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2021.04.21
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カテゴリ:カテゴリ未分類

4月から新しく北海像から岡山までの障がいのある人の就労を支援する就労移行支援事業所や自立した暮らしを支援する自立訓練事業所の計17か所と関わり合うことになり、あらためて就労移行という仕事について考えさせられている。そんな時、過去の書類を整理していたら5年前に就職した当事者からいただいた手紙に目にとまった。精神障がいと高次機能障害による身体障がいのあるこの当事者は私が施設長をしていた就労移行を経て、大手企業の障がい者雇用で就職し、周囲は大いに喜んで意気揚々と就職したものの、その1か月後には心が折れてしまう状態になった。その時に私に電話をかけてきて心配事の一つひとつを話はしていたが、それでも不安な心が収まらなかったらしく、文書にして私宛に送ってきた手紙である。そこには障がい者が働くことへの支援の要点が示されている。

 

手紙は4月に入社して2か月後に書かれたもので、不安になった具体的な「事実」が7項目にまとめて示されていた。「1 5月連休明けにもう1か月たつのにまだできないのですね、と直接言われる」「2 6月初め、同上のようなことを言われる。もう2か月たつのに、できないのですね」「3 離席中、戻ってくると机の上に飴があり、糖尿なのに大丈夫なのかなあと、陰口たたかれているのをきいてしまった」「4 仕事の説明を受けても、相手もけんか腰の口調に聞こえる」「5 男性職員が少ないということもあり、昼食はほとんど、一人で食べている状態です」「6 私の不在時間になにを言われているかわからない。被害妄想」「7 なんであの人と同じ時給なんですか、と言う人がいるらしい」。そして最後に「一番の問題は健常者と同じことを求められること」と結んでいた。

 

現状を言うと、上記に書かれたことは笑い話となっている。振り返れば、「なんであんなに悩んでいたのだろう」と。この当事者は5年後も同じ会社で楽しく働いている。しかし入社から2か月の記録は、現実にあった不安で、ここから抜け出せたのは、この手紙のように不安を書き示し、伝えたことなのだと振り返っている。書かれた不安の中で1と2は直接的なコミュニケーションにより想起された不安で、3,4が間接的なコミュニケーションによる不安、5は実態からの不安、6、7は想像による不安で、そのすべてが1つの大きな不安となって当事者にのしかかっていたのだろう。この一つひとつに対応していく前に、素因は何だろうと考えると、やはり仕事に関する1と2の存在が大きかった。この「言われた」という事実は不安を現実化させ、すべての不安につながっていたのである。しかしこれは、「言われた」ことで突き付けられた「自分が出来ていない」という事実へのいら立ちや悔しさであり、彼が不安から抜け出せたのは、その気持ちを私と共有したから、であった。

 

この共有という出発は、ベクトルを良い方向に向けられたことでもあるので、出発した時点でほぼ成功である。この会社とは、何を基準に「できる」「できない」を判断したのかを敵対ではなく、事実として整理し、できたこととできないことについて積極的にコミュニケーションを取ることで認識を交換し、相互不信と彼の不安は解消された。さらに、このコミュニケーションが同じ職場や他者との意思疎通の活性化につながり、上記の3以下の不安はすべて解消された。それから5年。この当事者は定年退職を迎えることになった。春から新しい職場で仕事を始める人も多くの不安を抱えているだろう。障がい者雇用の浸透が進んでいるとはいえ、それは人事部門に限定され、一緒に働く人の多くの理解は進んでいるとは言えない。共生社会を叫びながらも、真の理解には遠い中で、障がい者が社会で働くにはまだまだ上に書いたような1と2のコミュニケーションギャップを埋める仕事が必要である。ギャップを埋める人が職場に増えることが、当面の課題である。

 

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執筆者紹介 引地達也(ひきちたつや)仙台市出身。みんなの大学校学長、博士(新聞学)、一般社団法人みんなの大学校代表理事、一般財団法人発達支援研究所客員研究員。

 

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Last updated  2021.04.21 00:31:43
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