZ-D510はオプションのプログラミングケーブル(KPG-186U)とメモリーコントロールプログラム(MCP-9B)が必要です。この機能は便利だと思います。 (3)自動音量機能 イヤホン設定をONにしたときに機能します。周囲の音にイヤホンの音声レベルを自動で上げることができます。インカム、Bluetooth機能を使う方には重宝できると思います。 ●送受信性能について VXD450Sよりやや劣る感じかなーという印象で、アンテナが短い割に健闘しています。 ●マイクについて マイクアンプの設定なのか、感度良すぎです。 内蔵マイク、スピーカーマイク(インカム)いずれの使用でも、マイクゲインを一段(-3dB)または二段(-6dB)下げて使うことをお奨めします。初期設定値(0dB)で、上空(屋外)で送信すると声が割れる、周囲の音(風切り音や騒音)が気になるレベルになって了解度が悪化することが多かったです。 風切り音対策のためにも、マイクゲイン二段下げた「-6」でじゅうぶん。 ●ノイズキャンセル 送信時の音声からノイズ成分を取り除き、音声品質を向上させる機能ですが、上空からの送話テストでは効果が感じられませんでした。風切り音対策のカバーをつけて、ノイズキャンセルOFF設定のほうが了解度が良いようです。 ノイズキャンセル機能よりも「マイクカバー」が風切り音対策に有効♪ ●送信イコライザー OFF、フラット、低音強調、中音強調、高音強調、低音強調、と設定できますが、「OFF」でじゅうぶんです。(屋外環境ではOFFのほうが一番聞き取りやすかったです) 送信イコライザー設定画面 ●受信イコライザー OFF、フラット、低音強調、中音強調、高音強調、低音強調、と設定できますが、これも「OFF」でじゅうぶんです。低音強調でも良いかなと思うときがありましたが、こもった感じの受信音のときは聞き取り難くなったことがあるので、、、OFF設定が無難かと思います。 受信イコライザー設定画面 ●イヤホン設定 イヤホン装着時に過入力を防ぐため、外部AF出力レベルを下げる機能です。 スピーカーマイク使用時はOFFにすることで、無線機本体スピーカー並みの音が出ます。 イヤホン使用時はONで。適度な音量になるので耳を痛めるリスクを軽減できます。VXD450Sの外部AF出力は、無線機本体スピーカーと同じレベルなので、ちょっとボリュームを上げるだけで耳を痛める心配がありました。 イヤホン設定画面。OFFに変更するとスピーカーマイクに対応できる音量になります。 ●本体スピーカー音量・音質 屋内、屋外、上空ともじゅうぶんな音量です。音質はVXD450Sのほうが聞きやすいと思います。 小さいボディ、3.7V電圧なので無理させられない? (VXD450Sの電圧は7.4V、因みにアイコムの陸上専用機IC-DPR7シリーズの電圧も7.4V。) ※音質、内蔵マイクの補足 他機種同様、「ゆっくり」「はっきり」と話すようにして下さい。早口だとデジタル処理が追いつかず聞き取りにくくなります。 ●マイク/イヤホンジャック アマチュア無線のスピーカーマイク、ヘッドセットが使えるできる仕様です。 ●充電 ・USB給電のACアダプタが付属しています。 ・5V 1Aの仕様であれば、市販品でも充電できます。 ・モバイルバッテリーでの充電も可能ですが、取扱説明書に記載されていないので、付属のACアダプタで充電することをお奨めします。 USB給電はマイクロBタイプ ●バッテリーの持ち 受信中心でしたら特に問題はありません。頻繁に送受信を行うインストラクターにはちょっと心もとないかもしれません。 「大きい音が出る = 消費電流が大きい」ため、ボリュームを大きくして使うことはバッテリーの消耗も大きいので、長時間頻繁に送受信する場合は「パワーセーブ機能」をONにするまたは、予備バッテリー(モバイルバッテリー)があると良いと思います。 頻繁に送信することがある場合は、パワーセーブをONに変更するのも手かも。 ●Bluetooth機能 今回テストしていません。後日追記するかも? イヤホン設定をONにしてイヤホン(カナルホン型、オーバーヘッド型)で受信音をモニターしましたが良好でした。デジタルなので、アナログなアマチュア無線と違ってザっというノイズ音が無いまったくの無音状態からズキュンと音が出て耳を痛めるリスクがあるので、イヤホンは(ボク個人的には)お奨めしませんが、VXD450Sよりはとても良好でした。 【登録申請書】 使用にあたって登録手続きが必要です。登録申請書が同梱されていますので、忘れず登録手続きして下さい。下記ページも参考にして登録手続きして下さい。 未登録のまま使っていると電波法違反で摘発される恐れがあります。実際に摘発されています。 → http://www.soumu.go.jp/soutsu/kinki/01sotsu07_01001384.html ※デジタル簡易無線機の使用は日本国内のみです。海外で使わないで下さい。 (捕まってしまいますよー) 【改善してほしいなあと思うところ】 ・サブチャンネルPTT機能 : タイムラグがあって双方向通信には不適と感じました。指示を送るのみの一方通行通信ならなんとかかなーレベルと感じました。(頭切れは確実に発生します、それを回避する方法があるのかなー。) ・音質 : 慣れちゃえば、こんなもんかなーになるかもしれませんが、VXD450Sと比べると筐体が小さい、軽いため、音も軽くて頼りなさげな感じです。USB給電のために、電圧が3.7Vと抑えられているのが遠因かなと推測しています。ID-51などアマチュア無線機やIC-DPR7など5W陸上用デジタル簡易無線機、先輩格のVXD450Sは、7.4V電圧のバッテリーを採用しています。その差が設計の余裕度、性能に現れているように感じます。 【総評】 先行販売されている各機種を研究したことが感じられます。小さなボディにたくさんの機能が搭載されていますが、小難しい操作を要求されることなく使い勝手は良好です。 サブチャンネルPTT機能は実用レベルとは言い難いですが、それ以外は良い出来と思います。 重たい、大きい、アンテナが邪魔、充電器が、、、陸上チャンネルでも交信したい、、、と、VXD450Sに不満がある方の『買い替え』にお奨めできそうです。(VXD450Sに不満が無い方は、VXD450Sをそのまま使うのが一番です。) 小型、軽量化のためにはやむを得ないですが、TPZ-D510ほどではありませんがボディは華奢です。うっかり落とすと傷つけたり、故障する恐れがありますので、ソフトケースやポーチに入れると良いと思います。 -------------------- お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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