テーマ:小説書きさん!!(609)
カテゴリ:小説・詩など
書名:虫・絶滅危惧種
ぷちぷちシリーズ ヒサシの秘密記録簿・ミッション1 絶滅危惧種の虫を救え 上 絶滅危惧種で、もうこの世に存在していないものがたくさんある。君の今回のミッションだが人類にとって貴重なこの絶滅種を過去より採取して来て貰う。毎度毎度の口がすっぱく言っているのでもう丸暗記しているかもしれないが言うのも規則で決まっているから言う。過去に行っても、決して歴史に干渉せぬように。そして何時ものこの短い言葉の後に今回は付け加えられた。君は色々な事実、起こる事を知っている。知恵がある。無事の帰還を祈る。 俺は、田上比佐志。年齢は22歳だ。飛び級を重ねたお陰で大学院を18歳の時に卒業して、19歳の時に国家機関に就職して今に至る。 事故は、起こった。予定では、原始人が居るはずの世界へ旅立つはずだった。楽勝のミッションだった。これを終われば、今迄の溜まっていたミッションポイントと今回ミッションポインとで、ゴージャスな旅と休暇が待っているはずだった。 今の光景を見ると、歴史で習った20世紀後半らしい風景が展開されていた。歴史は得意だから結構覚えている。必須の項目だが個人的にも好きなので細部まで勉強している。特に近代史が得意だ。 装置は故障して動かない。入り口も閉じている。強制的に出されたみたいだ。そう乗っている人の安全を最優先にして作られており装置が故障や爆発しそうでも、その壊れる少し前に強制排出され、人を助ける安全装置が着けられている。現代技術の粋を結集して作られているのだった。何度も入り口を開けるリモコンのボタンを押したが、そこにあるはずの装置の入り口は開くことが無かった。完全に故障しているに違いない。ここに放置するしかない。 焦って腕を見る。腕にはめた、エマジェンシー用の強制リターン残りの時間を点滅して告げている。ホットしたのが正直な感想だ。 過去一度もお世話になった事がないのだが。装置が万が一故障した場合でも、現代に戻れる様に開発されたものである。緊急用なので、長めの時間が設定されている。60日だ。もっと早くても良いものだが、色んなミッションがあり、なんだか小型にする為とか。その為の調整とかが最新の技術を持ってしても、難しく。どれも固定になっている。これを使った人なんてあまり聞いた事がないのだから。これは、故障はしてないようだった。 約2ヶ月か。どうするかなぁ。当然この時代に来る予定が無かったので、衣装とかお金とかが用意されていない。まずは、それを工面する所から始めるしかない。そうそう、エマジェンシーを動作させると、報告書を山のように書かされる。メモをしておかなければ忘れる。 あと59日 まずは、着るものからだ。食べ物は、装置に3ヶ月分あったが。装置がダメに背負ったバックのなかには1週間だけの食料があった。これがあったので助かる。嫌だったがゴミ捨て場に行き。物色するしかなかった。たまたま、着られるTシャツとはけるズボンが捨ててあったのは、日頃の行いの性ではないか。どうも近くで引越しがあり、そこで、要らないものを捨てた際にあったものらしいかった。引越し業者が忙しく身体を動かしている姿が見えていた。 今日は野宿だな。 あと58日 あまり褒められた行為ではないが、捨てられたものを集めて。フリーマーケットで売る。参加代金も、同じ参加の人に物を売り、代金にした。 そしてフリーマーケットでは結構売れた。と言うかほぼ完売状態だ。眼の付け所と売る品物の特徴を掴んだ熱心な説明がと話術が功を奏したのかもしれないが、要するに必死だって事だ。出来ない理由を考えるのではなく出来る方法を考えろ。時には体当たりする事も必要だ。その事を物語っている。稼いだ金は2万1595円だった。 今日も野宿だ。 あと57日 この世界で例の虫を捕まえるのは、難しいが不可能に近い。それはそれで仕方ない事だ。現代に戻り。装置を修理してもう一度行くハズだった時代へ行けばいい。報告書を山ほど書くのは仕方ない事だと諦めれば。装置が故障したのだから仕方ない事である。故障は、故障である。誰のせいでもない。 お金が手に入ったので日常品を買う。細々とした物をたくさん買った。-4302円。残金は1万7293円になった。 今日も野宿だ。 あと56日 現代からすると、古めかしくちょっと滑稽である。博物館などに昔あったと言われている白黒テレビが展示されていた。年に何度かは実際につけてみて動作をさせる。