岩手山 山岳回折による花輪中継局FM遠距離受信 ~その1~
久々にFM波の遠距離受信について書きたいと思います。今回は岩手山 山岳回折による花輪中継局FM波の受信についてです。岩手山は岩手県にある最高峰で標高2,038mの活火山です。別名 南部片富士 や 巌鷲山 などとも呼ばれます。盛岡市の南に位置する矢巾町から見る岩手山。八幡平アスピーテラインから見る岩手山。実はこの岩手山の山岳回折によって盛岡市まで飛んできている電波があります。それは秋田県鹿角市の水晶山(標高548.8m)にある花輪中継局の電波です。盛岡市南部との直線距離は68~70kmほどです。(遠距離というには微妙かな?)間には岩手山をはじめ八幡平など標高1,500mを超える奥羽の山々が連なっており、見通しは全く無いです。岩手県内陸部(北上川沿い)での秋田のFM局遠距離受信といえば、大森山にある本局がメインとなります。大森山は標高が低いとはいえ空中線電力が 3kW と大きいため、場所にもよりますがかなり広範囲でカーラジオでも容易に受信することが出来ます。また詳しい場所は伏せますが、盛岡市内でFMアンテナを秋田市の大森山方面に向けているお宅も見かけます。しかし、今回の遠距離受信のターゲットは大森山の本局ではなく、鹿角市の水晶山にある花輪中継局です。まずは花輪中継局のデータから。FM秋田 77.1MHz 100W(ERP 110W) ※垂直偏波NHK-FM 83.8MHz 100W(ERP 130W) ※垂直偏波鹿角きりたんぽFM 79.1MHz 20W(ERP 38.2W) ※垂直偏波(総務省無線局等情報より引用)そして実際に受信した結果は以下のとおり。受信機は、信号強度が数値で表示されるオーム電機製の RAD-F185N を使用。受信日は2024年11月3日。受信地は盛岡市黒川の北上川堤防上。標高は約105m。FM秋田(花輪)77.1MHz。S=13~17(雑音ほぼ無し・ステレオ受信ならず)NHK-FM 秋田(花輪)83.8MHz。S=14~15(雑音ほぼ無し・ステレオ受信ならず)鹿角きりたんぽFM(花輪)79.1MHz。S=9~10(雑音多し・ステレオ受信ならず)ポケットラジオ且つイヤホンコードアンテナという貧弱な環境にもかかわらず、FM局3つすべて受信出来たのには驚きました。特に FM秋田とNHK-FM の2局については、ステレオ受信こそかなわなかったもののほぼ雑音の無い状態で受信出来ました。FM秋田は同波の Date fm(FM仙台)を完全にマスクしてしまうほどの強さでした。またイヤホンコードを下に垂らすと受信状態が良くなることから、垂直偏波の電波を受信しているのだなぁという実感もありました。おそらく、ちゃんとしたFMアンテナと受信設備があればステレオで綺麗に受信出来る可能性はあるでしょう。盛岡で花輪中継局の電波が受信出来ることを知ったのは20年以上も前でした。その頃は Date fm(FM仙台)を聴きながら県南から国道396号線・国道456号線を北上していると、紫波町長岡~盛岡市黒川付近でどこかの局が混信してきて聴きづらいなぁぐらいにしか思っていませんでした。ある時混信の中から「・・・お問い合わせはエフエム秋田まで。」という音声が聴こえ、あとから調べてみると花輪中継局であることがわかり、なぜ岩手山や八幡平など高い山があるのに盛岡まで飛んできているのだろうと不思議に思ったものです。ネット上で遠距離受信のサイトをいろいろ調べていくうちに「山岳回折」というものがどうやらあるらしいと。そこで実際に簡易ながらシミュレーションを行い、実験した結果が上記のとおりでした。国土地理院地図を用いて簡易シミュレーション。(赤点線)岩手山山頂付近を通過していることがわかります。(赤点線)水晶山 → 岩手山 → 盛岡 間の断面図。1,500mを超える奥羽の山々を見事にかわし、岩手山山頂付近の1回の回折で盛岡まで届いているようです。垂直偏波は伝搬が不利といわれることもあるようなのですが、100Wという中継局としては比較的高出力なことも相まってしっかり飛んできています。鹿角きりたんぽFM は 20W ということもあって芳しくない受信状態でしたが、それでも音声は聴きとれる状況でした。あの 2,000mを超える岩手山を飛び越えて電波がやってきていると思うと何だか不思議な感じがしますね。次回の 岩手山 山岳回折による花輪中継局FM遠距離受信 ~その2~ では、花輪中継局のFM波が受信できる場所について書きたいと思います。