かえるのペルー片道切符

2006/03/24(金)20:25

おっちゃんに告白した日

運転手さんとメイドさん(42)

水曜の朝、オーケーオジサンが来た時、こう言った。 (オ)「ニョニャー マーフ ヤー、仕事、今週いっぱいで終わりでええかー。     ワシ、田舎に帰るねん。」 いろいろ理由を聞くと、息子が働かない(仕事がなくて働けない?)から、金がない。 ちょうど家の賃貸契約も切れるので、一度田舎に帰って 休もうって事になったらしい。 金曜までは普通に働いて、土曜にはスカブミ(西ジャワ、インド洋側ね)に、帰るんだとか。 うーむ、“田舎に帰る”は、メイドの専売特許かと思ってたけど、運転手も使うのね。 しかしこの話を聞いた時、私はすごーく驚いたのよ。 だってこの国の人は、何事も事前にってのが、ほんと苦手な人たちなんだもん! まだ、水曜日だよ? 後、3日もあるんだよ? すごいよ、これ。  3日前にちゃんと辞める意思表示ができるなんて!!! 私の中でのおっちゃんのポイントが、また1つ上がった。 「こんな事で?」っていう人もいると思うが、これはイ人にしたら、驚異的に素晴らしい事だ。  バグース ヤー! トレビア~ン! 大体、メイドも運転手も何もかも、いつも突然言ってくる。 「ごめんねー、今日休むねー」 「ごめんねー、 今日って言ったけどできないねー」 こんなん。 これで、どれほどこちらの予定が狂うか。  もう少し早く言ってくれればいくらでも対処できたのに、 前日、あるいは当日に言われて、すごく困ることが多いのだ。 うーむ、やるなー 家賃っていくらなんだ?  最近私の中で芽生えつつある、仏心がムクムク湧いてきた(苦笑) この日は ベンケル(修理屋さん)で、車のコンディションを1日かけてチェックしてもらう予定だった。 おっちゃんに1人でベンケルに行ってもらい、終わったらアパートに戻ってきてとお願いし、 その間、私はだんなの運転手さんで行動。  夕方になってアパートに戻ったけど、おっちゃんはまだ帰ってきてなかった。 その後連絡があり、どうやら今日1日車を預けることになったらしい。 おっちゃんに電話したら、 (オ)「おー、ほな、今日はワシここから直接帰るわ。 お金はまた明日なー」 ほんと、お金にきれいな人である。 もちろんちゃんと翌日に2日分+チップもあげるけど、お金ないんやろ?  だから 家賃も厳しいんやろ? 夜、だんなに相談した。  おっちゃんの家賃、貸してやってもいい?  後1ヶ月なんだから、最後までおっちゃんで行きたいねんけど? だんなは、「好きにしていいよ」って言ってくれた。 どうしようかな・・・ 翌日木曜日。 朝うちには来ず、直接ベンケルに車を取りに行ってもらった。 この日はD先生との約束の日。 おっちゃんに電話すると、「今、アパートの近くやでー もう少しで帰るわなー」との事。 しばらくしたら、車の修理の領収書とおつりを握り締めて、部屋まで上がってきてくれた。 おっちゃん、この領収書の金額見て、なんや複雑な気持ちになったりせんかな? おっちゃんの1ヶ月の給料より多い修理代、こういうお金をポンッて払える外国人。 この日は孤児院に行った日。 大きな袋に古着が詰まってる。 私は孤児院にあげた事はいいと思ってるけど、おっちゃんにしたら 「1枚くらい、ワシのかかぁにも欲しいなぁ・・・」って思ったかも。 ごめんよ、今はこっちが優先ね。 その日の仕事が終わって、車を洗った後、鍵を返しに部屋に来た。 (私)「おっちゃんとこの家賃っていくらくらい?」 (オ)「オー、 30万ルピアかねー どんどん上がってくさねー マハール ヤー(高いねー)」 うーむ、たった30万ルピア(=4000円弱)。  そっか、これが払えず田舎に帰るんだ。 うーむ、うーむ。 (私)「私、来月日本に帰るのね。 後1ヶ月なの。     もし、30万ルピア貸してあげたら、後1ヶ月だけ働ける?」 (オ)「オー、帰るのかー いやー、でもいいよ、お金は。     もうかかぁも田舎で休みたいって言ってるでなー」 うわ~ これにも驚いた。 お金の貸出しを断る運転手なんて、初めて見た。 普通は「ピンジャン ピンジャン(貸して、貸して)」 「ミンタ ミンタ(ちょうだい ちょうだい)」なのよ。 うん、決めた。 おっちゃんに最後まで居てもらおう。 30万は貸すと言って、最後はあげてもいい。 (私)「30万貸してあげる。 一度奥さんと相談してみて。 最後の1ヶ月、助けてもらいたいのよ。」 (オ)「オッ? オー。 ほな、一度かかぁと話してみるでなー」 こうしてこの日、おっちゃんは帰っていった。 夕方、私の携帯に、女性からの電話があった。 (妻)「もしもし? ニョニャ? 私、運転手の女房だよ。 ほんとにくれるの? 50万ルピアだけど。」 おいおい、おばはん。 なんで値段が上がってるねん。  しかも、あげるって言ってへんで。 貸すんやで。 (私)「さっきは30万って聞いたわよ。 30万なら貸してあげるから、後1ヶ月、手伝ってよ。」 (妻)「(もうっ バカ亭主がまじめに30万とか言っちゃってさ・・・とかなんとか。)     分かったわ。 20万はうちが持つから、30万ね、ホントね?     明日また亭主としゃべってね。 じゃあねー」 おっちゃんはいいけど、奥さんはやっぱりやり手やな(苦笑)  もう、金づるだと思うと、すぐ吹っかけてくるんだから。 でも、これが普通の反応。 至ってまともというか、普通にある反応。 おっちゃんがボケてるのか、人が良すぎるのか、バカ正直なのか。  今頃 かかぁに怒られてりして(苦笑) そして今朝。 おっちゃんが出勤してきた時に、再度話しをした。 (私)「今日、30万貸してあげる。    あと、今までは必要なかったら呼ばなかったけど、最後だからずっと呼んであげる。    だから、おっちゃんも、最後まで頑張って働いて。   私ももう後1ヶ月だけだから、おっちゃんがいい のよ。」 (オ)「オー、オッケー! ワシのかかぁが、昨日ニョニャに電話したゆーてたけど、ごめんなー。    世の中、ええ人、悪い人がおるさかい、かかぁもホンマに貸してくれるんか、    心配したらしいわー。 ほな、ワシ、頑張るわなー」 こうして、オーケーオジサンは、かえるの最後のその時まで、 我が家の運転手をしてくれる事になりました。 ええよね、 もうSudah biasa(もうこれが日常)だもんね。 ほんとは毎日出かける用事もないし、友達もみんな乗せてくれるから必要ないけど、 私の最後のご奉仕か(苦笑)  「月極めで 雇ってくりー」って言われたのに、断ってたんだしね。 おっちゃんに告白してしまった私。 こうなりゃ最後まで面倒みようじゃないのよー! 最後には、私色に染められるか?  あはは。 おっちゃんはずーっとおっちゃんのままだろうな★ ★今日 やった事★ ・最後のお買い物。 またかえるを買ってしまった(苦笑)

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