激写!密輸入現場
バスに揺られる事10数時間。タクナの一つ手前(北側)の街、モケグアでバスを降ろされた。なんでも荷物検査だという。いったいどうして?「Moquegua a'rea libre de moscas de la fruta」モケグアは、果物蚊(←こんな名前?)のいない州です、みたいな意味。果物につく害虫、蚊の被害を防ぐため、他の都市から検疫を通ってない果物が無断で持ち込まれないようにパンアメリカンハイウェイの途中に検疫所が作られていたのだ。後から聞いたら、今ペルーでは結構被害が出てるらしい。このモケグアと目的地のタクナの果物は大丈夫らしく、防御に必至のようだ。でもまあ、この程度の荷物検査じゃ、防ぐのは難しいだろうけどねぇ…でもって、その後の揺られ揺られてタクナまで。前日の17:30に乗って、降りたのは翌日の午後13:00過ぎでした。ほえぇぇぇ。その足ですぐペルーを出国。国内線バスターミナルのすぐ横に国際線ターミナルがあり、タクシーの運ちゃんたちが国境を越える客待ちでわらわらしてる。お客さんが5人揃ったら、タクシーは出発!前に運ちゃんと私とだんな、後にはアルゼンチン人?の親子3人が乗った。国境付近って大概何にもないけど…ほーんと何にもないっ!!!ペルー出国も楽ちん、チリ入国も問題なし。あの3人の親子は荷物が多すぎて、さすがにチリ入国の際に随分チェックされてた。「チリは細かすぎるのよっ!」と怒るおばちゃん、でもさー、3人で10個近くの荷物って、やっぱり多いやろ(笑)チリ側の国境の街はアリカという。ここは昔ペルー領だったんだけど、戦争で負けて取られちゃったんだよね。タクナも50年間チリ領だったけど、1929年にペルーに返還されたの。だからタクナとアリカは隣あった州なんだけど、ペルーとチリでは、大違いって感じなのよね~例えば、アリカ(チリ)には、信号機がいっぱい。クラクションが鳴らない。車がきれい、新車ばっかり(左の黒いのがチリの車、右の白いのがペルーの車。)やっぱり経済が違うのねぇ。今はペルーのすごい勢いで伸びてるけど、いやー、やっぱり白人ばっかの国は強いわ。アリカの国際ターミナルにタクシーは到着。3人家族はここでチリに入り、その後アルゼンチンへ行くのだそうだ。私たちは単純に折り返すのみなので、ここでしばらく待機。ペルーに行きたいという新しいお客3人が来るまで、しばし待つ。そのターミナルにて。すごい衣類!なんじゃこりゃ?どう見ても古着だよね。しかも商品にしたら雑な扱い。物価の安いペルーからチリに運んできたのか?でも違った。反対だった。これらの古着は、アメリカやヨーロッパからチリの港町イキケ経由で輸入されたものらしい。先進国では、古着なんてもうほとんどゴミだもんね。お金を払っての輸入か、NGOみたいなのが運んでるのか知らないけど、とにかくタダ同然で入ってくるものらしいのよ。片やペルー。こちらは国内の繊維業界・衣料業界を守るため海外からの古着の輸入は禁止。だから、おととしのイカ・ピスコの大地震の時に「古着を送る事はできますか?」と言ってくださった親切な方もいたけど、寄付の物でも輸入とみなされてしまうので、ダメだったのよ。でね。建前は「輸入禁止」なんだけど、でもまあ、すぐお隣のアリカまで来てる古着をただ眺めてるだけってのはないよねぇ、って事で。ペルーのおばちゃんたち、思いっきり密輸入(笑)腰に巻いて~ 腰に巻いて~袖が伸びても構わないから、どんどん巻いて~最後にスカートで隠して、ハイ、出来上がり!堂々と運んでおりました♪まあ国境というとなんだか大そうな感じだけど、地元の人にしたら、ただの仕切り、程度なんだよね。タクナやアリカの人は外国人のように審査も厳しくなく、簡単に行き来できるようになってるんだとか。アリカから一緒にペルーに来たチリ人のばーちゃんは「タクナにいい医者がいるから、しょっちゅう通ってるのよ。」と言っていた。国境なんて御上が作った、ただの線。地元の人にとっては何の障害にもなってないんだなーと、なんとかく安心した。イミグレの人も、こういうのは多めに見ちゃうみたい。みんな知ってても何も言わないし、密輸入中のおばちゃんたちも、堂々としたもんだった。こういう服は、町中で本当に安く(1~2ソル/50円くらい?)売られるんだって。「タクナは物価が安い」と言われる所以の、ほんの一部をしっかと見た気分であります。ペルーに再入国した時、イミグレの人に「なんでペルーにずっといるの」と聞かれ焦ったりもしたけど、ほんと無事183日貰えて、トラブルもなくて、タクナを出てタクナに戻るまでたった2時間半くらいで終わってほんとほっとした。さあ、これから心おきなく観光だよ!!