それを以前偶然にも見た。丸型のダイヤルみたいなチャンネルと引きボタン式のスイッチをオンにすると、直ぐにテレビが映るのではなくしばらくして写り始めた。そして画像が当然の事ながら白黒である。見た瞬間にちょっとカルチャーショックを受けた。しばらく見ていてそろそろ終わりますと言うアナウンスと共にスイッチが切られた。プシュンと言う音と共に画面が消えるが、それはある画面全体が1点の彼方へ連れて行かれるような消え方をした。ある1点が直ぐには消えず残っており、段々段々と消えていった。それを見ていても楽しくなる。 今日も野宿だ。 あと55日 気分転換に近くの海に海水浴に行く。実はお風呂代わりの一面もあるがそんな事は秘密である。 海開きもして間もなく夏も始まったばかりでクラゲが出る季節では全然ないのだが、俺の運が良いのか悪いのか。普通に泳いでいると刺されてしまったので、気持ちよく泳いでいるのに腹が立ち。そう頭にきていて刺したひとつを捕まえてしまった。普段はしないだろうなぁ。俺の行動も分からない所がある。後で冷静に考えたら意味の無い事などしないものだが。その時はそんな心境だった事は確かだ。 そうそうあまりよくないのだが、前売ったものの売れ残りに海水パンツがあった。人の着けたのもでも、パンツ類はダメであった。その中に海水パンツもありこいつが今回活躍した訳である。 あと54日 出会いは突然に来る。偶然なのか運命なのかは分からないけど。 あと53日 誰かが分からないけど、きっと国家権力の代弁者と言わんばかりの人に違いない。そう刑事が自分を追いかけて来る様な気がする。気のせいならいいのだが。こちらもプロだ。つけられているのは分かる。 どうやったら自然に尾行から逃げられるのかを考えないと行けない。下手に慌てると逆にやぶ蛇になる可能性が高い。職質なんかされたら、一発でアウトだ。 タイムスリップしたこの時代には戸籍がないのだから。時代が管理社会になり身分が判る時代に長期間行く時には、マスターコンピュータに入り込みチョット操作をする。その前の紙管理社会の時代には、書類を1枚追加する。そして関連する身分証明の為、主に運転免許証を捏造する。公文書偽造の罪になるが、これも今の政府公認なのだから、正確には偽造ではなくもないのだが。今回は、そんな工作もせず。免許証も無い。要するに捕まるとまずい。犯人と刑事の関係だ。注意するに越したことはない。 あと52日 また居る。奴だ。 持って来た食料が切れた。これからは買わないと食べるものがない。 あと51日 今日も居る。また居る。奴だ。 あと50日 またまた居る。奴だ。ヒツコイ。 あと49日 無類のコーヒー好きである。そのコーヒーの味をマイルドにするのか如何かは分からないがよく、ミルクや砂糖が付いてくる。 個人的には入れないのであまり気にしないのだが親切に何も言わないのに入れてくれる奴がいる。本当は大嫌いだが、我慢して飲むようにしている。あの独特な香りや味を消すのに何で入れるのか分からないのが正直な感想である。 だからと言うのでもないが、カフェオレは大嫌いだ。半分もミルクを入れるのが分からない。あくまでこれは、個人的な感想であり、カフェオレを売っている企業を攻撃するのでは一切ない事を付け加えておく。 あと48日 何故ここに居るのか分からないが偶然なのか。俺が探し当てたのか。そんな事はないとは思うのだが。あの刑事が居る。そして嫌味なのか何か分からないがカフェオレ飲んでいる。俺に挑戦している見たいだ。闘争心をかきたてさせて貰った。よし今度はこちらから反撃させてもらう。引いてビクビクしているだけでは、精神衛生上もよろしくない。 あと47日 やっつけた例の刑事のお腹に傷跡を見つけた。普段は見せないらしい箇所だが、なんだか痛々しい。まぁ俺には関係のない事だ。 「お前以前カフェオレ飲んでいただろう。カフェオレを見たら俺を思い出してくれ。こっぴどくやっつけた俺の事を。俺はクロともシロともつかない、そのカフェオレが大嫌いなのさ」 やられて痛々しく転がった体でも、よほど屈辱だったのだろう。そんな表情をみせていたのだか目は鋭くこちらを睨み付けていた。 <つづく> お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年09月01日 08時51分25秒
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