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株式会社東京リーガルマインドが運営する障がい者雇用支援センターのオンライン講座「言っても聞かないはなぜ起きるのか ~障がい者雇用を規範のズレから考える対話による関係調整のヒント~」https://center.wess.or.jp/infomation/seminar.htmlが公開されている。みんなの大学校の大内雅登さんと私の対話形式の講義で、障がい者雇用の現場で起こっているコミュニケーションに関する問題を、事例を題材に分かりやすく解きほぐしていく内容である。これまで私は、支援者向けや障がい者雇用担当者向けの講座を行ってきたものの、多くが考え方を示す内容だった。前提となる障害への理解や、就労の考え方を整理し、どのように雇用を始め、そして定着するのかに時間が割かれ、なかなか前に進まなかったところから、今回は実践に近づき、私の経験と大内さんの実践を踏まえて「やり方」を提示できるようなスタイルになったのではないかと、思う。
講座は事例を紹介し、そこで起こったことの解説や対話のずれの根本を説明し、客観的な評価を行う流れで構成されている。例えば、発達障がい者の生涯学習イベントに参加していた方が、講師に対して強い口調で訴えた事案。この方は「わからないことはいつでも聞けって言われたのに、電話したら怒られました」と話し、職場で担当者から「わからないことは、いつでも聞いてね」と伝えられていたことに従い、仕事が終わったあとに電話で質問をしたところ、「こんな時間に電話をしてくるな」と注意されたという。本人としては、「言われた通りにしたのに、怒られた」という認識で、「言っていることが違う。おかしい」との気持ちはおさまらず、「今日も電話をかけて確認しようと思っています」と話しているという。この事例を、大内さんは「いつでも聞いてね」という言葉がそのまま受け取られていたのに対し、実際には「業務時間内であれば」という前提が含まれていたことを指摘する。
「それを当たり前とされた前提でも、それが共有されていなければ、相手にとっては存在しないルール」と話し、この出来事は「言うことを聞かない人の問題」ではなく、「前提が共有されていないことによって起きたズレの問題」として見る視点を明示する。このズレが大きくなると、相手は「非常識な人」と見なされ、関係は急速に悪化し、やがてその評価は行動ではなく人格へと向けられ、「配慮ができない人」「一緒に働けない人」といった形で固定化されていくプロセスを解説する。一方で、本人は「言われた通りにしたのに怒られた」という理解のまま。そのため、「おかしいのは相手だ」という認識になり、対立はさらに深まっていく。もともとは小さなズレであったものが、関係そのものを壊してしまうほどの問題へと発展するメカニズムを説明する。このズレに対して、重要になるのが対話と説く大内さんは、業務時間外に電話をしていた職員に「どういうときに電話をしているのか」を丁寧に聞いてみると、「どう声をかければいいかわからないときに相談している」という答えが返ってきたことを紹介した。
つまり、「困ったときは人に聞く」のは困りごとを抱えたこの人にとって安心できる回答であり、「わからないことは先生に相談する」行動は、学校生活の中で繰り返し求められ、身につけてきたものであり、本人にとっては適切で望ましい行動として学習されてきたものとして捉えることで、問題解決の新たな視点が見えてくる可能性を示した。対話によって見えてくる解決策、そして、その対話を有効化する切り口が、動画では述べられている。詳細は動画を見ていただくとして、このほか、待ち合わせの時間のずれの問題や面接時に交わされる「大丈夫ですか」「大丈夫です」のずれに注目して、対話のやり方を提示している。この動画は約40分で、この中では大内さんとは伝えきれない思いを共有し、これをシリーズ化した動画とテキストを準備して近日、リリースする予定である。
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執筆者紹介 引地達也(ひきちたつや) みんなの大学校学長 フェリス女学院大学准教授(新聞学博士) 一般社団法人みんなの大学校代表理事 Care-Media Labo共同代表 文部科学省障害者生涯学習推進アドバイザー 国連NGO,JACE上席研究員
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2026.04.22 06:20:28
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