時と場合に夜

いやいや、この歳にして初体験ですよ。
入院してきました。昨日。で、今日退院してきました。

コトの始まりは昨日の朝。
庭仕事をしていたら腰の後ろ辺りが痛む。
「変な体勢しちゃったかなぁ」と、まずギックリ腰を疑いました。
数ヶ月前に経験したあの痛みに似ていたんですね。

接骨医である義兄に電話する。でも出ない。
「筋肉の腫れは拡散するからとにかく冷やせ」
前に言われたことを試してみる。でも痛みはひどくなるばかり。
痛みを感じ始めてから１５分ほどしか経っていないのに
すでに会話が苦しくなるんです。「休日…医者…」もう医者に行こうと決めました。

運の悪いことに３連休の中日でしょ。
オマケに息子が少し熱を出していて、午前中なら診てもらえるってことで
予約してあった。
７度ぐらいしかないのだけれど、今週はお泊り会という幼稚園の大事な行事がある。
まず小児科に行かねば。
病院は全然別方向だけど運転手はヨメさん一人しかいない。

緊急性から考えれば、僕の方が先でした。
でも子供をほおっておいて自分を診てもらおうなんて親はいない。
子供の往診時間が近づくまで寝室で転げまわり痛みに耐えました。

そのうちに吐き気がしてきてトイレで嘔吐。
人間って極限まで痛みを感じると吐くんですね。初めて体感しました。
以前子供が頭痛を訴えて吐いたことがあったなぁ…
あの時本当に痛かったんだなぁ…
そんなことを思い出しながら不思議なことに気付いたんです。

吐いている間は痛みが和らぐんですね。
それまでどんなに体勢を変えても冷やしても和らぐことのなかった痛みが。
意識が胃に集中するからかな？
でも胃液しか出なくなるともうダメ。

なんて言うんだろう。平板な痛み。
腰の奥から来る、波のない、でも激しい痛み。
波のある痛みなら、その頂点をぐっとこらえて乗り越える希望がある。
でも、この痛みにはそれがない。
ジワジワでもない、チクチクでもない、例えて言うなら
フェードアウトするピアノのような音でなく、エレクトーンのような
押さえていればずーっと同じ音が出るような、そんな感じ。
こちらが「あぁ…」とか「うぅ…」とか情けない声を出しても
全く容赦なく同じ音階で痛みを発信してくる。

病院でも待たされましたね。思い切って救急車を呼ばなかったことを真剣に後悔しました。
待たされた挙句の診察、レントゲン撮影を経てやっと座薬を入れてもらったけど効かない。
痛み止めの筋肉注射を打ってもらって痛みが引いた時は、
まるで安楽死させられるような感じでした。
痛みを感じてから実に３時間後。我ながらよく耐えました。

で、病名は「尿路結石」
なんてことはない、どこかに小さな石が詰まってるだけのことなんですが
この痛みは経験した人じゃないとわからない。
医者曰く「この世のものとは思えないほどの痛みを伴う３大疾病の一つ」
なんだそうです。疲れ果てていてあとの２つが何なのか聞いてません。

座薬をもらって帰る人も多いそうですが、僕の場合は座薬が効かなかった。
「入院していきますか？あなたの場合は痛みがコントロールできないから」
診察を待たされている時は「何やってんだよ、早くこの痛み取ってくれよ」と
もだえ苦しみながら病院を恨んでいたのですが、
「置かせてもらえるならお願いします」とすがるように入院を決めてしまったのでした。

結局その後は痛みを感じることなく
「日当たりのよい窓際のベッド、本は読みたい放題、昼寝はし放題」
と非常に快適な入院初体験でした。

まあ、元気だからこんなにのん気なこと言ってられるんですけどね。
体が鈍らないようにベッドの上で常にストレッチしてましたから（笑）。

あ、おかげさまでサザエさんジャンケンできませんでした。
確率論から言えばパー、個人的にはチョキでくる気がしていましたが…